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FFAA Afterstory Disc2 ~Last Battle!~ (美怜)

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前スレ
http://town.s96.xrea.com/cgi-bin/longmoto/anthologys.cgi?action=html2&key=20051230161535

元ネタ
http://clairvoyance.hp.infoseek.co.jp/



『モナー・ユートゥース、ギコ・ハニャーン、モララー・モラール、か。なかなか良い名を持っている』
 3人の顔をかわるがわる見回しながら、ナナシアは一際響く声で言う。ギコがすかさず前に出て、怒鳴った。
「うっせぇ!俺達の存在意義は、テメェなんぞに渡してたまっかゴルァ!!」
「待て。・・・妙だな」
 ギコを遮り、代わりに前に出たモララーが前に出て、警戒しながら尋ねてみた。

「・・・俺はともかく。何故貴様がモナーとギコの名を知っている?」

『・・・』
 真顔に戻り、少し沈黙するナナシア。しかし、やがて本来の不気味な微笑を取り戻し、言い放った。
『裏切り者の貴様が・・・いや、もう間もなく消え去る存在である貴様らが知るべき事ではないわ』
「何だと!?」
「落ち着くモナ、ギコ!また殺されちゃうモナ!」
 再び前に出ようとしたギコを、モナーが慌てて引き止める。ふん、と鼻で笑うと、ナナシアは言った。
『慌てずとも。先日の役立たずどものように、痛みすら感じる間もなく葬ってやる』
 言い放ち、ナナシアが胸の前で両手をかざし合わせる。紫色の邪悪な輝きが、かざされた両手の平の中に集まろうとしていた。
「まずい!破滅の閃光だ!!」
 モララーが叫び、他2人も身構えた・・・その時。



「『ファイガ』!!」



 ドガァン!!!
『ぐぉっ!?』
「「「!?」」」
 突然一同の耳の中に聞こえてきた、少女が魔法を唱える声。ついで、ナナシアの身体を中心点として炸裂した猛火。ナナシアが思わずのけぞり、3人が驚いて振り返ると。



 ・・・『彼女』が、普段通りの笑顔で立っていた。



「・・・間に合って、良かった・・・ギコ君、みんな!」



「「「・・・し・・・しぃ(ちゃん)!?」」」



 先日モナーから譲り受けた杖を片手に、全速力で走ってきたのか、荒い息をつきながら、安心しきったように笑う桃色の猫型AAの少女、しぃ。モナーも、ギコも、モララーも・・・驚愕していた。



 何しろ彼女は、先ほどまで病院の一室で、まるで死んだかのように眠っていたのだから。



「な・・・ど、どうしてモナ?しぃちゃん、さっきまで・・・」
 モナーが疑問を口にした。しぃはくすっと笑うと、ギコに向かって言った。
「ギコ君、ちょっと時間操ってもらえないかな?」
「え、あ、ああ・・・『スロウ』!!」
 慌てて頷き、ギコが槍を掲げて唱える。回りの時間が緩やかになっていくのが、目に見えて分かった。
「ありがと。じゃあ、話すね」
 そう言い、しぃは説明を始めた。
「あのね。私、ずっと・・・夢を見てたの。だから、身体は健康でも、夢に閉じ込められて、覚醒出来なかった・・・」
「ああ。うなされてたな、お前。ギコが血相変えて医者に掴みかかってたぞ」
「・・・そっか」
 モララーの言葉で、しぃは目を伏せて寂しげに苦笑いした。そして、顔を上げて説明を再開する。
「ね、ギコ君。別れる前に話したの、覚えてる?」
「・・・、忘れるわけねぇだろ」
「・・・そうだよね・・・それでね。私、真っ暗闇の中に立ってるの。その時にしたお話がね、ずーっと闇の中に木霊してるの。それで・・・私は、夢から抜け出したいのに・・・ギコ君に今すぐにでも会いに行きたいのに、どうしても覚められなくて・・・悲しかったの」
「「「・・・」」」
 しぃの言葉に黙って耳を傾けるモナーたち。しぃは続ける。



「するとね。・・・突然、別の声がしたの」



「別の声?」
「うん。男の人で、ものすごく威厳がある人の声。聞いた事無いような声。・・・それで、厳しいけど・・・優しい声なの。・・・その人が、私に聞いてくるの。いつまで悪夢の中にいるのだ・・・ってね」



