第71話~第80話ボス



【アメジャスト】(第71話)

何故かファンニャーの姿をしたアンドロイドが次々と出現する、ファンニャーの故郷。
神殿に偽装された研究所の最下部へと進むと、ファンニャーの母アメジャストが現れ、
アンドロイド達はファンニャーの細胞を元に製造されたロボットであった事が判明する。
かつてはファンニャーと共に世界を救っていたようだが、今は完全に狂気に陥っており、
強力なロボット兵器を作り出すためだけにファンニャーの知識を要求する。
さらに自分の体にもファンニャーの細胞を作用させ、機械とも融合した異形と成り果てた。
口からは大火炎放射、両目からはダブル波動砲、全身からエナジービーム等を駆使する様は、
「お母様はもう人間じゃないから倒しましょう」と言われても仕方がない改造っぷりである。
上記に加えて防御能力も高く、目が開いた時でなければダメージを与えられない。
倒すと人間の心を取り戻すものの、何故「こうするしかなかった」のかは不明。

第40話の格闘大会の世界で、いつの間にかパーティーに紛れ込んでいたファンニャー。
今回のアメジャストは、そのルーツを探る上でかなり重要な存在と言えるだろう。
メインメンバーの近親者であり、かつ優秀な科学者であるという共通点から、
アメジャストもまた、マリアリス達と同様、研究所の世界の人間であると思われる。
ここで鍵となるのは、700話以上後に明らかになる、ファンニャーのある特殊な出自。
あるいはファンニャーは、ベリュルと同等以上に特別な研究サンプルだったのだろう。
弱い失敗作しか出来なかったのにも関わらず、何故ファンニャーの細胞に固執したのか。
その前例があるのにも関わらず、何故自分に移植して「強くなった」と豪語したのか。
アメジャストの不自然な言動は、最初からファンニャーの正体を知っていたからなのかもしれない。
そして、ファンニャーを生まれ故郷からこの世界に連れ出した者がいたとすれば、
それはこのアメジャスト以外にあり得ないだろう。
その他、戦闘データ採取のためだったとしても、娘と共に世界を救う旅をしていた等、
他の研究者よりも人間的にファンニャーに深く関わっていた様子が窺い知れるボスである。

主な台詞:
「待っていましたよ、わが娘、アナタの細胞を元に、いっぱいロボットを作ったが弱く旅で得た知識をよこせ」
「私はファンニャーの細胞で強くなりメカとも融合して強い、人間のファンニャー許せない」
「許してファンニャーこうするしかなかったの」


【アルテマウェポン】(第72話)

かつてファンニャーが母親と共に封じた、恐るべき力を持つ世界の魔物。
10万年周期で目覚め、その度に人類の100分の1を滅ぼしたという凶悪な魔物だが、
完全に封印するにはファンニャー親子だけでは力が足りなかった。
人々の血が火山の噴火のごとく宙に撒き上がるほどの、凄まじい大虐殺を行った。
その正体は、四天王と呼ばれる4体の魔物。だがベリュルが駆けつけた時点では、
レオンハルトの策略により、残るはマリリッチとクラマットの2体だけとなっている。
魔物同士の争いの果てにマリリッチを喰らったクラマットは、
すべての四天王の頂点に立つ怪物、アルテマウェポンへと進化を遂げるのであった。
戦闘ではアルテマを唱えてくる上に、目立った弱点も持たないかなりの強敵である。

元ネタは、今やFFシリーズ恒例のボスとなった、モンスターとしてのアルテマウェポン。
変身前の四天王は、FF1に登場した4属性のカオスをもじったネーミングだと思われる。
2体のそれぞれが、すでに別の1体を喰って吸収した後の姿のようだ。
他にも、強大すぎて封印する事しかできず、特定の周期で人類を滅ぼす存在等、
レオンハルトの目的を加味すると、FF10のシンを連想させる要素もあったりする。
姿形こそ不明ながら、「噴火する人間の血」等、残虐さの描写には独特のセンスが光る。

