20-904「消したい3行目 」


「キョン、いやに早かったね」
「偶然近くにいたからな」
「もしかして、君はストーカー」
「せっかく来てやったのにその言い方は無いだろう。あのメール見てすぐ来たのに。友人からDS取り返した帰りだったんだ。」
「すまん。それはそうと最初のメールの3行目、忘れてくれ。僕はノーマルなんだ、いかに好きな人でもアブノーマルなプレイはごめんなんだよ」
「ノーマルならプレイするのか?」
「いや、そういうことじゃなく。というか」
「顔が赤いぞ、佐々木」
「君のせいじゃないか」

気まずい沈黙が流れる。
(いや、ここはチャンスだ。ここで勇気を出すんだ)
「もし良かったら、僕としてはノーマルなプレイをしても良いのだが。何なら今ここででも」
「俺の方は良いぜ」
やったー、既成事実を作って僕との結婚を規定事項にするんだ。でもまだ心の準備が、ドキドキ
「ほい、俺のDSだ。対戦できるソフトはレーシングゲームだけだが、今からやるか?」
「ほや?」
「しかし、ノーマルとかアブノーマルとか、最初のメールに一体何が書いてあったんだ?」
おい、あの文章見てなかったのかよ

メールを開くキョン。
それを見た佐々木はキョンの携帯を奪い取り、メールを削除する。
「おい、急に何をするんだ。俺の携帯に」
(良かった。これで証拠隠滅。と思ったらこの体勢は。僕がキョンを押し倒す格好)
「おい、佐々木。重いぞ」
「すまん。でもずっとこうしていたいような」
何を言ってるんだ、僕はー
「何をハルヒみたいなことを言ってるんだ」
え?それって?

「涼宮さんと何があったんだ。君は僕に説明する義務がある。僕にわかるように説明してくれないか。もしかして(禁則事項)したのかね、高校生の身分で」
「(禁則事項)って俺とハルヒの関係はそんなものじゃないぞ」

キョンがハルヒとのことを説明し、佐々木の誤解を解くのに2時間近くかかった。
(君って奴は、どこまでフラクラなんだ。そのおかげで僕も助かったかもしれないが。)
「罰として君のDSとソフトは僕が預かっておく、今度の土曜日映画をおごってくれたら返してあげよう」
「おい、そんな理不尽な。それじゃまるでハルヒじゃないか」
「今日はもう帰ってくれ。そんな雰囲気じゃないんだ」
愛を語る雰囲気じゃないな。全く君って奴は。僕の気も知らずにハルヒ、ハルヒと。しまいには怒るよ。
そうだ、土曜日はソフトだけ返そう。そして本体をネタにもう一度デートだ。
「というわけで、DSを佐々木に取られたので土曜日奴に奢らなければならなくなったんだ。」
「ふーん、それで?」ビキビキ、ビキビキ、ビキビキ
「SOS団の活動に参加できなくてすまん」
「あ、そう。で本当のところ何があったの?言っとくけどSOS団は恋愛禁止なのよ」
「初耳だな、おい」
「それとも、土曜日に何かするの?健全な高校生ならする(禁則事項)とか」
「俺と佐々木とは何も、それに高校生に(禁則事項)は早すぎるだろ。」
「正直に本当のことを話しなさいよ」
まずい、噴火5秒前だ。ここは36計逃げるにしかず。

俺は脱兎の如く逃げ出した。
「待ちなさいよ。エロキョン」
待つか、馬鹿

俺は教室から廊下、そして校舎の外に出た。中庭では谷口が女の子に振られていた。
「谷口、キョンをつかまえなさい」
「え?何だ涼宮?」
俺は谷口の横をすり抜けた。体育館裏では古泉が女の子に告白されていた。
「古泉くん、キョンをつかまえなさい」
「すみませんねー」
「放せ古泉」
「でかした古泉君」
古泉を振りほどくのに体力を使った俺は、プール横でハルヒにつかまった。

マウントポジションで俺にのしかかるハルヒ、世界中の全ての人に恐怖を与えるような満面の笑みで
「さーて、どうしてくれようかしら。この変態スケコマシを」
何ですかその変態スケコマシというのは
「正直に言ったら何もしないわよ。それどころか、お姉さんが良い事してあげるかも」
「正直にって、俺は隠し事も無いし、嘘も言ってないぞ。」
「まだしらばっくれるの。正直に言って泣いて謝ったら、許してあげようと思ったけど。キョン、死になさい。」
いやだ、死ぬのは嫌だ

「ヒューヒュー、熱いねお二人さん。幸せそうな夫婦ですねー、妬けてくるねー」
谷口、見てたのか。どこが夫婦だ、どこが幸せだ、お前の目は節穴か

それで気をそがれたのか、ハルヒはマウントポジションを解いた。ふー助かった。
「あんたさっきエロい事考えてたでしょ」
「いや全然」
「こんな美人に押し倒されて何も感じないの?やっぱり佐々木さんと(禁則事項)しまくってるのね。」
「それは違うが」
(私の気も知らないで、佐々木、佐々木と、しまいにはキレるわよ)


土曜日
「ということが昨日あったんだよ。いやー、まいった。殺されるかと思った。」
「ほーそうかい」ビキビキ
親友の顔が昨日のハルヒのように。俺何かしたっけ?そういえばあの日の朝倉もそんな目をしてたっけ?死にたくないよー
(お姉さんが良い事してあげるって、涼宮さん。(禁則事項)でもするつもりだったのか?)

「キョン、何よ、佐々木さんとあんなに楽しそうに、もしかして映画の後(禁則事項)を」
「二人が何言ってるかここからじゃ聞こえませんね」

「キョーン。私たちにも映画奢りなさい」

その日は、佐々木とSOS団の3人女、古泉に映画を奢った。俺の財布は軽くなる一方だ。
それはまだ良いが、女達が全員、俺を今にもナイフで刺しそうな雰囲気だったので、正直映画どころじゃなかったな。
(終わり)

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最終更新:2007年09月08日 10:42
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