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NIGHTMARE  CITY(完) (み~やファン)

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
第一話  悪夢の原因

ある街中の研究所
「…どうだ?コンピューターの方は?」
白い白衣を着ている一人の人間が隣の人に話しかけた。
「以上無しです。もし架空空間で意識を失ったとしても、時間はかかりますが戻ってこれる【副記憶装置】ももうすでに出来ています」
その人は白い白衣を着ている人に返事を返した。
「フム、それでは、サンプルを集めれば良いな。」
さっきとは違う白い白衣、胸には【幹部】と書いてあった。
「はい、5000人ほどこの町から手配しておきます」
幹部の人はフッと笑い、
「至急用意してくれ、少なくとも半年以内だ」
そう言うと、振り返って4つのカプセルを見た。
そこには赤、白、青、ピンク色の髪の4人の人がいた。
「君たちには半年後にNIGHTMARE CITYの管理をしてもらう、もっともすでに言ってあるがな。」
幹部は、ドアを開け、闇の中に消えていった。

半年後―――
その町の中の小さな家に声が響き渡った。
「ギコ!さっさと起きやがれ!」
この声の持ち主はどちらかとういと毛深い少年だった。
「…フサ…?もう少し寝かせてよ…」
ギコと呼ばれた少年は、フサに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で返事をした。
「何寝ぼけてる!?今日はあの日だろ!」
もう一度叫んだ、すると
「あ!」
何かを思い出したような声がした。
(まったく、この寝ぼけ野郎め)
フサは心の中で呟いた。
そう考えてるうちに
ガチャッ
ドアが開いて、ギコが出てきた。ギコは何処にでもいそうな少年で違うところはといえば、髪の色。ギコの髪は薄い黄色だった。
「すまんすまん、遅れちゃったな」
「まったく、行くぞ」
フサは待ちくたびれた様に言った。

「着いた、ここだ」
ギコ達はこの町で一番大きい研究所の前にいた。もっとも研究所はこの町でここにしかないのだが。
「招待状はお持ちですか?」
ギコ・フサはすぐに見せた、するとNoの入ったプレートを渡され、入ってください、といわれた。
ギコとフサは、廊下を歩きながら
「俺達、ラッキーだったよな、ただで最新の装置を体験できるなんて」
フサはまったくだ、と言った。どうこう話しているうちに、ある部屋へ着いた。
ギイィィィィィ
黒板をつめで引っかいたときよりも嫌な音が鳴った。しかし、それも気にせず、中をのぞくと…
「…すげーたくさんいるな。」
「5000人らしいぞ」
ギコとフサはほうぜんとしていた。すると
「ギコ、フサ、お前達も選ばれたのか?」
ギコ達には聞き覚えのある声がした。振り向いたら…
「兄者!弟者!妹者!」
ギコが久しぶりだな、といわんばかりの声を上げた。それもそのはず、今は夏休み中なのだ。
「そうそう、≫1さんとおにぎりもいたのよ」
妹者が話した。
「へぇ~」
5人がマターリと話していると、演説が始まった。
「皆さん、お集まりいただき、ありがとうございます。今日は私達が作った架空空間<NIGHTMARE CITY>に二日間の間すごして頂くものです。その際にそこではもっとも動きやすい体、<AA>になります。二日間の間は殺し以外何をしていても結構です。中にあるものは全て無料ですので。それと、入る前にプレートをつけておいてください。入ったら見えなくなりますが、場所などが分かるので。なお、中には<AI>というガイドの役目のAAがいます。最後に、2日間が終わったら、放送が入るので、そうしたら町のはずれにある<ゾーンアウト>にいってください。それでは自分のNoが書いてあるカプセルに入ってください」
ギコは自分のNoを見て
「374、374っとあった」
すぐに入った。
「全員が入ったのを確認!<NIGHTMARE CITY>に飛ばします!」
ゴォォォォォォォォ
機会が発動した音がした。ギコ達はだんだんと眠くなり…いつしか寝ていた。
「全員入りました」
【副幹部】とプレートをつけた人が言った。
「あとは二日間、何も無いことを祈るだけだ」
幹部が言った。
<サザンクロスは俺達をやさしく見守っている>


第二話 AIの企み

バシュウゥゥゥゥ
架空空間、<NIGHTMARE CITY>に5000の光が落ちてきた。
「……ん…?着いたのか?」
ギコは少し寝ぼけ気味に呟いた。
「何か食いに行くか…」
ギコは本能に従がって、商店街(正確にはお店街)に入っていった。
そこで何を食べようかな、とサンプルをみているときに見た。今の自分の姿を。
「何だコリャ――ッ!?」
ガラスに映っていたのは、黄色い猫の形をしたAA。
「な…何がどうなって…」
「ギコォ―――!!!」
懐かしい…というよりはさっきまで話していた者の声がした。
ギコが振り向いた先には、茶色い毛が全身に生えてるAA、背中にはなぜか刀があった。
「………フサ?」
そのAAに聞いてみた、声はまさしくフサのものだったからだ。
「ピンポーン大正解」
明らかにハイテンションだった。ギコは一度深呼吸して
「で、その背中の刀は何だ?」
一番気になっていたことを聞いた。
「ああこれ?護身用。すぐそこに店があったからさ、あと…」
「夢か?」
「そう」
夏休み前、フサは「刀持ってみたいな、夢なんだ」といっていたことを思い出した。
「おーいギコ、フサ―――」
バイクに乗っているAAが三体現れた。緑と少し緑がかかった青、この二体は鼻が少し高かった。
あともう一人はなぜか人間のままだったのですぐに誰だか分かった。
「流石だな、本当はやってはダメなことをやるとは」
フサは兄者達の全体を見渡した。するときずいた腰の辺りに吊り下げている拳銃に。
「ほう、おまえらもそれは護身用か?」
「ああ、いつ何処で狙われるか分からんからな。」
その後、30分ほど話していた。