主な台詞:
なし

【レオンハルト】(第72話)

何らかの方法で世界の魔物4体を争い合わせ、アルテマウェポンを作り出した黒幕。
名前の元ネタは、FF2に登場した、ダークナイトのレオンハルトだろう。
アルテマウェポンを作り出しながらも、その力を使って何をするわけでもなく、
挑発しておいて逃げる等の不可解な行動を取ったが、その真意は最後に明かされる。
分かれ道の先の最後の扉の奥で待ち受けており、二刀流にみだれうちといった、
歴戦の勇者ならではの強力な技の数々でベリュルを追い詰めるが、
意外にも肉体は生身の人間であり、HPはなんとプレイヤーと同じ9999しかない。
倒すと、伝説の魔物を倒したベリュルの実力を称え、黒の鍵を託して息絶える。

陽気なのか何なのか、何をおいても「ハハハ」と笑うハイテンションキャラ。
しかし行動の目的は中々にシリアスであり、10万年おきに人類に災害をもたらす魔物を
敢えて現代に復活させて互いに喰らい合うよう仕向ける事で、
一つとなったアルテマウェポンを倒し、世界の魔物の永遠の根絶を果たそうとした。
また、自分では魔物を滅ぼすには実力が及ばないと理解していた節もあり、
四天王の撃破は互いに争わせる策略によって行い、現れたアルテマウェポンも、
訪れたベリュルを挑発する事で、あたかも自分の配下のように誤解させて戦わせた。
だが、レオンハルトが魔物を蘇らせ、少なくない人々を死に巻き込んだのは事実。
最初からベリュルの手にかかって殺されるつもりだったのかもしれないと考えると、
「待ていたぞ、もう引き返せぬのだ何もかも」という台詞の重みが増してくる。
と壮大な目的は持っていても、実はレオンハルトが魔物を復活させた時点で、
世界の生物は全部喰らい尽くされてしまっていたのだが……なんなんだアンタ。
息絶えた後にアイテムを渡し、さらにもう一回喋ったりするタフさはお約束である。

主な台詞:
「ハハハ、強いほうが弱いものを食べて、元は四天王だが最後は誰かな」
「ハハハ、お前たちならきっと伝説の魔物を倒せると思ってたさすがだ」
「ハハハ」


【ペリュラ】(第73話)

多くの旅人が訪れる、宿屋だらけの世界。全ての宿が旅人の予約で埋まっていたため、
ベリュル達は毎日一人ずつ殺される、度を越した曰く付き宿に泊まらざるを得なくなる。
案の定殺人事件が起こり、あろう事かベリュルが容疑者として拘束されてしまうも、
名探偵メリアナニーガ名推理を披露し、いつも宿にいる宿屋の主人が犯人だと暴かれる。
宿屋の主人の正体とは、生き血をすするドラキュラ、ペリュラであった。
一般的にイメージされる吸血鬼と同様に、ニンニクと十字架が弱点らしい。
とはいえ、ゲーム的にそんなアイテムが出てくるはずもなく、
普通にアンデッドに共通する弱点のホーリーで対処する事ができる。
ドラキュラである事の必然性が疑われるが、その点は他のゲームでも同じようなものである。

よりによってFFSで推理物という、意欲的なエピソードに登場したボス。
舞台設定からして「毎日一人ずつ殺されるという宿屋」という状況に加え、
「被害者がベリュルが犯人といって、目撃者もいてお前に似てたんだって」と、
死んだはずの被害者の証言が逮捕の決め手となる、FFSに相応しい破天荒さ。
ベリュルと紛らわしいその名前も、名前が似ているから間違われたという事だった。
メリアナニーの推理も、普通に考えれば真っ先に分かりそうなものなのだが、
これらの不自然さや滅茶苦茶さにも、しっかりと理由があるのが凄いところである。

主な台詞:
「フフフ・・ばれては仕方ない、私は生き血をすするドラキュラなのだ」


【バンパイアキング】(第73話)