『・・・お前はこんな場所で何をしている?いつまでこんな悪夢の中にいるのだ?』
「・・・誰・・・?」
『我は質問しているのだ。答えよ。何故悪夢の中にいつまでも留まる?』
「私だって・・・早く出たいわ、こんな闇から!」
『ならば早く出よ。お前を待ち続け、お前を護りたがっている者がいる』
「でも・・・どうやって出ればいいの?いっぱい願った。今だって願ってる。でも出れないの」
『・・・願うだけか。ならば致し方あるまい。願うばかりではなく、行動に移さねば』
「行動・・・どうすればいいの?」
『お前は迷っているのだろう。早くこの悪夢から目覚め、愛するものや友人を助けるために戦いたいが、自分には力は無い・・・待ち受ける強大な敵が怖い。仲間達の足手まといになるのが怖い。何より・・・死ぬのが怖い。・・・心のどこかで、そう思っているのではないか?』
「・・・」
『図星か。・・・案ずるな。勝敗は力では決まらぬ。心で決まるのだ』
「・・・心で?」
『悪しき物と正しき物。悪しき物は力に頼り、正しき物は心に頼る。古代よりの数多の戦乱・・・ずっとそうだ。しかし、その力などまやかし。そのまやかしを見透かす心が大事なのだ』
「・・・」
『まあいずれ分かろう。最終決戦でな。・・・我が力を与える。愛する者を助けに参るが良い。・・・迷いを捨てて』
「・・・うん・・・私、助けたい。私の大事な人」
『・・・良い答えだ。さぁ、走れ』



「それで、言われたとおりいっぱい走ったら、目の前に凄い光が見えて・・・気がついたら、病院のベッドで寝てたの」
「・・・それで、さっきファイガを使ってたんだな。初期魔法しか習得してないお前がいきなり上級魔法を使っていたときはかなり驚いた」
 モララーが頷きつつ言う。しぃは頷くと、再び語り始めた。
「お医者さんは、全部健康だからすぐ退院していいって言ったの。この杖も返してくれて。夢の人が言ったとおり、杖には私が覚えてた奴意外に・・・さっきのファイガとか、ブリザガ、サンダガ、アレイズまで入ってた。それでそれを持って病院を出ようとしたら、ここに雷が落ちたのが見えて、空が血みたいに真っ赤に染まってて・・・私、ギコ君たちがあそこにいるんだって思って、全速力で走ってきたの」
「そうモナか~。良かったモナね、悪夢から出られて!モナ、安心しちゃったモナ」
「気を緩めるのはまだ早いぞ、モナー。4人パーティになったところで、あれを倒さなきゃならないからな。飛空艇の時とは訳が違う。・・・全力で行こう」
 モナーに向かって警告するモララー。一同が頷いた。すると。
「あ、そうだ。起きたとき、枕元に、これが落ちてたの。拾い上げた途端、あの人の声がしたの。仲間の役に立つものだ、って」
 突然思い出し、しぃが懐から何かを取り出した。白、黄、紫に淡く光る、丸い何かの物体。
 一同は戸惑いながらも、自分の色に相当する玉を手に取った・・・その時。



 3人の身体に走る、何かの感覚。



「「「・・・っ!!」」」
 体の奥底から湧き上がる・・・人知を超えた、熱い何かの力。
 それは3人の手の中へ、ゆっくりと入って行く。

 3人は、新たな力を感じたように思った。



- モナーは「ケアルガ」「アレイズ」「エスナ」を習得! -
- ギコは「ヘイスガ」「スロウガ」「リフレク」を習得! -
- モララーは「ファイガ」「ブリザガ」「サンダガ」を習得! -

- パーティメンバー全員のレベル・ステータスが大幅に上昇した! -



「・・・凄いモナ・・・これで戦いがずっと有利モナ!」
「じゃあ、そろそろ行くか」
 喜ぶモナーを尻目に、ギコが呟き・・・そっと、『スロウ』を解除した。



『ハッ・・・!・・・そうか。『スロウ』で、私の時が止まっていたのか』
 我に返り、一瞬で全てを把握したナナシア。それから、一人増えたパーティの面々の顔を見回し・・・うっとりしたように言った。
『・・・素晴らしい名だ。我が糧になるにはもってこい・・・一人増えたようだが、やはり・・・私には勝てぬわ』
「言ってろゴルァ!1回負けたくせによ」
 ギコが野次を飛ばす。ナナシアの表情から笑みが消えた。
『・・・この私に暴言を吐こうとは。あの時は今ほどの名の干渉・・・すなわち力が無かっただけの事。今回は違う。4人まとめて糧にしてくれる』
 言うだけ言うと、ナナシアはゆっくりと地面に舞い降り・・・



『遠慮するな。来るがいい。愚かものども』



 きっぱりと言い放った。自分から攻撃する素振りは全く見せない。
「・・・俺達の力を試そうってハラか」
「上等だゴルァ!」
 一同が、武器を構え・・・モナーとギコが走り出す。他2人が後ろで詠唱をする。



「はぁぁぁっ!!」

「くらいやがれ、ナナシアっ!!」

「冷気よ、凍てつきの断罪を!『ブリザガ』!!」

「雷よ、雷鳴の天誅を!『サンダガ』!!」



 防御すらしようとしないナナシアに、4人の攻撃は、当然のようにヒットした。・・・しかし。



『・・・この程度とは。私もなめられたものだ』



 一方のナナシアは、傷一つ負わずけろりとした顔。4人が驚愕する。
「な、何だと・・・!?」
「利いてないモナ!あれだけ攻撃受けて、どうして!」
「・・・凄い・・・力を感じるよ・・・」
「・・・、それだけ犠牲があったということか」
 モララーが冷静に呟く。ナナシアは鼻で笑うと、言った。
『さて。こちらのターンと行こう・・・』