「≫1さん、疲れたよ」
こちらも何故か人間化している≫1さん&おにぎり。おにぎりは頭にそのまま海苔がついていた。
「…あ!アレ見て!軽トラだ!アレにのって移動しよう」
「そうだね、じゃあ、今日は≫1さん運転して、明日は僕がやるから」
≫1さんはうん、といったあとさっそく軽トラに乗り込んだ。
「じゃあ、行こうか」
軽トラのエンジンをかけて、出発した。

<某ビルの屋上>
そのビルの屋上には、赤、白、青、白くて大きいAAが三体いた。
「馬鹿な奴等だよな、むざむざと殺されに来るなんてよ」
青いAAが喋った。白いAAが
「モララー、しぃは何処モナ?」
モララーに言った。
「アヒャヒャ!ついでにしぃも殺すか!?」
赤いAAが言った。
「いい、やめろつー、モナー、しぃには俺から話しておく。八頭身、イケメンを見つけたとしても、まだ追っかけるな」
八頭身と呼ばれたAAはちぇ、と呟いた。その後、すぐに街中を向いた。
「解散だ、夜明け前にここに来い、夜が明けたと同時に作戦開始だ」
六体のAAは飛び散った。

<某ビルの陰>
「しぃ、やはりここに居たのか」
モララーが座り込んでいるしぃに話しかけた。しかし、しぃはうつむいたまま
「……」
「お前が反対しようとも俺達はやめない、別に強制はしない。しかし、邪魔をしたな殺すからな」
モララーは振り返り
「言うべきことは伝えた、来るなら、いつもの屋上だ」
モララーはその場から立ち去っていった。
「…誰か…誰か助けて……」
しぃはその状態から呟いた。
<遥か彼方、俺達より遠く離れたところで>


第三話  夜明け

「夜が明けるな…ギコ、起きろ」
ギコ、フサはあの後、兄者達と別れて一晩を過ごしたのだった。
「ん…もう朝か、楽しいときは時がたつのが早いな」
ギコは一度大きく伸びた。

同時刻……
<NIGHTMARE CITY>のほぼ中心部は人(AA)でにぎわっていた。
そこで…
ズシャッ
何かが切れた音がした。そこに居たのは、血まみれになっているAAと赤く光る小刀を持つ、AIだった。
「アヒャヒャ!パーティの始まりだ!」
そこは一瞬にして混乱の渦…いや、血の海になった。

再び、ギコとフサ
「なんか、町のほう騒がしくないか?」
「そういやそうだな」
フサの言葉に街を見たギコが言った。
「ちょっと様子見てくる。ギコは待っててくれ」
フサは町のほうへ走っていった
「…待っててくれって、そんなことできないぐらい知ってんだろ!」
ギコも走り出した。
しかし、ギコはすぐに足を止めた。なぜならフサが白いAAと戦っているからだ。
「ギコォ!逃げろ!!」
「おや?あそこにも1人…」
モナーは緑の剣を持っていた、剣といっても、前と後ろ両方についてるが。
「…フサ!約束だ!」
ギコがフサに向けて叫んだ。
「絶対に死ぬな!」
そういった後、ギコは走り去っていった。
「『絶対死ぬな』ね…」
フサは剣を構えなおし、
「言われなくても死ぬ気はないけどな」
…と、呟いた。
<サザンクロス、それは聖なる光>

ギコは行く当ても無く、ただがむしゃらに走っていた。
(なんなんだよ!あの剣!)
ギコは疲れたから足を止め、隠れるところは無いかとまわりを見渡した。
そこにいた。ピンクで体育すわりしているAAを。
ギコはすぐに
「おい!おまえは逃げないのか!?」
しぃは答えた。
「うん…逃げようとしてもだめだから…」
「何で決め付けるんだ!?分からないだろ!!!」
「でも…私は…」
しぃがしゃべっている途中で
「心配するな!俺が守る!」
「!!!」
ギコは手を差し出して
「この偽りの町を出よう…君の名前は?」
しぃは手をとりながら、答えた。
「しぃ…しぃ!」
「そうか、俺はギコ、よろしくな、しぃ」
ギコはしぃの手をとり、走り出した。
<俺たちは南十字星の戦士>


第四話 プレイヤーVSAI①

「さーて、今日も軽トラで街を見てまわりますか!」
≫1さんとおにぎりは車に乗り込んだ。もちろん、昨日とは逆でおにぎりが運転だ。
ガチャン
おにぎりはエンジンを起動させ、運転を始めた。
「風が気持ちいい~」
≫1さんは荷台の方に乗っている。そのとき、≫1さんは全力で走ってくる何かを見つけた。
「イケメン、ハケーン!!!」
「よし、追いかけるぞ!」
その三体はものすごいスピードで向かってきた。
「キモッ!!おにぎりくん、スピードを上げて!!!」
「わ…わかったよ≫1さん!」
「へぇ…『≫1さん』って言うんだ…」
八頭身達はもう後ろまで来ていた。
その時におにぎりはアクセルを踏んでスピードをあげた。
「逃がさないよぉ!」
二人の八頭身の手足、腰辺りからオレンジ色の光が出て、それがタイヤ、プロペラになって、スピードを上げた。
「うわあぁああああああ!!!キモイヨォ―――――ッ!!!」
五人はものすごいスピードでかけていった。
<行け、たとえ困難に直面しても 戦え、自分の信じる物のために>

