22-891「妹は意外と黒いかも?」

ある晴れた日曜日、俺は妹と駅前のデパートで母から頼まれた晩ご飯のおかずを買い物していた。
食品売場を回って買い物が終わり、妹が明日誕生日なので二階の玩具売場でせがまれていた
熊のぬいぐるみを買おうとしていたら、背後から
「やあ、何をしているんだいキョン。それと義妹さんも一緒なんだね」
佐々木が声を掛けてきたのだ。
「おーす佐々木、実はな明日妹の誕生日なんだよ。それでプレゼントを買おうとしていた所さ」
すると妹はニコニコしながら佐々木に挨拶をする。
「こんにちは!佐々木のお姉ちゃん。あれ?彼女さんだったかなぁ?」
思わず口からさっき試食で食べたハンバーグを吐き出しそうになった。
「違う、佐々木は友達だ。勝手に彼女と言ったら失礼だろう」
急に佐々木の顔が曇ったような気がした。まあ親友と言ったほうが良かったかな?
「ええーっ違うの?でもあたしこんなお姉ちゃんが欲しいな」
佐々木の顔が曇りのち晴れた感じがするのは気のせいだろう。おい、妹よ…お前は一体何を考えている。
「そうだ!義妹さん。僕も何か買ってやろう。遠慮はいらないからね」
「わーい!お姉ちゃんありがとう!」
お前まで買う必要ないぞ。まあ別に俺の財布が軽くなる訳では無いからな。
「よかったな、しかし佐々木本当に良いのか?」
「え、あ、うん…それはね。将来の先行投資と思えば安い物だよキョン。彼女に少しでも差を着けたいからね」
相変わらず訳が解らん事を言う奴だな。お前は…妹の感心をかっても何にもならないと思うが…
佐々木は熊のぬいぐるみを手に取りレジへ向かう。だが事態はここでおかしくなっていく
「ちょっとキョン!佐々木さんと何してんのよ!」
いつの間にか、休日に一番会いたくない我が団長涼宮ハルヒが、目の前に現れた。
「あ~っハルにゃーん!」
喜ぶ妹、冷や汗流す佐々木。ん?何故佐々木が冷や汗流している?
「やあ、涼宮さん。お久しぶり元気そうでなによりだね」
ハルヒは笑顔になったが目だけは笑っていない。しかし何でだろうね
「あら、お久しぶりね。佐々木さん…で?キョンまさか団員にあるまじき行為している訳じゃないわよね?」
「おいおい、俺はただ妹と買い物してだなあ、そこに佐々木に偶然会って…」
「言い訳無用!あんたは一生不思議探索時奢り決定だからね!」
こいつ、俺の話を聞いてねー!そればかりか
ハルヒはまるで夫の浮気現場を現行犯で捕まえた妻のオーラを漂わせていた。
妹が俺とハルヒの間に入り現状を説明をする。
「あのね!お姉ちゃんがあたしにプレゼントくれたの!でね、く~まさん、く~まさ~んのぬいぐるみなんだよ!」
いつものキテレツな歌を唄いながらくるくる踊っている。
本当に来年中学生になるのか?お兄さんは本気で心配です。
「プレゼントねえ…ふーん」
ハルヒは顎に手を添えて考えている。何を悩んでいる?考える事なのか
「あたし、プレゼントをくれたお姉ちゃんがすきー!」
そう言うと佐々木に抱きつく。すると、ハルヒの顔が引きつり対照的に佐々木の顔がにやけている。
しかし!ハルヒの行動はとてつもなく素早かった。佐々木が手に持っていた
熊のぬいぐるみを奪うと会計をしようとしたのである。
「ちょっと涼宮さん!ひどいじゃないか!僕が義妹さんに買ってあげるんだから、返してくれないか」
「いやよ!あたしがプレゼントするから、佐々木さんしなくてもいいよ!」
二人は奪い合いを始めた。あいつらの考えはよく解らんぜ…

「ねえ…キョンくん一つの物を争うなんて醜いよね。あんな女はタイプ?」
「俺は出来るならご遠慮したいタイプだな」
そう言ったら妹はにっこり微笑み俺と手を繋いだ。
「あたしもうお家に帰りたいよ。そんでねえ…」
「おい、帰っても良いがプレゼントはどうする?」
「んとねぇ、今日一緒に寝てくれたらそれでいいよ」
やれやれ、それなら、そうと言えよ。お金もかからないからな
「その位ならOKだ。じゃあ帰るとしますか」
今だに口論している二人を背に俺達は家に向かって帰りだした。
「うん!またね~ハルにゃんとお姉ちゃん」
だが二人は全く気が付く気配はない。いつまで居る気だよ。
こうしてこの話は終わったのである

因みにあの二人はぬいぐるみを閉店まで争っていたそうだ。

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最終更新:2007年10月13日 02:05
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