『炎よ、灼熱の地獄を・・・『ファイガ』』



「ッ、『リフレク』!!」
 ギコが慌てて、魔術の防壁を全員に張る。寸前で、ナナシアの猛火は弾かれた。
「ち。弾くのが精一杯、ッつーとこか」
『ほう。私の魔術を弾くとは、なかなか』
 舌打ち混じりに言うギコに向かって、感心したように言い放つナナシア。やがて、その笑みが不気味な微笑に変わる。



『それが・・・いつまで持つかな?』



「・・・ふぅむ」
 管制室のディスプレイをにらみつつ、兄者が唸る。
「この空の色、そして落雷の多さ。・・・尋常ではないな」
「・・・兄者」
 独り言を言いつつ機械を操作する兄者の隣で、弟者がそっと呼びかけた。
「時にどうした?弟者」
「良いのか?」


「俺は、あいつらとの共同戦線を却下した覚えはないぞ」

「・・・」
「今頃死にかけてる可能性がある。行ってやらないのか」
 黙りこむ兄者に向かって、弟者がさらに言いつめる。目線を合わせずとも、彼の言葉に憤りを感じた。
「・・・構わん」
「何故にだ」
 思わず、大きな音を立てて、椅子を倒すほどの力で、弟者は立ち上がっていた。
「何故、そこまであいつら4人を一緒にしようとする?またのけ者になろうとする?」
「・・・」
「俺らは確かにのけ者だったさ。しかしな。そののけ者を受け入れてくれた奴らだぞ?」
「・・・」
 弟者の厳しい問い詰めに、兄者は答えない。
 2人の脳裏に蘇る、あの記憶。



 パソコンの授業の時に、こっそり2chを覗いていて。
 うっかりエロ画像踏んじまった事が、事の発端だった。



「近寄っちゃ駄目だよ。あんなオタク兄弟」
「あいつと喋ったらオタクがうつるぞ」
「テストで100点なんか取ってんじゃねぇよ。オタクのくせに」



 ある事ない事言われ続け。
 オタクと呼ばれ、罵られ。
 酷い時は、手が出た。
 でも、大人の連中は何にも気づかない。

 世間体といじめっ子の猫かぶりとに、二重に騙されてたから。

 そんな日が続いて、6年になった日。
 クラス替えで、俺は弟者と離れて、あいつら4人と一緒になった。

 俺は、初めて話しかけられた。



「なぁなぁ。お前、元B組のいじめられ兄弟の兄貴の方だろ?」
「・・・え。う、うむ、まあ、そうだが・・・」
「モナ達と友達にならないモナ?」
「俺達、ずっと兄弟で虐められてるの見てたんだ」
「だけど、止められなくって・・・ごめんね」
「・・・だが・・・」
「心配すんな!今度いじめっ子どもが来たら、俺がぶっ飛ばしてやるからよ!」
「ギコ君・・・乱暴は良くないよ・・・」
「とにかく、俺達は絶対お前のこと虐めない。弟の方もな」
「うん、絶対モナ。だから、仲良くして欲しいモナ!」
「本当・・・か?」
「おぅ!当然だろゴルァ!」
「うん。仲良くしようね」



 最初は信じられなかった。
 でも、毎日挨拶されたり、弁当一緒に食ったりする度に、信じられるようになった。



「あの頃の借りを返すつもりで行って来い。弟の命令だ」
 兄者とようやく視線を合わし、弟者はきっぱりと言う。
「・・・しかし」
「何故迷う?俺が知っている兄者はそこまでネガティブじゃなかったはずだがな」
 迷う兄者に向かって再び言い放つ弟者。そっと、目線だけをいつものPCに合わせる。



 カコログのプログラム書き換え。命の光のプログラム。
 崩壊を防ぎ、仲間の居場所を突き止めた、PC。



「心配には及ばん。この程度のバグ、徹夜の一つや二つですぐ復旧できる・・・ああ、それと」
 諭すや否や、思い出したように懐をあさり始める弟者。やがて、1つのチップを兄者に差し出した。
「これは?」
「先ほど、ガラクタの中に埋もれていたICチップに、少々手を加えた物だ。新たなデジタル魔法をプログラミングした。とっとと行って、役立てて来い」
「デジタル魔法・・・か」
 言われるがままに、兄者はPCにICチップを取り付ける。ぶぅん、と言う音と共に、ふわりとPC画面が輝いた。



