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自分との戦い 武器のない戦い 欲望の戦い 戦いと選択 (tubarohu)

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匿名ユーザー

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 ・・・。
 
 はぁ、はぁ、はぁ・・・。
 緊張で高なる心臓と呼吸。

 ここは何処だっけ・・・?
 恐怖で前が見えない。

 俺は何やってんだ・・・?
 壁に隠れていることすら忘れそうだ。

 何で俺はこんな物もってんだ・・・?
 手に持っているのは機関銃。トリガーに手をかけているのに存在を忘れるところだった。

 俺は・・・誰だっけ・・・?
 名前など何の関係もない世界故にそれすらも忘れそうになる。

 そこまで思考が進んだところでようやく俺は思い出した。俺の名はモララー。ここは戦場。そして・・・俺は兵士だ。敵を殺すのが役目だ・・・。
 ようやく自分のすべき事を思い出したところで目の前の壁から敵兵士が飛び出してきた。機関銃を乱射しながら意味不明な叫び声を上げ、こちらに向かって突っ込んでくる。
 (死ぬ気か・・・!?)
 俺は迷わずそいつに照準を向けると、トリガーを引いた。次の瞬間叫び声はとぎれ、地面には赤い・・・いや、どす黒い液体を流しながらAAが倒れていた。
 この時俺は迷わなかったが、後悔と自噴の念は“人であった物”を見た時に俺を襲ってきた。

 俺もその内こうなるのか?

 殺した俺は罪人じゃないのか?

 俺はあいつが心から憎かったのか?

 なんで俺はあいつを殺したんだ・・・?

 思わず上げそうになる叫びを“理性”で押さえつけ、とにかく俺は死なないために引き金を引き続けた。俺の前にはもう5人ばかりの“人であった物”が倒れ伏している。
 ここまで来ると俺は自分が生来持っている“理性”という“最強の銃”で後悔と自噴というまともな自分を撃ち殺し、平然と引き金を引くようになっていたと思う。だから、俺は今しか考えていなかったんだろう。
 でも、目的までは変わっていなかった。俺は“勝つ”ために引き金を引いたのではなく、自分が生き残るために引き金を引いていた。
 自分勝手なことだろう。でも、皆の顔を見るとそれが普通なのだと思えてくる。俺より少し前に位置している兵士、フサはさっき援護に来たモナーに銃を向けたのだ。その顔には死にたくないという願望と恐怖という絶望の仮面が何を入れる隙間もなく張り付いていた。しかし、危ういところでフサの意識にモナーが認識されたのだろう。モナーから銃口を外して前から迫る敵に再び銃弾を浴びせ始めた。
 俺もよそ見するのを止めて前に意識を向けた。その時、俺がフサと違っていた点は恐怖と冷静さ、これだけだろう。

 やがて戦場から敵兵は居なくなった。撤退したのだろう。
 「よくやってくれた。君たちのお陰で我が軍は・・・」
 何も知らない上の指揮官は勝手なことをぬかしやがる。この時、俺の拳はこの上ないほどにきつく握りしめられていた。前線の兵士の心なんて、あいつらには想像も出来ない事なのだろう。
 
 俺は宿舎の自分の部屋に戻ると、ベッドに横になった。この時になると自分を責める意識が生き返り、俺を責めてくる。

 君はこんな事を望んでここに来たのか?

 違う!

 君は敵を殺すためにここに来たのか?

 違う!!

 君は生きたいのに、何故死ぬところに来たんだ?

 五月蝿い!!!

 君は・・・なんのために戦う?

 守る者のために決まってるだろ!!!!

 相手はどうなのかな?

 ・・・!!!

 君と同じだったんじゃないのか?

 違う!!!!!

