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FINAL FANTASY AA -Original Story- (閃峨砲翁)

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
       光り輝く星空・・・・・・・・・
          煌く彼らの瞳・・・・・・・・・
      酷く朽ち果てた遺跡・・・・・・・・・
         穢れのない彼らの想い・・・・・・・・・

 全て交わる。ここまで、歩いてきた、彼らの道のり。
 苦難もあった。
 楽しいことも。
 悲しいことも。
 全て、運命は分かっていたのであろう。こうなることは。
 そして、運命は何が分かる?彼らの瞳に映る、想い・・・。

 彼らは座っている。色褪せた地面・・・、鱗の生す岩・・・。
 海も見える。しかし、一番目を惹くもの、それは酷く朽ち果てた遺跡。
 彼らの求めた、目的地。神聖な、空気をも感じ取れる。
 彼らの所から、三メートルほど離れた少し、軟らかい地面。そこには、蒼く、鋭い剣。そして、先端に聖気を感じられる、杖。
 いままで、数々の者を葬っている武器。しかし、邪気は感じられない。

 一人が立ち上がった。皆が顔を上げる中、剣に向かって歩き出す。そして、柄を握り締めると勢い良く抜いた。

  「さぁ・・・、行こう」

 彼らの物語、最終章が始まった。

       それまでの、全てを語ろう・・・・・・・・・。

-----------ファイナルファンタジーAA-----------

第一章 一年

 暗い、個室。八畳程度の広さだ。一般人にとっての寝室だろう。
 夜だと感じ取れる。窓は締め切られ、彼も眠りについていた。
 しかし、彼は唐突に目を開けた。そのまま、何回か瞬きをして彼は身を、起こした。
「変な夢だぞ、ゴルァ・・・」
 寝ぼけ眼の目を擦りながら、彼は自室のベッドを出た。まだ若い、青年の蒼いAA。身長は普通ぐらいだった。
 そして彼は時計を見る。まだ、短針は三、長針は六を指していた。
「三時半・・・か」
 少し早起きをし過ぎた。いつもなら八時頃起きるのに、今日は夢のせいで起きてしまったのだ。
 とりあえず、彼は部屋の東に位置する窓を開ける。本来なら窓を開けた瞬間、目が開けれなくなる程の光が飛び込んでくるはずだった。しかし、まだ日の出はしていない。まだ三時半なら当たり前だった。
「・・・寒ぃー」
 思わず出た呟き。光の代わりに飛び込んできたのは、冷たい風だった。彼の家は海に面している。そこから、吹く風だった。
 彼の住む町、名前は『シーサイドタウン』。人口は少ないが、漁業が栄えており、他国や他町の船が来ることも度々だ。
「・・・こういう日は二度寝、だよな♪」
 独り言を言った途端、彼は窓を閉めた。そのまま振り返り、掛け布団がぐちゃぐちゃのベッドへ入り込んだ。
 そのまま、目を瞑る。頭に手を組みながら。
(・・・さっきの夢、なんだったんだろう・・・・・・?)
 先程みた夢。彼は目を閉じながらも考え込む。最後に言葉を発したAA。あれは、確かに自分だった。しかし、後ろにいた他のAA。見覚えがなかった。
(・・・まぁいいや。所詮夢だしな)
 軽々しく、彼は体を左に向けた。そのまま、彼は再び、眠りについた。



「ギコー! 起きなさい!」
 聞き慣れた声。それは彼の自室にも響き渡った。彼は、先程起きたせいか寝起きが最悪であった。起きたくなくても、この声では起きてしまう。
「分かったよぉ・・・。眠い・・・・・・」
 ぶつぶつと文句を言いながら、青年、ギコは自室を後にした。

