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ある一つの冒険物語。 (とろ)

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通りすがりの魔法使いのプロローグ。



その村は、もはや原型を留めてはいなかった。

一歩そこに足を踏み入れた瞬間、鼻をつく死臭。

道に転がるもう誰なのか、男なのか女なのか分からなくなった「モノ」。

焼け焦げた家々。今はただの瓦礫の山だ。

生きているものなど何ひとつないかのように思える。いや、違う・・・?

そう思ったのは、ふと、静寂を破って響いた小さな叫び声を聞いたからだった。

ぼんやりと、僕はその声の方へと足を運ぶ。

少し歩いたその先には、一人の幼い少年。僕の姿を見るなり、よろよろと歩いてくる。かなりの怪我だ。

やがて、僕の目の前まで来ると、彼はこう叫んだ。

「お願いだからアイツを助けて!!」

その言葉を叫ぶと、少年は糸が切れた操り人形のように、地面に崩れ落ちた。


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1  


ブワッと、うなる様な音を立て、砂交じりの風が吹き去っていく。
晴れ渡った空からは、熱い日差しがじりじりと、道の石畳を焼いている。



「砂漠の町 ミストラル」
人々はそこをそう呼んでいた―――



沢山の人々で賑わう市場。
その中を通り過ぎていく3人の旅人。
砂漠のちょうど外れにあるこの町は、昔から隊商達や他の旅人達の主要な交通の要所となっている。
そのため、このような旅人達を見かけることはザラだった。
「あ~あ、暇だなぁ・・・」
ここは市場の中の花屋。両親はさっき出かけていって、
いつものように店番を任されたレモナは、綺麗な金色の長い髪をいじりつつ、つまらなそうに溜息をついた。
が、不意に何かを思いついたらしく、彼女の顔に笑顔が浮かぶ。
「そうだ!また、『あの場所』へ行ってみよう!」
そう言うと、レモナは走り出した。


「ねえ、ギコ」
急に後ろから名前を呼ばれ、ギコと呼ばれたAAの少年は、ハッと我に帰ったように振り向いた。
「何だよ、モナー?」
面倒くさそうにギコが答える。すると、モナーと呼ばれたもう1人の少年は、何となく周りに目を遣ってから、ひそひそ声で話し出した。
「さっき通り過ぎた花屋さんの娘の事なんだけどさ、」
「ああ。なかなか可愛かったな。お前もそう思ったd・・いてっ!!」
鈍い音のあと、ギコが頭を抑える。どうやらモナーに殴られたようだった。
「そんな事じゃなくて、その娘の言葉。」
「・・・何だったっけ?お前に殴られて忘れた。」
と、そんなギコの手を、もう1人のAAの少女がそっと引っ張る。
「ん?どうした?しぃ」
ギコはそう答えると、自分の手のひらを彼女――しぃ――に差し出した。
しぃは、そこに指でゆっくりと一文字ずつ文字を綴っていく。
「『アノバショ』か。ありがと。」
ギコの言葉に、しぃは何も言わず、にっこりと笑った。
「しぃは偉いモナね~。どっかの誰かさんと違って。折角の手がかりかもしれない事を、ちゃんと聞いてて・・・ってうわ!!」
今度はギコがモナーの足に蹴りを入れたのだった。
あまりの痛さにしゃがみこむモナーを尻目に、ギコはさっきの店番の少女が走っていった方向に、目を遣り、呟いた。
「・・・とりあえず逝ってみっか。」



ギイィ・・・・・
軋んだ音を立てて、扉が開く。
中に入った途端に、ふわりと漂ってくる、埃の匂い。
真っ赤な古いカーペットは、毛足がぺったんこになっているのが靴をはいていても分かった。
目をつむっていても歩ける程に、歩き慣れた室内を、レモナはどんどん奥へ奥へと進んで行く。


やがて、その足はある1つのドアの前で止まった。
彼女は、そのドアをそっと開く。
「こんにちは!また来たよ!!」
「それ」は、彼女のその言葉に、ひょいと顔を上げ、言った。
「こんにちは、レモナ。君を待っていたよ・・・」


