遺跡宇宙船



遺跡宇宙船
 降臨者は生体で形成されている宇宙船を作り、広大で過酷な宇宙空間を行き来していた。殖装者と宇宙船は連携しており、それぞれのメタル制御系が連結することで、宇宙船を意のままに操れる。ちなみに宇宙船一基につき、操縦者は一人のみとなる。
 遺跡宇宙船という名は、地球でただ一体のみの魅奈神山で生き残っていた宇宙船のことを指す。地球に残された他の宇宙船は、すでに化石化したか、長年の間に風化し制御球ごと消え去ったものがほとんどであるため、宇宙船というより遺物として見られている。
 アリゾナの宇宙船は、外壁構造は崩れ去ったものの、制御球機能は残され、結果的に巻島のギガンティックダーク構築に使用されるに至る。この宇宙船残骸を発見した、あるいは位置を知っていたかはわからないが、アルカンフェルがバルカスに位置を教えていた。アリゾナの制御球(アルカンフェルは記憶中枢と呼んでいた)から、クロノスにおける技術体系が確立されたこともあり、バルカスはここをクロノスの中核である本部とした。

宇宙船の機能
 宇宙船では、ユニット同様メタルによる制御により様々な機能を発揮されている。宇宙航行機能(異空間ワープ機構など)はもとより、バリアや勝手な侵入を許さない消化防御、さらには外皮が破損してもその生体構造により再生が可能である。
 宇宙船内部は、殖装体が居る場合に正体不明の液体満たされている。この液体は、ユニットを衝撃から守る効果や、養分になっているのかもしれない。殖装者はユニットにより保護されているため空腹などからは解放されてるようだが(殖装状態では食物を食べられるような口はなくなり、また消化管も縮まってる可能性がある→殖装者の体)、ユニットそのものは殖装者の体力に応じ消耗しているようなので、養分が補給されればユニットの負担は減る。
 宇宙船内部は重力機構が働いているかは不明だが、液体で満たされていることと、ユニット自体に重力制御があることで、急に宇宙船が止まったとしてもその衝撃から殖装体をある程度守る効果もあるのだろう。

 また宇宙船は、様々な生体実験を行うために、遺伝子工学、培養、生体保存等々、降臨者の必要とする分構築し提供できるものと思われる。また、実験データや宇宙船のまわりで起きたことは制御球に逐一共有記録され、殖装者であれば正確にかつ任意に引き出すことができる。

 特殊性能として、アルカンフェルを機能不全にするパルスを発することもできる。アルカンフェルのような頑強な生物は、降臨者の思念で押さえ込むことはできても、瞬殺は難しいようだが、神経系統に伝達阻害を引き起こす程度は可能のようである。
 このパルスは、強弱を調節し、降臨者が直接捕獲しなくても済むように、地球の生物を気絶させて捕獲していたのかもしれない。パルスが、生体への効き目に種別の特異性があるとしたら、アルカンフェルに関する生態的特徴を全て熟知した降臨者なら、パルスをカスタマイズし万が一の場合に動かなくさせる措置を講じていたのかもしれない。通常のパルスでは、タフなゾアロードを抑えることは困難であるからだ。
 問題はその効果で、死滅には至らないが、今のクロノスの科学力でも修復不能の状態である。もしかしたら、バルカスがアルカンフェルを尊崇するあまり、確証がない限りはリスクの高い治療を行えないということもあるかもしれない。
 ただ、クロノスの医療で治療不能となると、どういう症状が考えられるだろうか。癌レベルなら完治可能な技術はありそうなので、それでも治らないとすると、遺伝的疾患にまで至っているのか、時間的に無制限にダメージを与え続ける何らかのエネルギーにより、肉体を若く維持し続けられるゾア・クリスタルでも修復できないような手法なのかもしれない。眠りが強制的に引き起こされるのは、脳にその素因が考えられるが、脳の損傷程度ならクロノスの医療で治る気がする。その再生がはかどらないような、やはり遺伝的な疾患が細胞レベルで起こったのではないだろうか。
 あとは、クリスタルそのものに損傷が起きた可能性だが、クリスタルが取り外しが可能ならダミークリスタルで一時的に代用できればその方が良いかもしれない。だがゾアロードとしての力は落ちてしまったり、老化現象が進んだりとリスクも大きく、根本的治療がやはり必要となる。

