地球には数多くの生き物が暮らしている。
その多くは、力を持ち、弱肉強食の世界を生きている。でも、人は違う。人には力よりも知能がある。人間は知恵を持つ動物だ。そのため、力を持つ動物には勝てない。だが、力ではなく代わりの『知恵』がある。人は弱肉強食の世界で生きるなら、知恵を使う動物なのだ。だが、その知恵は別のものになってしまった。そこで… ここからは知恵と力について考えていこう。
「ハァ?」
「だから、人ってなんで虐めとかするんだモナ?」
学校の休み時間、隣の席同士で話をしている生徒がいる。
モナーとギコだ。
彼らは今、夏休みの宿題である作文のためのアイデアを考えていた。
「そんなの強い奴が弱い奴をいろいろ悪さして自己満足してるだけだろ?」
「たしかにそうモナ、でも猫や犬はそんな事はしないモナ」
「えっ? 喧嘩みたいなのをしたりするんじゃないのか?」
「そうじゃなくて、あかの他人と一緒に同じ種類の動物をいじめたりするはずないモナ」
「まぁ、たしかにそんな事はめったにないな」
「では、何故人間はそんな事をするのか?」
「……知恵、か」
「そう、人間は他の動物と違って知能を持つモナ。そのため、自分に何もしてこない、力が無い人をこき使うモナ。こき使ってしまうのは、一度、家や家庭で命令してみるモナ。すると、人はその事が楽である事を知るモナ。そのため、いじめや虐待につながるモナ。歯向かう弱いものはみんなそうしてしまうモナ」
「知恵があるから虐めがあるんだな。でも、これはしかたのないことじゃないのか?」
「そうかもしれないモナ。虐めはやめられないモナ。人間に知恵があるかぎりそれは収まらないモナ」
「ほらな、結局無理な話……」
「でも…」
ギコの話の途中でモナーが割り込むように話し出す
「なんでモナ?」
「えっ?」
「なんで虐めに知恵を使ってしまうモナ?」
「……」
ギコは黙っていた。
「人間が何故知恵があるのか知ってるモナか?」
「さぁ…」
「人間は力が無い代わりに知恵がある。それはわかっているはずモナね?」
「あぁ…」
「その知恵を生きるために、この世界のために役だたてて欲しいモナ。せっかく神様から得た知恵を何故争いや、殺戮に使ってしまうんだモナ? 何故、世界や生物に使ってあげないモナ? そういうところをもっと考え直して欲しいモナ。」
「ふ~ん。モナーはそんな事を考えていたのか」
「そんなとはなにモナ!?」
「まぁ、いいだろ。俺たちで未来を変えていけば。」
「!!」
「たしかに悪い奴もいる。でも、知恵をうまく使って世界のために活動してるやつだってたくさんいるじゃねぇか。世界はそんな事、もう考えているよ。お前みたいな奴らがな。」
「……」
「…それもそうモナね」
「人間にも良い人はたくさんいるって事を忘れていたモナ…」
「そうだよ、俺たちはそんな人のおかげでここにいるんだよ」
キーン コーン カーン コーン
休み時間が終わり、合図のチャイムが学校に鳴り響く。
ガラララッ
先生が入ってきた。その顔は嬉しそうに笑っている。
「今日は授業の前に話しがあってな」
先生が生徒全員を見る。
「実はな、昨日、募金活動で集まった金額が10万を超える金額になったそうだ。これで世界の貧しい人々もたくさん救えるぞ。みんな、協力をありがとう。」
ギコはモナーに振り向く。
モナーは笑顔で笑っていた。
一つの涙を流して……
ЖENDЖ