26-440「ハルヒじゃなくて佐々木の消失」

12/18の朝、目覚めると、情報連結解除されたはずの朝倉がクラスにいて、長門と朝比奈さんが一般人だった。
ちなみに、同じアパートにいる長門と朝倉は、一緒に夕食をとる仲だ。昨日俺は長門のアパートでご馳走になった。
そして、ハルヒは北高でなく、進学校に改変された光陽学園にいた。
俺はハルヒに会うために走り出した。


ようやく着いた光陽学園。
下校時、俺と中学が一緒の奴が、俺を見てクスクス笑うのが判った。何だよお前ら。


ハルヒを見掛けたので声をかけようとすると。
「やあ、キョン。久しぶり。君が僕を出待ちしてくれるとは思わなかったよ」
佐々木?そう言えば高校入学以来、佐々木に会っていない。
「よう、久しぶりだな佐々木。お前ってこの高校だっけ?」
「おいおい、親友の経歴を忘れるか?」
「すまん、冗談だ」
良かった。佐々木は中学時代と変わっていないな。
肉体的にはすっかり女らしくなったようだが。
「佐々木さんの彼氏のキョンさんですね?佐々木さんからよく聞いてます。
私は佐々木さんの友人で橘と言うのです」
「僕は藤原だ」
佐々木の側にいた男女が言う。
いつの間にかハルヒはいなくなっていた。

俺達四人はしばらく、俺達の中学時代などの、とりとめのない世間話をした。
そして、しばらくためらった後、高校入学以来の不思議体験を話した。世界が改変されたことも。
枝葉の部分は省略したが、それでも説明に1時間はかかった。
「だいたい判った。
つまり、向こうの世界では、涼宮さんが神と言えるほどの特殊能力者で、宇宙人とか未来人もいる。
属性や学校が変わってしる人もいるけれど、性格はほぼ同じ。
そして、向こうでは、君は涼宮さんと恋人どうしで、今の世界では朝倉さんと長門さんとかいう女の子に二股かけているんだ」
そう言った佐々木は、注文したジュースを1/3まで飲んだ。
その時の佐々木の顔は今まで見たことのない悲しそうなものだった。
「ちょっと待て。後半は全然違うぞ」
「どっちにしろ僕はフラれるということか。
僕に力があれば、君と二人だけの世界を作りたいよ」
何故か佐々木の言葉が本当に実現しそうな気がした。
「キョンさん酷いです。佐々木さんみたいな美人な彼女をほっぽって他の女の子に手を出すなんて」

「おい、物騒なことを言うなよ」
「とにかく、その文芸部の部室に行きましょう。何かわかるかもしれません」
「おい、お前らじゃなくて涼宮ハルヒがいないと何も起こらないぞ」
「私達でも何とか出来る。そんな気がします。私には判ります」
「何故か僕もそんな気がするよ。くつくつ」
「どうせ、あの涼宮を今から説得できないだろ。普通」


文芸部の活動の一環ということで、他高生の佐々木達も怪しまれずに入ることができた。
部室に入ったら長門と、何故か朝倉がいた。
「わたしも、文芸部入ろうかなーって」


突然、パソコンが起動して
『鍵である宇宙人、未来人、超能力者、神的能力が揃う。脱出プログラムを作動しますか?』

帰還バージョンと残留バージョンに分岐
 
――帰還バージョン
俺は迷った末に脱出プログラムを起動した。やっぱり不思議に溢れた元の世界の方が良い。
 ・
 ・
 ・
目が覚めたら病院にいた。
「あんた、起きたか。3日も寝ていたぞ」
「藤原か」
藤原の代われに巨乳の未来人がいたような気がするのは、ただの気のせいだな。
「お前だけか?」
「あんた、幸せ者だぞ。彼女の佐々木が泊まり込みでつきっきりでいるんだから」

