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二人 (R)

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匿名ユーザー

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 プロローグ  ~ 寂しがりやのつー ~
 
 とある一つのスレッドで。

 草原に座り込んで、一人のAAが思案を巡らせていた。

 満点の星空の中、自身の真っ赤な体が暗闇に照らされて怪しく光っている。

 顔こそ笑ってはいたが、それは本来のAAの姿によるもので、本人の意思とは異なっていた。

 つーと呼ばれるAAは、悩んでいた。

 モナーやモララーに言ったら、多分笑われるだろう。

 それでも、つーは悩んでいた。

 発端はほんの小さなことだった。




 いつものようにモナーを捕まえて、顔に油性マジックで落書きして、モナーがひどいモナ~とか言いながら

 情けなく逃げてくところをみて、楽しんでいた。

 そしたら遊びに来ていたづーが、つーをからかった。

「おいお前、そういうことばっかしてるといつか友達なくすぞ」

 つーは一瞬言葉に詰まった。なんというか図星だったのである。

 そんなつーの様子を見て、ますますづーは調子に乗ってつーをからかう。

 結局、つーが真っ赤になって怒り狂い、づーが銃で応戦し、あたりはひどい騒ぎになったのだった。




「俺……。わざとじゃないのに……」

 つーは自分の手を見つめて、本音を漏らした。

 いつだってそうだ。

 自分は乱暴で、がさつで、スタイルもづーやしぃにかなわない。

 みんな俺を恐怖の眼で見る。

 誰一人として、親しみの目を持って見てくれなかった。

 悲しい。

 どうしてだろう。どうして?

 自虐的な気分が涙を誘い、思わず瞳からしずくが零れ落ちた。

 こんなとき、相談できる奴がいればなぁ……

 つーは涙をぬぐい、気分を変えるために空を見上げた。

 そんなつーの視界に、一筋の光の線が飛び込んできた。

「うわぁ……」

 一つに引かれるように、周りの光が次々と続く。いつしか、星という星が空からまるで雨のように降り注いだ。

 その光が織り成す幻想的な光景に、つーは目を奪われしばし見入っていた。

 そういえば。

「流れ星にお願いすると、願いがかなうんだよな。たしかモナーがそんなこと言ってた」

 つーはすくっと立ち上がると、両手を開き空を見上げて叫んだ。

「お願いだ! 俺に友達をくれ!」

 空から返事は帰ってこない。それでもつーはつづけた。

「友達をくれ! いつもそばにいてくれる奴! 困ったとき、苦しい時に相談できる奴!」

 星は徐々に消え始め、光の筋もうっすらと姿を消し始める。

 それでもつーはあきらめず、いっそう声を張り上げる。

「待って! 友達を! 俺に友達を!」

 つーの声は届かなかったのか、ついに最後の星が消え、空には静寂が訪れた。

 つーは立ち尽くして、空を見つめた。

 空まで、俺のことを無視する。

 そんなに俺のことが嫌いなのか?

 俺はづーのいうとおり、ずっと一人じゃなきゃいけないのか……?

