68-111「佐々木さんのキョンな日常 プロロ-グ」

 もし、本当に人との出会いに運命というものが存在するというのならば、僕は―いや、私は思う。
 「よう、お前もここに来ているのか」
 中学時代、いつもの変わらない日常の、学習塾での何気ない君の―あなたのその一言が新しい世界へ
の扉を開く運命の鍵だったのだと。
 え、大げさだって?そうでもないよ。物事の始まりは、いつもは気に留めない、それでいて、後から
重要な転機点だったと気付く、小さな変化が起点であることが多いんだ。それを教えてくれたのは、
キョン、君だよ。
 いけない、どうも口調が変だ。君と、あなたと話すときはどうしても男言葉が出てしまう。そちらが
慣れているのは間違いないんだけどね。親友ではなく恋人になったというのに。気楽なほうでいいって?
じゃあ、しばらくはいままで通りのしゃべり方でいくよ。でも君のせいでもあるんだよ。なんせ、親友
としての時間が長すぎたからね。でも、その時間があったおかげで、僕と君との絆は強くなったとも
思うんだが。
 君の腕の中にいると、いろんなことが思い出されてくるね。3年前の僕の決断は間違ってはいなかった。
 いま、あらためてそう思うよ。君と同じ北高に来たことは、僕にとって最高の選択だったと。

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最終更新:2012年12月01日 16:45
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