- 新術「グラビティハック」「シェルブラインド」「リヴァイヴァルサーキット」を習得! -
- 兄者の各ステータス大幅アップ! -



「覚えとけ、兄者。もう俺らは昔のいじめられっ子ではない。誇り高き、新管理人なのだからな」
「弟者・・・感謝する」
 笑顔で諭すように言う弟者に同じく笑顔で返し、兄者は部屋を出た。
 兄者の背中を見送りつつ、弟者は兄者の口癖を真似て、呟いた。



「・・・流石だよな、俺ら」



『それで攻撃しているつもりか?』
 そう言いながら、ナナシアがあざ笑う。
 あれから、かなりの時間がたったかと思われた。
 どんなに攻撃しても、攻撃されているナナシアは傷1つ負わずに平然とした顔。むしろ、沢山攻撃しているはずの自分達の方が、かえって大きいダメージを負っているのであった。
 一同は、焦りを感じていた。
「畜生・・・!どうなってやがる!!」
「防御力が半端じゃないモナね・・・」
「突破口が見えない・・・このままでは・・・」
「如何すればいいの・・・?」
『無駄口を叩いている場合か?』
 焦りつつ会話をする一同に向かって言い放ち、ナナシアが術を放とうと手に気を込めた。凄まじい冷気が、ナナシアの周りに集束する。
「来るぞ、ギコ!!」
「お、おう!『リフレク』!!」
 モララーの忠告に頷き、ギコが防御術を放ったのと同時に。
『『ブリザガ』・・・』
 すさまじい冷気の渦が、一同を包んだ。
「「「・・・っぐ・・・!」」」
「きゃぁっ・・・!!」
 直撃は免れたものの、防ぎきれなかった術の波動が、一同を襲った。ふん、と鼻で笑い、ナナシアが言う。
『始めに比べて、威力が落ちてきたな。それでもまだ抵抗するのか・・・愚かな。降伏でもして、潔く私の糧となれば、まだ少しは痛みを味あわずに済むものを』
「ふざけんなゴルァ!!」
 すかさずギコが怒鳴りつけた。
「誰が降伏なんかするかよ!テメーなんかに!!」
「そうモナ!そうするくらいなら、自分で死んだ方がずっとマシモナ!」
「ああ、在り得ないな。少なくとも俺達には」
「わ、私だって!絶対、嫌よ!」
 他3人も同調する。そうか、とナナシアが呟いた。
『ならばやむをえん、そろそろ一思いに滅してくれる』
 宣言し、手に邪悪な気を込めようとした・・・その時であった。



 突然、眩く神聖な輝きが、ナナシアを包み込んだ。



「「「「・・・!?」」」」
『な・・・何だ、このわずらわしい光は・・・!』
 一同が目を見開いた。モナーたちは勿論、ナナシア本人にも、この光の正体は分からないらしい。
 しばらく見ていると、やがて光が文字の形に実体化した。
「何?・・・文字?」
「人名・・・か?」
「いろんな人の名前が、いっぱい浮かんでるモナ・・・」
 しぃが、ギコが、モナーが、呆気にとられる中。モララーが何かに気がついた。
「!・・・あれを見ろ!!」
 言われるがままにモララーが示した方を見て、ギコとモナーがすぐさま何かに気がついた。
「?・・・あ!!」
「あれ・・・はっきり・・・書いてあるモナ!!」



「ヤマザキ・ルイニング、ボルジョア・フュエル、タカラ・トイ・エンタープライズ、ポロロ・アッペタイト・・・って!!」



「え、誰それ?」
 唯一その場に居合わせなかったしぃだけが疑問符を浮かべた。
「あいつが創った、あいつに仕える神官だった奴らだ。俺達に負けたという理由で、消された」
「え!?」
「・・・という事は、あの光は・・・」
 ギコに教えられ、しぃが驚く。やがて、モララーが結論を言った。
「今までナナシアの犠牲になった名前・・・『存在意義』達か・・・」
「モナたちに、味方してくれてるモナ・・・?」
『お、おのれぇ・・・!この私に、この期に及んで、まだ・・・!!』
 モナーが呟く。ナナシアの叫びとは裏腹に、ナナシアを包む「名前」たちはますますその輝きを強めていく。
 ・・・その時。



『・・・貴方がたですね?』



 聞き覚えのある声が、一同を呼んだ。
「その声は・・・ヤマザキ、てめぇ!」
『まだ敵意をもっていらっしゃいますか?・・・当然ですね。彼の命令とは言え、貴方がたを殺そうとしたのですから』
 ギコの怒声に冷静に返すヤマザキの声。カコログの時とは違い、嫌味っぽい感じは完全に消えていた。 
『でも、もう彼の命令は聞けないYO』
『全くですねぇ・・・ですからね、これぐらいはしなくては、許して貰えないでしょ?』
 ぼるじょあとタカラの声も、何処からか聞こえてきた。
『ですから、償わせて下さい』
『何だと!?貴様ら、私が創ったというのに、逆らうのか!!』
『その創った神官を消したのは誰だYO?』
『ついでに僕らを『出来そこない』呼ばわりしましたねぇ?』
 声を荒げたナナシアに向かって、覚めた口調で言い返すぼるじょあとタカラ。ナナシアは言葉を詰まらせてしまった。
『・・・一人見慣れない顔がありますねぇ。でも仲間には変わりないんでしょ?・・・僕らの力、とくと見ておいて下さいね』
『これで彼の防御を砕けると思うYO』
『・・・どうか、大天使様をお救い下さい。力に溺れた彼は・・・見ていられない。哀れすぎて』
『・・・!!』
 3人の語りに息を飲むナナシア。4人は黙って、神官たちの話に聞き入っている。
『それでは・・・さらばです。大天使様』
 最期にヤマザキがそう言った、次の瞬間。