「ムニャムニャ。だめだよキョン。そこは女の子の敏感な所で、優しくしてくれないと」
しかし、なんちゅー寝言言っているんだ。
「は?キョン」
「おはよう、佐々木。心配かけてすまなかったな」
「起きたのか。夢じゃないだろうな」
「さあ、どうだかな」
「良かった。目が覚めて。ずっと眠ったままかもしれないと思った」
佐々木の頬は涙で濡れていた。

その後、朝倉、長門、橘達も俺の復活を泣いて喜んでくれた。


長門と朝倉、橘、藤原に、その特異な属性と佐々木と涼宮ハルヒについてのことを告白されたのは、また後の話。
 
――残留バージョン
皆、口々に言う。
「何これ?」
脱出プログラムを作動させようと思った時。
「もしかして、これで君は帰るのか?僕は君を帰したくない」
「わたしもよ」
「・・あなたの居場所はここ」
3人の美少女に頼まれて、帰ることなどできようか。
 ・
 ・
 ・
「キョン、キョンってば」
「キョンくん。起きないと悪戯しちゃうぞ」
後ろと隣りから起こされた。
隣りにいるのは佐々木で、後ろは、朝倉?
「おい、佐々木何でここにいる」
「今日から転入してきたのを、もう忘れたかな?ほっとくと、君が朝倉さんか長門さんと付き合いそうだからねー、くつくつ」
「キョンくん酷いのよ。昨日まで『何で朝倉がここにいるんだ』って言ってたのよ」
「キョン、放課後は文芸部部室に集合だ」
「ああ」
今までのは、全て夢なのか?

俺達は、文芸部を根城にして、時には橘や藤原を交えて遊んだ。
数日後
「キョンくん、今日こそはっきり決めてもらいましょう」
「もちろん、僕を選ぶだろうな?」
「・・ここより喫茶店の方が良い」
もしかして、これは、俗に言う修羅場ですか?皆さん怖いです。目がいってます。

俺は佐々木と朝倉に両腕を捕まれ、長門に後ろを押されて連行された。
途中で古泉を伴ったハルヒとすれ違う。
ハルヒは俺の前で立ち止まり。すごい形相だ。確か朝比奈さんや長門と仲良くした時の、、、
「このスケコマシ」
ゴフ 良いパンチが入った。

「ちょっと、何するのよ」
「涼宮さん、僕のキョンに何てことをするんだよ」

スタスタと歩くハルヒ、古泉が追いかける。
「涼宮さん。さっきのはどういう?」
「スッとしたわ。ああいう女の敵はバーンとやっちゃわないと。同じ女として天誅食らわせてやったわ」
「はあ、そうですか。僕はてっきり彼のことが好きじゃないかと、、」
「あんなスケコマシを、あたしが好きになるわけないじゃない。3人も引き連れて、3人もよ」
「はあ、そうですか」
「あたしは、古泉君を好きで良かった。
この前見た夢のように、さっきの女の子達みたいに3人の内の一人だったら、人生灰色だった。
古泉君は浮気なんかしないよね?」
「僕は涼宮さん一筋です」
「でも、男は浮気できるくらいでないと、って嘘嘘。浮気なんかしない方が良いわ」
「やっと笑ってくれましたね、涼宮さん。笑うとさらに美人ですよ」
「あたしね。悟ったわ。100%の幸せなんて無いって。で、古泉君以上の男なんて滅多にいないって。
ごめん、古泉君が100%じゃないってことで」
「気にしてませんよ。誰も100%の異性なんて巡り合えないですから」
「古泉君、腕組んで良いかな?」
「こちらこそ」
「ごめんね。古泉君」
(夢の中で好きだったのが古泉君でなくてごめん。
それから、夢でも現実でも、あいつはスケコマシなんだな。好きにならなくて良かった)
ハルヒは古泉と腕を組み、らきすたのキャラソン、ナイナイ100%を歌いながら帰って行った。

さて、俺だが
「キョンくん、そういえば、涼宮さんがどうとか言っていたわね」
「もしかして、涼宮さんと寝たのか、寝たのだろう」
「・・不潔」

「誤解だー」という俺の言葉が街に木霊した。
(終わり)

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最終更新:2007年12月20日 08:37
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