17-107「佐々木さんと橘さん」

佐々木「橘さん……」
橘「何ですか?」
佐々木「キョン子って呼んでいい?」
橘「な……なんですか?それは」
佐々木「だって、橘さんの下の名前って『京子』でしょ?だから、キョン子……」
橘「……ひょっとして寂しいんですか?キョンさんが相手してくれないから」
佐々木「な、何言ってるんだい?あのキョンは関係ないよ」
橘「だって、今まで私の苗字しか呼んだことないのに、急に……」
佐々木「そ、そうだね……そうだな、敢えて言うなら、私は『キョン』という言葉の
    響きが好きなんだ、だから……」

『私は『キョン』という言葉の響きが好きなんだ』

『私は『キョン』というきが好きなんだ』

『私は『キョン』が好きなんだ』

佐々木「橘さん……そんな今録音した私の声を一瞬で編集しないでくれるかな?」
橘「このWAVデータをmp3にしてキョンさんにメールします」
佐々木「ダメだよ!やめて!」
橘「んん……もうっ!多少強引なことしないと、キョンさんは一生気付きませんって」
佐々木「だから!別にキョンは関係ないって言ってるじゃないか」
橘「わかりました!!」
佐々木「……わかってくれたかい?」
橘「今から、私が行ってキョンさんをこちら側に引き込んできます!!」
佐々木「見事にわかってないね……」

…………………………………………………………………………………………………………

橘「ただいまです……」
佐々木「おかえり……随分遅かったね。もう夜だよ」
橘「まったく……一日かけてもキョンさんは……」
佐々木「だろうね……(そんな一日で何とかなるなら、僕も苦労しないよ)」
橘「やれやれ……あっ!何かうつってる!」
佐々木「そんな口癖がうつるほど一緒に居たのかい?」
橘「そうですよ!!聞いてくださいよ!」

橘「まず、私はキョンさんの家に乗り込みました」

回想

橘「キョ~ンさ~ん!!あ~そびーましょーー」
妹「こんにちわ~。キョンくんなら居ないよ」
橘「え?そうなんですか?しまったです!」

回想終

佐々木「いきなり終わったね」
橘「いえいえ!私からは逃げられませんよ。携帯に電話してやりました」

回想

橘「もしもし、ワタシワタシ!私ですよ!!」
キョン『詐欺かお前は……何の用だ?橘。まさかまた誘拐したんじゃないだろうな』
橘「そんなベタな手はもう使いませんよーだ」
キョン「こいつ……何だ?お前暇なのか?」
橘「別に暇ではありませんが、あなたに用があります」
キョン「そうか?じゃあ今から駅前まで来い」
橘「わかりました~ふふふ覚悟するです」
キョン「何の覚悟だ……」

駅前

橘「キョンさん、待ちましたか?」
キョン「いや、そんなに待ってないぞ。さて、行こうか」
橘「ど、何処へ連れて行くつもりですか?」
キョン「ウィリス見にいくぞ!」
橘「ウィリス?」
キョン「ああ。ずっと見たい映画だったんだが、なかなか一緒に行くやつが居なくてな
    かと言って、一人じゃあ味気ないしな……ほら、さっさと行くぞ!」
橘「痛たたた……そんな髪を掴んじゃダメです」
キョン「いやぁーちょうど良いなぁーーこの頭のやつ」

回想終

佐々木「で?一緒に映画見たんだ」
橘「ファイヤーセルで世界が終わりでドッカーンでした」
佐々木「ふ~ん、楽しかったんだ」
橘「……おっさんヒーローも良いなとか思ってしまいました」

回想

橘「ふー…」
キョン「なかなか面白かったな」
橘「そうですね!!……あっ……」
キョン「な、なんだよ?」
橘「その手には乗らないのです!!」
キョン「何の手だよ……さてと、飯でも食うか」

回想終

橘「そうして私はファミリーレストランに連れ込まれてしまいました」
佐々木「で?一緒にご飯食べたんだ」
橘「ギリギリでランチ時間に間に合ったので、480円で済みました」
佐々木「そう、良かったじゃないか」
橘「ふふふ……なんと、私はそれをキョンさんに奢らせてやったのです!」
佐々木「え?」
橘「奢りとなったら容赦はしません、デザートにいちごパフェも頼んでやりました」
佐々木「何か……普通にデートみたいになってないかい?」
橘「で!!デートだなんてとんでもない!!」
佐々木「いやでも……」
橘「まったく、キョンさんってばホントにこっちの話を聞こうともしないで、振り回すんですよ」
佐々木「まだ何かあったの?」
橘「そうですよ!!ご飯食べたあとも、ゲームセンターに行って、漫画喫茶に行って、
  挙句の果てには……」
佐々木「挙句の果てには?」
橘「キョンさんの家に連れていかれました……」
佐々木「へ、へぇー……」
橘「『遅くなったから飯食ってくか?』って、キョンさんのお母様の作ったご飯をいただきました」
佐々木「…………」
橘「遠慮せずに、おかわりもしました。彼の家の家計に多少なりともダメージを与えたに違いありません。
  キョンさんも、我々組織の恐ろしさを知って……」
佐々木「……もういいよ、帰ってくれるかな」
橘「え?そ、そんな佐々木さん、怒ってるんですか?」
佐々木「別に怒ってなんかないよ……ただ、橘さんも疲れただろう?そんなに振り回されて」
橘「やっぱり佐々木さん怒ってる……私が任務に失敗したから……」
佐々木「任務って……(ただのデートじゃないか)」
橘「でも、進展はありました!!私、キョンさんに駅まで送ってもらう途中で、言うべきことは言ったんです」
佐々木「言うべきこと?」

回想

橘「キョンさん!!」
キョン「なんだよ?改まって」
橘「私と付き合ってください!!(※注:佐々木団に入ってくださいの意)」
キョン「おいおい……随分といきなりだな」
橘「いきなりでもなんでも!!それがキョンさんの運命なのです!!」
キョン「しかしなぁ……悪いが、今そういうこと考えてないんだ」
橘「そんな……ひどい……」
キョン「まあでも、ときどきこうして俺の暇つぶしに付き合ってもらうのはいいかな?」

回想終

橘「……と、いうわけで、ときどきメールするのはOKみたいです」
佐々木「橘さん……」
橘「何ですか?」
佐々木「それ、フられたんだよ」
橘「え?フられるって何ですか?って、佐々木さん、何いきなり諦めてるんですか?
  佐々木さんはまだフられてなんかいません!!むしろこれからです!!」
佐々木(ダメだこの娘……)
橘「そうです、携帯のメールアドレスを交換したこれからが勝負です。
  手始めに、さっきのWAVデータをmp3でなくて3gpに変換して、
  着うたデータとしてキョンさんに送信しました」
佐々木「さっきのデータって?」

『私は『キョン』が好きなんだ』

佐々木「あ……」
橘「惜しむべきは、佐々木さんの一人称が『私』になってるところですね。
  キョンさんの前ではいつも『僕』でしたから。
  まあでも、これはこれで佐々木さんの正直な姿が出ていて良いかと……」


何故か佐々木さんに殴られた上、『もう来ないで!!』と、言われました。
佐々木さんの心は難しいです。さすがです。

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最終更新:2007年08月12日 16:35
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