先ほどにぎわっていた場所に、バイクが走っていた。
「…なんだ?この死体の山は」
兄者がいったんバイクを止めて死体を見た。その死体のほとんどに、薄いピンクがかかった、ナイフが刺さっていた。
そこに現れたAIがいた。赤くて、少し小さめのAIが
「アヒャヒャ!次はあいつだ!」
「ぐっ!」
兄者はすぐにバイクを発進させた。
すぐ近くにあったビルの隙間。そこにバイクを入れた。
「にがさねぇぜ!!!<ライトナイフ>!」
つーの手から、光が出て、それがさっきの薄いピンクがかかったナイフになった。
「くそっ!」
兄者は荷物から携帯電話を取り出し、つーに向かって叫んだ。
「このまま終わると思うな!」
<情熱も喜びも悲しみも、痛みも涙もすべて君の生きるための糧になるから>

キイィイイイン!
道路に剣と剣が交わっている音が聞こえた。
「おや?死なないんじゃなかったモナ?」
モナーがあざ笑うかのように言った。
「うるせぇ!」
口では強がっていても、体は慣れていない刀を手にもう限界だった。
(こうなったら…)
フサは剣を弾き、距離をとった。そのまま
「逃げる!」
一目散に逃げ出した。
「あ!」
モナーもそれにあっけをとられ、数秒間たちぼうけだった。
「ま…待つモナ――――ッ!」
モナーもフサを追いかけ始めた。
もちろん、フサも逃げ切れると思っているわけではない。少しでも作戦(逃げる為の)を練る為だ。
(そうだ…ここは現実の町とほぼ同じ!ならばあれもあるはず!)
フサはあたりを見渡した。その時にあった。フェンス越しに地下鉄が見える場所が
「…!」
しかし、その場所はあまりに高すぎた。
「もう逃げ場は無いモナ」
フサは意を決して…飛び込んだ。
「!!!」
ちょうどそこに、地下鉄が通りかかり、うまく上に着地できた。
「~~~~~っ!」
フサの足は激痛に襲われた、しかし、それよりも逃げ切ったことの達成感があった。
「よし、AIから逃げき…」
「逃げ切れてないモナよ」
ズウゥウウウウウウン
電車に地鳴りのような音が響いた。
「こんどこそ、逃げられないモナ…<Wライトソード>!」
モナーの手からさっきと同じ剣が出てきた。
「くそ…やるしかねぇ!」
フサは構えを取った。
<行け、弱気な自分に負けそうになっても 戦え、自分の信じた者のために>

「いそげ!どうなっている!?」
画面の前で動いている人がいた。
≪やあやあ、諸君、ごきげんよう≫
「!?」
その場にいた人、全員が動きを止めた。
「この声…モララーか?」
幹部が口を開いた。すると
≪ご名答。そうそう、俺がここに来たのは、あることを伝えに来たんだ≫
「あること?それはなんだ?」
≪副記憶装置の機能を止めた。止めたって言ってもロックとかを掛けただけだけだけどね≫
全員が動揺した。
「…お前の狙いは何だ?」
≪強いて言うと、NIGHTMARE CITYを自分たちの物にしたい…かな≫
幹部が歯軋りをした。
≪なんにしても、もう俺をとめることはできない。せいぜい指くわえて見てるんだなっ!≫
その後は声は聞こえなかった。

ギコとしぃは町のはずれの手前の橋、<サンブリッジ>を渡っていた。
「もうすぐだな」
「うん…」
しぃは少し元気なさげに声を出した。
「どうした?元気ないぞ?」
ギコが横を見ながらきいた。しぃは、
「ねぇ…ギコ君は私が―」
そこでしぃは口を閉じた。
「どうした?しぃ」

橋の上で赤い大太刀、<ライトブレード>を持ったモララーがいた。
「しぃ…約束どうり、殺すからな…」
モララーはそこから剣を下に向けて、振り下ろした。
ドオォオオオオオ
橋のコンクリートが飛び散った。
ギコは目を見開いて、その方向を見て、赤い剣を目にした。
「AIか!?」
ギコはすぐ隣にあった、[ダメポ禁止]の標識を抜き、モララーに突っ込んでいった。
<運命が君を呼んでいる…『我に従え、さもなくばあがらえ』と…>
(運…命…?)
ギコには、その声が聞こえたようだった。


第五話 プレイヤーVSAI②

5分前
~The Southern Cro…ピッ
携帯の着歌を無視し、弟者が電話に出た。
「兄者、どうした?」
≪戦闘準備を頼む。理由は聞くな。5分後だ≫
兄者は電話越しに用件をいった。
「ちょっと待て、話が見えな―」
ガシャンッ 何かが刺さった音が聞こえた。
≪この野郎!これ、高かったんだぞ!≫
兄者が何かに向かって文句を言ってるのが聞こえ、その後は何も聞こえなかった。
「…妹者、戦闘準備を頼む」

そして、今
「時間だ」
ガッシャアアアアン
兄者がバイクでガラスに突っ込んだ。
「アヒャヒャ!にがさ…」
つーの方向に拳銃を向けている妹者が狙いを定め、
「終わりよ」
「ぐっ」
パァアアアアンッ
弾はつーの足に当たり、弾の勢いで後ろに飛ばされた。
そのまま、動かなくなった。
「…ふぅ、疲れたぁ」
妹者がそこに座り込んだ。