真犯人を倒した事でベリュルの冤罪も晴れ、連続殺人事件も解決したかと思いきや、
なんとこの町の人間は警察や町の人々に至るまでほぼ全員がバンパイアであり、
宿屋の世界とは、旅人の血を得るための食料基地であった事が明らかとなる。
そのバンパイア達の頂点に立っていたのが、警察署長に扮したバンパイアキング。
太陽の光をも克服した強力な吸血鬼で、力も高く、ドレイン等のHP吸収攻撃を駆使する。
意外に愛の歌が有効なため、これを活用しながら倒すと良い。
倒すと、この町自体が元はゴーストタウンだった事が明らかとなり、世界も消えていく。

町の住人全員がグルの営利殺人という、ビーン一族もびっくりの殺人事件である。
これならば、状況証拠がどこか変だったり、ベリュルを犯人に仕立て上げたのも頷ける。
ベリュルが訪れた時に毎日一人ずつ殺される宿屋しか部屋が空いていなかったのも、
恐らくは偶然ではなかったのだろう。事件の仕掛け自体は相当にチープではあったが、
表立って人間を襲わない点は、吸血鬼らしい狡猾さと言えるのだろうか。
ベリュルの「くっ多くの人の命と血を返せ」という怒りの声への返答が素晴らしい。
おいしかったなら仕方がない。

主な台詞:
「おいしかったよ」
「くっ人間ごときが・・ガァ」

【越後屋/エクスデス・ギル】(第74話)

お金が全ての、金持ち達の世界。金に溺れた人々は心を失い、互いに争っていたが、
その原因が各地に設置された邪悪な宝だと推測したベリュル達は、
家屋に不法侵入し宝を破壊して回るが、邪悪な宝を販売する大元が存在する事を知る。
夜間、裏口から越後屋の店舗へ新入すると、多数のモンスターやマシンを従え、
さらに非売品の強力な武器をフルに活用してベリュル達を迎撃してくる。
ついに越後屋の店主まで辿り着くが、越後屋の正体はエクスデス・ギルであった。
戦闘では高威力の全体連続攻撃、連続銭投げを繰り出し、防御策なしでは全滅確定。
また、FFSにおけるエクスデスの芸風ともいえる高い防御性能も、
「ありとあらゆる最強の鎧を装備する」という形で表現されている。
これらの装備は盗む事も可能なため、余裕があれば倒す前に盗んでおくのもよい。

またしても、伏線なしに意外なところに登場するエクスデス一味。
越後屋=エクスデスなど、まともな発想ではとても思いつかないだろう。
しかもこのエクスデスは魔法的なアイテムやパワーアップに頼る事なく、
金と装備、そして兵力といった現実的な手段で、着実に戦力を整えていた。
いくらでも金を作れる能力を上手く活用した、まさに金は力といったボスである。
第38話で「俺は金や名誉が目的じゃないぜ」と自信満々に言い放ったベリュルだが、
こいつはそんなベリュルの本音を即座に見破っていた点でも評価が高い。
だが、それが例え周囲に流される形であれ、最終的は「人を信じる心」こそが
ベリュルの原動力となるのだと再確認するエピソードであった。
「おろかな、お金が無いと生きてゆけぬぞ」は、シンプル故に名言だと個人的には思う。

主な台詞:
「私はいくらでもお金が作れる、お前も金をやるから仲間になれ、いや元々仲間かな」
「おろかな、お金が無いと生きてゆけぬぞ」


【越後屋4人衆】(第74話)

恐らくは越後屋に金の力で雇われたと思われる、4人の傭兵集団。
名前はそれぞれ、ジャック、ダイタラ、ゲジュラ、べビンラックジュエル。
たった一行で倒され、台詞はなく、具体的な戦闘法、姿形も不明のまま。
しかし彼ら4人に限っては、名前の時点で十分にツッコミ所が満載である。
特に、オチ担当のベビンラックジュエルのインパクトは抜群だ。