 俺は全ての答えがもうすでに解っていた。その答えが導き出す真理はここに居てはいけない、という答えだ。
 でも、俺はここに居続ける事となった。結局俺はこの戦争が終わるまで、この場所から解放される事はなかった。
 恐怖と絶望、罪意と自噴、怒りと憎しみ、その名の付いた鎖が、俺をいつまでもここに縛り付けていたからだ。
 ここを出れば俺は罪人にして罪を問われない自分を一生自分で責めることになるだろう。そうならないためにはここに居続けるしかない。戦場に、罪が罪にならないこの場所に、居るしかなかった。



 「・・・」
 俺の話を黙って聞いていたのはギコだ。こいつも、俺と同じように守りたい人のために戦場に行こうとしていたのだ。
 「それでも・・・おまえは戦場に行くのか?」
 当然だが俺としては、絶対に行って欲しくない。
 「じゃあ・・・俺はどうやってあいつを戦火から守るんだ・・・?」
 苦悩に歪むギコの顔・・・。それは、俺が軍に志願しようと思った時と全く同じ物だ・・・。その時の俺には答えはなかった。だが、今は一つの答えを導き出していた。
 「逃げるんだ。」
 それが、俺が軍人生活の中で導き出した戦火から人を守り抜くための最良の手段だった。
 「逃げる・・・?」
 「そうだ、戦火を逃れてとにかく逃げるんだ。相手を殺してはいけない。そうなれば、おまえはその道でしか生きていけなくなる。」
 俺は昔の自分を思い出し、少し口調が強くなった。
 「それで・・・守り抜けるのか・・・?」
 少し表情を明るくしたギコが、まだ問いかけてくる。俺は自信を持ってそれに答えた。
 「あぁ、おまえが戦場に行くより絶対に確実な方法だ。そして・・・」
 「?」
 「相手を許してやる方が、憎むことよりもずっと勇気と強さがいることなんだ。それを忘れるな。」
 最後の言葉を言う頃の俺の表情は悲しみを含んだ笑みとなっていた。
 「わかった、俺はあんたの言う通りにしてみるよ!」
 目的を見つけた者の持つ、勇ましい笑みを浮かべながらギコは走り去っていった。その姿を見つめながら、俺は呟きを漏らした。
 「あの時・・・今の俺ならどうしたんだろうな・・・。」
 それは遅すぎる後悔かもしれない。そうでないのかもしれない。でも、解っていることが一つだけある。
 この後悔の時間は俺と同じ者を増やさないために俺に与えられた時間なのだろう、ということだ。

                                      短編1 終わり



 俺は逃げている。
 戦いから。

 俺は戦っている。
 戦争と。

 俺は守っている。
 大切な人を。

 「くっそ・・・! ここもか・・・。」
 俺の目の前には破壊された町が広がっている。俺は戦争から逃げるため、国の端に向かい歩を進めている。
 だが、戦火は思いの外広く、俺達の行く先々にその爪痕を残している。
 「大丈夫、次の町にはきっと人が居るから。」
 このセリフを、隣にいるしぃから聞いたのはこれで何回目になるだろう。
 「そうだな・・・。」
 もうここまで同じ光景を見ると、絶望するのもめんどくさくなってくる。そんな気すらしてくる。
 こんな事を考えている俺の名前はギコ。戦火を逃れるために国の中を逃げ回る、ただの民間人だ。
 俺はモララーに言われた通り人を殺さないために、そしてしぃを守るために国内を歩き回っているが、今のところ安全そうな所はない。運良くも、今まで空爆にあったとか敵兵や味方兵に会ったと言うことは無いが、このままでは安全な所など見つけられるのかどうかも怪しい。
 その後も俺達は歩き続け、町を見つけたりもしたがそのたびに運命は俺達をあざ笑い、不幸な方の運命を与え続けた。
 「ここも安全とは言い難いな・・・。」
 ようやく見つけた家の大丈夫な今回の町は敵軍の駐屯地になっていた。
 「じゃあ、また移動ね。」
 いやはや・・・このパターンも何回か経験はしているが、やはり一番嫌なパターンであることには変わりない。遠くから見つけると、一瞬であっても安心するからだ。
 (この国に安全な所なんかあるのか・・・?)
 このセリフはタブーとなっているため、声には出さない。しかし表情がそれを物語っていたのかもしれない。
 「このまま時間が過ぎて・・・戦争が終わってくれればいいのにね・・・。」
 俺は驚いてしぃの方を見た。その顔に浮かぶのは悲しげな笑みとまだ失わない希望の光。
 それを見るたびに俺はまだ頑張ろう、という気持ちになる。しぃが居るから、まだ頑張れる。そう言ってしまっても過言ではあるまい。
 「そうだな・・・。 それを待つためにも諦める訳にはいかないんだよな・・・。」
 
