「ひとまず休戦しましょう。」
ハルヒの発言に、佐々木が手を止める。
「世界樹の位置は不明。そんなもんに時間を費やすよりは、ハーゴンぶちのめしたほうが早くない?」
ハルヒの言葉に佐々木が頷く。
「ただ単に行動不能になる呪いみたいだし、確かにそれが手っ取り早いかな?」
脳筋魔法シスターズ爆誕の瞬間であった。
「ご、ごゆっくりぃぃぃぃ!」
「所詮バックアップなのねぇぇぇぇ!」
「みくる姉さぁぁぁぁぁぁあん!」
「……?下が騒がしいのです。」
ハーゴンは下の階がざわついているのが気になった。
「また三人で暴れているのですかね。破壊神の復活を邪魔しようなんて、ふてぇ奴らなのです。」
ハーゴンは祈りを中断し、階段に向かった。
ヒタ… ヒタ…
階下から足音がする。
「だ、誰なのですか!」
……返答はない。
「答えるのです!」
ハーゴンは再度叫ぶが……返ってくるのは足音と沈黙ばかりだ。
「た、谷口さん!朝倉さん!藤原くん!答えて欲しいのです!」
ヒタ… ヒタ…
沈黙、そして足音が近付く恐怖に耐えかね、ハーゴンは部屋に戻った。
施錠し、一安心かと思いきや……
ゴンッ! バキッ! ベリッ!
破壊音がドアから響く。
「あ、あ、あわわ……」
ハーゴンが腰を抜かした時……暴力に耐えかねたドアが、ゆっくりと開く……。
「はじめまして。そしてさようなら。」
そこにいたのは……返り血に染まったハルヒ。
「お仕置きの時間よ。」
ハルヒの後ろから見える、佐々木の妖艶な微笑み……。ハーゴンは、自らの運命を悟った。
キャアアアアアアア……
……こうして世界は夜明けを迎えた……。
「……な、何か俺……単なる役立たずじゃねぇか……」
ベラヌールの宿屋。キョンはハルヒと佐々木がハーゴンを倒した事について溜め息を洩らした。
「いや?キミには今から大仕事があるが?」
「そうよね、佐々木さん。」
旅で苦楽を共にするうちに、すっかり打ち解けた二人はキョンを見る。
「…………何だかわからんが、猛烈に嫌な予感がするんだが…………」
本能的に危機を察したキョンが、逃げ腰になる。が、長い間横になっていた為に身体は言うことを聞かなかった。
『あは!ぬふっ!しゅ、しゅごい!妊娠確実ッ!』
……という、(彼にとって)悪夢のような出来事があり……
何ヵ月かして故郷に凱旋した時。
「キョンくぅーん、何でハルにゃんと佐々木お姉ちゃんのお腹が大きいのー?」
という妹の問いに、彼は答えられなかった……。
ローレシア、サマルトリアは他の王族が継ぎ、世界を救った三人は、ムーンブルク再興に精を出した。
「な……なんてこった……!」
冒険が終われば、悠々自適のサマルトリアライフを夢見ていたキョンだったが、そうは問屋がおろさなかった。
ムーンブルク王と二人の女王は、ムーンブルクを再興させ、末永く幸せに暮らしましたとさ。
「驚天動地だ。」
「何がよ、このバカキョン。」
「くっくっ。」
END
最終更新:2013年06月02日 02:18