「うっ、うっ、うー……」

 ついに、心の中にためていた何かがはちきれた。

 ビー玉のような瞳から涙のしずくが次々に頬を伝っていく。

 ぬぐってもぬぐっても、しずくはとどまるところを知らない。

 つーは声を上げて泣いた。

 泣いて泣いて泣いて――泣き続けた。

 その時だった。

 何かがつーに向かって落ちてきた。

 つーは気づかずに泣き続けていた。

 突如現れたそれはどんどん速度を上げ、まっすぐにつーのほうへと落ちてくる。

「ふあ……。え、えええぇっ!」

 つーが驚いて身を引いたのと、その何かが地面に激突したのがほぼ同時だった。

 辺りに広がる草の葉と砂煙に、つーは思わずむせ返った。

 突然の襲撃にそなえ、ゆっくりと姿勢を低くして、そっと何かが落ちたと思われる場所を覗き込んだ。

 そこには……AAが横たわっていた。

 勢いよく地面に叩きつけられた割に、体の外傷は少ないようだ。

 少し土で汚れた体は、黄色の毛皮に包まれていた。

 モララー?と一瞬考えたが、細身の体つきのため、そうではないらしい。

「う……うん……」

 AAの口から言葉が漏れた。どうやら、まだ生きている。

 つーがそっと体を抱きかかえると、相対的に顔が持ち上がって見えた。

 AAはギコだった。いや、ギコの顔をしていた。

 少なくともつーの知っているギコは青の毛皮をしていたはずだ。

 じゃあ……いったい何者なのだろう。

 つーは少しの間考えて、もっとも確率の高い結論をはじき出した。

 そしてそっと立ち上がると、上を向き手を合わせて言った。

「ありがとう。俺、この友達を大切にします」

 つーは単純だった。

 空は何も答えない。いつしか星も空から姿を消していた。

 つーは大事にAAを背負うと、自分の住処であるダンボールへと引きずりながら帰った。

 明日モナーにお礼をしなくちゃな。チョコに見せかけた爆弾でもやるか。

 などと、しょうもないことを考えながら。





 第一章 ~ 記憶喪失 ~

 目を覚ましたら、なんだか肌寒かった。

 そりゃそうだ。外で寝てるんだもん、俺。

 起き上がって、まわり見渡してみたら、なんだかよくわかんないところで寝転がってた。

 とりあえず、自分の知ってるところではなさそうだった。

 それで、よく見たら近くにダンボールが置いてあった。

 なんか関係があるのかも知れないと思って、恐る恐る開けてみたら中に猫が入ってた。

 いや、猫じゃないな、これは。

 まず、毛皮が赤い猫はいない。こんなに鮮やかな紅色の猫は、俺の記憶にはないな。

 次に手があって、足があった。いや、常識だろう?って思わないでくれ。

 その先には、まるで人間のような細い指がくっついていたんだ。

 最後に、大きかった。俺よりは少し小さいが、それでも一般の子供よりはゆうに大きく見える。

 とにかく俺は、この変な猫のようなものが入っているダンボールの傍で、一夜を過ごしたようだ。

 俺はとりあえず自分の昨夜の記憶を思い出すことにした。

 ……。

 …………いや……。

 …………そんな馬鹿な…………。

 俺は昨日塾の前で友達と別れ、コンビニで肉まん買って近くの公園のベンチに腰掛けて食べたんだ。

 それ食ったら帰るつもりで。

 そしたら、流れ星が空いっぱいに落ちてきたんだ。

 なんというか、すげぇ綺麗だった。言葉では言い表し難いって言うか。

 空で割れたガラスの破片が、発光しながら飛散してくっていう感じ。

 うーん……ちょっと違うか?

 とにかく俺はそれを見て、感動して願い事しようとしたんだ。

 それで、それで……。

 後は、記憶がない。

 何も覚えてない。

 何願ったのかも、その後どうしたのかも。

 もしかして俺、その時に誘拐されて異国の地につれてこられたのでは?

 この変な猫みたいな奴の朝食として連れてこられたのか?

 それとも、こいつが連れてきたのか?

 それとも、それとも――

 トントン

「ちょっと今考え事してるから、後にして」

 トントントン

「だから、後にして!」

「目が覚めたか?」

 不意にかけられた高い声。小学生の声より数段高く、耳にキンと響く声だ。

 振り返ってみると、先ほどの化け猫がこちらを見ていた。

 ダンボールから身を乗り出し、緑のつぶらな瞳をこちらに向けている。

 笑っているのだろうか、口は耳の近くまで開かれ、まるで裂けているかのようにも見える。

 どうやらこちらの返答を待っているようだった。

「お……おはよう」

 冷や汗を滝のようにかきつつ、とりあえず返事をすると、

「おはよう、友達」

 と言葉が返ってきた。

 しゃべっただけでも驚きだが、言葉がお互いに通じ合うことにも驚いた。

 そして先ほどの会話で、少しひっかかった部分に気づき、問い返す。

「あの、友達って?」

 彼なのか彼女なのか分からないそいつは、人差し指を立ててこちらに向けてきた。

 指の先には当然自分しかいない。左右を見渡してみても、人らしき物体は見えない。

 しぐさを真似して、自分の指でゆっくりと自分を指してみると、そいつは満足そうにうなずいた。

「なんで、俺があなたの友達?」

「落ちてきたから」

 またもとんでもない答えが返ってきた。

 おもわず声を荒げて、反論する。

「落ちてきた? あの公園に落ちるような場所なんてないし、

 落ちたにしてもなんでこんなところに出るんだよ?

