詩歌藩国 @ wiki

対策SS:雪かきとダメージ効率を考えた配置

最終更新:

suzuhuji

- view
メンバー限定 登録/ログイン


「――――――というわけで鈴藤さん、国中の雪かきお願いしますね」
「いやいやいや、このSS始まったばっかッスよ藩王。状況説明もなんもなかったッス」

ここは詩歌藩国 政庁のとある一室。
さして広くもないその部屋で、身分に開きのありそうな二人の男がコントのような会話を繰り広げていた。

机に肘をつき、さながら某ネルフ長官のように手を組んでいるほうの名は九音・詩歌。詩歌藩国の藩王である。
「メタなことを言うねぇキミも。まぁいい、難民受け入れの話は聞いているね?」
「まぁ、一応は」
藩王相手にタメ口をきくこの男、名を鈴藤 瑞樹という。
べつに摂政でも執政でもない普通の詩歌藩国民であったが、この国も他の例にもれず藩王の地位がやたらと低い。

tera領域ではよくある風景、そのひとつであった。

「うむ。難民がもといた国は共和国、雪の少ない土地柄だ。慣れない雪上での行動を極力避けることができるよう、我が国は最大限の努力をせねばならない」
「で、俺一人で雪かきッスか」
「あぁ、そうだ。最大限の努力だ」
「重機とかないんスか。せめて人数増やすとか」
「最大限の努力だ」
「おい、ちょっとまてコラ藩王」
「国庫からマイル出すよ?」
「御下命、つつしんで勤めさせていただきます」

へへーと平伏した鈴藤を見て詩歌藩王は満足そうにうなずくと、そのへんのホームセンターで一本500わんわんくらいで売ってそうなスコップを差し出した。

/*/

「寒い……」

それもそのはず時刻は早朝。太陽がようやく顔を出し始めた頃である。
ちらほらと雪が舞う中では、寝巻き代わりのジャージなんぞを身に着けていてもその寒さは防ぎきれるはずがなかった。



「だが、この程度の寒さで今の俺は止められないっ!」

きしゃーんとSEが聞こえそうな感じで瞳を光らせ、スコップ(税込み500わんわん)をゆらりとかまえる。
剣でもないのに一夜城ができそうな雰囲気すら漂わせていた。

「今の俺はマイルに飢えたオオカミ、いわばマイルオオカミ(絶滅危惧種)! マイルのためならなんでもできるッ!!」

若干矛盾したことを叫びながら自己暗示をかける。
だんだんと目が@@しはじめ、正気を失ってきたように見えてきた。
そのまま一気に加速して道路の真ん中へと突っ込んでいく。
そして道に降りつもった雪をかたっぱしから片していった。

かくして、たったひとりの孤独な(そしてアホな)戦いが始まった。


/*/

1時間後――――――

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!! まだまだーーー!!!」

/*/

10時間後――――――

「ま、まだまだー……!!(ぜいぜい)」

/*/

100時間後――――――

ゴキン!!
「…………ゴフッ」
ピーポーパーポー

/*/


病名は急性腰痛症。いわゆるぎっくり腰だった。
街外れにある診療所で、ベットのひとつを占領していた鈴藤は腕を組みつつ首をかしげていた。

「おかしい、なんで倒れたんだ俺は……?」

あきらかにオーバーワークが原因だったが、鈴藤(バカ)にはけっしてたどりつくことのできない正解だった。

「やぁ、元気そうでなによりだね」

ちょっと岩崎っぽいセリフとともに診療所へとやってきたのはもちろん詩歌藩王だった。

「いやーこれくらいお安い御用ッスよあっはっはー」

そう言った鈴藤の瞳には「マイル」の三文字が燦然と輝いていた。
欲望に忠実なのがこの男の特徴のひとつである。

「うん、そう言ってくれるととても助かるよ。ところで今日はおみやげがあるんだ」

そう言って取り出したのは二通の封筒だった。
ひとつは藩国マイル使用時の申請書類だったが、もうひとつは―――――

「組織アイドレス素案?」

それは以前より検討が重ねられていた藩国組織アイドレスの案件報告書であった。
書類の束をペラペラとめくっていくと、その中にひとつ気になる文面があった。



L:詩歌藩国 = {
 f:名称 = 18 詩歌藩国(組織)
 f:要点 =【未定】
 f:周辺環境 = 詩歌藩国
 f:評価 = なし
 f:特殊 = {
  *詩歌藩国の組織カテゴリ = 藩国として扱う。
  *詩歌藩国の藩王 = 九音・詩歌が担う。
 }
 f:→次のアイドレス = 藩国民ぎっくり腰(強制イベント),【未定】,【未定】,【未定】



「ぎっくり腰……」
「強制イベントを入れれば安くすむのではという意見があってね、取り入れることになったんだ。100マイル分くらいは浮く予定だよ」
「あの、もしかしなくても俺ってイケニエ?」
「報酬の1マイルはキミのものだ、好きに使ってくれていい。なぁに遠慮はいらないよ!」
「え、その差額分の99マイルはいったい何に」
「あーっとそろそろ時間のようだ。体は大事にね。ではー」
「ちょ、ま」

九音・詩歌はにこやかな笑顔のままログアウトしていった。

「ち、ちっきしょーーー!!!」

その後、彼が詩歌藩国から脱藩したかどうかは、さだかではない。



※ 雪かきは新領民の雇用拡充の一環として実施される予定ですが、上記のSSはそれらより以前の段階で行われており、実際の政策に影響を与えることはありませんのでご了承ください。

タグ:

提出物
添付ファイル
目安箱バナー