「ふんっ!」
「ウオォオオッ!!!」
真正面から向かっていったフサに、モナーは下から剣を弾き、そのまま突いた。
「ぐっ!」
フサはかろうじて地下鉄の角につかまった。
フサが目を開けたときにモナーはすぐ上にいた。
「やっぱり、勝とうなんて無理モナ」
「そうだな…けど」
フサはモナーを見ながら、
「負けじゃない、引き分けだ」
笑って、手を放した。
「し…しまったぁ―――っ!」
モナーが乗っている地下鉄はそのまま見えなくなった。
「…俺はAIの1人にも勝てないのか…」
フサの左腕からは、血が出ていた。
「でも」
そのまま続けて
「約束は守った。はやく<ゾーンアウト>にいこう」
町のほうに戻っていった。

「≫1さん!もうガソリンがないよ!」
≫1さんは少し考え、
「急ブレーキ!その後、これを捨てて逃げよう!」
おにぎりは短くうなずくと、ブレーキをかけた。
「≫1さ…グボォッ!」
八頭身達は急ブレーキをかけた軽トラにぶつかり、その場にうずくまった。
「いまだ!」
おにぎりと≫1さんは近くにあったビルに入り、階段を上っていった。
「まてぇ――――っ!」
八頭身もそれを追った。
「キモイヨォ――――ッ!!!」

ギコとモララーの対決は、モララー優勢だった。
「この…負けるかぁ―――っ!」
キィイイイイン
標識とライトブレードが交わり、赤い火花が散った。
モララーは刀でギコを突いた。ギコはそれを紙一重でかわし、横に標識を振った。
「フン…」
それをジャンプでかわして、着地し、そのままの体勢で切り裂いてきた。
バキイィイイイン
またもや、音が響き渡った。しぃはその眩しさに、一旦目をつぶり、開けたときにはもう目の前にはいなかった。
「!?」
「このヤロォ―――ッ!」
ギコの声が上から聞こえた。しぃはすぐさま上を向いた。すると
ズパン
どっちかが切られた音。ふらついたのはギコ。
「フン、雑魚が」
「ギコくぅ―――――ん!」
そんなしぃの声も届かず、ギコは水の中へ落ちた。
「ギ…ギコ君…」
しぃはそのままうつむき、涙を流していた。

~水の中~
(う…俺は…死んだ…のか?)
意識がもうろうとする中、ギコは思った。
(守れなかったな…しぃ……すまん…)
<この世に、愛に勝るものなどあるのだろうか?>
(!?)
ギコはこの声に聞き覚えがあった。
<人は誰かを愛し、そして愛されながら生きている>
(だ…)
<生まれてきたからこそ、俺たちはここにいる。俺達が生きた昨日という瞬間は、決して無駄なんかではない>
(誰だ!?)
ギコは見えない相手に向かって叫んだ。
<初めましてギコ。俺の名前はサザンクロスっていうんだ>
見えない相手、サザンクロスはギコに挨拶をした。
<ギコ、立つんだ。君にはもっと強い力がある>
(しかし…俺は負けている…)
<そんなことで、あきらめてしまうのか?>
(そんなことって言うな!俺は―)
<それが望んだ運命なのか?>
サザンクロスのその一言で、ギコは目をあけた。
「いや…こんな運命、望んじゃいない!!!」
ギコの体が輝きだした。
<そうだ、それでいい。南十字星とともにあらんことを>


第六話 ギコの意思

再び、橋の上
モララーが上のほうから降りてきた。うつむいているしぃを見て。
「いったよな…邪魔をしたら殺す。死刑だ」
モララーはしぃの元へ近づいていった。と、その時
バシャアアアアアン
「!?」
しぃ・モララーが水が上がった方を見た。
「ギ…ギコ君!?」
「すまんな、しぃ…約束破るとこだった…」
ギコの周りに付いていた水が、ギコの右手に集まり始めた。
「<アクアソード>!!!」
その水が水色の剣に変わった。
<行け、たとえ弱気な自分に負けそうになっても、戦え、己の信じた者のために!>
サザンクロスの声が聞こえた。
<運命が君を呼んでいる!>
サザンクロスの言葉を受け、ギコは
「俺が望む運命は…」
ギコがモララーへ剣を振りさげてきた。
キイィイイイイン
アクアソードとライトブレードが交わり、音が響いた。
「しぃを守りきることだ!そのためなら、たとえ尽きたってかまいやしない!」
「この…」
ギコはモララーを突き放し、そのまま突っ込んだ。
ギコが剣を横に振った。が、モララーが一歩後ろに下がってかわす。
続いてモララーが剣を振った。しかし、ギコは宙返りでそれを交わした。
モララーはギコが着地する前にジャンプし、ギコが着地した瞬間、上から斬撃が飛んできた。
それもギコは剣で受け止めた。そのまま二人とも、何度か宙返りし着地、そのまま走り出し、そして―
「うおぉおおおお!!!」「…」
ズシャアアアアン
二人のどちらかが斬られた音。勝ったのは
「おっしゃ―――――っ!!!」
ギコだった。そのあと、ギコはしぃにちかずき、
「しぃ、すまんかった」
しぃは笑って
「ギコ君が気にすることじゃないよ!」
「…サンキュウ、早く行くか」
ギコはしぃの手をもう一度とり、走り出した。
「くそ…このまますむと思うなよ…」
モララーがつぶやくと、そのまま動かなくなった。

「兄者、そろそろ行くぞ」
「ああ、妹者、起きろ」
兄者は寝ている妹者を起こした。
「もう時間?」
「ああ、いくぞ<ゾーンアウト>に」
三人はバイクに乗り、出発した。
「…くそ、不意を突かれたな…まさか仲間がいたとは…」
つーが立ち去る三人を見ながら言った。
「こうなりゃ、不本意だが、モナーと協力するか…」
つーはおもむろに通信機みたいな物を取り出した。
≪もしもし、何モナ?≫
「おいモナー、頼みがあるんだが…」