主な台詞:
なし

【ビッグタイタン】(第75話)

前回の世界で金に執着する事の愚かさを知ったはずのベリュル達だが、
金山の世界に着いた途端、喜び勇んで金へと飛び掛っていく。
しかしそれはベリュル達をダンジョンにおびき寄せるためのあの男の罠であった。
そして洞窟を手探りで進む一行の前に、召喚獣ビッグタイタンが立ちはだかる。
アースシェイカーによる地震が常に継続する中での戦闘となるため、
毎ターン小刻みにダメージを受け続けてしまうが、本体の攻撃手段は不明。
「私が欲しければ倒せ」という、誤解を招きかねない台詞が特徴的である。
しかしそれはそれとして、あの男とは一体何者だったのだろうか。

主な台詞:
「私が欲しければ倒せ」


【ミルゼ】(第75話)

洞窟を抜けて辿り着いた島の神殿跡で、100年前に処刑された正義の英雄。
神となったかつての英雄であり、さらに倒した後に起こるイベントからも、
名前の元ネタはロマンシング・サガに登場した勇者ミルザと見てよいだろう。
しかしミルゼは、処刑された恨みから亡霊と化し、現代のベリュルに襲い掛かる。
戦闘方法等は一切不明だが、その台詞からはなかなかのイカれっぷりが感じられる。
特に「殺す」「食べる」「死ね」の三連携は、FFSの悪役口調の集大成といえるだろう。
ナントカ倒すとミルゼは成仏し、その体は12の宝石となって世界に飛び散っていった。
例によって宝石を失った事でこの世界は滅びてしまったが、
更なる滅びの連鎖を防ぐため、ベリュル達は宝石探しの旅に出発する事になった。
これも、ロマンシング・サガのディステニィストーン集めのオマージュと思われる。

主な台詞:
「イキテイルモノコロスタベルシネ」

【ギスデチェジェ】(第76話)

人も木も家も風も何もかもが燃えているフレイムワールドの炎の神殿に潜む、
顔のついた太陽とでも言うべき容貌をした炎のマジン。
フレイムワールドの火災もこのギスデチェジェが引き起こしているものらしく、
ベリュルの「消せ」という要求に対し、「燃えて死ね」と問答無用で襲ってきた。
その他の詳細は不明だが、炎属性の攻撃を多用するボスであると思われる。
倒すと、散らばった12の宝石のうちの一つ、ルビーを手に入れることができ、
さらに炎戦士のジョブと、強力な炎魔法マスターファイアマグマを習得できる。
しかもどうやらこのルビーには指があったようで、宝石サファイアの方向を指差した。

本編中で発した台詞の悉くに、相手を燃やす意思表示を見る事ができる。
実際、世界全てを炎に包んでしまった火力から、実力も相当なものだと思われる。
だが、ウォーターガンやリヴァイアサンを用いた救出イベントがあった事からも、
生物に火を放ったのは、少なくともベリュル達が世界を訪れたのとほぼ同時なのだろう。
ベリュル達が訪れる直前に起こった事件といえば、ミルゼの宝石の飛散である。
ギスデチェジェの火力が生物に影響力を及ぼすまで強化されたのも、
炎戦士とマスターファイアマグマの能力を秘めたルビーの為ではないだろうか。
この仮説を裏付けるものとして、ベリュルですらルビーを手にした途端、
「コレで何でも燃やし尽くそう」などと放火衝動を露にしている。
だからこその、前回の「アレを集めなければ世界は滅びる・・・」の発言なのだ。
ギスデチェジェという、タイピングも発音も困難な名前が印象的なボスでもある。

主な台詞:
「私が炎のマジン、ギスデチェジェだ・・燃えよ」
「燃えて死ね」

【エクスデス・ライオン、エクスデス・スネーク、エクスデス・コンドル、エクスデス・アント/エクスデス・アメーバ】(第77話)

