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ギコと魔法の地図(ムーシュー)

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第一章話し合い

ある朝、目をさましたリンの村の人々は、山から下ってくる川の水が
目に減っているのに気がついた。そのわずかな流れも、一日が終わらない
うちに止まってしまった。水車の歯車も動かなくなった。村のはずれには、
家畜のバクシャーが水飲む池があったが、その水もよどんだままだった。
いつもなら川がいきおいよく流れこんできて、縁まであふれそうになっている
はずなのに。
次の日も、そのまた次の日も、水は流れてこなかった。四日目になると、
バクシャーの池の水は茶色くにごった。朝に夕に水を飲みに来るバクシャーは
頭をふりながらうなだれ、前足で地面を引っかいた。
五日目になると、池の水はさらに減って、妹のガナーでも袖をぬらさずに池の
底に手が届くほどになった。それでもまだ川の水は流れてこない。
六日目の夕方、不安にかられた村人達は、市の開かれる広場に集まって、
話し合った。
「バクシャーの飲み水がなくなった。すぐになのか手を打たないと、
このままでは死んでしまうわい」
と、村いちばんの年長者で、昔は偉大な戦士だったフーンが言った。
「スターは死なせないよね。スターは死なないでしょ、ねえお兄ちゃん?
うちの井戸の水を、お兄ちゃんがあげればいいでしょう」
ガナーが、兄のギコにささやいた。
バクシャーの世話係のギコがこたえた。
「バクシャーは井戸の水が飲めないんだ。塩分があるから、病気になってしまうんだ。バクシャーが飲めるのは、山から流れてくる川の水だけなんだよ。
これまでずっと、そうしてきたんだからね。もし川が干上がったまんまだと、
スターもほかのバクシャーも、死ぬしかないんだ。」
それを聞くと、ガナーはめそめそと泣き始めた。
リンの子供は泣き虫ではなかったが、ガナーはまだ小さかったし、
スターが大好きだったからだ。
怖さに、胸やのどがぎゅとしめつけられるようだった。

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