17-129「フラグ・クラッシュ・キャンセラー」

橘「藤原さんってぜんぜん未来人らしくないですよね。」
佐々木「そうだね。ただの人って感じだね。」
九曜「―――ポン―」
藤原「な。貴様ら僕が未来人である証拠を見せろというのか?」
橘「平たく言えば」
佐々木「そうだね。」
藤原「ふっふっふ。ならば見るがいい!エフシィ~シィ~!」
橘「FCC?っていうか、なんですかそのわざとらしいだみ声。」
藤原「いや、この現地時間では未来道具を出すときはこう発音するのが正式と聞いてだな。」
佐々木「FCC?面心立方格子?」
藤原「いや、そんなマニアックなボケはいらないから。ふふん、これはだな―」
九曜「FCC。フラグ・クラッシュ・キャンセラーの略。」
藤原「…そうだ。そして、その効果は―」
九曜「いかなるフラグクラッシャーでもこの道具の効果の続いている間はフラクラできない。つまり、この道具の効果がある間にフラグを立てれば、彼はあなたのもの。」
橘「すごーい!でも、なんで今までそんなものを出し惜しみして?」
藤原「いや、解説してるの僕だから。九曜さんの方向かれても。まぁ、いい。このFCCの恐るべき弱点とは―」
九曜「FCCを発動させてから効果が現れる時間が読めない。つまり、効果が現れたときに第三者がフラグを立ててしまった場合取り返しがつかない事態になる。諸刃の剣。」
藤原「・・・そうです。っていうか、九曜さんえらく活舌よくないですか?僕の気のせいですか?」
九曜「―――あなたの―気のせい―」
藤原「・・・・・・」
橘「でも、これを発動してからひたすら第三者の付け入るすきもなく彼に張り付いてフラグを立てまくれば、我々の勝利ですよ!」
佐々木「・・・よし、作戦開始。」

