”時はきた。次元固定因子最後の発生座標は、20XXの3月。全ての始まりにして終わりの日。未来と過去
は固定される。改変時空の修正は現時点において64%。不胎介入エネルギ-の開放にて、修正時空の歪みは消
失する。天蓋領域生命体・識別個体名『周防九曜』の自律進化の観察により、『鍵』の影響する割合は……”
”力の保持者である『扉』に対する干渉勢力は、現時点において動きは見られずも、時空固定因子発生時に
出現する事は規程事項。その動きにより、開闢最大の改変がおこる。我等が消失をもって、自律進化の果てと
結論すべし”
ついにこの時が来た。あの日、みじめに逃げ出した私の前に現れた”彼女”により、私は全てを知った。
”彼女”が、その後ろにいる勢力が何を考えて、あのような”契約”を持ちだしたのか。
今はおぼろけながら分かる。
長門優希。涼宮ハルヒ、そして――
改編と呼ぶべきか修正と呼ぶべきか。それを結論づけるのは”鍵”と呼ばれる、”彼”の選択にかかって
いる。
ある選択をすれば、おそらく何も起こらないだろう。歪みを歪みと気付かぬまま、世界は続く。
だが、もし、もうひとつの選択をした場合、”彼ら”はその姿を現す。その動きを止める為に。
世界を守る為に。
”笑わせるな”
怒りと悲しみ。”力”を行使させた理由。
なるほど、私達は釈迦の掌で踊る孫悟空か。自らの意思でなく、選ばされた未来。
そんなものを守る為に相手は全力をかけるのか。哀れといえば、哀れだ。
いいだろう。私が自ら選んだ道だ。
何が起ころうとも、私は守る。譲りたくないものを、私が手に入れたかったものを。
最終更新:2013年04月29日 14:13