宇宙船の維持
 宇宙船は生体であるため、その維持にはエネルギーが必要となる。惑星上では火山などの熱エネルギーを吸収し続けないと石化して朽ちてしまう。宇宙では地熱エネルギーを利用できないため、恐らくはワープ時に異空間を通ることでそのエネルギーを利用しているものと思われる。
 地熱エネルギーを吸収し維持するのは、特に搭乗者がいなくても行われるが、日本のような火山地帯でなければその熱源が枯渇した場合に搭乗者がいなければそれ以上移動できないため、何万年も経ると宇宙船の外皮は消耗し死滅してしまう。ただ、搭乗者がいない場合は休眠状態により省エネとなり、宇宙船の肉体を最低限維持する程度に吸収が抑えられる。
 魅奈神山の遺跡宇宙船だけが生きて残ったのは、ごく浅いところに火山帯の上に設置されたことで、エネルギー抽出が容易だったからかもしれない。世界には他に2つの宇宙船(アリゾナとシラー島)があるが、すでに生命活動を終え化石化している。

方舟
 方舟は、その元となった遺跡宇宙船に比べても極端に巨大(全長50km以上)で、大量の戦闘部隊を搭乗させ、惑星制圧に特化した戦闘戦艦となっている。クロノスの調整技術で、湖の水すべてを調製用の液体に代え、巨大な調製設備とした。
 遺跡宇宙船とは違い、航行制御球は存在しないため、その操縦にはユニットを必要としない。方舟の航行には、クリスタルと重力アンプが連動し、宇宙船を動かすことになるが、その巨大さとアンプの仕様のせいか、12人のゾアロードが連携しないと宇宙船を動かせないようになっている。内部環境制御は、端末に手で触れて決めることができる。
 方舟運用では制御球がないため、制御球の設計枠を離れて巨大化したり新たな機能を付加させることはできたが、その反面、制御球の指令で柔軟な機能改変を行うことはできず、その点において方舟は遺跡宇宙船よりも劣っている。

バイタル・ビームの物理的所見
 方舟は、太陽光エネルギーから生育エネルギーに変換し、宇宙船機能を維持している。そのエネルギーを集約し与えることで、肉体の修復を行うのがバイタル・ビームである。
 このエネルギーは、物質を破壊することなく透過するが、生体に対しては貯蓄可能な性質があり、イマカラムに照射されたときも一部その肉体に滞留し、増幅されたエネルギー場が溢れ、バイタル・ポッドを破壊していた。このエネルギーは生体エネルギーと呼ばれる不思議な物理現象である。
 方舟のような巨体の太陽光エネルギー半年分となると、どれほど巨大なエネルギーであるかは不明であるが、バイタル・ビームは遠隔で生体修復エネルギーに変換されており、その時点でいくらかのエネルギーロスもあると思われる。
 それでも、たかだか人間大のイマカラムを回復させるにはそのエネルギー量は余りあるはずで、多くはイマカラムに蓄積されないままスルーされ無駄になったと思われる。本来なら、回復に見合う量を算定し照射した方が経済的であるが、アルカンフェルはイマカラムを確実に回復させたいあまり、巨大なエネルギーをそのまま放出させたか、単に放出エネルギー量の調節がうまくいかなかっただけかはよくわかっていない。

