思いを通じ合わせるという事は、難しい。
そう佐々木は言う。
「最初は楽しかったんだけどね。」
難しい顔をする佐々木。いつもこいつはこうだ。俺に甘えたい時はいつでもこうしてむくれる。
「お前は考えすぎだ。」
こう言っていつも佐々木を宥める。それが俺の答え。
「そうかね。思いを通じ合わせるのは凄く難しいよ。こんな関係になってもね。」
半裸になってベッドに睦み合う時間。佐々木は俺が佐々木にイカれていると知っていてそう言う。
「人は人だからな。すれ違いなんてあって当たり前だ。」
だからこそ言う『意地悪』だ。
「シンクロニティとはいかないかね。」
こう言うと佐々木はむくれる。
「そりゃそうだ。俺だってお前はわからない事だらけだぞ。」
本当にな。お前の甘えかたなんていつでもそうだ。
「くっくっ。」
そう言い、幸せそうに笑う佐々木を抱き締めた。
「You're asking me will my love grow.」
「Stick around, and it may show.」
恋人同士の行為が終わり、お互いに横になる。
「……やっぱり難しいよ。思いを通じ合わせるのって。」
またこうして甘えかかる。こいつは絶対に俺の思いを理解して言っている。
「お前はお前だからな。お前は俺じゃないし、お前の思いはわからん。」
自分が俺にとっていかに特別かと、分かっていて。
「思いを通じ合わせるってよりは、思いを理解していて言っているだろ?お前。」
「くっくっ。」
全くやれやれだ。
END
最終更新:2013年04月29日 13:01