禍憑き

まがつき

正式名称は『禍津日神禁厭(まがつひのかみのかしり)』
凶月一族が所有する歪みによる異能。発現は求道型。
神州でも最も有名な歪みの一つ。

その異能による効力は「一種の運気操作」
命あるものは近づけないほどの歪みで、因果を狂わせる。意図的であろうとなかろうと、危機に陥ったとき、その不運を別の者に押し付け、自身の身を守ることが出来る。相手に不運を与えることによる攻撃や、自らへの災いを退けることによる防御など多岐に渡るが、発動した後具体的に何が起こるのかは本人にもわからない。確実なのは自分だけが一切被害を受けない事。
仮に刃物を持った暴漢に襲われても、刃は禍憑きには届かない。暴漢本人がしくじるか、あるいは別の誰かが妨害するか、それとも天災がいきなり起こるか。何にしろ自分以外が不幸を被って事態は収まる。

高位の歪みほど禍憑きにより生ずる不運も強力になる。
また歪みの程度と鍛練によってはある程度コントロールも可能。刑士郎に至っては陰の陸という高位の禍憑きでありながら、不運を与える対象を選択できるほどの練度を持つ。一族の中でも機を制御できるのは彼のみ、歴代の凶月と比べてもその巧みさは最上に近い(しかしそれでも具体的に何が起こるかまではコントロールできない)。ただ意識を無くせば制御を離れるため、意識をなくした凶月こそがもっとも恐ろしい。
また、刑士郎は御前試合での使用も含めて過去四度ほど禍憑きを使っているが、これまでその総てが天災として具現している。これは一族の中でも非常に強力な部類である。

ただし、禍憑きを使った場合運気改変の皺寄せとして「返し風」と呼ばれる同等の不運が他者を襲う。
この対象は誰になるかは当の本人すらわからないが、通常は同じ禍憑きを持つ者、あるいは近しい存在の中から無作為に選ばれる。発動を抑えたいと凶月一族自身も思っており、態々御門一門の管理下に置かれてやっているのもそれが理由。
刑士郎の禍憑きは強力だが、それに比例して返し風も強くなるため、刑士郎は咲耶に返し風が吹くことを恐れて封じているのが現状。
しかし咲耶の場合はその範疇に収まらず、何が起こるのか予測できないため「爆弾」とも称される。彼女は特級の陰を宿す最強の禍憑きであり、不用意に触れれば何が起こるか分からない災害級の異能者。返し風が無差別であるなど例外が多く、そうした意味でも特殊であると言える。また返し風の規模も個人で済むかも不明。

また坂上覇吐は、自らの歪みである桃花・黄泉返りを利用して、自分の受けた不運の返し風を、任意の対象にぶつけることができる(刑士郎はこれを「返し風が曲がる」と表現している)。禍憑きの使用に伴う返し風の問題も、覇吐の成長がその不都合を埋める可能性を秘めている。

凶月を相手にした場合、禍憑きの凶運も加味しなければならず、下手に追い詰めれば発動される可能性もあるため、即座に殺害しなければという強迫観念が生まれる。危機的状況を深刻化させるほどそれを覆すご都合主義が生まれてしまうので戦いの常識が通じない。そして攻めが大味になったところを逆に狙われかねない。

なお、この異能は本来他者の運気を操るものであるため、それを奪い取ることで力の底上げが可能。なので刑士郎の禍憑きの扱いがより巧妙になっていけば、彼の気力の低さゆえに基礎能力の上方修正が困難という欠点も解消できる。

元となった渇望は「オレはこんな不幸要らねえ」
願ったものから取り逃がして、欲しいものから無くしていく、そんな不幸な運命に対する憤りから発生した渇望・異能である。
この歪みを持った者は凶月という苗字をつけられ凶月の里と呼ばれる場所に集まって暮らしている。それは歪み者・異端者の隔離のみならず、他者からの返し風を受けぬようお互いを監視し合うという意味合いも込められている。全員で三十名ほど、皆どこかしら幸せなど、見えぬ、知らぬ、分からぬといった部分を持っている。

作中での禍憑きの発動と返し風

御前試合

覇吐との戦いにおいて刑士郎が使用。
文字通り有り得ない領域の凶運を纏った、首を刈り飛ばすべく刑士郎の斬撃は、何をどうしようが回避不能。足が滑るか、目が眩むか、それとも、いいや――それは雪の降りしきる中で落雷を呼び寄せ、その上覇吐に直撃するという、不運という言葉すら生温いデタラメ(*1)を引き起こして隙を作り、刑士郎の斬撃は覇吐の首を切り裂いた。
刑士郎が呼んだ斬と雷の返し風は覇吐が当人に曲げる、という形で終息した模様。

