69-407『恋するニワトリ』

夏祭り。ハルヒ達とはぐれた俺は、ヒヨコ屋の近くを通りがかった。
「(やれやれ。ガキ相手に阿漕な商売しやがって。)」
興味本位でカラーヒヨコ屋を覗いてみる。そこには……
「何やってやがんだ、佐々木……。」
色とりどりのカラーヒヨコを愛でる親友がいた。
「ああ。ヒヨコをね。」
佐々木は俺を見ると立ち上がり、微笑んだ。
「聡明なお前だ。知っているとは思うが、こいつらは……」
「皆、雄。そして毛の色は着色。だよね?」
うぐ……。返す言葉がない。
「くっくっ。久々の挨拶がこれだとは。」
「全くだ。」
二人でカラーヒヨコ屋の前に座る。色とりどりのヒヨコ達が動きまくり、ピヨピヨと煩い。それを見る佐々木の目は、あくまでも優しい。
「先日、ウチのニワトリが死んでしまってね。」
「ニワトリ?」
「ああ。小さい時にカラーヒヨコを買って、それが大きくなったんだよ。」
こうしたところのニワトリは、すぐに死ぬと聞く。それを生かすとは佐々木恐るべし……。
「あのコは真っ青なニワトリになる、と子供心に思っていたんだが。立派な鶏冠を備えた白色レグホンの雄だった。傷ついたよ、全く。」
佐々木はそう言うとむくれる。
「じゃ、そこにいるレインボーカラーは?」
「きっと何か間違えたB系のお兄さんだな。」
二人で顔を見合せ笑う。結局佐々木はヒヨコを買わなかったが、終始楽しそうだった。
「さて、帰るかな。」
「そうか。俺は連れを探すよ。」
「そうか。じゃあ、また。たまには連絡位寄越したまえ。」
「ああ。またな、佐々木。」

キョンが去っていく。……どうやら、彼は楽しい生活を満喫しているんだね。背中を見送ると、少女達と少年の一団が、彼を迎える。
彼らの背中を見送り、帰ろうとすると、足元に白色レグホンが染色されたものがいた。

「ココ、コココ。」

くっくっ。そうだね。思いを込めて卵を産まなくてはいけない。あの唐変木に好意を持つのは、私だけではないみたいだから。

8月31日。
またループは巡る――――

END
+ タグ編集
  • タグ:
  • 夏休み
  • エンドレスエイト

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月03日 05:14
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。