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鉛色の翼を持つ者達そして大空の旅人達 レクイエム (来田)

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匿名ユーザー

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これは似て非なる世界の話―――

この世界で、ある戦乱が広まっていた。

その戦乱とは、天使VS戦闘機乗り達の戦争。

人は戦闘機乗り達を、堕天使と呼ぶ。

なぜなら、戦闘機乗り達の中には昔天使だった者も居て、そして戦う相手が天使だったからだ。



此処は最前線の海沿いの基地、エリア55。此処は地獄の一丁目の異名がある。なぜなら、最前線故に戦死者が毎日補充兵の人数に迫り、頻繁に補充兵の人数を越えるからだ。


この基地のミーティングルーム、此処に戦闘機乗り達が集っていた。ただならぬ空気の中で・・・・。

・・・・・作戦内容の説明をする。今さっき天使達の姿をレーダーが捕捉した。今までの最大規模だが・・・・・我々はこれを・・・・潰す!!

作戦の内容を説明している男の名はクックル。別名、地獄の案内人。


報酬は撃墜した人数分、と考えてくれ。これが最後の作戦となるだろう。皆燃え尽きる覚悟で戦え・・・・・・以上だ。出撃!!


フナギコがそう言い切ると集っていた者達は自分達の愛機に飛び乗って行った・・・・・・・。

・・・・・俺はあいつらと戦って・・・・生き残る・・・・・・生き残って見せる!エンジン回せ──!!

彼の名はジャスティス。彼は愛機「F-14トムキャット」に飛び乗る。

ジェットエンジンが唸り、トムキャットが目を覚ます。腹を空かせた猫の鳴き声の様に甲高いエンジン音を発生させる。
               雄  猫

基地の駐機場には、彼のトムキャットに始め、エー達の乗機するF-4ファントム、ウララーのミグ29、フナギコのF-15イーグル、クックルのSu-37・・・。

その昔、東西に別れて居た機体が集まり、共に戦っている。

彼等は怒濤の様な離陸を見るものに見せながら、基地を飛び立った。





エー!垂直尾翼の蝶の画が一段と輝いて見えるぜ!!

ジャスティス・・・・・・ありがと。

エンジンの調子がいい。生き残れそうだ。

今回のエースは俺が貰うぜ!!

ぼるじょあ、エースは譲らないぞ!

なんだとぉ!?

山崎、ぼるじょあ・・・・仲間割れはやめろ!!

ウララー・・・・すまん。

前方から天使!皆気をつけろ!

・・エー・・・ウララー・・・・フナ・・・・・・。今日があなた達の命日、そして終戦記念日よ!

全機、交戦を許可する!グットラック!!

フナ、生き残れよ!!

ウララー、お前もだ!

来い・・・・・貴様達「堕天使」の相手は俺達だ!

エリア55見参!!!



・・・・・・戦争っていうものは非情で、それに加担してしまう私達は卑怯かもしれない。だけど、生き残るためにはやめる事が出来ない。ツー、私は負ける訳には行かない!

エー、お前とはいつかは決着を付けなければいけないと思っていたけれど・・・・・今がその時か。

行くぜ!!

エーとツーの対決。それはいとこ同士の対決、そして・・・・・宿命付けられた戦いの始まりだった。





・・・・・・モララー。貴様のおかげで家族は殺された・・・・・・・・決して・・・・・許さん!

ふっ・・・・・・・堕天使と呼ばれる者に・・・・・云々言われたくはない。

なにぃ・・・・・。

・・・・破滅の・・・・・・・・・閃光・・・・・!!

なっ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!

それがフナギコの最後の声だった。モララエルの攻撃が直撃、意識が永遠に失われたからだ・・・・。

背面飛行の姿勢のまま、フナギコのF-15イーグルは海面に超音速で激突した・・・・・。

一人、また一人と落とされていく。




ジャスティス・・・・・・貴様と俺、どちらが生き残るか・・・・勝負だ!

ギコエル・・・・・お前とも長かったな。お前にミサイルを撃ちたくはなかったが・・・・・これが戦争だ!

ジャスティスはエンジンスロットルを最大限まで開く。トムキャットのジェットエンジンが、それが最後の戦いと判っているかの様に、スペック以上の性能を叩き出す。

ギコエルは自らの翼を極限まで狭め、まるで隼の様に急降下を始める。

二人とも、音速に近い速度域での戦いに持ち込もうとしていた。

昔の親友、そして最大の宿敵同士の決闘が始まった。

トムキャット・・・・否、ジャスティスはギコエルが放つ超音速の矢をかわしながら、ミサイルを発射する。そしてそのミサイルをギコエルはループを描きながら避け、また矢を放つ・・・・。

限りなく見える様な戦い。・・・・・だが終焉が見え始める。

一発の矢がエンジンの空気取り込み口に進入、片方のエンジンが爆発する。


───それはジャスティスの、トムキャットの、死を意味するものだった───

・・・・そしてジャスティスは断末魔を発する事も出来ぬまま、大空に散った。


・・・・・ジャスティス・・・・・・あばよ。

ギコエル、生き残ったな。

モララエル・・・・。

帰るぞ。

・・・・判った。

ギコエルは頷き、モララエルと共に空の彼方に飛び去っていった・・・・。



・・・・・クックル・・・ぼるじょあ・・・。

山崎・・・・・・。30人出撃したうち、生存は3人だけか・・・・。

・・・・・・そうらしいな。勝っても負けても・・・・今日で戦争は終わり、だ。基地へ帰還する!

ジャスティス、エー、フナギコ・・・・。お前らの事は・・・・忘れないぜ。

ぼるじょあが一言呟いた。ジャスティス達にはもう聞こえる筈がない、と判っていても呟いていた。

ぼるじょあは、自分の頬を暖かい液体が伝わるのが判った。





無線と罵声、そして悲鳴・・・・色々な声や者が飛び交う大空の果てなき戦い。そのなかで昔親友だった者同士が戦い、そして散っていった・・・。

太陽が無差別に日光を晒し、飛行機雲が複雑なループを描いていた・・・・・。


END

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