26-742「ササキョン(仮)」

「おやおや、こんな時間にクリスマスのお誘いかい?僕が思うに
少々遅すぎる誘いだと思うのだけれども」
「仕方がないだろ、外せない用事があったんだ」
「それは他の女性とのデートかな?なるほど、確かに君は
もてるからね。誘いの手は数多だろう。まして君の性格だ、
そういう誘いを断れないだろうことは想像に難くないね。とはいえ」
「違う、そういうのじゃない。バイトだ」
「・・・ということは、僕は君にとってバイトよりも優先度が
低い存在ということかな?詳しい説明を求めたいのだがね」
「・・・すまん、こいつを買うために金が足りなかった」
「これは・・・なるほど、そういうわけか。そういうことなら事前に
話せなかったというのも少しは納得できるよ」
「やっぱり怒ってるか?」
「もちろんだよ、少なくとも世間ではクリスマスイブという日は
特別なものとして捕らえられているんだよ。そういう日に一人で過ごす
というのはいくら僕でも寂しいと思ってしまうものさ。
たとえそれが僕へのクリスマスプレゼントを買うためだったとしてもね」
「悪かったと思ってる。だから今こうして誘ってるんだが」
「くっくっく、君は本当に面白いね。しかしこんなお昼にクリスマスか。
僕としてはやっぱりクリスマスイブに君と一緒に居たかったんだが。
知ってるかい?クリスマスイブのイブは、イブニングのことなんだ。
昔のユダヤの暦では日暮れから次の日暮れまでが1日だったため、
特に24日の日暮れから深夜にかけてをクリスマスイブと呼ぶんだよ。
そう考えると、クリスマスというのは25日の日暮れまでなのさ。
そうとなると、僕らは日暮れまでしか一緒に居れない事に
なるのだけれど」
「年に1度のことなんだ、25日の夜をロスタイムに入れたって神様だって
許してくれるだろ」
「くっくっく、きっとそうだね・・・ねえ?」
「なんだ?」
「メリークリスマス」
「・・・ああ、メリークリスマス」

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最終更新:2007年12月29日 00:53
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