どんな便利なツールも、使う人によっては大変な事になる。昨今流行りのTwitterや、Facebookもそうだ。
「ま、情報発信なんて誰がやってもつまらないものだし、著名人でもない限りは注目もされないんだけどね。」
「そういう奴に限って、大炎上するんだよ。」
たまたまキョンの家にいた佐々木。キョンがお茶を取りに行っていた時にやった茶気であった。
肩をはだけ、シーツで隠し、一見半裸でベッドに横たわり、写メを撮る。
「ふむ。良い出来だね。」
Twitterに情報発信してみる。
「キミのベッドなう、と。……くっくっ。」
どうせリプする人間なんて橘位なものだし、橘が詰め寄ったところで、橘を御するなど、赤子の手を捻るより容易い。
キョンはTwitterはやらないし、肩をはだけさせた程度の写メなどエロくもなにもない。それに、よく見ればきちんと服を着ている事もわかる写メだ。
『sasaki@k キミのベッドなう』
こうした軽い気持ちでの投稿。
きっと、炎上かました人間も同じく軽いきもだったのだろう。冷蔵庫に入ったり女性器を晒したりするのは、流石に狂気の沙汰だが。狂気の沙汰程面白いという人間もいるが、狂気の沙汰が面白いというよりは、自分に酔うから楽しいのだろう。
佐々木にしても、その場は楽しかった。
キョンが気付かない状態で、キョンのベッドの中にいる非日常。そして彼の知る由もない所での情報発信。知らない人が見たら、まず誤解するであろう絵面と文面。
そんな事もすっかり忘れ、Twitterに飽きて色々な事を忘れかけていた時。往々にしてそんなものだが、天災は忘れた頃にやって来る。
そして。その天災は、最大級の災厄となり降り注ぐものだ。発信した人間でなく、発信された方に。
「我がSOS団も、Twitterを始めたいと思います。」
ハルヒが皆の前で宣言をする。
「アホらしい。情報発信の為のツールでじを集める積もりか。第一、佐々木にしてもTwitterやっていたが今ではすっかり飽きて、アカウントのみある状態だぞ。
アカウントは知っているが、ROMした事もリプした事もないがな。」
ハルヒは思い切り鼻白むと、パソコンからTwitterのアカウントを取得する。
「…お前の携帯からでいいだろ。」
「あたしはアカウント持ってるから。」
意外な言葉に、キョンが目を丸くする。
「意外な。お前が情報発信していたのか?」
「うるさいわね!そんな事どうでもいいじゃない!アカウントは教えないわよ!」
古泉あたりに聞けば、すぐにアカウントの目星はつくのだろうが。キョンは佐々木のアカウントを教えると、皆からジュースを買いに行かされ…席を外した。
因みに。ハルヒのTwitter。
『harunyan@k 今日もまた便所飯なう。』
など、ネガティブ極まりなく…とてもお見せ出来る代物ではなかった。古泉にしても長門にしても、リプする事は避けており…単なる日々の毒吐きツールと化しているのであった…。
「やあ、親友。」
「よう、佐々木。」
コンビニには佐々木がいた。
「Twitterかい?最初は楽しかったが、すっかり御無沙汰だなぁ。」
コンビニの外でジュースを飲み、雑談をする。
「情報発信と収集は、やはり違うよ。情報発信にしてもネタがないし、存外収集は退屈なものだ。」
「お前の場合だと、リプが少ないというよりは収集するにしてもあまり意味がない、と感じていそうだな。」
「まぁね。何処かの誰かがTwitterやるなら、復帰も吝かでないが。Twitterにしてもものぐさには向かないツールだからねぇ。」
佐々木はジュースを飲み干すと
「じゃあまた、親友。」
と言い、去って行った。
「Twitterねぇ。俺もやってみるかなぁ…」
そんな事を考えつつ、コンビニスイーツを片手に団室に戻ると…古泉の姿が無かった。
「ん?古泉はどうした?」
「帰った。アルバイトだって。」
折角古泉の好きな、レアチーズケーキのバータイプも買ったのにな、とキョンは古泉のお菓子を冷蔵庫に入れる。
長門にプチシューの山盛り、みくるにゼロカロリーのゼリー、ハルヒにエクレアを渡し、すっかり冷めてしまったお茶を片手に一息つく。
「なぁ、ハルヒ。Twitterのアカウント取得って直ぐに出来るものか?」
「一分もあれば出来るわよ。」
何故か冷たさを感じるハルヒの声。長門もみくるも、何故かパソコンの前にいる。
「ねえ、キョン倫理的衛生的な意味で入っちゃいけないとこに入り込んで、写真撮ってネットで公開してる子がいるんだけど、どう思うかしら?」
「やってみたかったんだろ。ほっとけって。」
代わりのお茶が欲しいな、と思いつつ、キョンは携帯を開きTwitterのアカウントを取得する。kyonというハンドルネームは使用済みのようで、@マークを使い次に何を入れるかを考えていると…
「なるほど。やってみたかった、ね……。で、あんたはやっちゃったわけね……」
ハルヒ、長門がキョンに迫る。みくるが二人を止めようとしたが、抵抗は紙以下であった。
「こんのエロキョンがぁーッ!」
…佐々木が誤解を解くまで、キョンは虫ケラ以下の扱いを受け、古泉は過労死寸前、長門はキョンの監視を強め、刺々しい空気に病んだみくるは、カラになったポットからお湯を出そうとし続けたという…。
「…本当に何も無かったのよね?佐々木さん?」
「さぁね。あなたがそう思うなら、きっとそれが正しいわよ。…あなたの中では。」
「佐々木○○を敵性と断定…」
和かに不穏な会話を続ける三人に、古泉は胃を押さえ、みくるは失神しかけ、キョンは溜息をつくばかりであった…。
どんなに便利なツールでも、運用するのは人間。人間だけに誤解もあれば誤用もある。
「「「もう勘弁してくれ(下さい)!」」」
三人の心の叫びが届く事は、多分ない。
END
ネタ元
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| ねえ、キョン |
| 倫理的衛生的な意味で入っちゃいけないとこに入り込んで、 .|
| 写真撮ってネットで公開してる子がいるんだけど/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| どう思うかしら? | やってみたかったんだろ |
\______________ _____| ほっといてやれって |
マチガイナイデスヨネ? マチガイナク アノヘヤ |/ \___ _______/
. -‐- , -‐―‐- 、 コイズミクン ナラ \|
,.ィ'i^i^i`r、 〃# ヾ. /r#/ニニヾ バイト イッタワヨ ,. ‐-ー- 、
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最終更新:2013年12月08日 01:26