迷い込んだら二度と生きては出られない、マスタージャングルの世界。
宿屋もなく、方向感覚すら狂う密林の中で、辛くも祠に辿り着くベリュル達だが、
盾を入手して祠を出たその時、エクスデス・ライオンの強襲を受ける。
さらに、エクスデス・スネークやエクスデス・コンドル、果てはエクスデス・アント等、
エクスデス化したジャングルの獣達が一斉に襲いかかり、大混戦となる。
だが、何故かこれらのエクスデス達は炎に弱く、弱点を突いて撃退に成功するも、
倒されたはずのエクスデス達が合体し、真の姿、エクスデス・アメーバと化すのだった。
エクスデス・アメーバは、ドレインや吸収等、こちらのHPを吸収する攻撃を得意とし、
さらにマイドブラストといった攻撃も仕掛けてくるため、かなり苦労するボスのようだ。
撃退すると、英雄の盾を手に入れるのに必要な宝石、サファイアの在り処を教えてくれる。
何気にラバーエクスデスゴムに続き、ベリュルとの戦闘を生き延びたレアなエクスデス。

分裂・合体といったアメーバならではの特性に加え、
人間ではなく獣を支配して悪事を働く点、過剰なまでの防御性能を持たない点等、
従来のエクスデス達とはかなり趣の異なる、特殊なエクスデスといえるだろう。
特に多数の対象を分裂して分割支配する事が可能な点は大きなアドバンテージであり、
ベリュル一行はエクスデス・ライオン一体と遭遇しただけで、
この世界に存在する他の全てのエクスデス化した獣を相手にする事になってしまった。
これらの獣が共通して炎に弱い特性を持つのも、アメーバの性質を考えれば納得だろう。
アメーバの中には他の動物に脳に寄生する寄生アメーバというものも存在するため、
悪の心に進入して操るエクスデスのイメージとも意外とマッチするのが興味深い。
動物体のバリエーションも無駄に多彩であり、色々な意味で面白いボスである。

主な台詞
「フフフ・・我々の新の姿を見よ」
「私に取り込まれて死ね」

【ポイズンタイル/カイナッツォ】(第78話)

オパールとアメジストとダイアモンドを探して訪れた、毒の沼地のポイズンワールド。
毒の地形に覆われているため、歩き回るだけでいずれ力尽きてしまう過酷な世界だが、
困り果てたベリュル一行に、謎の人物ポイズンタイルが現れ抗毒剤を提供してくれる。
しかし、オパールとアメジストを入手し、ガラスの林檎の木の襲撃を乗り越えて
ようやく辿り着いたダイアモンドは、再び現れたポイズンタイルによって奪われてしまう。
なんとポイズンタイルの正体はこの世界のボス、カイナッツォであり、
敢えてベリュル達に手を貸したのも、泳がせて3つの宝石を集めさせた後で、
自らベリュルを倒してそれらの宝石を全て奪おうという策略だったのだ。
津波による攻撃を得意とし、稲妻系の攻撃に弱いという、比較的素直な特性を持つ。
倒されてもベリュルとダイアモンドを大津波に流すという悪あがきを見せたが、
ダイアモンドの力を活用するわけでもなく、そう強いボスでもなさそうである。

回りくどい作戦を立てる割には、口調だけは妙に忙しないキャラであった。
「お前たちは我々の手の中で踊っていたのだよさ死ね」の台詞などは、
言葉が詰まるあまり、ブラックジャックのピノコのような語尾に見える。
元ネタは言うまでもなく、FF4に登場したゴルベーザ四天王のカイナッツォ。
第44話に登場したルビカンテゾンビとも、もしかしたら関係がありそうだ。

主な台詞:
「ハハハ、良く手に入れてくれたさあよこせ死ね」
「お前たちは我々の手の中で踊っていたのだよさ死ね」

【ディデョ・ゲーノ】(第79話)