~そして~
キョン「で、急に呼び出してどうしたんだ、佐々木?」
佐々木「いや、少しキミに相談したいことがあってね。」
そして、それを物陰から見守る三重苦トリオ。
橘(今です。FCC発動!)
藤原(いや、道具出したの僕なのになんであんたが仕切って―)
九曜(うるさい。)
藤原(・・・)
佐々木「実は、今の高校を辞めようかと思っているのだ。」
キョン「なんだって?」
佐々木「あぁ。でも勘違いしないでくれたまえ。高校へ行かないわけではない。高校を変えようと思っているのだ。」
キョン「そうか。お前でも悩んでいるんだな。」
佐々木「あぁ、そこでキミのいる北高へ僕は行きたいと考えているのだが・・・」
橘(よしっ!フラグが立った)
キョン「でも、うちの高校はお前の学力レベルには合わないぜ?市立のほうがいいんじゃないか?」
佐々木「・・・・・・」
橘(くっ、フラクラ!)
九曜(―まだ――効果が―現れてないみたいね――ちっ、使えない道具を出しやがって)
藤原(九曜さん、今何か)
九曜(――――――――)
藤原(・・・)
佐々木「学力のほうなら心配しないでくれたまえ。また、予備校にでも行けば補える。それに、またキミの自転車の後ろに乗って一緒に予備校に通いたいんだ。」
橘(佐々木さん。めげずにまたフラグを!)
キョン「いやー、放課後は部活をしないとあいつがうるさいし、それに勉強ならあいつに見てもらって成績はあがっているからなー。俺は予備校行く必要はないな。」
佐々木「・・・そ、そうかい。(涼宮さんにあんなこと言うんじゃなかった・・・)」
橘(あー、見事なフラクラ!)
九曜(―まだ―彼のフラクラは―――キャンセルされていない――自信満々で道具出した割にはぜんぜん使えねえ。くそ未来人)
藤原(いや、だから九曜さん―)
九曜(―――――――――)
藤原(・・・)
ピロリピロリ
キョン「ん?ちょっと失礼。ん、あぁ。え、今から?マジかよ。わかったよ、うるせえな。」
佐々木「・・・・・・どうしたんだい?」
キョン「ちょっとハルヒの奴から今すぐ来いっていう呼び出しがかかってしまった。実は、あいつらと3時から会う約束してたんだ。悪いけど、俺行くわ。話ならまたでいいか?」
佐々木「は、はは・・・いや、急に会いたいなんていった僕が悪かったんだ。気にしないでくれたまえ・・・」
橘(げー!最悪の展開なのです。この状態で涼宮団に会えば、間違いなくその中の誰かがフラグを立ててしまうのです!)
九曜(このままだと――フラグを立てる確率は――涼宮ハルヒ30%、朝比奈みくる20%,長門有希20%、古泉一樹30%――)
橘(なんで古泉確率が30%も!?)
藤原(ウホッ?)
九曜(古泉――は―――今日勝負に出る模様)
橘(なんの勝負ですか・・・)
九曜(―大ピンチ―――ね―ちっ、使えないだけじゃなく、余計な手間までかけさせやがってくそ未来人が)
藤原(もう、何とでも言ってください・・・)
橘(ここで彼を行かせるわけには行きません!)
キョン「じゃあな、佐々木。俺の分の支払いはここに置いとくわ。」
佐々木「ふふ、はは・・・そうかい・・・」
キョン「悩んでるのはわかるけど、元気出せよ。」
佐々木(終わった。見事にアシストして終わった。オウンゴール・・・)
橘「待つのです!」
キョン「橘?」
佐々木「橘さん?」
橘「佐々木さんの話を聞くのです!っていうか聞いてあげてください!」
キョン「また、お前らの小細工か。悪いがお前らに協力する意思など微塵もない。退いてくれ。」
橘「退かないのです!」
九曜(橘京子はあんなにがんばっているのに。言いだしっぺはここでぼけーっと傍観者とはね)
藤原(九曜さん、なんで俺のときだけ活舌いいんですか。)
キョン「悪いが、俺は聞く耳持たん。じゃあな。」
橘「ああー、待ってください。」
キョン「ちょ、お前引っ張るな・・・」
橘「いやです。意地でもあの女の元には行かせないのです。・・・って、あ!」
キョン「うわ!」
バタッ!
佐々木「キョン、橘さん大丈夫・・・って!?」
藤原(げ、こ、これは!)
九曜(倒れる拍子にキョンが橘の上に重なって二人がキス。なんというベタな展開。しかも橘京子はファーストキス。そして、フラグクラッシュキャンセラー発・動!)
佐々木・藤原「な、なんだってー!」
キョン「いてて。おい、橘大丈夫か?って、橘?」
橘「う、うぅ。初めてだったのに・・・」
藤原(な、泣いた!?)
九曜(完璧―な――フラグ立てね)
キョン「いや、すまん。今のは事故で・・・っていうか、お前頭から血が出てるぞ!」
橘「え?あぁ、転んだ拍子に少し切っちゃったみたい・・・」
キョン「この近くに病院がある。救急車を呼ぶよりもその方が早い。行くぞ。」
橘「え、あのちょ・・・」
佐々木・藤原「げぇーーー!お姫様抱っこ!?」
九曜(フラグクラッシュキャンセラーは発動してしまった。もう誰にも止められない。)
橘「え、あの、歩けますから。その・・・」
キョン「頭を打っているんだ。動かないほうがいい。とにかく急いで病院へ行こう。」
橘「・・・はい。」
佐々木「頬を赤らめて!」
藤原「はい、だとぉおおおお!」
九曜(一度たってしまったフラグはもう誰にも折ることは出来ない!それがFCCの能力!)
佐々木「ちょっと、待ってくれ、私も―」
ガシッ
「お客様、お支払いがまだです。」
佐々木「なっ。」
藤原「お姫様抱っこしたままものすごいスピードで走り去ってしまった・・・」
九曜「もう――彼らを止めることは――誰にも出来ない」
佐々木「そ、そんな・・・」
藤原「・・・」
ガシッ
九曜「おい、何こっそり逃げようとしてやがんだ、未来人。」
藤原「いや、あの、そろそろ実家のみかん狩りを手伝いに行かなきゃ・・・」
佐々木「・・・・・・藤原。カムヒア。」
藤原「ちょっと、佐々木さん目が怖いですよ、いやちょっと、あの、やめてーーーー!」
九曜(フラグクラッシュキャンセラー。一度たった死亡フラグも二度と折られることはない・・・)

『フラグ・クラッシュ・キャンセラー』

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最終更新:2007年08月12日 21:58
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