「おはよう、ギコ。さぁご飯ご飯」
 声の張本人はギコの母である。彼女は台所に立ち、自分とギコの朝ご飯を作っているところだった。
 そこへ、ギコが入ってくる。寝起きの顔を彼はごしごしと擦る。
「おはよぉ・・・。朝早くねぇか?」
「そんなことないわよ。ほら」
 目玉焼きだろうか。母は何か調理している。そのまま、あいている左手で、時計を指した。時刻は八時二十分。
 簡単に顔を洗い、ギコは席に着く。だが、まだ顔は眠っているのか、ぼぉーっ、と遠くを見つめていた。
「ほらほら、寝ちゃだめよ! はい、朝ご飯」
 手慣れた手つきで、母はご飯を運んでくる。白米に豆腐の味噌汁、目玉焼きなどだった。
 母は、この町でも有名な男勝りの性格だった。ギコ族の女性だからだろうか。
「さて、頂きますっと」
 母は自分のご飯も持ってきて、ギコの前に座った。そして、ご飯にかぶりつく。
「・・・ギコ、今日で父さんがいなくなって一年経ったね」
 急に、寂しそうになる母。ギコも食べようとした手を止めた。
「あっそ・・・」
 素っ気無く返すギコ。しかし、顔は俯いたまま。そのまま、朝食を食べる。母は、話を続けた。
「海で行方不明だから・・・、もう」
そういった途端、ギコは机に手を叩きつけた。バンッ! 、と大きな音をたて、机の上の味噌汁もこぼれそうになる。
「もういいだろ! あの話はするな、って言ったじゃないかよ!!」
 母も驚く。我が子がいきなり怒った。驚くのも無理はないだろう。
「あんな奴、父さんなんかじゃねぇ!! あんな奴・・・!!!」
 そう言った途端、ギコは席を立つ。そして、そのまま玄関へ向かい、お気に入りの釣竿を取った。
「釣り・・・、行って来るよ」
 そう聞こえたかと思うと、扉の閉める音が聞こえた。悲しく、ガチャッ・・・、と。
「ギコ・・・・・・」
 母は知っていた。ギコは泣いていた。顔も歪めていない。声も出していない。しかし、親だからだろうか。泣いているのが分かった。



 ギコは海辺に立っていた。右の方には漁船の停泊している港が見える。しかし、今日は波が強い。そのため、漁はやらないようだ。
「・・・・・・・・・」
 無言のまま、ギコは立ち尽くす。海の上空に見える、太陽を見ていた。橙の光で町を照らしている。波のせいか、光は絶えず形を変える。
「・・・・・・行くか」
 外に出て初めて呟いた。そのまま、ギコは町の入り口へと歩き出した。
 本来なら、このまま港で釣りをやるべきだろう。しかし、ギコは途轍もなく釣れる、穴場を知っていた。それは町の外なので、この町を出なければならない。
 ギコは次第に、足を速めた。



 ギコが岩場に座っている。無言で、魚がかかるのを待っている。
(・・・奴がいなくなって、一年・・・か)
 ギコはそんなことを考えていた。ギコの父は一年前にいなくなった。漁に行って来る、と言うのを最後に。母とギコを残して。
 元々、父は酒飲みで金を稼いでも、酒に使ってしまう最悪の父だった。ギコもそんな父が嫌いだった。だから、いなくなっても別にどうでも良い、と思っていた。
(・・・釣れない・・・・・・)
 ギコはため息をつき、岩場の海を見つめる。かなり複雑な岩に囲まれたここは、魚が隠れ住む場所だった。また、人も滅多に来ない所でもあった。
 なので、ここは毎日のように釣れた。
 しかし、今日は調子が悪い。魚のかかる気配が何もない。しかも、海は荒れ始め、波も高くなっていた。
「ゴルァ!!」
 思わずギコは、岩に手を叩きつけてしまう。今日は、何かが違っていた。
 その時、全てが始まった。

   ドグアァァァーンッ!!!


         ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


第二章 襲撃

「何だゴルァ!!?」
 突然の爆発音。町の方から聞こえる。ふと見ると、町に煙が上がっている。ギコは、絶望感に襲われた。
「・・・母さん!?」
 釣竿を置いたまま、ギコは走り出す。ただ、あの町が心配だった。ただ・・・母が心配だった。



 ギコは走った。走り続けた。
 いつもなら、すぐに着けるはずだった。しかし、なぜか今日は着くのが遅い気がする。走っても、走っても、走り続けても町に着かない。そんな気がした。
「はぁはぁ・・・!」
 やがて、町が見えてきた。煙は先程より大きい。
 ついに入り口に立った。しかし、もうそこは『シーサイドタウン』ではなかった。ただの・・・、残骸でしかなかった。
「な、何で・・・!?」
 ギコはさっぱり分からなかった。今自分の見ている景色、その全てが。悲しい、と言うより意味が分からない。今の現実が。
「・・・母さん!」
 そして、残骸の中を走り出す。母の安否が心配だった。
 走る中、周りに見えたのは死体。夥しいほどの血が死体を紅く彩っていた。中には、知人などの姿もある。呻き声を上げている者もいるが、助かる見込みはほぼ無いだろう。
 それより今は、母のことが心配だった。
「母さぁーーーんっ!!!」
 ギコは残骸の中で叫ぶ。そして、自宅へと走り抜ける。
 自宅・・・、と思われる焼け跡の入り口に一人のAAが倒れていた。
「か、母さん!?」
 すぐに、ギコは母を抱き抱えた。息はある。ギコは叫んだ。喉をも枯れよ、と。
「母さん!? 母さん!?」
 呻き声を上げながら母は、目を開けた。もう、その瞳からは、生気が感じられない。
「ギ、ギコかい・・・。ふふっ、あんたは生きてたんだね・・・。良かった・・・」
 ギコの目の前が真っ白になる。もう、全てを否定したかった。この現実を、受け止めれなかった。
「母さん! 死なないでよ! 母さんが死んだら・・・! 俺は! 俺はぁ!!」
 不思議と涙は出てこない。極限の悲しみでは、涙、と言う感情は無効化されてしまうのかもしれない
「ギコ・・・。海をご覧なさい・・・・・・」
 母が妙に穏やかな声で言った。仕方なく、ギコは振り返る。海には破壊された船・・・、それだけではない。
「何だ・・・!? あれ・・・」
 見えたのは灰色の体をした怪物、否、そんな言い方さえ生温い。もっと、凶悪さが感じられる。
 それが轟、と吼えた。町はそれだけで少し揺れる。
「ギコ・・・、殺される前に・・・行きな」
 今までに無い、優しい声。まだ、涙は出てこない。なぜだろう。
「嫌だ! 俺は、母さんを置いていけねぇよ!!」
 必死だった。
 また、怪物が吼える。町に響き渡る、途轍もない音だった。
「ギコ・・・。あんたを産んでよかった・・・。あたしは・・・、幸せ者だねぇ・・・」
そういった途端、母は、目を閉じた。口には微笑を浮かべたまま。
「母さん!? おい! 母さん! 死なないでよ!」
 いくら体を揺すっても、母は、そのまま動かない。母は、死んでしまった。
「うわぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!」
 そして、ギコは初めて涙を流した。叫び声と共に、涙があふれ出る。なぜ涙は、悲しいと出てしまう?それは、感情を抑えきれなくなった、気持ちの液体。
 それが、動かない母の頬にしとり、と流れた。
「う・・・う・・・」
 涙も涸れた。もう出てこない。右手で拭い、ギコは海を睨み付けた。決死の覚悟で。
「うおぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!」
 そして、ギコは走り始める。海に聳える、あの怪物に向かって。
 もう、死ぬのも怖くなかった。寧ろ、死にたかった。母をなくし、故郷をなくした。もう、生きる意味なんて無い。そう思っていた。
(畜生! 畜生ぉぉぉぉぉ!!)
 海に入り込んで尚もギコは、走り続けた。遠くに見えるあれに向かい。海は、漁船に待機していた乗組員の血だろう。少し紅っぽかった。けれども、まだ走り続ける。
「許さねぇぇぇ!!!」
 涙が、海に滴る。海とは違う、温かい雫が波間に消えていく。
 やがて、怪物の五メートル前地点に着いた。近くで見ると、大きい。巨大な、灰色の塊だった。
 そして、また吼える。目の前で出された轟音は、容赦なくギコに襲い掛かった。
「く・・・・・・!」
 そのままでは、軽く数十メートル吹き飛ばされるだろう。しかし、ギコは踏ん張り、またも走り続けた。
「うおぉぉぉおおお!!!」
 そして、怪物の腕――腕かどうかは分からないが顔の辺りから伸びている――の下まで来た。
「う、うぅ・・・・・・!?」
 なぜか、ギコは途轍もなく気持ちが悪かった。怪物から出る瘴気だろうか。自分の全てが、狂っていると思わされる。
 このままでは、気を失ってしまうだろう。だが、ギコは決死の覚悟で怪物に拳をぶつけた。
「おぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁ!!」
 怪物の胸の辺りに命中した。この町のここまでにした怪物には効き目がない、そう思っていた。ただ、怒りと悲しみが抑えきれなかったのだ。

