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運命~Nightmare City~(柚木)

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匿名ユーザー

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”運命”なんて本当にあるのだろうか。

目の前に起こった障害を、乗り越えられなかったヒトが創り出した
逃げる為の言葉ではないのだろうか…。

「こうなることは最初から、運命だったんだよ」

―本当に?

だとしたら私はきっと、それを造ったヒトを恨むわ。

ねぇ、ギコ君。

あなたと私が出会ったことは、間違いじゃないよね?
これこそが決まった定めだということを、私は… 願ってる。



「しぃ、待ってろ。必ずお前をここから救い出してやる」



壁の向こうから聞こえた声は、私にとっての唯一の救いだった。
私のことなんか、何一つ知らないはずなのに、ひとつも疑わずにあなたは
救おうとしてくれた。
それを考えたら、いまでも泣きそうになる。


―そして、本当にあなたは私の元へやってきた。
壊れていく街。
暗くて薄暗い空に、不安を覚えた。
真っ黒の月は、今でも記憶に鮮明に残っている。

あなたは、私が敵のAIだと知って驚いたと思う。
でも、守ってくれた。
どんなに自分が傷つこうと、私を守ってくれた。
だから私は、恩返しがしたかった。
あなたに守ってもらうばかりじゃ、強くなれないって思ったの。

ギコ君。正義感が強いあなたのことだから、後悔しているのかもしれない。
だけど私は、あの事件のおかげであなたに逢えたんだと思う気持ちもあるんだ。

大丈夫。
私は、こっちで頑張ってる。
ギコ君も精一杯”現在”を生きてね…。


「しぃ!!」


手を伸ばしたが、少し遅く、しぃに触れることは出来なかった。
目を覚ますと、いつもどおりの自分の部屋。

「…夢、か…。」

もう何度、あの時のしぃの夢を見ただろうか。
あの事件から、時はもう一年を経とうとしているというのに。
…もう一度、しぃに逢えたなら。

夢の中で彼は、また彼女と巡り合う。
何度も、何度も…。
時がどんなに過ぎようと

ずっと。


―これが彼の、”運命の一つ”なのかもしれない。






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