71-117『佐々木の告白』

「あ あの!キョン!つかぬことを伺うが……子供はっ…子供は何人欲しい?
僕は三人欲しいな。女の子がふたり、男の子がひとりね。名前はキョンが決めてあげて。僕ってあんまりネーミングセンスないから。
くっくっ、どっちに似ると思う?僕とキミの子供だったら、きっと男の子でも女の子でも可愛いよ。
それで庭付きの白い家に住んで、大きな犬を飼うんだ。犬の名前くらいは僕に決めさせてくれ。
キョンは犬派?猫派?僕は断然犬派なんだが、あ、でもキョンが猫の方が好きだっていうんなら、勿論猫を飼うことに吝かでない。
僕、犬派は犬派だけれど動物ならなんでも好きだから。だけど一番好きなのは、勿論キミだよ。キミが僕のことを一番好きなように。
そうだ、キョンってどんな食べ物が好きなんだい?
どうしてそんなことを聞くのかって思うかもしれないけれど、いやだな明日から僕がずっとキミのお弁当を作ることになるんだから、ていうか明日から一生キミの口に入るものは全部僕が作るんだから、やっぱり好みは把握しておきたいじゃないか。
好き嫌いはよくないけれど、でも喜んでほしいって気持ちも本当だよ。最初くらいはキミの好きなメニューで揃えたいって思うんだ。
お礼なんていいんだよ彼女が彼氏のお弁当を作るなんて当たり前のことなんだから。
でもひとつだけお願い。僕『あーん』ってするの、昔から憧れだったんだ。だからキョン、明日のお昼には『あーん』ってさせてくれたまえ。
照れて逃げないでね。そんなことをされたら僕傷ついちゃうよ。きっと立ち直れないね。ショックでキミを殺すかも。なーんて。
それでキョン、怒らないで聞いてほしいんだが僕、小学生の頃に気になる男の子がいたんだ。
ううん浮気とかじゃないんだ、キョン以外に好きな男の子なんて一人もいない。ただ単にその子とはキミと出会う前に知り合ったというだけで、それに何もなかったんだよ。
今から思えばくだらない男だった。喋ったこともないし。喋らなくてよかったと本当に思う。
だけどやっぱりこういうことは最初にちゃんと言っておかないと誤解を招くかもしれない。そういうのってとても悲しいと思うよ。
愛し合う二人が勘違いで喧嘩になっちゃうなんてのはテレビドラマの世界だけで十分だ。もっとも僕とキミは絶対にその後仲直りできるに決まってるけど、それでもね。
キミはどうだい?今まで好きになった女の子とかいるのかい?いるわけないけども、でも気になった女の子くらいはいるよね。
いてもいいんだよ全然責めるつもりなんかないよ。確かにちょっとはやだけど我慢するよそれくらい。だってそれは僕と出会う前の話だもんね?
僕と出会った今となっては他の女子なんてキミからすればその辺の石ころと何も変わらないに決まっている。
キョンを僕なんかが独り占めしちゃうなんて他の女子に申し訳ない気もするけどそれは仕方ない。恋愛とはそういうものだ。
キョンが僕を選んでくれたんだからそれはもうそういう運命だ決まりごとだ。他の女の子のためにも僕は幸せにならなくてはいけない。
まぁでもあまり堅いことは言わずキミも少しくらいは他の女の子の相手をしてあげてもいいのだよ。だって可哀想だもんね僕ばっかり幸せになったら。
キミもそう思うだろう?」

END

『めだかボックス』打ち切り記念。

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最終更新:2013年07月01日 00:39
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