ふわのせき
湾状に抉れた入江で、半里ほど砂浜が広がる。
東征軍が最初に橋頭堡を築き上げた土地。
淡海を抜けた先に存在する、言わば
穢土の玄関口。三百年前の東征で時の西軍が壊滅した因縁の地だが、その景観は危ういほどに美しい。竜胆ら当代の
東征軍も、この地で凶悪な洗礼を受けることになる。
作中における東征の時期は春だったのだか、この地の季節は秋。
永劫の神無月である。
その異常性は人外の鬼が住むとされていた地を想像していた西側の者達にとっても驚愕する光景であった。この光景を見て
竜胆は「世界の総てが黄昏のようだ」、
覇吐は「終わらない逢魔が刻」と評している。
四方二里には植物以外の生物は虫一匹たりとていない。正確には植物さえ生きておらず、
龍明曰く気が止まっているらしい。表面上は実りの季節だが実態は死の世界のようなもの。よって穢土の食物が栄養素という点で効果があるのは怪しいため、穢土では自給が出来ない。
東征軍らがこの地に足を踏み入れても時間が止まらなかったのは、常識が違うため、彼らに穢土のことが分からないように、世界の方が彼らを認識できない、とのこと。だから
理の縛りを受けない。あくまで推測の話だが。
二重里先まで確認しても美しい景色は続くが、どこか絵のような非現実感を覚えさせる。
第七天における名称は関ヶ原。後世、ここでの大敗は政治的な都合で記録上からは抹消されている。
最終更新:2023年02月24日 14:18