不和之関

• 刑士郎の禍憑き

覇吐の歪みを利用しての増幅攻撃のために使用。母禮の流れ弾の稲妻が「運悪く」覇吐を直撃するという形で発現した。
返し風は刑士郎の時と同様、覇吐が歪みを利用して悪路へと曲げた。

• 咲耶の禍憑き

爾子丁禮が「偶然」真の姿を開放。天魔はこれを相手にすることとなる。かつ、兵のほとんどが死傷したほどの戦場のど真ん中に存在しながら傷一つ負わなかった。
返し風は竜胆の死。

東外流

• 奴奈比売の禍憑き

偶然にも東征軍を囲むように東西南北から同時に大津波が発生。
返し風は本人の死亡不明である。

凶月の里

• 咲耶の禍憑き

刑士郎を救うために発動。逆賊討伐軍および秀真に住まう者ども総てを滅ぼす。
総ての代償を受けきって刑士郎のみを生かすため、返し風は咲耶本人の死。
結果、咲耶の中に芽生える新たな命ごと消し飛び、第六天は完全無欠。宇宙総てが滅びる。
しかし刑士郎の説得によって発動する前に、この歪みは消滅した。

---

• 何か主に落雷がメインではないかと勘違いしてしまいそうだ -- 名無しさん (2012-08-20 16:19:37)
• 不破之関の天魔二柱の撤退の理由は龍明が神咒を呼んだからでは？あと咲耶の禍憑きの返し風は竜胆の死 -- 名無しさん (2011-12-02 23:03:47)
• 雷を落とす技という印象が -- 名無しさん (2012-12-27 21:34:29)
• 悪路と母禮はシュライバーとの戦闘で消耗してなかったら、龍明に名前呼ばれても根性でまだ戦ってたかな -- 名無しさん (2017-02-13 22:21:48)
• 兄様雷しか落としてないよね。今考えるともうちょいバリエーションあってもよかったかも -- 名無しさん (2017-02-16 21:17:24)
• そんな事は起きなかったが、禍憑きを基にした感じで太極に至った者がいたら、宇宙規模のトンデモが起きるんだろうか 　「ああっ！突然ブラックホールが！」 -- 名無しさん (2021-04-05 15:59:38)
• ブラックホール程度じゃなぁ　覇道神(邪悪)が座につくとかそんくらいじゃない？ -- 名無しさん (2021-04-05 18:25:59)
• その座だと銀河団全ての星が突然クワルナフになるくらいの大惨事が普通に起きそう -- 名無しさん (2021-04-05 20:27:52)
• 「こんな不幸要らない、誰かに押し付けたい」を太極級まで渇望できる奴とか相当地雷な性格っぽそう -- 名無しさん (2021-04-05 21:04:12)
• 求道神化すると受ける攻撃や害意を全て適当な宇宙の生命に対するものに変換するとかかな -- 名無しさん (2021-04-05 22:14:32)
• 「幸運が欲しい」ならポジティブな感じで穏当な能力になりそうだが「不幸が要らない」でこうなるのは業か… 　↑防御においてやっかいな能力になりそう　↑2めっちゃ歪んだ人生送った人っぽい感じだなぁ -- 名無しさん (2021-04-06 08:24:18)
• 神格域に達してまで「不幸いらねぇ」と思い続けられるのそりゃ無慙も同情するほどの不幸が相続いた人生を歩んだ結果だろうしねぇ… -- 名無しさん (2021-04-06 14:21:59)
• 押し付けた時点で願いが叶って渇望強度が下がるからそれこそ常時不幸が増え続ける逆十字とか奇形嚢腫みたいな状態じゃないと渇望してられない…… -- 名無しさん (2021-04-06 14:59:48)
• 不幸から逃れても過去の不幸が忘れられない状態になってたりしたり…？ -- 名無しさん (2021-04-06 15:11:16)
• どんな形でも本当にメンタルが歪んでいそうな渇望と能力 -- 名無しさん (2021-04-07 12:21:09)
• 凶月一族自体がベイの一部？だった人らだろうし、↑の酷評が全部チンピラに直撃するんじゃが -- 名無しさん (2021-04-07 18:27:23)
• 他人に押し付ける部分がなければなぁ…　↑渇望とか精神性に由来する異能を見て精神批判する異能ハラスメント… -- 名無しさん (2021-04-07 20:32:44)
• カウンター攻撃なのは覇吐も同じで、咲耶含て同根なので一族への返し風に限ればエイヴィヒカイトの時の魂の消費とやってること変わんないのに…(元の渇望が歪んでないとは言っていない) -- 名無しさん (2021-04-08 09:10:29)
• 黒円卓のメンバーは大体歪んでるから… -- 名無しさん (2021-04-08 09:15:46)
• 薔薇騎士からして俺不幸ヤダ(から他人から奪うね)だから吸血鬼ごっこでハイにならず能力を忌んでるぶん転生で成長したと思われ -- 名無しさん (2021-04-08 14:05:40)