69-497『バレンタイン話』

2月14日。
世界の格差社会を見せ付けられる日。それが今日、この日。バレンタインデーだ。
古泉のイケメンスマイルが眩しく、国木田の困った表情が印象的だ。谷口は机に突っ伏していた。
「こ、今年こそはかーちゃん以外から……!」
…………。すまん。俺も似たようなもんだが、哀れ過ぎて……。しかし不条理だ。何故誰もが皆製菓会社の陰謀に踊らされるのか。
「全くよね。鬱陶しいったらありゃしない。」
ま、最初からお前には期待しとらん。
「あたしは今年はあげるわよ。これが最後になるだろうし。」
ほう。そいつは意外な。
「手作りなのよ。ふふ。ああ、今日は団活なしね!」
ハルヒはそう言うと、にっこりと笑った。……どうなってやがんだ?
あっという間に放課後になり、何をするわけでもないのでさっさと帰る事にした。
しかし、ハルヒが本命を渡すか。どんな男かは知らんが、うまくいくといいな。
駅前には、佐々木がいた。佐々木からは
「生憎と懐が寂しくてね。お返しは、いつか等倍に返してくれたらいい。」
『5円があるよ』を渡された。
自宅に帰ると、妹が満面の笑みでチョコをくれた。分かりきっていた話だが、やはり俺はモテない。
何を期待していたんだか。まぁ、佐々木がくれた五円については大切に置いておくか。等倍で十円なのにな。変わったやつだ。

自宅前が騒がしい。きっとシャミセンが喧嘩でもしているんだろう。入ってきたら手当てでもしてやるか。

―外―
「涼宮さんっ!本命渡しておいて彼にもだなんて!僕だってこの愛情の手作りを彼に!」
「お父さんにやるのも、これで最後だもん!それに何で古泉くんが!」
「ふええ~ッ!私も本命渡すんです~ッ!」
「……邪魔。私だけ渡す。」
END

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最終更新:2013年03月31日 23:57
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