18-706「おもらしねた」

「まだ塾の時間までには余裕があるね。ちょっと薬局に寄りたいんだが」
「構わないぜ、せっかくだし俺も行くかな」
「ありがとう。うん、ここの店だ。いつもなかなか安いんだよ」
「何を買うんだ?」
「これさ」
「生理用品? 佐々木、お前もう来てるのか」
「一般的に12歳程度で初潮が来るのが平均らしいね。僕もそのくらいだった。
 16歳でまだ来ない場合遅発月経といって病院にかかった方が良い。
 僕はもう15歳だから、同年齢なら 大抵の女子に来てるんじゃないかな」
「そういうもんなのか。うちの妹なんかとてもそんな感じじゃないけどな」
「今小学4年生だったっけ? まぁ、個人差が大きいからね」
「お前が使ってるのはそれか? CMで見たことあるな」
「特にこだわりがあるわけじゃないんだがね。最初に母が買ってくれたのが
 この商品だったので、習慣みたいなものさ」
「ふーん。ところで前から疑問だったんだが、ナプキンの生理用品のCMは
 頻繁にやってるのに、タンポンのCMはほとんど見ないのはなぜなんだ?」
「さぁ、そこまではわからないな。使用者や商品の絶対数の問題だと思うけど。
 実際、僕もタンポンはまだ使用したことが無いしね」
「なんで使わないんだ?」
「膣に自ら何か挿入するというのには抵抗があるよ。理屈より感覚の問題かな。
 でも、経血の量が多い体質の人は併用せざるをえなかったりもするらしい」
「なるほど。佐々木は多くない方なのか?」
「平均程度じゃないかな。この一袋30枚入りのナプキンを…そうだな、月に半分くらい。
 あとは夜用のを1~2枚ほど使うね」
「それを毎月か。結構お金もかかりそうだな」
「そうでもないよ。この昼用のものが大体400円だからその半分で200円。
 割高な夜用のもの数枚分を足しても250円にならないだろう。
 それに対し、男性なら……こっちにあるコンドームか。これなど一つあたり150円はする。
 三日に一回セックスを行うカップルがいたなら、月に1500円だ。
 日に二回行えば3000円、三回なら4500円。これを男性が払うなら随分な負担だと思うがね」
「ちょっと待て、コンスタントに日に二度も三度もできないと思うぞ」
「そうなのかい?」
「まぁ、若いならそのくらいできるのかもしれんが」
「そういうものなのか。僕の所有しているコミックや小説では何度もしている傾向があるのでね」
「ああいうのはフィクションだ、信用しない方がいい」
「なるほど勉強になったよ。……時に、このコンドームだが、正しく使ってもパールインデックス3、
 つまり一年間定期的にセックスをしているカップルだと約3%の確率で妊娠してしまうらしい」
「それは無視できない確率だな」
「そう。だから万全を期すなら他の避妊法と併用する必要があるのさ。
 この場合もっとも有効な避妊法は経口避妊薬、つまりピルなのだが、残念なことに日本では
 入手するために医師の診断と処方箋が必要であり、さほど普及しているとは言えない」
「薬局で手軽に買える国もあるって聞いたな」
「そして日本では年間30万件以上の人口中絶が行われている。
 その上で、シングルマザーへの保証や社会的な理解も薄い。これはゆゆしき社会問題だと思う」
「それには同感だ」
「そもそも日本でセックスや妊娠に対する関連する教育が立ち後れていることにも問題がある。
 特に、性的なことを『恥ずかしい』とする風潮は一刻も早くどうにかするべきだろう。
 避妊具を用意することが照れくさいなどと感じる中高生もいるようだね。実に愚かしい。
 社会生活を送る上で必要不可欠である避妊の為の行動に躊躇することこそ恥ずべきだな。
 先程キミは生理用品のテレビCMの話していたが、僕がまだ小学校に上がったばかりのころ、
 テレビでナプキンのCMをやっているのを見て『この人大人なのにオムツしてるの?』などと
 親に質問した記憶がある。確かその誤解は訂正されずにはぐらかされた。
 大きな過ちだ。子を持つ親は積極的に子に正しい性知識を伝えるべきだと思う」
「ナプキンのCMをオムツのCMだと思ったことは俺もあるな」
「実際、若い女性用のオムツも売ってはいるのだがね。女性の約5人に1人は尿漏れの傾向が
 あるらしい。申告できずにいる人も含むと実際にはもっと多いかな」
「そんなにいるのか」
「女性は男性よりずっと尿道が短いため、我慢がききにくいのさ」
「そういえばうちの妹もなかなかおねしょが治らなかったな。佐々木はどうなんだ?」
「括約筋を締める練習を日常的に行っていると尿漏れ対策になると聞いたので、
 随分前からトレーニングするようにしている。おかげさまで問題は無いね。
 余談だが、括約筋を鍛えておくと膣の締め付けも良くなるらしい」
「名器ってやつか」
「そうだね。惜しむらくはまだそれで男性を楽しませたことは無いことだが」
「ふむ。ナプキンではオムツの代わりにはならないのか?」
「経血と尿では量が段違いだからね。さすがに吸水しきれないと思うよ。
 だが、試してみる価値はあるかもしれない。実は現在の僕は生理の終わり頃で、
 ほとんど必要は無いんだが念のためナプキンをつけている状態なんだ」
「おい、さすがにここで溢れたら困るぞ」
「だが思いついてしまった好奇心は止められない。人々が行き交う街中、
 キョンの目の前で放尿。くっく、愉快なシチュエーションだと思わないか?」
「いや、俺にとってはあまり。見た目には特別な変化は無いし」
「何だつまらないな。それでは、実は僕はもうキミの目の前で出し終わった後だと
 妄想してみてくれないか?」
「まぁ、今度な。そろそろ塾に行かないとまずいぞ」
「もうそんな時間か。つい話し込んでしまったよ。ではレジに行ってくる」
「おう、行ってこい」

おわり

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最終更新:2007年08月25日 15:55
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