 ブオォォォォォオオオオオ!!

 突然、怪物が吼えた。先程までの吼えとは違う、苦悶の吼え。
 そして、怪物がいきなり光り始めた。下にいるギコも巻き込んで。やがて、光は目をも開けられない程まで密度を増した。
「なっ・・・!?」
 ギコは訳の分からぬまま、光に飲み込まれていく。その中で、ギコの意識は途絶えた。

 キゥイーーーンッ!!

 ついにこの町全体が光に包まれる。光の音が聞こえる程、大きな光だった。
 一分程、光り続けていただろう。光が収まっても、町の様子は変わらない。ただ変わったのは、海に聳えていたはずの怪物、そして、一人の青年がいなくなっていたことだった。


         ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


第三章 出会い

 気がつくと、体が不自然な霧に包まれていた。前が見えない。濃い、紫色の霧。そこは、なぜか懐かしい感じがした。
―――こ・・・ここは・・・?
 呟きに答えるものは、いない。
 気づいたことは、足が地面のようなものに触れていない。つまり、海の中や宇宙空間のような無重力状態だったのだ。
 仕方なく、ギコは泳ぐ――と言うのが一番それらしい――事にした。しかし、どんなに進んでも視界に変化がなかった。ただ、紫色の霧に包まれている。
―――どうなっているんだよ・・・。俺は・・・、変な怪物に飲み込まれて・・・
 考えていたが、ギコはそれをやめる。目の前の視界に変化が現れたからだ。
 一転して、霧は薄くなる。視界もはっきりしてきた。その奥に見えたもの、それは見覚えのある人物だった。
―――あ、あれは・・・!?

  『父さん!?』

 思わず、言葉に出てしまったがすぐに口を噤む。父さんなんかじゃない、などと言った割にはすぐに出てしまった。
 ギコの父はただ、立ち竦んでいる。こちらを見てはいない。自分の逆方向を向いていた。その方向にいたのは。
―――えっ!? まさか・・・!?
 父が見えたときより驚いただろう。そこに見えたのは少年時代のギコだったのだ。
 結構、ギコは遠くに離れていたが会話は聞こえる。まどろみの奥深くから、親子の会話が。
『また、泣いているのか、ギコ』
 父の懐かしい声。ギコはただただ、その場を見ているだけだ。一方の少年は手を目に当て、泣いている。
『ヒック・・・ヒック・・・』
 こんなこともあったのか、とギコは思い出す。父との記憶なんて覚えたくもなかったから。
『俺の子供なのに情けねぇな。そんなんじゃ、母さんを護れないぞ』
―――・・・!!
 この言葉は、ギコの胸に強く突き刺さった。もう既に、母を護れなかった。護ることが、出来なかった。
『俺が、悪いことをしたら、ギコ。お前が止めてくれよ』
 この言葉を最後に、目の前の視界がまた、まどろみに包まれる。小さい頃の自分や、父の姿はもう、見て取れない。
―――・・・・・・父さん・・・
 ギコはぽつり、と呟く。また、父さん、と言ってしまった。自分はなんて心が弱いんだろう、と思ってしまう。
 そのまま、まどろみは増す。ギコも急に意識がとんだ。
(中断)

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