31-909「どこでもドア」

俺も協力させられた佐々木制作のどこでもドアが完成してしばらくの頃である。まさか本当に完成するとは思ってなかった。

「アルバイト?」
「アルバイトしなけりゃならないな。あの偉大なる団長様が『罰金、罰金』と言うおかげで、俺の貯金が底をつきそうなんだ」
「それはおかしい。僕が一緒に団活に参加するようになってからは遅刻なんてしてないはずだ」
最近の佐々木は金曜の晩から俺の家に泊まり込んで、朝早く俺を起こしてくれる。
「そうなんだが。団活が不真面目過ぎると言われ、懲罰委員会で罰金なんだよ」
不思議を発見しても団長に見つからないように処理するだけだから、不真面目と言われて当然だろうが…
「あの団長様は君から罰金取るのが趣味みたいだね。くっくっ」
「笑い事じゃないぞ。何故か長門まで賛同するし」
「そうか、長門さんまでか。それは意外だな」意外でもないかな?

「それで、日曜日にでもバイトしなけりゃいけないかなー、って思ってるんだ」
ちなみに、日曜日には佐々木が俺を連れて社会見学に行くことが日課になっている。
「それは大変だ。そうだ!朝、僕を学校まで自転車で送るというバイトはどうかね?実は電車なら乗り換えがあって1時間かかるけど、自転車なら30分なんだよ。それで一日1000円でどうだ?」
「お前を送ってから北高に行かなけりゃならないだろ。実質1時間じゃないか」
「大丈夫。僕の高校から北高校まではどこでもドアで行ける。君も作るの手伝っただろ?」
「そうだな。それで放課後はいつも部室に来るようになったんだな」
「で、君はどうするつもりかな?くっくっ」
自宅と自分の高校を繋げば楽なのに、と思ったが、それを思いつかないのは何故だろうか。
天才というのはどこか抜けているのかな?
それとも、その手の設定が大変なのかな?
「それじゃ、やらせてもらうよ」
1000円も貰えれば迷うことないな。



これで罰金取られても大丈夫になり、この2か月でだいぶ貯金できたが、長門の刺すような視線が痛い。
昨日からハルヒもやたらと不機嫌だし。何故?
「何故って。あなたが佐々木さんを自転車で毎朝送っていることがバレたのですよ。自重して下さいとあれほど言ったのに」
俺と佐々木の間に何かが起こるわけないだろ。
「その何かが起こるとすれば佐々木さんとが最も確率高い、というのが涼宮さんの見解で、国木田さんも僕も同意見なのですが」
お前らの妄想には毎度あきれるわい。時々ご苦労様のキスをしてもらうくらいで、何も起きてないぞ。
(終わり)

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最終更新:2008年04月04日 21:23
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