18-908「おもらしねた」

 それは俺が中学3年の頃のある日のことだ。
 いつものように登校し教室に入ると、佐々木の挨拶を受けた。
 と、佐々木の奴は左手を包帯で巻いている。
 そういえば昨日の五限目、体育で左手を痛めて早退したんだっけ。
「その通りさ。病院で診てもらったところ、しばらくは動かさない方が良いと言われたよ。
まぁ、利き手じゃなかったことが不幸中の幸いかな」
 ふむ、色々不便そうだな。困ったことがあったら遠慮無く俺に言えよ。
「気遣いに感謝するよ。……ところで、さっそくだが問題があるのだが」
 何だ? 俺にできることなら協力するぞ。
「ちょっとこっちに来てくれないか」
 まだホームルームまでは時間があるのをいいことに、佐々木は俺を校舎の隅の
人があまり来ないところまで連れ出した。一体何の話なんだ?
「これだよ」
 佐々木は懐から紙コップと、弁当についてくる醤油入れのようなものを取り出した。
 というか、検尿のセットだ。そういえば今日は検尿の提出がある。俺も今朝、家で採取して持参した。
「昨日はこの左手の怪我で早退してしまったため、帰りのホームルームで配布されるはずだった
この検尿セットを持って帰れなかったんだ。だから今日登校してから保健室で貰った。
今日中に学校で採取しなくてはならないのさ」
 なるほど。大体話はわかったが……お前、一人で検尿ができないのか?
「僕の状態を見てわからないのかい? 今現在、僕は左手が使えないのだよ」
 コップを持って入れるだけだろう。片手でもできるんじゃないか?
「それがだね。僕の女性器は閉じ気味であるため、放尿の際にしぶいてしまう傾向があるんだ。
だから片手で陰唇を開くようにして尿道を露わにし、尿の流れを調節しないと紙コップに採取するのは難しい。
すると今度は紙コップの方が持てなくなってしまう」
 なるほど、つまり俺に紙コップを持ってくれということだな。
「ご明察さ。キミが僕の女性器を開く方でもいいのだが、恐らく効率が悪いだろう」
 オーケー、他ならぬお前の頼みだからな。ところで、なぜさっきから腰を妙にそわそわさせているんだ?
「セットは持ち帰り損ねたが、検尿の提出があるということは知っていたからね。検尿する尿は
朝一番のものを使うよう書かれているだろう。なので今日は起床してからトイレに行ってないんだ」
 つまり我慢してるってことか。よし、さっさとやってしまうか。
「そうしてくれると助かる。ここのトイレを使おう。校舎の外れなので人は殆ど来ない。
男女が一緒のトイレに入ったところを見られて事情を説明する面倒を起こす確率は低い」