バイタル・ビームの効果
 生体エネルギーが何かはよくわからないが、エネルギー的に生体に影響を与え、細胞を活性化させ消耗を回復させるものと考えられる。
イマカラムは、ギガンティックダークとの戦闘で敗れ、長い間休眠状態が続いていた。イマカラムの活動停止は、クリスタルが砕かれたことで、クリスタルと脳神経との連動に不具合が生じたことによるものと考えられる。
 だがそうであるなら、シラー島のバイタルポッドに収納され、時が経ちクリスタルは一応修復していたのに、まだイマカラムの休眠が続いていたため、原因と結果が合致していない。では、結局イマカラムは単に消耗が予想以上だっただけなのだろうか?
 ギュオーの場合と比して、イマカラムはそこまで消耗するほどの戦闘は行っていないはずである。無論、イマカラムは正規ゾアロードではないため、疑似ブラックホールのような消耗を強いる兵器使用では通常よりも消耗が激しい可能性もある。しかし、そこまで消耗していたら、正規ゾアロードでもない限り死去してしまう可能性も高くなる。しかしイマカラムはバイタルビームの効果もあるが、しっかり復活し後遺症らしきものも見られなかったことから、肉体的タフさの低い劣化調製体(プロトタイプのような万全とは言えない調製体)説も支持しにくいところである。
 もしかしたら、バイタルポッドでは肉体修復は行ってもエネルギーは回復させられないかもしれないが、ギュオーはバイタルポッドもクリスタルもなしに復活していたことから、やはり体力的要因で休眠に陥ったとは考えにくい。
 原因はともかく、バイタルビームの作用でイマカラムが復活したことは確かで、体力でもなく肉体的損傷に対する効果でないとしたら、 バイタルビームは何を回復させたかが問題となる。
以前、リムーバーが宇宙船の生体波動による起動と、ギュオーの生体エネルギー充填でやっと機能したことがあったが、クリスタルにも同様の起動システムがあるのではないだろうか。ギガンティックダークで砕かれたクリスタルは、そのショックで完全停止に陥った。クリスタルは肉体と連動するため、クリスタルが修復しないと肉体も復活しない。そこでバイタルビームは、その強烈な生体波動(?)を込めたエネルギー波で、リムーバー同様起動状態を回復させたのなら、イマカラムの休眠もある程度説明できると思われる。
 ゾア・クリスタルの構造は今もよくわかっていないが、超空間ネットワークを形成し、異空間アドレスを保持するものと一応考えられている。この構造から、クリスタルが起動しなくなった状態では、超空間ネットワークが絶たれた状態であるのかもしれない。そこで、バイタル・ビームはクリスタルと異空間の接続を、ビームの異空間干渉により引き戻す物理効果を持っている、もしくはクリスタル内部の不活性状態を強引に活性化に持ち込み起動状態を回復させたと推測される(恐らくは後者の回復効果と思われる)。


宇宙船とユニットの関わり
 殖装者は、宇宙船とリンクすることで宇宙船機能の全権を担うことになる。ギガンティック構築においても、宇宙船との密接な関わりから発生したものである。
 それと、制御球に蓄積された多くの知識の共有も、ユニットのコントロールメタルを介して正確にその情報が伝承されることになる。制御球は優秀で、触れるだけでも知的生命体に蓄積データを送信することが可能であるが、手で触れた場合には正確な情報が伝わるかは疑問視される。バルカスは、かつて制御球から多くの知識を得たが、その中には理解不能なものも含まれていた。それは単に高度な知識であるから理解できなかったのか、それともデータ送信時に不正確な信号として送られたために理解できなかった可能性もある。
 また、27巻で制御球とのリンクを試みた巻島の場合、ヘッカリングは膨大な知識量に人間の脳が耐えられるかを懸念していた。生身の人間なら確かにその危険もあるが、ユニットを装着している限りはその心配はない。それは、知識量をユニットのコントロールメタルが制限するからというよりも、脳が破損するほどの知識量を送られても、脳機能を正常に回復させる機能がユニットにあるためである。
もしユニットに、殖装者に適したデータ加工を施し送り込む機能、もしくは、理解したに等しい脳神経回路を送られたデータに沿って構築し、高速習得する効果などがあれば、かなり難解な知識であっても習得が可能かもしれないが、そのような機能は今のところ確認されていない。
なくなったため、イマカラムのような現象は起きなかったのだろう。

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最終更新:2017年05月24日 00:56
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