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そこにいたのは、青い体色に、丸い耳を持った1人のAA。
腹部には、十字の印。その印が何なのか、レモナは聞いてみた事は無かった。
いや、聞こうとも思わなかった。

―――彼の名前は「ポロロ」。
一月ほど前にどこからかこの館にきた。
あまり多くを語らなかったが、「ある場所」から逃げて来たという事だけは教えてくれた。
そして、すぐに友達になった。


「それにしても・・・」
「気味悪い場所モナね。」
「・・・・・」
誰もいない町外れの洋館。
その扉を開き、ギコ達は中を歩いていた。
「一体全体何であの娘、こんなとこに入ってったのかねぇ?」
「明らかに何か出てきそうだモナ。」
「まあ、『手がかり』が見つかるに越したことはねーからな。」
そんなことを話しながら、奥へ奥へと進んでいく。と、その時。
「お」
3人の前に、1つのドアが現れた。


バタン。
ドアを開く。
ここまでの道のりも薄暗かったが、ここはほぼ真っ暗だった。
目が慣れるのに、すこし時間がかかりそうだ。
そんなことを考えていたギコだったが、次の瞬間。

ヒュッ。

幽かにゆれる空気。背筋に走る冷気。

「・・・!!」
慌てて身体を伏せる。と、次の瞬間、

バシッ!!
「何か」がギコ達の上を通り過ぎ、後ろのドアに当たって砕けた。
それと同時に、さっき入ってきたドアも壊れ、開かなくなってしまう。
「畜生、閉じ込められちまったのかよゴルァ!!」
ガン、とギコはドアを蹴飛ばす。だが、それは開くことは無かった。
「困ったモナね・・・」
モナーが呟く。と、
不意に、パッと辺りが明るくなる。
「!?」

さっきまでの暗闇に慣れた目が、それに慣れるのには少しかかった。
だが、それにも慣れ、さっきの攻撃の飛んできた方向を彼らが見たとき、
彼らは、「探していたもの」を見つけたのだった。


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「誰だ!!」
「それ」は3人を見るなり、そう叫んだ。
その隣にはさっきの花屋の少女。やっぱりここにいたのか。
ギコはそう思った。
「君達は・・・何をしにここに来たんだ・・・?」
青い体色、丸い耳。・・・そして、腹部の印。
3人の顔に確信の表情が浮かぶ。
「やっと・・・見つけたぜ。『ポロロ』。」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、彼の顔に、疑問と恐怖の表情が浮かんだ。
「どうして・・・その名を・・・?」


どうして・・・?
何が何だか、訳が分からなかった。
さっき市場で見かけた旅人達。
彼らが何故「この場所」に来られたのかも分からなかった。
そして、
見ず知らずのこの旅人達が、何故、ポロロの名前を知っていたのか。
不安になって、思わず、ポロロの方に目を遣る。
そこには、いつもと変わらない彼の姿。やや焦った表情を浮かべてはいるが。
だが、
「!?」
突然、その表情が変わる。
「フフ・・・フフフ・・・」
狂ったように、残酷に、笑い出す。
「フフフフ・・・あははははは・・・!!」
「ポロロ!?」
彼の名を呼ぶ。だが、それがまるで全く聞こえていないかのように彼は笑い続けた。
「ねえ、ポロロ!どうしたの!?ポロ・・・キャアア!!」

ふわり、と身体が浮き上がる。

投げ飛ばされた、と分かるには少し掛かった。

ドサッ。
地面に落ちたものの、予想していた痛みは無く。
見ると、自分の身体をあの3人のうちの1人、白い体色のAAが支えてくれていた。
「大丈夫モナ!?」
「え?・・ええ・・・」
半分上の空のような気分で、彼に礼を言う。
まだ今の状況を信じたくなくて、私はポロロに目を向ける。でも、
「・・・!?」
そこにいたのは、「ポロロ」では無かった。


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