 先ほど以上に眩い輝きが、あたりを支配した。



「「「「・・・っ!!」」」」
『くおぉぉぉぉ・・・!!!』
 あまりの輝きに目を覆う4人。ナナシアが声を上げた。
「・・・今の光・・・何モナ?」
「分からない。・・・だが・・・何だ?この感じ」
「・・・凄ぇ。体じゅうが・・・みなぎるっつか・・・」
「今なら、倒せるよ!あいつ!」
 4人は、武器を手に再び立ち上がった・・・その時。



「OK。間に合ったらしいな」 



 意外な人物の声に、しぃを除く3人が驚いたのは言うまでもなかった。
「「「兄者!?」」」
「え、この人兄者君なの!?」
「しぃ、目覚めたか。何があったかは知らんが、お互いに間に合ってよかったな」
 思いがけない再開に驚いて声を荒げるしぃに向かって、兄者が微笑する。しぃは嬉しそうに頷いた。
「弟者の計らいでな。共同戦線に参加する許可を貰った。・・・ナナシアよ、お前にはめられた借りを返そうではないか」
『・・・お・・・愚か者めが・・・!な、何をやろうと無駄だ!私は大天使なのだ!!貴様らのような下種どもが、この私にかなう訳が・・・!!』
「必死だな」
 兄者にそう言われ、感情が先走るままに、威厳のかけらも感じられないほど焦った様子で怒鳴り散らすナナシア。兄者が噴出すのをこらえてきっぱりと言った。



「さて。弟者に貰った新術を、お前を実験台にして使わせてもらおうか?」
「ずりぃぞ兄者!俺だって大技ぶち込むんだぜゴルァ!」
「モナもやるモナ!あんな奴、許せないモナ!」
「これ以上、ギコ君たちや街の人々を傷つけさせないわ!」
「終わりだ、ナナシア。・・・俺を闇に陥れた罪、消滅で償え」



 ・・・
 ・・・おのれ・・・おのれ・・・
 この・・・私が・・・大天使たる・・・
 『ネ申』たる・・・私が・・・!!



 このような輩に・・・屈服するというのかっ・・・!?



「新術、起動!『グラビティハック』!!」

「てめーなんか・・・『逝ってよし』ぃっ!!」

「行くモナよ!『オマエモナー』っ!!」

「行けっ、ダンボール!httpレーザー、放射!!」

「闇に消えろ!・・・喰らえ、『暗黒』!!」



 重力磁場、爆発、衝撃波、灼熱、暗黒。
 5つのエネルギーは・・・愚かなる大天使を中心点に。



 小高い丘を覆わんばかりに、炸裂した・・・。



 ・・・

 まだ・・・消えてはならぬ・・・

 私は・・・



 私は・・・まだ・・・消えぬ・・・!!



「・・・うへー。まだ消滅しきってねぇのかよ・・・」
 思わずギコが、間の抜けた声を上げた。
 5人の技が炸裂し、焼け焦げた大地。その中心部に、半分身体が透けているような状態で、ナナシアはくず折れていた。
『・・・消えぬ・・・私は・・・消え・・・』
「まだ未練たらたらって訳かい。何とまあしつこい事・・・さあ、愚か者の俺達に散々ボコられた感想は?それを述べたの確認したら、俺は潔くアンタの首をはねるからな」
 ぶつぶつうわ言を言うナナシアに向かって、呆れきったように言いながらモララーが歩み寄る。言うだけ言うと、モララーは自分の黒い大剣をナナシアの首にあてがった。
「油断するなモララー!まだ勝利が確定したわけではない!」
「なあに、起き上がってきたらファイガの1発でもぶち込んでやるまでさ」
 兄者の忠告を軽くあしらってそう言い、再びモララーは未だに上の空状態にあるナナシアに視線を戻す。
「さあ、言うことがないならさっさと消えるんだからな!」
 そう言い放ち、勢い良く大剣を振り上げ、そして振り下ろした・・・その時。



 ガシッ!!



