70-343『Stick around, and it may show.』


思いを通じ合わせるという事は、難しい。
そう佐々木は言う。
「最初は楽しかったんだけどね。」
難しい顔をする佐々木。いつもこいつはこうだ。俺に甘えたい時はいつでもこうしてむくれる。
「お前は考えすぎだ。」
こう言っていつも佐々木を宥める。それが俺の答え。
「そうかね。思いを通じ合わせるのは凄く難しいよ。こんな関係になってもね。」
半裸になってベッドに睦み合う時間。佐々木は俺が佐々木にイカれていると知っていてそう言う。
「人は人だからな。すれ違いなんてあって当たり前だ。」
だからこそ言う『意地悪』だ。
「シンクロニティとはいかないかね。」
こう言うと佐々木はむくれる。
「そりゃそうだ。俺だってお前はわからない事だらけだぞ。」
本当にな。お前の甘えかたなんていつでもそうだ。
「くっくっ。」
そう言い、幸せそうに笑う佐々木を抱き締めた。

「You're asking me will my love grow.」

「Stick around, and it may show.」

恋人同士の行為が終わり、お互いに横になる。
「……やっぱり難しいよ。思いを通じ合わせるのって。」
またこうして甘えかかる。こいつは絶対に俺の思いを理解して言っている。
「お前はお前だからな。お前は俺じゃないし、お前の思いはわからん。」
自分が俺にとっていかに特別かと、分かっていて。

「思いを通じ合わせるってよりは、思いを理解していて言っているだろ?お前。」

「くっくっ。」

全くやれやれだ。

END

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最終更新:2013年04月29日 13:01
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