カイナッツォの大津波で流され、大きな穴の底の異世界に辿り着いたベリュル達。
時空の歪み故か、ダイヤモンドとは異なる時間軸へと落ち込んでしまったベリュルは、
自分と背格好も強さも似ているが、一枚上手な謎の存在、ディデョ・ゲーノに遭遇。
その強さと頼もしさに、「デイデョのほうが頼りになるベリュルさよなら」と、
あっさりベリュルを見限ってディデョについていくダンナーザ達。
かつてこの世界にはびこる魔物を倒した勇者だというディデョ・ゲーノを、
孤独になったベリュルは、半ば逆恨みに近い執念で追い詰めるのであった。
ダイヤモンドの城にて、ついに1対1でディデョ・ゲーノを倒すベリュル。
しかしディデョについたダンナーザ、メリアナニー、ファンニャーとも戦う羽目になり、
ベリュルは初めて自分の(NPCではない)仲間を、しかも1対3の苦境の中倒す事になる。
ディデョを倒すと、その正体はダイヤモンドが長い年月の果てに作り出した人形であり、
ダンナーザ達の突発的な寝返りも、ダイヤモンドに操られての行為だった事が分かる。

いきなり現れたベリュルのライバル、一枚上手なディデョ・ゲーノ。
こいつの名前の前には必ず「一枚上手な」をつけたくなるのは、筆者だけではないだろう。
その成り立ちも中々に興味深く、ベリュル達と比較して2000年過去に落ち込んだ
ダイヤモンドが、邪悪に染まって作り出した人形という設定であり、
これがディデョが自分から台詞を一切喋らない理由ともなっている。
恐らくダイヤモンドは毒の世界でのベリュルとの出会いを2000年間覚えていて、
何らかの理由で、記憶にあるベリュルを宝石の力で「再現」しようとしたのだろう。
それがディデョ・ゲーノであり、「はびこる魔物を倒した勇者」というのも、
困難を切り抜けダイヤモンドを救い、カイナッツォを倒したベリュルの、
毒の世界での冒険の再現として、ダイヤモンド自身が演出したものに違いない。
だが、多くの仲間がいたベリュルとは違い、被造物であるディデョには仲間がいなかった。
だからこそ、ダイヤモンドはベリュルと再開した時、まず3人の仲間を操って、
ディデョをベリュルの完全な「再現体」としようと試みたのではないだろうか。
結局この世界には元々他の存在はおらず、宝石の破壊と共に消えていくだけだった。
ダイヤモンドが2000年間という長い年月の中で邪悪に染まっていった間、
その孤独を知るのは、一枚上手のディデョ・ゲーノだけだったのかもしれない。
考察を進めてみると、ネタ的に美味しいだけでなく、なかなかに深いキャラクターである。
自身は一言も台詞を発さないが、代わりにこのエピソードでは関わったベリュル一行が、
数々のイカれた、もといイカした名台詞を残してくれている。

主な台詞:
なし

【エクスデス・ジュエル】(第79話)

ベリュルより一枚上手の人形の勇者や、世界一つの歴史をも作り出すほどのダイヤモンドの力。
時間軸を超えて、2000年前の邪悪に染まる以前のダイヤモンドを手に入れたベリュル一行だが、
その強大な力に引き寄せられて、全ての宝石が重力に引かれるようにこの世界に出現する。
集まった12個の宝石を、ファンニャーの助言に従ってクリスタルに精製しようとするベリュル。
しかし、伝説の通りに粉々にしてクリスタルのしずくを混ぜたはずの宝石達は、
なんとエクスデス・ジュエルへと変化したのであった……さすがに突っ込みたい。
勿論エクスデスの上に宝石という事で、恒例の凄まじい防御力は健在である。
今回のエクスデス・ジュエルは、あらゆる攻撃ダメージを1に軽減するという特性を誇り、
たった300しかないHPで、300回の攻撃にまで耐えてくるという嫌らしい仕様。
宝石乱舞はベリュルの所持金を参照しての大ダメージを与えてくるため、一撃死もあり得る。
攻撃の威力は全て無駄と化すため、速度や回数を重視した装備や技で挑むと良いだろう。