「・・・な・・・!?」
『・・・私・・・完全・・・復活・・・今までより・・・時間・・・かかる・・・』
 突然ナナシアの腕が振り上げられ、モララーの大剣を片手で軽々と受け止めた。驚きを隠せないモララーをよそに・・・否、モララーを含む仲間達の姿など当に見えていないかのように、ナナシアがうわ言のように言う。・・・そして、次の瞬間。



『貴様・・・身体・・・拝借・・・前には、劣るが・・・更なる・・・殺戮・・・!』

 ゴゴゴ・・・!!



 途端、剣を受け止めるナナシアの手のひらから、血のように溶け出す闇色の霧。・・・そしてその霧が剣を伝い、モララーの身体を包み始める!
「・・・っ!や、やめ・・・!!」
「・・・だから言ったであろうに」
「「「モララー(君)!!」」」
 モララーがいくら振り払おうと腕をぶんぶん回しても、余計にモララーの身体を侵食していく黒い霧。兄者が呟き、ギコが、モナーが、しぃが、絶望の叫びを上げた。
 やがて、モララーがその場にひざを追って座り込んだ。慌てて4人が駆け寄る。
「モララー!一体何なんだよこれ!?」
「しっかりするモナ!!」
「嫌ッ!せっかくまた会えたのに・・・!!」
「馬鹿者!だから俺は先程ああ言ったと言うに!!」
「・・・あ・・・ぐ・・・頭に・・・奴の声が・・・っぐ・・・!」



 ワガミギウデダッタモノヨ。

 ワタシハキサマラニショウメツスンゼンマデオイツメラレタ。

 キサマハ、ワガニンムヲウケツグニハジュウブンナルチカラヲモツ。

 サア、テハジメニ・・・

 オロカナルハンランブンシヲ・・・キサマノナカマダッタモノヲ・・・

 コロセ。・・・ソノテデ・・・ソノケンデ・・・イマスグ・・・!!



「・・・ぐ、・・・」
 やがて、モララーはゆっくりと立ち上がった。手に、見覚えのある黒い魔の力。
「これ・・・「破滅の閃光」の力モナ!」
「・・・ナナシアめ。元配下だったこいつを利用しようとしたか。ずたぼろに傷ついた、自分の身体を棄てて・・・モララーの身体を新たな器として」
「そんな・・・!!」
「モララー!!しっかりしろゴルァ!!」
 兄者の言葉で、3人がぴしりと凍りつく。ギコが必死にモララーの方を揺さぶり、問いかける。
 やがてモララーはわずかに残された理性を必死につなぎとめながら、途切れ途切れに言った。
「・・・みん、な・・・頼みが、・・・ある」
「嫌!嫌ぁ!!聞きたくない、聞きたくないよ!!」
「・・・聞いてやれ。こいつの、最期の願い・・・かも知れん」
 耳をふさいで必死に拒絶するしぃを、兄者がなだめる。モララーはふっと微笑すると・・・悪夢のような申し出を・・・口にした・・・。



「・・・俺を・・・、・・・殺せ」



「な・・・、何言ってんだゴルァ!!」
「出来ないモナ!! モララーを殺すなんて・・・!!」
 ギコとモナーが、思わず声を上げて反論していた。モララーは微笑を保ったまま、途切れ途切れに言う。
「何処までも・・・お人好しめ。・・・この俺の頼みが、聞けない・・・のか?」
「当たり前よ!! だって、だってモララー君は・・・!!」
「・・・」
 続いてしぃが叫ぶ。兄者は黙ったまま、4人の会話を遠巻きに眺めていた。



「仲間・・・うぅん、友達じゃない!!」



「・・・」
 しばらくモララーは黙っていたが、やがて口を開いた。
「・・・そうだな。・・・友達だ」
「そうよ! だから・・・!!」
「でも。・・・友達だからこそ、俺はお前らに止めを刺して欲しいんだ」
「・・・え」
 しぃの言葉を遮ってモララーが諭す。
「2ch政府の削除人とか、俺の中に入ったナナシアとか・・・得体の知れない奴らに殺られる位なら・・・お前らに殺られた方が、ずっと良い」
「そ、そりゃそうかもしれねぇけど!! お前が助からないってまだ完全に決まったわけじゃ・・・!!」
「決まってるんだよ」
 ギコの反論を遮って、モララーがきっぱりと言い放った。一同が、絶句する。
「あの日、言ったはずだ。俺はいつおかしくなるか分からない、と」
「「・・・!」」
 ギコとモナーの2人が、息を飲んだ。



 そうだ。
 先日、ナナシアと始めて対決した時。



「モララー・・・さっき、裏人格がどうとか・・・」
「それは、お前らにぶちのめされる前までの話。・・・でも、いつまたおかしくなるか・・・」



「「「「・・・っ」」」」
 ただ、絶句するしかない4人。モララーが、ふっと笑った。
「・・・いつまで迷っている? 時間が、ない。俺ごと・・・俺の中のナナシアを殺れ。・・・そうしなければ・・・手に負えなくなる」
「「「「・・・」」」」
 4人が黙り込む。
 モナーも、ギコも、しぃも、兄者も・・・迷っていた。
 これ以上、彼の言葉を聞きたくなかった。否、聞き入れたくなかった。