 ここは地下帝国か? それとも天国か?」

「お、落ち着いてくれ」

 そいつがあっけに取られたように立ち尽くす。

 表情こそ変わらないものの、少し困っていそうなことは分かった。

 すこし取り乱したかな、と軽く反省し、今度は一転して優しい言葉で話しかけてみた。

「あのさ、ここはどこで、君は誰?」

 俺は説明におおげさなジェスチャーも加えて言った。

 そいつは考えるそぶりも見せず、さも当たり前のようにかえす。

「ここはスレッド。俺はつー」

「つー? それ名前?」

 そいつはふるふると首を横に振った。

「名前じゃない。俺の名前はない。つーっていうのはAAの名前。この世界に名前はない」

「アスキーアート? じゃあ君はアスキーアートなの?」

「君じゃない。つーだ」

 つーはむすっとした声で、すねたように口を尖らせた。

 ごめん、つーと場をつくろい、話を続ける。

「俺の知ってるアスキーアートってのは、掲示板っていうやつに記号だけで作られた絵みたいなことをいうんだよ」

「うん。知ってる」

「じゃあ、人間は知ってる?」

 つーは首をかしげた。

「知らない。ここはアスキーアートしかいない。だから人間は見たことない」

「見たことないって……。つーの前に立ってる俺は人間だ」

 つーは驚いたように目を見開いた。

「嘘だ。だって……」

「だって?」

 つーは背を向けるとダンボールをあさり始めた。

 包丁やらスイッチやらよく分からない粉が入ったふくろなどが、ほうりだされて足元に山を作る。

 その中からつーはなにか光るものを渡してきた。

 手にとって見てみれば、それは鏡の破片だった。

 つーの行動が少し気になった。できることなら覗き込みたくなかった。

 だが確認しなければならないと、ゆっくりとその鏡に視線を落とす。

 そこにはつーと同じような猫がいた。

 大きく開けられた口に、青の大きくつぶらな目。

 頭からぴょこんと飛び出た耳。

 黄色の毛皮に身を包み、とても信じられないといった様子でこちらを見返していた。

 鏡が手から滑り落ちた。鏡は石に当たって粉々に砕け散る。

 そのまま右手を背中に回した。人間でいう尻の部分まで手を持ってくると、ゆっくりと探ってみる。

 獲物はすぐに見つかった。

 手で握るのにちょうど良い太さのそれを目の前に持ってくる。それはまさしく自分の物だった。

 さっきから尻に感じていた違和感はこれだったのか……。

 ゆっくりと意識が遠くなっていくのを感じた。


 これは夢なんだ。

 最近睡眠をロクにとっていなかった罰に違いない。

 目が覚めれば、またいつものような朝が始まるんだ。そうだ。そうにちがいない。


 ドタン!