伏線もなしの意表を突いた登場こそがFFSにおけるエクスデス族の持ち味だが、
まさか宝石編がこんな変な形で終わるとは誰も予想だにしなかったであろう。
しかも相変わらずの過剰防御性能に、プレイヤーもうんざりする事必至のイベントである。
とはいえ、伝説に虚実を混ぜ込むというその戦略は回りくどいながらも見事であり、
伝説や宝石は必ず有益に働くもの、というファンタジー世界のお約束を思い切り否定している。
確かに、伝説では人類を救った武器が現在の人間にも有益とは限らないし、
伝説は時代を経れば情報が劣化し、徐々に信用できなくなっていくのが普通である。
それを無根拠に信じてしまうベリュル達の弱みを作戦に組み込む点は、さすがエクスデスである。

主な台詞:
「ワハ、私はついに永い眠りから覚めた、嘘の伝説を作って生き返ろうとして手伝ってもらったのだ」
「ついに私の時代が来るさしずめお前たちは死ね」

【ムバー】(第80話)

ベリュル一行の抱える秘密、そして裏切ったマリアリスの正体の一端が明かされる、
いわば章の区切りともいえる、重大な伏線回収が行われた第80話。
エクスデス・ジュエルの崩壊に伴って辿り着いた研究所の世界で、
ベリュル達は信じられない事実を知る事になる。なんとベリュル達の正体とは、
赤ん坊の頃にこの多元世界へと送り込まれた、研究所の実験サンプルであった。
襲い掛かる武装化オメガ達の群れをサンダーで蹴散らし、研究所の奥へと進むと、
デスグレンザーを殺して消えたマリアリスが、今度は研究者として再び現れる。
彼女は世界を旅するベリュル達の強さを目の当たりにし、戦闘データを採取するため
亡国の王女と身分を偽り、ベリュル達の間近から彼らを監視し続けていたのだ。
そしてついに、研究所の今までの計画の集大成である最強のモンスターが出現する。
この世には存在し得ない姿を備えた恐るべき人工生物、ムバー。
エクスデス以上の凶悪さを誇るムバーの性能に苦戦するベリュル達であったが、
これまでの旅で得たジョブを活用する事で、辛くも勝利を収めるのであった。

正直ムバー自身の印象は薄いが、明かされる真相は非常に衝撃的なエピソードである。
ベリュル達の今までの冒険は、彼ら研究所の掌の上の出来事に過ぎなかったのだ。
勿論、これまでの描写からの伏線解釈はあくまでスレ上で考察されたものであり、
実際にはその場その場で考えられたストーリーという可能性もあり得るのだが、
その全てが科学者や研究者であった、彼らの親を名乗る存在、
実際にベリュル達を解析して作られたと思われるクローンの数々、
そして、彼らが登場する要所要所で登場するオメガ亜種……これらの描写は、
研究所との関わりがあったと仮定すると、妙に整合性が取れるのもまた事実である。
詳しい流れの考察は過去のまとめサイト等を参照してもらうと分かりやすい。
またムバーの特徴として挙げられるのは、見るだけでダメージを食らう程の、
いわば「とても見る事のできない恐ろしい姿」だが、何か思い出すものがないだろうか。
10年前の冒険の最後のボス、ギャラクシーエクスデスである。
奇しくも彼もまた、「お前は私の実験」「私の掌通り」といった台詞を発しているのだ。
また、マリアリスがベリュル達サンプルを発見して同行したのは、あくまで偶然である。
だとすればこの多元世界に、この研究所が配置した「実験サンプル」は、
ベリュル達が知らない世界にまだまだ数多く存在しているのかもしれない。
そしてこの壮大すぎるFFSの多元世界を、彼らも同じように冒険しているのかもしれない。

主な台詞:
なし

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最終更新:2010年04月17日 21:08
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