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永遠の戒め(番外編追加) (アルト)

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匿名ユーザー

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俺は・・・ギコ。
昔、しぃと付き合っていた。
しぃは去年、死んだ。
俺をかばって。

一年前、事件がおきた。

確か車が歩道に突っ込んできた。
後で調べたら飲酒運転だったそうだ。
俺は何かに押されるのを感じた。しぃだった。

時が永遠の戒めに思えた。

救急車が来て、俺たちを連れて行く。
しぃと車に乗っていた人物は、即死だった。
俺には儚いしぃの面影だけが残った。

一年がたった。

俺の手には深い傷がある。
あの日から毎日自分を切り続けていた。
しぃに、会いたかった。それだけの理由。
けれど、死ねなかった。
医者の言葉は、俺を絶望させた。

「あなたは特殊な体質ですね。・・・不老不死体質です」
信じられなかった。嘘だと思いたかった。
死ぬのが辛いんじゃない、死ねないのが辛いんだ―――・・・


それからさらに一年が過ぎた。
ギコは生きてはいたが、目に光はなかった。
ある時、ギコは夢を見た・・・

一面の野原に、一人の少女が立っていた。
そして泣いていた。
「私はあなたから出て行ったほうがいいのですか・・・?」
ギコには意味がわからなかった。
「私は不死の神。あなたに生まれた時から取り付いていたんです」
少女は泣き続けた。
「私が出て行けば・・・あなたは死ねるようになる。出て行ったほうが・・・いいですか?」
ギコは迷った。
そして・・・頷いた。
「わかりました。でも、忘れないでください。
 あなたを愛する人がいる限り、あなたを覚えている人がいる限り、
 あなたは物質的には死んでも人の心の中に生き続けなければならないのです。
 それは、どんな生き物でも同じなんです」
そういうと少女は泣き止み、言った。
「さあ・・・現実の世界に戻ってください。あなたはもう・・・普通の人間です」

ギコは目覚めた。
そして感じた。
自分の中の何かが変わったことを。
そして思った。
――俺はしぃのためにしぃと共に生き、死ぬと思っていた。
  けれど、俺は俺のためにしぃと共に生き、死ぬのだろう――

天の世界はあるのだろうか。なくても、きっと俺はしぃと同じところにいけるだろう・・・
ギコはそう思い、そして慣れた手つきで手にナイフを当てた。
すべてはギコにとって、日常のこと。
目を瞑り、手に力を入れる。
ギコの目は再び開くことはなかった。

青い空に新しい星が、知られることなく輝いた。
数年前に現れた、桃色の星の隣に。

END


番外編 心地よい風

俺はそこにいた。
彼女もそこにいた。
長い時がかかったが、俺はやっと彼女の元へくることが出来た。
手に傷はなかった。
そこはいつか見た、一面の野原だった。
あの時の少女は、誰だったのだろうか。
懐かしさがあった気がする・・・。
そんなことを考えていると、彼女が俺の顔を覗き込んでいた。
「どうしたの?」
俺は考えていたことを言った。
「・・・知らなかったの?その子もいったんでしょう?
 人に強く愛された人は・・・あまりに強く愛された人は、
 永遠に生きるの・・・その思いが朽ちない限り、ね」
俺は悟った。
あれは彼女の愛の形、つまりあの時俺は彼女にあっていたのだ。
「追い出した俺は、残酷だったな・・・」
俺がつぶやく。
「いいえ・・・、私があなたのこときっと何もわかっていなかっただけ。
 悪かったのは、きっと私・・・。」
心地よい風が吹く。
これも永遠の命なのだろうか。
それでもいい。彼女といられるのならば。
俺は永遠の愛、彼女の愛に満たされて過ごしていく・・・

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