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宰相府兵器開発コンペ  無人機の開発

最終更新:

suzuhuji

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L:無人機の開発 = {
 t:名称 = 無人機の開発(イベント)
 t:要点 = {無人機とは、作戦入力に沿って無慈悲に戦闘を行う恐るべき
戦争機械のことである。
無人機を大量生産し、投入したことによって宰相府は恐怖によって人々を支配すると
言われた。}
 t:周辺環境 = 戦場




■宰相府からの要求スペックについて


宰相府藩国にて開発が始まった無人戦闘機。
プログラム入力によって自動戦闘を行うこの恐るべき兵器を開発するにあたって、いくつかの要求スペックがあった。



1.低コスト大量運用


安い機体を大量に作って運用する。
これまでのニューワールドではあまり見られなかった運用思想と言える。
しかし、数は力と言われるアイドレスの世界において有効な考え方のひとつであることには間違いない。

この要求を満たすべく候補に挙がったのが、トモエリバーの流用という案であった。

トモエリバー、わんわん帝國は理力省が開発した陸軍の主力I=D。
のちに多くの後継機を生み出した帝國I=Dの元祖であるものの、運用が難しく駄作と呼ばれた不遇の機体だった。
そのため各国に死蔵されているものが数多く存在しており、また最初期に作られたI=Dであるため現存数も多い。
ここから考え出されたのがさきに述べたトモエリバー流用案だった。
A71 トモエリバーのフレームをそのままに外装及び武装を宇宙戦仕様のものにリファインして使用することで開発費と生産コストを大きく引き下げる効果を狙った。



2.非TLO機であること


TLO(A technical level overs)
現存する技術水準を大きく超えた前ループの遺産。
人には扱いきれず、封印された技術たち。
これらが今またニューワールドに生まれつつあることは、すでに広く知られている。
そしてTLOの存在は、かのものを引き寄せることも。
無数に生産された無人機がかのものとなること。
これは絶対に避けるべきこととして、無人機のTLO化は厳禁とされた。

一定のレベルを超えた科学、もしくは魔法の使用。
そして科学と魔法の融合によってTLOは発現するとされている。
このため、無人機の仕様からは魔法技術の徹底した排除と科学技術の制限がされることになった。
まずトモエリバーに使われている理力機関の全撤去が行われ、内部機構に使用される技術も第6世界にて運用されていた無人AI兵器『人形』を基点とした機体とされた。



3.無人機のみの分隊で機能すること


後方オペレート部隊から誘導、または母機からのオペレートを可能とすること。
それが要求されたスペックのひとつである。
これには奇をてらった技術は使わず、信頼性の高いUHF帯からSHF帯の高周波域電波を使用したデータリンクシステムが使用されることになった。
このデータリンクを使用することにより戦場での情報の共有化が容易となる。




■機体スペック


いくつかの要求スペックを満たした上で製造、運用のコストパフォーマンスを高めるかたちでリファインされたモデルが以下となる。


型式番号 未決定(仮のものとしてTR-7とされる)  
全長   6m
乾燥重量 7t
使用用途 宇宙戦
搭乗者   なし(AI) あるいは1名
固定装備 小口径レーザー×一門
発動機   対消滅反応炉
燃料搭載量 10 g
主推進機 単発式プラズマロケット
推力   100t
ステーション 03から06 03、04は腿側面、05、06は腕装備。
装備可能武装 対I=D用レーザーガン、絶対物理防壁発生装置、ソードベルレプリカ


機体のメインフレームにはトモエリバーのものが流用されているものの、外装には大幅な変更がかけられており外見はまったくの別物となっている。
また生産性、整備性を高めるべくパーツのモジュール化も進められており、パーツの組み立て、取り外しが容易となるよう改善された。
制御の中枢となるメインコンピュータはユニット型で、ボディの中心に搭載される形となっている。
搭載される数は一基ないし二基で、二重搭載の場合は機体制御と火器管制に分けて運用される。
機体構成材には高モリブデン鋼およびNi系合金が使われているが、高熱環境となる推進系にまわりには耐熱性の高いフェライト系のクラッド材が使用されている。




