22-255「佐々木さん、はじめての歯医者さんの巻」

佐々木さん、はじめての歯医者さんの巻

中学3年のとある季節。
キョン「どうした佐々木、頬を押さえてしかめ面なんぞして」
佐々木「もうちょっと言いようはないものかねキョン。
     友人が歯痛に悩んでいるというのに、冷たいヤツだね君も」
キョン「歯痛? 虫歯か。今日は塾が夕方からだし、帰りに歯医者によってからいくか」
佐々木「む。い、いやそこまでしなくても。昔から歯痛には正露丸をつめて治すというし……」
キョン「なにばあちゃんみたいなこと言ってるんだ。それとも、歯医者が怖いとでも言うんじゃあるまいな」
佐々木「な、何を言うんだね。僕とて幼稚園の時分に歯医者くらい行ったことがあるよ」
キョン「つまりそれ以降行ってないってことじゃないか。ま、歯が健康なのはいいこった」
佐々木「それも過去形になってしまったようだがね。……あ痛」
キョン「痛むんなら早く行った方がいいぞ。ウチの妹がよくかかってる歯医者紹介してやるから」
佐々木「そ、そうだね。遺憾ながら君の進言に従った方が良いようだ」

歯医者にて
子供A「うわあああああああん」
佐々木「き、キョン。ここは本当に歯医者なのかい。事故直後のERか、戦争中の拷問室の間違いではないかね」
キョン「佐々木、そんなに思いっきりしがみつくなよ。大丈夫だって」
佐々木「つねづね思っていたのだが、日本の歯科医の痛みに関する意識はナンセンスだ。
     欧米では簡単な治療にも、笑気ガスを用いて患者に痛みを与えないようしているんだよ。
     患者の苦痛を軽視する日本の歯科医療について、僕は断然抗議するよ」
キョン「いやそこまでせんでいいから。あと日本人は麻酔の耐性が欧米人より低いらしいから、
     麻酔の多用は事故の確率を上げるらしいぞ。恨むなら、コーカソイドに産まれなかった己を恨め」
受付「はい、佐々木さん、診察室にお入りください」
キョン「今連れてきます」
佐々木「くっ、こういう時だけ妙に博識になるなんて。君は何と酷い男なんだ。
     あ、待って。まだ心の準備が。き、キョン、腕引っ張らないで」
キョン「往生際の悪いヤツめ。ほれ、ついてってやるから諦めろ」
佐々木「うう、なんてずるい男なんだ、君は」
歯医者「えーと、付き添いかね、キョン君。妹さんの時みたいだね」
キョン「はは、すみません。脇で邪魔しないようにしてますんで」
佐々木「き、キョン。すまないが手を握っていてくれないか……」

翌日の昼休み
キョン「おい佐々木、いいかげんそんなに恨めしそうな目で見るのやめてくれ」
佐々木「君があれほど鬼畜だとは想像の埒外だった。
     何度も痛いと言ったのに、止めようともしてくれないなんて。
     レイプという言葉の意味を、あれほど痛感できたことはないよ」
キョン「勘弁してくれよ。ずっとひきずってるより、ズバっとえぐっちまった方が絶対ラクだって。
     だいたい、みろよこの痕。お前が思いっきり握り締めるもんだから、アザになっちまったぞ」
佐々木「う……。す、すまないと思ってはいるよ。でも、君にはあの痛みはわからないんだ」
キョン「まあ、終わっちまえばなんということもないだろ」
佐々木「そうでもない。まだズキズキして、異物が挟まってる気分だよ」
キョン「そのうち慣れるって」

国木田「…………」
中河「…………」
その他女性徒1「……佐々木さん、私たちより先に大人の階段を登ったのね」
その他女性徒2「……キョンのどこがいいかよくわかんないけど。とうとう念願成就したんだね」
その他女性徒3「……それにしても大胆よね」

高校入学後、友人K氏は再び語る
KKD「ええ、二人は付き合ってました。っていうかあれを付き合ってないと主張するキョンが理解できません」
キョン「……何故だ」
                                 特にオチもなくおしまい

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最終更新:2007年10月04日 14:47
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