14-63「鈍感な佐々木さん」

鈍感な佐々木さん。

「キョン、ちょっと話があるんだが」
「なんだ、佐々木。改まって校舎の裏に呼び出したりして」
「うん、その事なんだけどね、キョン。僕は、君の自転車の荷台にのせてもらって塾に向かっている。その間、いわゆる
二人乗りをしているわけだが、あれは、法律的にはあまりよろしくないことだ。いや、正確には法令、かな?」
「ああ……それはそうだが、人通りの多いところや車がきそうなところではやめてるだろ? お目溢ししてもらえる範囲
だと思うがな。まあ、お前がバスでいくというなら……」
「いや、バスはやはり時間がかかるし、昨今の不穏な情勢を鑑みると一人歩きよりは、二人の方が望ましい。なにより、
君と話しているのは実に楽しいからね」
「ふむ。それは光栄だが、なにが言いたいんだ?」
「うん、実は、いろいろ調べてみたんだ。で、これが答えさ」
 ばーん、とあるものを出してくる佐々木さん。
「……二人乗り自転車?」
「三輪タンデム自転車だね。二輪だと長野県を除いて、たとえ乗車機構……この場合はシートということだが、それが二つ
以上あっても、二人乗りは正確には条例違反になるんだそうだ。三輪の場合、二輪自転車とは区別されるので、条例違反
にならないという理屈さ。四輪軽車輛でももちろん言い訳だが、たまたま僕の伯父が三輪のこれを所有していてね」
「あ、ああ、そうか……」
「そういうわけで、今日からは、このタンデム自転車を使おう! 前々から、僕だけ楽をしていることにも、ちょっと気が
咎めていたんだ。それに、これなら、前後で話をしながら漕げるしね。一石二鳥じゃないか!」
「あ、ああ……そうだな、うん……」
「……キョン? なんで、そんな残念そうな顔をしているんだい」

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最終更新:2007年07月19日 21:40
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