「・・・分かった、・・・モナ」



「モナー・・・!?」
「モナー・・・君・・・!」
「・・・腹をくくったか」
 仲間達が口々に感想を述べる中、モナーは口を開いた。
「モナは・・・もう、誰にも傷ついて欲しくないモナ。1人のAAの、つまらない欲望なんかのせいで・・・それにモナたちのせいで、皆が傷つくのは、もう嫌だモナ・・・だから、これが・・・最後だモナ」
 大刀をぎゅっと握って、モナーはくず折れるモララーに歩み寄る。モララーが、ふっと微笑した。
「その答えを・・・待ってた」
「・・・っ」
 大刀を握る手が、がくがくと震える。この手で、大事な人を殺めなければならない・・・それが、とてつもなく恐ろしくて。



「・・・迷いを断て、モナー」



「!・・・兄者」
「そんな風では、お前に殺られるモララーも成仏出来んというものだ」
「そんな、兄者君・・・!」
 驚いて振り向いたモナーに向かって、兄者がきっぱりと言う。驚いてしぃが声を荒げた。
「私は・・・私は・・・っ!!」
「モララーは「親友」なのだろう?」
「・・・!?」
 兄者がきっぱりと言い放った。しぃが驚いて、泣きはらした顔を上げる。 
「俺も、モララーがいなくなるのは耐え難い。・・・しかし、それ以外に、2chを生かす道はないのだ」
 黙りこくる一同に向かって、切々と語る兄者。



「友の・・・最後の頼みを・・・聞き入れてやれ」



「・・・兄者・・・君・・・うん、分かった」
「しぃ・・・」
「・・・しぃちゃん、ごめんモナ」
 しぃが涙交じりの言葉で、何度もこくこくと頷く。モナーが、申し訳なさそうに言った。
「・・・何でモナー君が謝るの?」
「そうだぞ、悪いのは全部、あいつだゴルァ。俺も、正直・・・辛いけど。やっぱ、モララーはモララーなりに、俺達を守るために、決断したんだろうな」
 しぃに続いて、ギコが言う。病院で取り乱してしまったことを、詫びるかのように。
「・・・っ・・・早く、しろ。時間が・・・ない・・・っ」
 途切れ途切れに、苦しげに言うモララー。ナナシアの侵食がかなり早まっているらしい。
「さあ、腹をくくれ。・・・友のために」
「・・・お前に任せるぜ、モナー」
「モナー君・・・しっかりね・・・」
 仲間達が、励ますように・・・優しく、強い口調で言った。モナーが無言で頷いて、モララー目がけて、大きく大刀を振り上げる。
 モララーが、そっと・・・口を開いた。
「・・・お前らと・・・仲間・・・いや、友達であれて・・・良かった」



「・・・感謝・・・する、からな・・・」



 最期に紡がれた、モララーの言葉で・・・感、極まって。



「・・・っ・・・モララー・・・ごめんモナっ・・・!!」



 モナーの大刀が・・・謝罪と、見送りの言葉と共に・・・振り下ろされて。


 赤い血が、花弁のように・・・ぱっと、その場に散った。



「・・・っ・・・う・・・」
 モナーの手から、刃に血がべっとりと付着した大刀が滑り落ち、その持ち主の白い猫が、ぺたんとその場にへたり込む。3人が、慌ててモナーに駆け寄った。
「モナー! お前までおかしくなったんじゃねぇだろうなゴルァ!!」
「しっかりして、モナー君!!」
「気を確かに持たぬか、馬鹿者!!」
 ギコが、しぃが、兄者が、口々に言って、モナーに視線を落として・・・愕然とする。



「モラ・・・ラ・・・っ・・・ご・・・め・・・」



 彼の細い目から、大粒の涙が、ぼろぼろと零れ落ちた。
「・・・涙を・・・拭け。俺らまで・・・悲しくなる」
「・・・モララー君・・・っ!」
「・・・あの馬鹿・・・!」
 モナーにつられ、他3人も思わず涙が出そうになる。



 戦友を救えなかった、自責の念。
 あまつさえ、自分の手で亡き者にしてしまった、悲しさ、そして自分への怒り。  



 ひょっとしたら、彼を救える別の方法があったかもしれなかったのに。
 それを探す暇すらも与えられず、結局・・・。



 しばらく、辺りが神妙な気配に支配されていて。
 ・・・途端に、モナーが泣き腫らした目を見開いて、驚いたように顔を上げ、口を開いた。



「・・・邪気が・・・消えたモナ」



「・・・え」
「「・・・何?」」
 3人が同時に聞き返す。白い腕で自分の涙をごしごしとぬぐいながら、モナーが言った。
「さっきまで・・・モララー、ナナシアそっくりの「邪気」を持ってたモナ」
「そっくり・・・ではないな。むしろ「そのもの」だ」
 兄者の言葉に黙って頷いて、モナーは続ける。
「さっきモララーを斬った途端・・・一気に、それが・・・消えたんだモナ」
「・・・モララーがさっき言ってたこと・・・本当だったのか」
 ギコが、呟く。



