日本社会臨床学会第14回総会のご案内


日本社会臨床学会会長  三輪寿二
第14回総会実行委員長 加藤彰彦



暮らしの思想、生きる思想
—沖縄の島で暮らしを考える—


日本社会臨床学会第14回総会実行委員長
加藤彰彦(沖縄大学)


いよいよ5月20、21日の両日、第14回の日本社会臨床学会が沖縄の那覇市にある沖縄大学で開催されることになりました。
14年前の学会の発会式に、僕が感じていたのは、やっと「暮らし」に密着した、当事者のための学会ができるなぁということでした。人と人とが関わる「臨床」という行為を暮らしのレベルから検証し、実感的にも納得できるものをつくり出していく。
その興奮が今でも鮮明に残っています。
その第2回の総会を横浜市で開催したこともついこの間のことのように思い出します。
横浜市立大学に赴任したばかりでしたが、学生や市民の方々と一年余りの準備を重ねての集会でした。いくつもの分科会が開かれ、『他者への眼ざし』(社会評論社)という報告集もまとまりました。
あの時、ぼくは50才でしたが、今年は64才になりました。年月の早さを感じます。
あれから10数年が経過し、今回の総会準備はまだまだ充分にできていません。沖縄が40を越える島からできており、その広さは本州と同じ位あるということもあって、仲々集まりや連絡もとれずにいます。
したがって今回の集会では、そこに参加した方々と、総会終了後に、沖縄における子どもや社会福祉、教育や心理の課題などを考える集まりをつくっていきたいと考えています。
そのきっかけになったらうれしいと思っています。
沖縄は長い間、ヤマトやアメリカによる支配の中で、巨大な軍事基地と大型公共事業によって風土も暮らしも、人々の心も破壊されてきました。しかし、その中でも脈々と地下水のように生き続けてきた福神風土は存在しています。そうした沖縄独自の暮らしに根ざした関係をいかに再構築するか、それが沖縄にとって大きな課題だとぼくは思っています。
会場となる沖縄大学は「地域に根ざし、地域に学び、地域と共に生きる、開かれた大学」をモットーに、学生、地域市民と共に築きあげられてきた大学です。
新崎盛暉、宇井純、桜井国俊といった教員に象徴されるように沖縄の歴史と共に歩んできた大学です。
この大学で2日間、全国の皆さんと沖縄の方々が出会い、語り合えるというのは夢のようです。暮らしの主人公である住民、当事者が自らの感性と言葉で交流する集いにぜひしたいと思っています。
沖縄の伝統芸能であるサンシンや歌なども織り込みながら、共に語りあい考えあいたいものです。
社会臨床という言葉の底を流れているのは「暮らしの思想」だとぼくは考えています。
生きること、生きぬくことは私たちの仕事でもあると思います。
どうか南の快い風に吹かれて、思いきリフレッシュし、あすからのエネルギーを紡ぎ出していただきたいと思います。懐かしい皆さん、はじめてお会いする方との再会、出会いを楽しみにしています。では南の島で、皆さんのおいでをお待ちしております。

(日本社会臨床学会は、現代を生きる人間の悩みや想い、その背後にある社会の矛盾や問題を、それぞれの暮らしの場の現実の中から探り出し、語り合う場です。
今回、沖縄大学を会場に総会を開催します。会員、非会員を問わず、どなたでも参加できます。)


日程
2006年5月20日(土)、21日(日)
場所
沖縄大学3号館(101教室)
〒902—8521 沖縄県那覇市国場555
電話098-832-2902(沖縄大学学生部長室・加藤彰彦)
交通:
●バス(那覇市市内線)県庁前から那覇交通1番・3番・5番で真和志小学校前下車、南へ徒歩7分。県庁付近へはモノレール県庁前駅(那覇空港から約13分)から。
●バス(市外線)那覇バスターミナルより沖縄バス35番(志多伯線)・100番(白川線)・40番/109番(大里線)のいずれかで沖縄大学前下車。那覇バスターミナルはモノレール旭橋駅(那覇空港から約11分)に隣接しています。
●タクシー 那覇空港より20〜30分。
総会参加費
2日間参加の場合2000円、20日または21日のいずれか1日のみ参加の場合1000円
交流会参加費
4000円
交流会会場
自治会館(沖縄県市町村職員共済組合宿泊部)
〒900-0029 沖縄県那覇市旭町14番地 電話098-862-8181
交通:
モノレール壷川駅(那覇空港から約9分)下車、徒歩5分。
モノレール旭橋駅(那覇空港から約11分)下車、徒歩5分。


■■■総会プログラム■■■


【5月20日(土)】

11:00〜12:00
定期総会(運営委員会中間総括案、会計報告など)
13:00〜17:00
シンポジウムI いま、沖縄の子どもたちは… 〜子どもたちの置かれている状況と、その課題〜
発題
浅野誠(浅野にんげん塾主宰)
石川キヨ子(みどり保育園園長)
砂川恵正(沖縄県中央児童相談所所長)
坂本清治(久高島留学センター代表)
司会
加藤彰彦、小沢牧子(学会運営委員)
18:30〜21:00
交流会(自治会館) 参加費:4,000円

【5月21日(日)】

10:00〜12:00
記念講演 「臨床心理学」にからみ、あらがって四十年、そして今…
講演 篠原睦治(和光大学)
13:00〜16:00
シンポジウムⅡ 進行する「福祉」の改編を問う 〜社会福祉基礎構造改革の検証〜
発題
伊藤周平(鹿児島大学法科大学院)
島村聡(那覇市役所)
次田健作(大谷女子大学)
司会
戸恒香苗、三輪寿二(学会運営委員)


問い合わせ
学会事務局
fax:029-228-8314
mail:shakai_rinsho@yahoo.co.jp
総会実行委員長 加藤彰彦
tel & fax:098-854-2070
最終更新:2006年05月04日 23:11