26-136「偽装問題」


「ねぇ、キョン。
 最近続々と発覚している偽装問題だけど、君は何か思う事があるかい?」
「いきなり唐突な質問だな。佐々木よ」
「何でもいいから話をしてくれないか。退屈なんだ、僕は」
「確かめて判るような事ならいいのだが・・・」
「シュレーディンガーの猫・・・量子力学の話をしたいのかい。くっくっく」
「そんな話じゃないぞ。確かめても判らないような偽装は消費者にとって困ると思わないか」
「違うのか。まぁ、君の言う事も判るよ」
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「この夏に親戚からお中元を貰ったんだ。それが噂の某料亭のブランド物でな。
 次に叔父にあった時どう言おうかウチの親が困ってるんだ」
「それは確かに気まずいね」
「俺はネタとして笑い飛ばせばいいと言ったんだが、
 ウチの親はこれだから関西人はと言われるのが嫌みたいんだよ」
「そう云う見方もあるのか。確かにステレオタイプで判断されるのは僕も好まない所だね。
 どうやら君の御両親とは気が合いそうだよ」
「そうか?」
「そうだよ」
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「ところで君が言っている偽装問題の話だが、これはコンプライアンスの話だよね」
「いきなり何の話だ?天ぷらは俺の好物だぞ」
「違うよ!"倫理"って意味だ」
「すまない、日本語で頼む」
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「目の前の人物が何かを偽装している可能性を君は考えた事はあるかね」
「お前は間違っても嘘をつくような人間じゃないな。俺が保証してやるよ」
「そう言ってくれると思ったけど、実際に言われると実に嬉しいね。
 でも嘘を付くつもりはなくても、何らかの事情で隠し事がある可能性ならどうだろう?」
「何かあるのか?俺は言いたくない事まで詮索するような野暮な男じゃないつもりだが・・・・」
「仮に僕は"男だ"としたらどうだろう」
「冗談だろ?お前をどこから見ても女にしか見えないぞ」
「僕は君に確認をとらせるような事をした憶えはないね」
 ・
「僕が君に確認をとるチャンスを与えると言ったらどうするつもりだい?
 あくまで確認だけでそれ以上でもそれ以下でも無い。あくまで確認だけだ」
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「・・・・ゴクリ」
 

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最終更新:2007年12月23日 12:02
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