 モララーが言った、あの言葉。
 モララーを殺せば、それと同時にモララーに寄生したナナシアも殺される事になる事。



「ね、見て。・・・モララー君・・・笑ってる。まるで、全てに満足したように・・・」
 しぃが、モララーの亡骸を抱き起こしながら言う。斬られて死んだとは思えないほど、安らかな顔だった。
「真だな。・・・彼なりの、1番の安楽死、だったのだろう」
「・・・正真正銘の大馬鹿野郎だぜ、テメーは・・・ゴルァ」
 兄者とギコが言う。
 その時、モナーが異変に気づいた。
「・・・! 見るモナ! 空が・・・!!」



 上空の赤い空が、一気に晴れ・・・その間から、太陽と、雲ひとつない青空が姿を現した。
 今まで誰も見たことのない、青く、澄み渡った空。



「・・・いつの間に・・・昼になってたのか」
「・・・綺麗・・・」
「・・・ここまで青く澄み渡った快晴の空など・・・始めて見る」
 3人が、思わず感動の言葉を漏らす。最後に、モナーがそっと呟いた。
「・・・モララーからのプレゼントモナよ、きっと」
 3人が頷いた。
 久しぶりに浴びる太陽の輝きの下、4人はずっと空を見上げていた。



 ・・・そして。
 運命の数日間から、数日が過ぎて。



「1等賞ーっ!!」
「・・・相変わらず足だけは速いのだな」
 緩やかな坂を1番に駆け上がってきたらしい黄色い猫に、後ろから黄緑色の猫が呆れたような言葉を漏らす。
「・・・一言多いんだよなあ、誰かさんに似て」
「まあまあ。あまり喧嘩してると、その誰かさんに笑われるよ?」
「じゃあ、早速誰かさんに会いに行くモナ!」
 桃色の猫と白い猫が、苦笑いしながら言う。4人の手には、紫の花束が1つずつ握られていた。



 2chシティを見下ろす小高い丘に、「彼」が眠る石碑はあった。



「モララー、久しぶりモナ。こっちも、色々あったモナよ」
 白い猫が石碑の前にしゃがんで、花束をそっと石碑の前に置く。他3人も、彼に習って花束を置いた。
「モナの家にガナーが住む事になったモナ。モナの家、兄者が真っ先に復旧してくれたんだモナ! 兄者と弟者さん、正式な2ch管理人に就任したんだモナよ」
「・・・真っ先、ではないな。正しくは生活機関を復旧させてから、真っ先に、だ」
 石碑に向かって優しく、嬉しそうに語りかける白い猫。黄緑の猫がぴしゃりと突っ込みを入れ、後ろの2人が噴出した。
「それと、ギコとしぃちゃん、結婚したモナ! 式は来週挙げるモナから、モララーも見てて欲しいモナ」
 まるで自分の事のように、尚も白い猫は嬉しそうに石碑に語りかける。黄色い猫と桃色の猫が、照れ笑いを浮かべた。



「じゃ・・・祈るモナ」



 白い猫の言葉で、一同がそっと目を閉じた。
 天に召された友を、悼んで・・・そして、慈しんで。



「・・・うっし! じゃ、そろそろ行くか!」
「うん。じゃ、モララー。また、4人で来るモナ」
「来られればな。今日はたまたま非番だったのが、当分弟者と2人で復旧作業で管制室に缶詰になることは、ほぼ確定だ」
「そんなの関係ねーよ! 無理やり引きずってでも連れて行くぜゴルァ!」
「駄目だよギコ君、兄者君たち忙しいんだし・・・でも、私達は毎日でも来られるよ? ね、モナー君?」
「そうモナ! 暇な限り、毎日でも来るモナ!」
「おうよ! でも、昔みてーに俺が何度でも一等賞だぜ! んで、モナーはドンケツなっ!」
「あー、酷いモナ! モナ、いつか絶対ギコを追い越すモナよ!」
「お、言ったな! 受けて立つぜゴルァ! ・・・んじゃ、よーいどーん!!」
「あぁっ! いきなりずるいモナー!!」
「ギ、ギコ君! モナー君も、待ってー!」
「・・・OK、相変わらず騒々しい奴らだ」



 4人の楽しげな会話が、石碑から、だんだんと遠ざかる。



 白き英雄、モナー・ユートゥース。
 黄色き英雄、ギコ・ハニャーン。
 桃の英雄、シィナ・シャルル。
 黄緑の英雄、アーニス・ジャイロ。



 彼らの間に、一瞬だけ。
 紫色の姿が、混ざったような気がした。



『黒き英雄にして、我らが戦友・・・モララー・モラール、此処に眠る』



~END~

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