 武器を使わない戦い。

 俺が今しているのはまさにそれだろう。

 人として生きるための戦い。

 そういう意味にもとれるだろう。

 それは俺の思い描く理想。

 「下らない。」そう言い捨てる人も居るだろう。

 しかし、理想には人の願いが込められている。

 限りなく無理に近くても、それを追って俺達は進み続ける。

 最後の瞬間まで・・・。

                                      短編2 終わり



 何故戦う?
 さぁな。

 金のためか?
 そうかもな。

 そのためだけに人を殺すのか?
 そうだ。

 高精度光学照準機の真ん中に顔が映る。
 それの後頭部に照準を合わせ、引き金を引く。
 弾は正確に目標を撃ち抜き、赤い液体をぶちまけた。
 (これで良いだろう・・・)
 僕はヒッキー。狙撃専門の傭兵をやっている。僕は元々引きこもりだからまともな職業に就けるはずもないし、同じ理由で社会への反発心も強い。そんなわけで今、こんなことをやっている。
 「約束の金だ。」
 目の前に依頼者からのアタッシュケースが置かれる。開けてみると中には確かに大量の札束が詰まっていた。これだけの金額なら当分生活には困らないだろう。
 「どうも・・・。」
 ろくに挨拶もせず、僕はすぐに家へと向かった。
 外の空気はいつ感じてみても良い物ではない。欲望、憎しみ、嫌疑、恐れ、そんないわゆる負の感情ばかりが際だつ空気だ。僕もそれに一役買っているとは思うが、やはり感じてみると良い思いはしない。
 
 僕は引き金を引き続ける。金のために。
 
 正義なんていう自分の主観で人を殺す連中よりは遙かにましだ。
 
 でも、結局この理由にしたって金が欲しいという欲望、当然僕の主観だ。
 
 仕事を始めてから、ようやくそれに気づいた。

 それまで気づかずにいた自分がどれだけ幸せだったか、今となっては想像もつかない。
 
 欲望のない世界にいたい・・・。
 
 だから僕は引きこもるのだろうか・・・。

                                      短編3 終わり



 人の心。それは正しいことをすることを嫌うのではないだろうか。“戦ってはいけない”そんなことは誰でも知っているはずだ。なのに人は自らの激情に流され、戦う。激情の矛先を向ける相手はほとんどの場合、誰でも良いと思っているのだろう。「俺は今、そんなこと出来ない!」と逃げるのは自分たちの常套手段だ。でも心の中ではその逆が本来正しい物だと解っている。なのにその場その場の激情に振り回され、感情的な過ちを犯す。それが普通なのだろう。
 しかし自分以外の人はそんな自分を見て「だから言ったのに・・・」と絶対に口にする。心の叫びが解るのは自分だけなのだ。だから周りの人は常に正しいことを自分たちに提示する。しかし自分たちはそれを、正しいことを、甘んじて受け入れはしない。だから人は過ちを犯すのだろう。
 ここまで来て、「それなら心など本当は不必要なんじゃないのか?」と思う人もいるだろう。確かに心が無く、本能だけで動くのなら自分たちは一切の迷いや憎しみから解放される。しかし、そうなってしまえば自分たちがここにいる理由などは根底から破壊されてしまう。人はただ増え続け、地球を食いつぶすだけとなるだろう。しかし、心があればその行いに気づくことが出来る。そして自分以外の他人を思いやることが出来る。そして自分たちの存在の意味を探すことが出来る。矛盾することだが、人は正しいことを心によって選択することが出来るようになれるのだ。
 その先に必ずしも究極的な答えがあるかは解らない。しかし、

                                                                                                                  これが人の、選択なのだろう。

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