 俺と佐々木はトイレの個室に入り込んだ。佐々木は下着を下ろすと足から抜いてポケットにしまった。
そして、洋式便器の上に、小さな子供が用を足す時のように両脚で便座の上にしゃがみ込む体勢で座る。
「この方が採取しやすいだろう」
 そうだな。M字開脚に近い格好なため、佐々木の股の間がよく見える。
 そういえば前にも見たことがあるが、こいつは下の毛が一切生えてないんだっけ。
 やはり、うちの妹とほとんど変わらないお子様な一本筋が目の前にある。
「お子様とは失敬な。大体、僕のものは閉じ気味だと先程言っただろう。
後、キミは妹さんの性器をそんなに頻繁に見ているのかい?」
 ああ、なぜだか知らないがやたらと一緒に風呂に入りたがるからな。しかも体の洗い方がなってないし
風呂から上がった後体を拭くのも不十分だしで、俺が手伝ってやらざるを得ないことが多い。
「なるほど見ているだけでなく触ってもいるのか。まぁそれはいいとして、紙コップを寄せてくれないか」
 そうだったな。うーむ、しかし、本当につるつるだな。これって”まだ”生えてないってことなのか?
 それとも元々生えない体質なのか?
「基本的に性器周辺への発毛は第二次性徴と共に起こるものらしいから、外陰無毛症の可能性が高いね。
はっきりと病気として認められているものだよ。以前キミにからかわれて僕はいたく傷ついたんだぞ?」
 それは悪かった。
「さらに言うなら思春期を過ぎても完全に陰毛が生えない体質の女子は2%も存在し、また14%ほどの
女性が陰毛の薄さに悩んでいるらしい。女性用の付け陰毛を専門で作っている所もあるくらいだ」
 付け陰毛? そんなもの必要なのか?
「特に日本では女性の陰毛をありがたがる傾向があるからね。思い人の陰毛をお守りに入れるなどと
いった話はキミも聞いたことがあるだろう。女性器を守るものということで守護の象徴というわけだ。
これは、どちらかというと女体や子宮などを神聖視するからことの流れだと思うが。
また、陰毛が生えそろわないと一人前でないという風習もある。下の毛が無いことが破談の原因に
なった等の話もみられたようだ」
 なるほどね。
「日本ではそれだけ陰毛が重要視されてはいるが、諸外国では古代エジプトの頃から剃毛の風習が
あったらしい。下の毛を綺麗にそり落とした性器こそ美しいとされたわけだね。
陰毛には性器を保護する役割もあるようだが、手術の時に感染症を避けるため
体毛を剃ることから考えると、むしろ無い方が衛生的なのではと思うのだがね」
 まぁそこまで言われればパイパンでも変ではない気がしてきたな。
「その通りさ。ちなみにそのパイパンという俗称は麻雀から来ているわけだが、白牌は役牌じゃないか」
 いや、俺は麻雀は知らない。ところで、さっきから延々喋っているが我慢してたんじゃないのか?
「ああそうだね。前に言っただろう、括約筋を鍛えることで尿意を我慢する訓練をしてるって。
僕は尿意こそあれかなりの我慢が効く方だと思うよ。ところでこんな話を聞いたことがあるかい、
かの藤子F不二雄と藤子不二雄Aのコンビは若い頃、執筆中に尿意に襲われても
『あと1ページ描いたら便所に行く!』といった決心で原稿を仕上げていた。
そのため我慢しすぎて膀胱炎になったことがあるらしい」
 面白い話だがさしあたりどうでもいいな。ほら、そんなに時間無いんだし早く出せ。
「わかった。では……」
 佐々木は無事な方の右手を割れ目に沿えると、指で陰唇を開いた。何度も言ったとおり
回りに毛が一切生えていないため、その中身がはっきりと眼前に晒される。
 うーむ、何だか生々しいな。けど、ネットで見た無修正画像のもの等よりずっと綺麗な感じだ。
「そりゃあ未使用だしね。それに毎日きちんと洗っている。いつ使用する機会が訪れるかわからないし」
 どこからおしっこが出るんだ? ここか?
「そこは陰核だよ。男性だと排泄器官を兼ねるペニスに相当するから間違うのも無理はないが、
そこに尿道は通っていない。その少し下だ。そこ辺りにコップを構えてくれたまえ」
 OK。いいぞ、思う存分出してくれ。
「わかった。ん……」
 佐々木は目を瞑り、切なそうな声を上げて体を小さく震わせた。
 少し間を置いて、佐々木が言った尿道口からちょろちょろと黄金色の液体が流れてくる。
 紙コップの中に三分の一ほど溜まると、その流れが止まった。佐々木のおしっこは性器をつたって
下の方へ流れ、ぽたぽたと便器の中に落ちる。あれ、もう終わりか?
「ふ、ぅ……。出始めの尿は捨てて、その後のものを採取するようにと書かれていただろう。
今出した分は捨ててくれ。ん、はぁ……女性が、出し始めてから途中でいったん止めるというのは
大変なんだぞ……?」
 佐々木は頬を染めて苦しそうにしている。紙コップの中の佐々木のおしっこを捨てて、再び構えた。
「ありがとう。ふぁ……」
 安堵の溜息を漏らし、佐々木は再び放尿を始める。たぱたぱと手の中のコップに液体が溜まっていき、
温かさが指に伝わってきた。そのままじっとしていると……。
「ああっ、すまない!」
 紙コップから溢れて指にかかってしまった。佐々木の慌て声で我に返った俺は、八分目ほどになるまで
尿を流してから、紙コップを持ち替えた。朝から我慢していただけあって、かなり溜まっていたんだな。
「ごめん、開放感についぼーっとしてしまったよ。もうすぐ出し切るから待っていてくれ」
 まぁ気にするな、少ししか引っかかってない。
「だからって舐め取ることはないだろう。まぁいい、ありがとう、助かったよ」
 佐々木はトイレットペーパーで股の間を丁寧に拭くと、下着をはき直して立ち上がった。
 その後は特に問題もなく、採取用の醤油入れ紛いで佐々木の尿を吸い取り、無事提出することができた。

「助かったよ。持つべき物は友達というやつだね」
 まぁ、困ったときはお互い様だからな。
「それでも何かお礼はしたいな。僕に何かして欲しいことはあるかい?」
 ふぅむ、そうだなぁ……。
「くっくっ、あまり、僕の女性としての尊厳を壊すような要求は止してくれよ」
 何言ってるんだ、俺がそんなこと要求すると思うのか?
「思わないけどね。おっと、もう一限が始まる。その話は後にして、今日も学業に勤しもうか」

 おわり

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最終更新:2007年08月25日 16:01
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