28-922「917に捧ぐ」

>>917
まだ後は残ってんのか?それとも本命だったか
こういうときはなんて声を掛けてやったらいいものやら・・・



俺が悩んでいると後ろからショートカットのよく似合う少女が歩いてきた。


「お、佐々木か」
「・・・」
佐々木は俺たち二人の顔を交互に見比べた後で尋ねてきた。


「どうしたんだい?二人とも。深刻そうな顔をして」
「いや…なんつーか、な」
「受験に・・・失敗したんだ」
「・・・」
俺は何も言わなかった。

「ははっ。危ないかな?とは思ってたんだけどね。実際に落ちるとは・・・いやー人生ってわからないね」


>>917は努めて明るく言った。顔は全く笑ってなかったが。
その代わりにかどうかは知らんが佐々木が微笑みを浮かべて、
「・・・なんだ、そんなことかい」
「そんなことってお前…」

佐々木は>>917の方を向いて優しく語り始めた――
「確かに今は辛いだろうね。自分の行動を後悔することもあるだろう。
 世界中で自分が最も不幸な人間だと考えるかもしれない。
 しかし人生は長いんだ。予定した道が少し変わっただけだよ。
 10年、20年後に省みたときにあんなこともあったな、と笑って話せればいいのさ」
「いや、今それを言っても――」
・・・意味ねぇんじゃねえか?

佐々木は俺を一瞥して、
「今だからこそ言うんだよ。いいかい?>>917君。
 僕も生まれてから10年かそこらで偉そうなことは言えない。今は落ち込むだけ落ち込んでいいとも思う。
 ただ、それを引き摺ったところで事態が好転するわけではないのも事実だ」
「・・・」
「受かったからどうとか落ちたらどうとかではないよ。
 僕たちはまだこれから高校生。今からいくらでも挽回のチャンスは来るはずだ。」
「それに――」


君は一人じゃないだろう?


佐々木は最後にそう言うと>>917の肩をポンっと叩いて教室を出ていった。

「俺はあんなにいいことは言えんが・・・」

最後のには同意してやる。
「元気出せよ、>>917。何も出来ん俺でも話くらいは聞いてやれるからな」



陰ながら>>917のこれからの奮起を願っております。

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最終更新:2008年02月05日 08:42
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