71-751『ふらくら時間8』

今日は野外でバーベキュー。
「イーヤッフー!どうなのですか、この岩魚!」
「くふふっ……!見ろ、このヤマメを!」
何故か矢鱈とテンションの高い橘と藤原。
「キョンくん、釣れた魚を持ってきて。岩魚やヤマメは捌かないでも食べられるけど、あの二人が燻製にしておいてほしいってだから。」
サバイバルナイフを持つ朝倉。肉や野菜を切る手つきが堂に入りすぎて怖い。
「――」モグモグ
「……」パリパリ
刻んだ生野菜を食う長門と周防……。後で仕置きされても知らんぞ。
「肉!肉!肉!」
ハルヒは矢鱈とテンションが高い。古泉は朝比奈さんと熾火を作っている。
「キョン!あんたも何か取って来なさいよ!」
「あ?こんな山の中に何があるってんだ?」
何を言うんだ、こいつは!
「まぁまぁ。自然は食べ物の宝庫でもある。及ばずながら僕もお手伝いするよ。」
ハルヒと揉めそうになっていると、佐々木が助け船を出して来た。ハルヒ、覚えてやがれ。
……そうして山に入ったんだが……
佐々木の様子がおかしい。
「…………」
内股でモゾモゾとしながら歩いている。
「……どうかしたのか?」
「気にしないでくれたまえ。あ、キョン。そこの草は食べられる。」
「ん?これか。」
佐々木は近くにあった草を指差す。
「そのギシギシは食べられる。」
……何かを我慢しているような佐々木。
「……お前、トイレか?トイレならそのへんで……」
「死にたまえ。」
……きつく殴られちまった。……トイレではないらしいな。
「あとはアケビがあるといいんだが……」
佐々木は内股で歩く。
「(何か変だ。)」
トイレでなく内股……股擦れ……ではないな。股擦れならばがに股になる。
谷口の愛読書にあったような自慰行為……いや、愚問だ。それはない。
とあれば……
「佐々木。」
「なんだい?」
俺は多少顔を赤らめながら言った。
「……そ、その、月の……ブクェ!」
……真っ赤になった佐々木から、グーの拳が飛んできた。
これも違うみたいだ。


「漸くお目当ての品か。」
佐々木が蔓を指差す。そこにあったのは……
「……あんなん食べられるのかよ。」
パックリ割れた、変な木の実だ。
「キミはアケビを食べた事がないのかい?僕は一度橘さんにご馳走になり、非常に気に入ったんだ。」
「……まぁお前が言うなら間違いはないだろうが。」
収穫するにしても少々位置が高い。佐々木は苦笑いしながら言った。
「……どうするかね。」
「諦めるには惜しい、だろう?肩車するか?」
佐々木の内股の理由もわかるだろうしな。佐々木は了承すると、足を開いた。
佐々木を肩車して持ち上げる。
「もう少し右だよ、キョン。」
……そ、そのな、佐々木の太股が、首にだな。首の後ろに暖かい感触がだな?
「キョン!何を内股に!しっかり立ちたまえ!」
「お前も足を動かすな!」
我ながら迂闊過ぎた!佐々木の……そのな、案外柔らかい太股の感触と……に、匂いがだな……
「よし、取れた!次はもう少し左……」
頭上では佐々木が俺に指示を出す。
……この拷問はアケビが人数分取れるまで続き……俺はハルヒ達にアケビとギシギシを渡した後、トイレに駆け込む羽目になった。

「ふう……」

頭が冷静さを取り戻すにつれ、佐々木が何やら俺の頭上で足をモゾモゾ動かしていた事を思い出す。
……やはりあれは……アレ……なんだろうな……

皆がバーベキューに舌鼓を打つ中、俺は佐々木に問う。
「……お前、なんでまた俺の頭の上で動いていたんだ?」
佐々木は、バレていたのか、とバツの悪そうな顔をする。案外谷口情報もバカには……
「……足の付け根を蚊に食われていてね。」
……はい?
「痒さに耐えきれない中にキミが肩車を言い出したので、つい……。すまない。僕も耐えられなかったんだ。」
……………………。

……後日談だと?あるわけないだろう!わかりきった事を聞くな!
生々しい経験しちまったから、暫く佐々木の顔をマトモに見きれず、佐々木がその事を橘に愚痴って俺が橘に殴られただけだ!

「やっぱり谷口は当てにならん!」

知ってたけどな!

『ふらくら時間~♪』

END

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最終更新:2013年09月09日 02:14
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