あるビルの中
「そろそろ時間ニダ」
ニダーが二体のAAに話しかけた。
「あー?メンドクセ」
「鬱だ…」
紫色のAAの意味はともかく、白のAAの言葉は、返答にはなってなかった。
「安心するYO!君らは戦わなくていいからYO!」
「そうニダ、レモナに連絡を入れて、助けをもらうから、心配する必要は無いニダ」
二人は立ち上がり、
「わかった。見てるだけだよね?」
白いAAが言った。その返答は
「そうだYO!」

さらに場所が移り、
「ネーノ、何人ぐらい残ってる?」
青いAAが言った。
「ざっと見て、30人ほどじゃネーノ?なあ、レモナ」
「そうですね…ビルの中に八頭身に襲われているAAがいますね」
レモナと呼ばれたAAが返事をした。
プルルルル
無線がなった、それをレモナは取り、
「ニダー、どうしました?」
≪二人ほど、こっちに送ってほしいニダ。橋を見張らせるニダ≫
「…わかりました。ぼるじょあも入るのでしょう。とりあえず、その人達を向かわせなさい。」
≪わかったニダ、今から、そっちに行くニダ≫
「ちょっとまちなさい、あなた方は今から言うビルの入り口にいて。私もすぐに行きます」
≪わかったニダ≫
「場所は―」

日が沈む町に…いや、平原に、二つの影があった。
しぃが走っている途中に、立ち止まった。
「さあ、早く行こう」
「ありがとう…」
しぃはつづけて
「…でも、私は一緒に行けない」
「何を…」
ギコがしぃにちかずいた。すると
「こないで!!!」
しぃは涙を流しながら叫んだ。するとギコとしぃの間に、大きな壁ができた。
―俺は…この壁を越えたかった…だけど…できなかったんだ―
ギコが呆然とこの壁を見ていると、足元がどんどん消え始めた。
壁の向こうで、しぃの声がした。
「早く…行きなさい…」
「すぐに戻るから」
ギコは後ろを向いて、走り出した。そのうちに、足場がなくなり、ギコは飛び込んだ。
<過去に戻ることはできない>
「まってろ」
ギコが光に包まれた。
「きっと、君を救い出してやる」
<過去を変えることもできない>
ギコが消えた。
しぃはだまって涙を流していた。
そこに、モララーが現れた。
「しぃ、あいつはどこだ…教えたら見逃してやる…」<けれど>
しぃは黙ったまま。
「だんまりか…死ね!」
<僕らは未来に向かって進んでいる、さあ、手を伸ばそう…>
しぃは振り向き、手から光を出した。その光が、弓矢に変わった。
「モララーッ!ギコ君の邪魔はさせない!」
しぃはモララーに矢を放った。それはモララーの右手に当たった。
「ぐおぉおおおお!!!」
モララーは倒れこんだ。そのうちに、しぃは町のほうへ向かった。
「しぃ…次にあったときは、必ず殺す…」


第七話 帰還

「No374、意識が回復しました!」
ギコのカプセルが開いた。ギコが見た光景は、研究者達が喜び合っている姿だった。しかし、それも
「おい!!!」
ギコの一声で収まった。
「お前ら、何やってるんだ!人が死んでるんだぞ!」
しんと静まりかえっている中、幹部が前に出た。
「ギコ君…これは我々にも予測できなかったことなのだよ」
「なにを…」
「まあ、座りたまえ」
ギコはその椅子を見て、
「………」
座り、幹部と向き合った。そのうちに、幹部は昔話を始めた。
「昔…我々が生まれるずーっと前の話だ…この世に、四方と呼ばれた戦士がいた」
ギコはそれを黙って聞いた。
「一人は、南の十字星、「サザン」。もう一人は、北の光、「ノウス」。もう一人は、東の風、「イースト」。そして、最後の一人が、西の海、「ウエスト」という名前だった」
ギコはその中の一つに反応した。
「サザン…?」
「ギコ君、君はサザンクロスと言う者に会わなかったかね?」
「あったというか…話した」
幹部はやはり、といった表情で続けた。
「その内の三人の子孫には、このプロジェクトに参加してもらったんだ。残りの一人は見つからなかった…」
ギコは黙って聞き続けた。
「二人にNIGHTMARE CITYの昼と夜の管理、そして残りの一人には、AIそのものの管理を任せたんだ…その者がNIGHTMARE CITYを支配しようと考えたのが、今日のことだ」
「まさか…そいつって…」
幹部はうなずき
「東の風、イーストの子孫、モララーなのだよ」
「――――っ!!!」
ギコの顔は驚きに満ちた。
「サザンクロスも、ノーザンライツも、見守るだけしかできない、モララーを止められるのは、ウエストの子孫だけなのだよ」
「で…でも、そいつは見つかってないんだろ!?」
「ああ…そのはずだった…しかし、見つかったのだよ」
「そいつは何処にいるんだ!?」
ギコは周りを見渡した。
「君だよ、ギコ君」
ギコはまるで豆鉄砲を食らったような顔になった。
「ギコ君!お願いだ!モララーを止めてくれ!」
幹部がすごいけんまくでいった。ギコは
「あたりまえだ!行かないでくれっていわれても行くぞ!」
「では、さっそく転送する!準備はいいかね?」
ギコはすでに入っていた。
「…よし!転送する!」
―しぃ…まってろ…すぐに行ってやる…―
ギコはそう思いながら、再び、NIGHTMARE CITYに行った。
「たのんだぞ…ギコ君…」