■装備類



  • 対I=D用レーザーガン『ガンランス』
主武装となるレーザー兵器。高エネルギーレーザープラズマを発振する。
最大射程は1000kmをゆうに超えている。
トモエリバーに装備されていた100mm砲を組み替えて作られており、外見はよく似ている。


  • 絶対物理防壁発生装置
RBとはことなり水中戦闘を行う仕様にはないため、純粋な攻撃及び防御用の装備。
最大でも60分間の稼動が限界とされている。
また、無人機は機体の全長が5mと小型なためシールド発生時に描く軌跡が糸のように細く、ラウンドバックラー(円盾)ではなくシューティングスター(流星)と呼ばれるようになった。

  • ソードベルレプリカ
偽剣鈴。白兵武器として絶対物理防壁を動かすための延長装備。
第6世界で運用された剣鈴と同じ原理の装備であるが、リファインされ性能自体は低下している。
しかし小型化され形状はロングナイフ状となり、稼動時間もわずかながら増している。


  • センサー&レーダー類
センサー類には通常型の光学カメラをはじめとして赤外線センサー、短針波レーザーセンサーなどが搭載されている。
アクティヴセンサーとしてパルスレーダーも搭載されており、複数機でのデータリンクによって精度を上げることが可能となっている。





■実戦投入前夜


そこは、まごうことなき戦場であった。

無限に広がる漆黒の宇宙空間。そんな孤独の中に一隻の宇宙戦艦がたたずんでいた。
多目的宇宙艦船、ミアキスである。
宰相府藩国に接収されたものらしく、艦の横腹には宰相のエンブレムが描かれていた。
空母型に改装されたその艦船の中では、戦場の様子を観察すべく多くの技術者たちが静かにコンソールと向き合っていた。
ミアキスからはなれること2500km。わずかに光が瞬いている場所がある。
はるか彼方の戦場で、開発されたばかりの無人機が戦闘を行っていた。

そう、それは間違いなく戦闘だった。
撃ち、刺し、潰し、殴り、叩く。その行為を戦闘と呼ばずしてなんと呼ぼう。
あえて違う表現をするならば、それは虐殺だった。
一方的に、かつ無慈悲に破壊を遂行する。
AIによって制御された無人機たちはなんのためらいもなく敵を破壊し続ける。
ひとつだけ救いがあるとすれば、それは相手がテスト用のバルーンであることだった。
今、ここで行われていることは宰相府によって開発された無人戦闘機の開発最終テスト、つまりは模擬戦だった。
「全目標の撃破を確認。全機稼動に問題なし。テストクリアーです」
「よし、機体の回収を急がせろ」
技術者たちが無表情に指示を重ねる。
そこに感情の波はなく、テストに成功した喜びもなかった。
ただたんたんと、作業をこなす。まるでロボットのように。
そんな中、若い技術者がただ一人だけ苦悶の表情を浮かべて立っていた。
しばらくして、決意を秘めた瞳で中年の技術者のもとへ向かう。
「あの、主任。ひとつだけ聞いてもいいですか」
指示を飛ばしていた主任技術者は向き直った。表情はない。
「なんだ」
「この機体は、本当に作るべきだったんでしょうか」
主任技術者は少しだけ下を向き、眼鏡を指で押し上げた。
表情はうかがい知ることができない。
「どうだろうな」
ひとごとのように、そう言った。
若い技術者がくちを開く前に続きをくちにする。
「使うやつ次第だよ、機械なんてもんは」
それだけ言って、この話は終わりだというように主任技術者は指示をする作業に戻っていった。


こうして無人機はテストを終了し、正式に実戦配備されることとなった。
それが正しいことなのかどうかは、まだ誰にもわからない。

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