ささいな事でケンカした。
「しぃー! 」
「ギコ君! 遅いー(怒)」
その日は春。とても暖かく、散歩日和な日だった。
せっかく良い天気だし、桜も満開で綺麗なので、スケッチをする約束をしていた。
少し高い丘の上の芝生に、2人並んで腰を下ろした。
風で桜がゆれる。隣にはしぃ。
「(俺、シアワセだな…♪)」
ギコが少し微笑みながら思っていた。
「しぃ、ちょっと見せてー! 」
そういってスケッチブックを覗こうとするギコ。
「だめっ! 完成してからのお楽しみ! 」
「えー、なんだよぉ~ 見せてくれたっていいじゃん! 」
「(ぶちっ)ギコ君のバカ! しつこい! 」
しぃはスケッチブックでギコの頭をボン、と叩いた。
そうするとぷりぷり怒りながらどこかへいってしまった。
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「ああ~、もう…なんであんなこと…」
さっきのは3日前の事。そのことをくやむギコ。公園のベンチに腰掛けている。
ふぅっ…
ギコがため息をつくと、心地良く暖かい、春風がふいた。
それは桜をやさしくゆすり、あの時と同じように桜が宙を舞った。
「…(今まであんなに仲良くしてきたじゃないか。
なのにちょっとしたケンカで…正直にあやまろう。)」
風がふきおわり、桜の花びらで見えなかった前方に、しぃがいた。
「しぃ! 」
「あ、ギコ君…」
2人の時が止まった。
………………
沈黙を破ったのはしぃだった。
「ごめんねギコ君! スケッチブックで頭叩いたりして…」
「いや、俺も悪かった。ごめん…」
「ううん、いいの! またスケッチしに行こ! 」
「…うん! 」
END