CATASTROPHE
第八話 意外な助っ人

夜のNIGHTMARE CITY、そこに一筋の光が落ちた。その光は、たちまち黄色い猫の姿に変わった。
「まさか…こんな短時間で戻ってこれるとはな」
ギコはつぶやいた。その後、声が聞こえた。
<君がギコだね、僕の名前は、言わなくてもわかるよね?>
「ああ、わかってるよ、夜の見張りをしている者、「ノーザンライツ」だろ?」
ギコはその言葉に静かに返事を返した。
<そのとうり、しかし、僕はただ見守ることしかできない、せめて、サザンクロスと同じようにするよ>
そういうと、ノーザンライツは語りだした。
<俺はなぜ、生まれたのだろうか>

あるビルの屋上に、二体のAAがたどり着いた。
「ああ…逃げ場がないなんて…」
「終わりだ…」
二人は、絶望的な顔で言った。その二人の後ろに、背の高いAIが立っていた。
「おりゃ――っ!」
ドゴッ
「「がはっ…」」
二人は、壁まで飛ばされた。そして
「<ライトウィップ>」
八頭身の手から出た、光が鞭に変わった。
<ダイヤモンドダストは輝いているけれど、>
「≫1さーん、これで楽にしてあげる…」
「「「まて!」」」
三人がいっぺんに叫んだ。八頭身が、その向きを見て、
「なんだ?お前ら?俺たちの楽しみを邪魔するんじゃ…」
「フッ」
パンッ
八頭身は、予想外の方向から来たニダーの攻撃をかわしきれずに、吹っ飛んだ。
「なっ!?」
「どこ見てるんだYO!」
二体目の八頭身に、ぼるじょあが向かっていった。
八頭身は、ぼるじょあの攻撃を防ぐのに精一杯だった。
「この…なめんな!」
蹴りを繰り出したが、それもかわされ、
「終わりだYO!」
ぼるじょあの下からの蹴りに、飛ばされた。
最後の八頭身は、
「この…くそったれ―――っ!」
ただ、がむしゃらに鞭を振りまわりた。それにレモナは
「熱くなりすぎですよ。戦いではいつもクールに」
その鞭の中をかいくぐり、レモナは八頭身の腹に強烈なパンチを繰り出した。
その八頭身も、ビルから落ちていった。
「あ…あいつらがあっという間に…よくわからないけど…」
「たすかったぁ」
安心した声で、言った。
<俺は来る日も来る日も生きる目的を探し続けながら、精一杯生きている>

橋、サンブリッチを渡っているバイクがあった。
「流石だな。もうすぐ、わたり終わるぞ」
「ああ」
弟者に短く返事をすると、運転に集中した。
その後、すぐにナイフが飛んできた。
「兄者!あいつらよ!」
妹者がつーとモナーを指差して言った。
<誰か、俺に何をすればいいのかを教えてくれ>
「弟者、妹者、すぐに戦闘準備だ…まさか、つーが生きていたとは…」
兄者がぼやいた。
「あの女め…モナァー!女は俺が殺す!いいな!」
つーがモナーに言った。
「いいモナよ。でも、つーが死んだ場合、殺ってもいいモナ?」
「べつにいい、しかし…そんなことないだろうがなぁ!」
二体は、兄者達に突撃していった。そこに…
「いっけぇ―――っ!!!」
パアンッ
銃声が鳴り響いた。
「そんなもの、当たらないモナ!」
しかし、いずれも当たらなかった。
「これでも…」<何処にいけばいいのかを>
つーの手から無数の光が出て、それが六本の<ライトナイフ>に変わった。
「くらってなぁ―――っ!」
そのナイフはそれぞれ足や手を切り裂いた。
「くっ…」
兄者、弟者は銃を落としたが、妹者はまだ握っていた。
「アヒャヒャ!終わりだな!」「一気決めるモナ!」
二体はまた光器を出した。
「死ね!」
つーは妹者に向かってナイフを振り下ろした。が、その時すでに銃口が向けられていた。
「あなたがね」
パァン
弾はつーの頭に当たり、吹っ飛んだ。
「やった…」
「どちらにしろ、死ぬモナよ」
つーの後ろから、モナーが飛び出してきた。
「!!!」
妹者に、それをよける力は残っていなかった。
「死ぬモ」
ドオォオオオオオン
言い終わる前に、モナーは吹っ飛ばされた。
「完璧じゃネーノ?」
ネーノが白い煙を出している大砲を持ちながら言った。
「まだ…生存者がいたのか…助かった…」
<時の針はカチカチと時を刻み続け、そして俺の命を削ってゆく>


