ひかわきょうこ

彼方から




 「正しい少女漫画」を読んだ。王道を行く少女漫画。遠い過去少女だった私も、少女からは遠く隔たった今の私でも充分面白い漫画だ。ベテラン漫画家さんなのに古さを全然感じない。いつも面白い。コンスタントに面白い漫画を見せてくれる人だ。
 平凡な女子高生のノリコはある日異世界に迷い込む。言葉も何も分からない世界にいきなり放り込まれたノリコは、そこで最初に出会ったイザークにくっついて旅をする。それを手中にすれば強大な力を得るという「目覚め」としてその世界に現れたノリコは、イザークと共にその身を狙われる。
 何の取り柄もない女の子が、強い男の子になぜか守られる。子供の頃に読んでいた漫画はこんなのが多かった。少女の時は、ヒーローだけ見ていればすむ。こんな王子様が来てくれたら、と夢を見る。「俺は大輪の薔薇より野に咲くたんぽぽが好きだよ」みたいな。「僕だけは君の心の優しさを知ってるよ」みたいな。アホか。そういう時期が自分にもあったから辛辣になっちゃうんだけど。薔薇は薔薇で苦労があるんだよ。気付いて欲しけりゃアピールしろよと。「誰か私を見つけてくれないかな」とか受け身なとこにイライラする。大人になると自分を投影する側にも目が行って、嫌いな女がヒロインならその時点でアウト。私がなりたいのはこんな女じゃない→こんな女が好きな男なんて願い下げだ、となってしまう。
 話が脱線した。ひかわきょうこさんは、あと何cmかずれたらそういう漫画になってしまうシチュエーションが多い気がするんだけど、なぜかそうはならない。藤臣君と千津美シリーズでもノリコとイザークでも、基本はヒロインを守るのはヒーローだ。なのに、私はさっきみたいに全然イライラしないのだ。それはヒロインが前向きで嫌味がなくて頑張っているからなのか?苦手ヒロインとどこが違うのか、はっきり分らないけど何かが違う。でも「こんないい男に惚れられるならヒロインはいい女なんだろう、ヒロインみたいになりたい」というより「ヒロインが好きだから、こういう女を選ぶヒーローは好感が持てる」って感じになるのだ。
 この漫画家さんの描くお話は、少女でも大人の女性でも読める、ありそうでなさそうな漫画だ。男性にもお勧めできる。こう、言い方は悪いけど細々とずーっと漫画を描いてくだされば良いなぁと思う。
(2010/01/22)

お伽もよう綾にしき 1~2巻



 好きな漫画家さんです。今途中なのがこのお話。学園物やファンタジーや西部劇を読んだことがありますが、これは日本の戦国時代物。安定して面白いので、安心して読めます。
 とろくさいけど、妖怪(?)を召喚できたり不思議な力を持ったすず。幼い頃両親を亡くし、そばにいた一回り位しか離れていない新九郎を「ととさま」と呼んで慕っていたのに、ある日新九郎も戦いに出たまま、帰らぬ人となりました。成長したすずは、どこぞのお世継ぎ騒動に巻き込まれます。呪詛を仕掛けてくる敵に対し成す術がないすずですが、新九郎に貰った笛から彼そっくりのお公家様が、ランプの精よろしく登場。滅法強いお公家様を「おじゃる様」と名づけて支配下においたすずが、お世継ぎを守ったり、なぜおじゃる様は新九郎とそっくりなのか、そもそも新九郎は死んだのか、そのへんをあきらかにしていくんだろうなぁというお話です。
 まだ2巻なのでなんとも言えませんが、この人のお話好きなんですよねぇ。すずは善良でちょっと抜けていて、でも何事にも一生懸命と、少女漫画の典型的ヒロイン。すずと新九郎にロマンスがあるのか今はわかりませんが、ヒーローはおじゃる様か新九郎かどっちなんでしょうね。私はこの典型的ヒロインというのが大嫌いなんですけど、この人が描くそういうタイプは嫌いになれないんです。「彼方から」のヒロインも、嫌いじゃないしな~。なんでだろう、うじうじしていなくて努力しているからかしら。
 続きを楽しみにしている漫画です。
(2007/07/14)

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