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盲 雨 (♀)

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匿名ユーザー

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メクラアメ メクラアメ
    愛した男が帰らない
      奥方は雨に寄り道
    学生は蛙に騙された
      娘は雨から出たくない

    想い人のすべてを攫うは
            憎らしや


――ポクポクポクポク
         チーン
 雨のふる中。葬式が行われていた。
 奥の部屋で白いAAモナーと黄色いAAモララーがひそひそと
 何かを話していた。

「池の底から白骨死体が出てきたんでしょ?ギコ君の」
「どうもそうらしいんですよ。行方不明になってからもう三年」
「恐ろしいことになったものだ…」

「つーちゃん!あの…お兄さんのことはたいへんだったな。
 オレなんて言ったらいいか…」

 茶色の毛の生えたAAフサが、赤いAAつーと一緒にやってきた。
 死んでいたギコはつーの兄だった。

「『メクラアメ』ダ」
「え?」
「アニキダヨ。アノ時モヒデエ雨ガフッテタ。メクラアメニ攫ワレタンダ」

 つーが、怯えた様子で言った。

「アノ女ガアニキヲタブラカシテ アノ世エツレテッチマッタンダ!」
「つーちゃん!」
「アンナニ『ツレテカナイデ』ッテタノンダノニ…」
ウワァァァァァァァン(泣)
「つーちゃん…」

――五年ぶりの池掃除で
    積もった泥の中からギコの骨が出てきたのが
                    数日前だった

                なぜ池の底で氏んでいたのかは解らない

            ギコは三年前から行方不明になっており、
               家は妹のつーが一人で守っていた。

盲雨は引き裂かれた男女が 迷って
                抜けられなくなる雨だと言われている。
     
       暗闇から消えたかたわれが相手を呼ぶ
     
        そしてそれに応えた方は”向こう側”へ行って
                  二度と帰ってこないそうだ。
 
「…………」
(お兄さんの事大好きだったんだな…)

 
                      
「それでは私たちはこれで。」
 
 そう言うとモナーとモララーが帰っていった。

「――それにしても、よく降りますね。」
「そうですね。じめじめして食べ物も腐りやすいし、薄暗いし
 僕たちも気を付けないと攫われちゃうかな?」
 
「盲雨なんてのはね
  要するに人の心の惑いを例えたものなんですよ。
   ”迷わない”と思っていれば捕まらないものです」
「またまた」
「そもそもウチらは盲雨なんて
            見た事ないじゃないですか」
「もしかしたら本当に
     雨が人を攫うのかも知れませんよ」
「ギコ君を攫ったのは果たして誰なんでしょうね」

 
(シトシトシト サァァァァ)
「つーちゃん?もしつーちゃんが辛くなかったら
 話し聞いてもいいか?」
「『アノ女』ノ アタリカ」
「そう」
「オレガ話スト ナゲーゾ
「いいよ一晩中でも聞くから。」
「オレハ『アノ女』ガ憎イ。ヒデー事イッパイ考エテル。
キットオレノコト見捨テタクナル…」
「ならない!!」
「俺がつーちゃんを見捨てるはずがないだろ…」

   ばしっ!

「…ヤメロ!オレニサワルナ気持チ悪イ」

 ……ああ
   やっぱりつーちゃんが好きなのは俺じゃないのか。

        “お前の心にいるのは誰なんだ?”
(いかんいかん)
「悪かった。続きを聞かせてくれよ」


――アニキハ 生キテイタ頃、近所ノ後家ノ女ト 出来テイタンダ。
ソノ女ノ旦那ハ氏ンデタノカドウカ ワカンナカッタ。イナクナッタダケダッタカラ。
アニキガ勝手ニ後家サンダッテ 決メツケテイタンダ。

(じと~)
「学生さん。さっきから御覧になってるみたいですけど、
 何か御用かしら?」
「え?あ、ああ違うっす。庭です。庭を見ていたんです。
 綺麗だなと思って。」
「若いのに庭が好きなんて珍しい人ね。」

カナリ年上ダッタト思ウ。アニキハ関係ナカッタンダロウケド。
ソレカラアニキハ、晴レタ日ニハ女ノ庭ニ通イ詰メテイタ。

「ありゃ絶対未亡人だ!!そうに違いねえ!!」
「アヒャ。バカアニキガトチ狂イヤガッタナ」






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