第9話 最後の戦い

「ハァハァハァ…」
ギコは、町中を走り回ってっしぃを探していた。
「何処にいるんだよ…何処にもいな―」
ギコが角を曲がった広場、そこには、枯れた木のそばに座っているしぃがいた。
「し…しぃ!」
ギコは叫んだ。その声が聞こえたのか、しぃはギコの方をむいた。
「ギ…ギコ君…!」
「しぃ…ずっと探してたんだ」
ギコがしぃにちかづいていった。
<愛するときもあれば、憎むときもある>
「~~~っ!まだ痛みが抜けねぇな…」
フサが左腕を押さえながら言った。そのとき、フサは見た。自分の親友と、AIが一緒にいるのを
「な…ギ…ギコ!」
「フサ!?」
ギコが言った後、フサはもう一度叫んだ。
「そいつから離れろ!そいつは…」<「この愛を世界に!」>
フサはしぃを指差し、
「AIだ!!!」
「………え……?」
ギコはしぃを見た。
「……………」
しぃはうつむいたまま、なにも言わない。
そこに、邪悪な気を持ったAIが現れた。
しぃはそれにいち早く気付いた。
「モ…モララー」
しぃが見ているその先には光器、<ライトブレード>を持ったモララーがいた。
「フン…裏切り者め…さっきはよくもやったな…」
「え…?裏切り者って…?」<俺はオーロラを見つめながら、涙をこらえている>
ギコはまだ、状況が飲み込めてなかった。
「お前の隣にいる奴だ」
モララーが答えた。
―俺は、まだ信じられなかった。しかし、すぐに知ることとなった―
「モララー…わかったわ、私も本気を出す!<ライトボウ>!!!」<「この愛を世界に!」>
しぃの両手から、光が出て、それが弓矢になった。
モララーは走り出した。それも、ものすごい速さで。
そのモララーに、しぃは無数の矢を放った。
「ハッ、そんな矢が当たるかよ!」<The Northern Lightsーそれは輝く虹>
モララーは、矢の中をかいくぐり、ジャンプした。それにしぃは狙いを定め、
「空中なら、避けられない!」
矢を放った。
「俺の攻撃がこれだけだと思うな!」
モララーの剣に風が集まり始めた。
「“風の防御壁”(ウイング・ウォール)!!」
モララーが剣を振った。と、同時にすべての矢が弾き飛ばされた。
モララーは地面に着地し、また走り出した。
<The Northern Lightsーそれはすべてを照らす>
「出てこい!<アクアソード>!」
「むっ!」
ギコの腕から出てきた水が剣になった。
キィイイイイイインッ
ギコとモララーの剣が交わった。
「ギコ…どけ!」
「誰がどくかよ!どくのはお前だ!」
ギコとモララーは一度はなれ、モララーはジャンプで空中に移動した。
「逃がすか!」<The Northern Lightsー星空の中で>
ギコは壁を走り、モララーを追った。
「くらえ!」
(“風の分身”(ウイング・ミラー))
ギコがモララーを切り裂いた。それは腹の辺りに当たった。
(やった!)
ギコは勝利を確信した。しかし、
「それは、俺の分身だ」
「なっ!?」
モララーは一瞬でギコの後ろに移動していた。
「ギコ君!」
モララーが剣を振った。ギコは防いだが、空中なので落ちた。その際に、剣もはじき飛ばされた。
「ぐ…<アクアソー…>」<悠久の栄光を!オーロラよ…>
ギコが剣を出す前に、モララーは剣を投げた。
「死ね!」
ズシャン
確かに刺さった音がした。しかし、刺さったのはギコではなかった。
「し…しぃ!?」


第十話 覚醒

「し…しぃ!?」<オーロラは優しく波打っている>
剣が刺さったのはギコではなく、しぃだった。
「ギコ君…私ね…謝らなきゃいけないことが…あるんだ…」
しぃはギコに言った。
「ごめんね…私がAIだって黙ってて…」<オーロラはずっと天使と共にすべてを見てきたのだ>
「そんなこと、どうだっていい!しぃ!なんで…」<オーロラよ!>
「ゴメ…ンネ…」<すべての生命の為、私は「希望の扉」を開こう>
しぃは無数の光となって消えた。
「おいギコ、お前にいいことを教えてやる」
モララーがギコに向かって言った。
「しぃは別名、力の制御(パワーリミッター)、つまり、俺達AIの力を抑えていたのさ」
「…………」
ギコは返事をしなかった。
「そのしぃの力も解除された…つまり、この世界では…俺が最強だ!」
空が赤く染まっていった。
「くそ…もう、モララーを止めることは、誰にも出来ないのか…」
フサが言った。
しかし、モララーの声はギコにはきこえてなかった。
「しぃ……なんで…」
そのギコに、ある者の声が聞こえた。
<それが望んだ運命なのか?>
サザンクロスだった。
「サザンクロス…俺は…俺は…しぃを守ることが出来なかった!」
<ならば、町を救いたかったしぃの為、この町を救うべきじゃないのか?>
ノーザンライツがつづけて言った。
「…そうか…しぃは…俺をかばったんじゃない!」
続けて、
「しぃは俺に町を託したんだ!」
ギコはずっと考えていた。なぜしぃは俺をかばったのか―今、その結論が出たのである。
ギコはしぃから出てきた、光を強く握り締めた。
「さあ、ギコ、次は貴様…」
モララーは体から光が出ているギコを見た。その光は、あまりに強く、ギコの姿が見えなかった。
「<ライトブレイカー>」
「な…に!?」
光が収まったギコの姿を見て、モララーは驚愕した。
ギコは少年の姿…違うのは、耳、尻尾。
「なぜ…なぜあいつが光器を持っている!?」
そして、剣も違っていた。
「サザンクロス!ノーザンライツ!何をした!」
見えない者に向かって、モララーは叫んだ。
<それは、お前の勉強不足だろ。海の能力を知らない、お前のな>
「く…」
モララーは歯をかみ締めた。
<まあいいだろ、特別に教えてやる。海の能力、それは―>
<<力を吸収する力だ>>
その時、ギコは口をあけた。
「許さないぞモララー…絶対に、許さない!」



第十一話 俺を愛してくれる限り…

「許さない!」
言い放った瞬間、ギコはモララーに突っ込んでいった。
「くっ!」
ギコの振った剣は、モララーのライトブレードに当たった。
しかし、受け流しきれずに、町の外まで飛ばされた。その際に、小さな爆発が起こった。
「グオォオオオオ!!!」
モララーが出た場所は、NIGHTMARE CITYただ一つのがけ、その下には、町がまだ広がっている。
「モララーッ!!!」
ギコが煙の中から現れた。
ギコとモララーの剣が交わった。そして、離れ、
「しぃは俺に町を託した!だから…全力でお前をたおす!」
「こしゃくな!」
モララーは一歩踏み出し、横に斬った。しかし、宙返りでモララーの後ろに回りこまれた。
その時、することは同じ、
「ウオォオオオオ!!!」「フン!!」
振り向く時に、剣を突き出した。
キイィイイイイン
本日何度目かの剣を音が町に響いた。
―たとえ、すべてが嘘だったとしても、俺はかまわない―
ズパン
「うおぉおおおおお!!!」
ギコの振った斬撃がモララーに当たった。
―君が俺を愛してくれる限り、永遠に…―
「フッ」
ギコは剣を十字に斬った。モララーは剣で受け止めたが、剣が弾き飛ばされた。
ドッ
ギコは剣の柄でモララーを突いた。モララーも飛ばされ、崖に落ちた。
ギコもそれを追った。
「ちくしょう……ちくしょーう!!!」
モララーが叫んだ。ギコは
「これで、悪夢が終わる……“海の刃”(オーシャンズソード)!!!!」
ギコが剣を振り下ろした。その時、町全体を包み込む爆発が起こった。
その中でギコは現実世界に帰ろうとしていた。
「……!」
ギコは気がついた。自分の中からしぃが抜けたことを。
「ギコ…君…」
しぃはAAの姿になり、そして人間の姿になった。
ギコは手を伸ばした。同じようにしぃも手を伸ばした。しかし…伸ばしたしぃの手が、じょじょに消えていった。
しぃがその中で、
「私達…いつまでも…一緒だよね…?」
「ああ…しぃ…行かないでくれ…」
ギコが返事を返した後、自分の本音を言った。しぃはもう顔しか残っていない状態だ。
声も出ない。しぃは口だけを動かして消えた。
ギコにはその言葉が何なのかはっきりとわかった。
「しぃ…しぃ―――――――っ!!!!!」
ギコは涙を流しながら叫んだ。そして、光に包まれ、現実の世界に戻っていった。
(ありがとうギコ君…ずっと…一緒だよ…)


第十二話 ずっと一緒に

「No、1746、フサ!意識戻りました!」
生き残った人の意識がちゃくちゃくと戻っていった。
「う…ギコは…?」
フサが研究員に聞いた。返事は
「まだ帰ってません。しかし、じきに戻るでしょう」
フサはそうか、といって、ギコのカプセルへちかずいた。
そのギコは、涙を流していた。
「ギコ…?どうしたんだ…」
と、その時
「No、374、ギコ戻りました!」
プシュウゥウウウウ
カプセルがゆっくりと開いた。ギコは起き上がり…
「くそ…俺は…俺はしぃを守りきれなかった!」
ギコが自分の足を叩いた。何度も。そこに幹部がちかずいた。
「ギコ君…すまなかった…君にこんな思いをさせてしまって…」
「いいんだ…悪いのは、しぃを守れなかった俺なんだから…」
ギコは大粒の涙を流した。そこに
「なんで泣いてるの?私はここにいるよ」
ギコに聞き覚えのある声―ギコは前を向いた。
「し…しぃ…?本当に、しぃなのか……?」
ギコは立ち上がり、しぃに近づいた。
「うん…ギコ君、私はここにいる。これからも…ずっと一緒だよ」
そこに幹部が割って入った。
「ギコ君、実はしぃも人間なのだよ。前にサザンクロス達の話をしたろう」
ギコは頷いた。
「そのときにしぃも入っていたのだよ。もしAIが暴走したときの保険でな」
ギコは驚きの表情を見せた。
「戻ってきたのは、しぃだけじゃないぞ」
しぃの後ろから声がした。この中でギコだけが聞き覚えがある声。
その声の姿は、赤、白、青の髪をした人たちだった。
「……誰だ?」
ギコは聞き覚えのある声のもち主に聞いた。
「さすがに声だけじゃわからねぇか。これでわかるだろ。<運命が君を呼んでいる>」
その言葉に、ギコははっとした。
「サザンクロス!?じゃあ、そっちは…」
「察しのとおり、ノーザンライツだ。じゃあ、こいつはわかるか?」
ノーザンライツが青い髪の人を指さして言った。
「………………………」
ギコはしばらく考えた後、あるAAの雰囲気に似ていることに気がついた。
「もしかして…モララー?」
「ピンポーン、大正解~」
その言葉を聴いた瞬間、全員があとずさりした。
「おいおい、ちょっとまてよ。モララーは本来の心に戻ってるんだぜ?」
「そう、あのときの俺は、操られてたんだ」
モララーが言った。
「操られてた…?誰にだ?」
「それが、覚えてないんだとよ」
「みんな…すまなかった!」
幹部が突然頭を下げた。
「これも、全部私の責任だ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!」
「えーっと、記憶装置が残ってるんだよな?」
ギコが言った。幹部が頷いた。
「ああ…もしものためにとっておい……」
その時に気がついた。ロックをはずせばいい、と
「モラ「すまん、あっちの時の記憶、あまりないんだ」
言い終わる前に返事を返された。
「しょうがない…今から、ロック解除に取り掛かる!ギコ君!すまなかった!」
そういって幹部は奥の部屋へ行った。
「さて…俺たちも帰るか!」
「うん(おう)!」
しぃは俺と暮らすことになった。
サザンクロス、ノーザンライツ、モララーは一緒に暮らすらしい。
ついでにみんな同じ学年だから、すぐに合える。
「ギコ君~、遅刻するよ!」
「お…おう!!!」
(ずっと一緒に……)


一週間…しぃ達も慣れてきたころに、ある手紙が届いた…その手紙とは…

つづく

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