「わっ! おいっ! しっかりしろよ!」

 いきなり目の前で派手にぶっ倒れられて、つーは慌てた。

 なんで倒れたのか、つーにはとんと見当もつかない。

 揺さぶっても、声をかけても、ピクリともしなかった。

 こういう困ったときに、つーのとる行動は決まっていた。

 モナーの家は、ここから走って約10分だ。






 第二章  ~ モナーの受難 ~

「ということは、俺はここのスレッドっていうとこに飛ばされてきちゃったってことか?」

「そう考えるのが妥当モナ」

 目の前に座った、気のやさしそうな目をした人……AAが言った。

 先ほどモナーと自己紹介してもらったばかりである。

 先ほどの騒ぎの後、俺はモナーと名乗るAAの家に運び込まれたらしい。

「じゃあ、自己紹介してくれるモナ?」

 モナーが遠慮深そうに聞いてくる。

 もとより相手は恩人であり、断る義理などない。

 搾り出すように記憶をあさり、おもいついたことを述べることにした。

「えっと……、俺は酒井擬古。高校生」

「ギコ? 君はギコモナ?」

「そうじゃなくて、名前が擬古」

 俺はなかなか説明に苦心した。

 この世界には名前というものがないらしい。

 さらに俺の容姿は、この世界でギコと呼ばれるものに酷似しているということを、先ほどの騒動で判明した。

 説明に時間を費やすのももったいないし、信じてもらえる要素がどこにもないため、

 とりあえず俺は、この世界ではギコと名乗ることにした。

 さらに話を進めていくうちに、この世界には学校もなく、高校生など存在しないらしい。

 どうやら思っていたものより、ずっと状況は悪いようである。

「じゃあモナもギコって呼ぶことにするモナ」

 結局話し合いで進展したことは、自分の名前がギコであり、みんなにもそう呼ばれるようになったこと、

 ここが前に俺の住んでいた世界とは、まったく違った世界であることの二点だけだった。

「まぁ、気を落とさないでモナ。モナはギコの味方モナよ?」

「あぁ、ありがとう」

 そういうとギコはベッドにもたれかかり、ふぅ~……とため息をついた。

 そこに、先ほどの紅色のAAが現れた。

「気分はどうだ? スープ持って来たぞ」

 スープの皿からは湯気があふれんばかりに昇り、香りが鼻から入って脳の神経を刺激した。

 そういえば、昨日から何も食べていない。

 ギコはスープをつーから受け取り、とりあえず腹ごしらえをした。

 つーはギコが食べるのを嬉しそうに見守っていた。

「美味いか?」

「あ、あぁ。おいしいよ。ありがとう」

「気にすんな! 友達だからな!」

 笑顔で答えるつー。

 そこでまた、不思議に思う。

 なぜつーは優しくしてくれるのだろうか?

 自分とつーは昨日あったばかりだ。赤の他人も同然はずである。

 さらに、時折顔を出す『友達』という言葉。

 昨日つーは、落ちてきたからとか言っていたが……

 ギコがつーに、もう一度詳しく問い直そうとしたとき、

「つーちゃん」

 二人の様子を不機嫌そうに眺めていた、モナーが口を開いた。

「なんだ?」

「つーちゃん、ギコとどういう関係モナ?」

 とても不機嫌そうな声だ。どうひいきめにみても、友達であるとは思っていないようである。

 だがそんなモナーとは対照的に、つーは胸を張った。

「知りたいか? 知りたいのか?」

 おちょくるような言動に、モナーがますます腹をたてているのが分かる。

 流石にまずい、ギコが言い訳を始めようとしたのを、つーの言葉が遮った。

「知りたいなら教えてやろう。俺は昨日、外で星を見てたんだ」

「それならモナも家で見たモナ。すっごく綺麗だったモナね。

 で、それとこれと何の関係があるモナ!」

 頭に血が上っているのだろうか、言葉に棘が感じられる。

 しかしそれにもまったく動じず、つーは続けた。

「そしたら満点の流れ星がな、空から次から次へと降ってきたんだ」

 ギコははっとした。

 自分の状況記憶が、ちょうどなくなる前のものと似ている。

 ギコとモナー、それぞれ心境は違ったが、二人はじっとつーを見つめた。

 つーはそんな二人をじらすように、たっぷりと勿体つけてから言った。

「それでな、流れ星にお願いしたんだ。『俺に友達をください』って。

 そしたら、空からギコが降ってきたんだ」







 モナーはあっけにとられたようにつーを見つめた。

 ギコも同じようにつーを見つめた。

 つーだけが、どーだすごいだろうとでも言わんばかりに胸を張っていた。

「つー……ちゃん……」

 モナーが声を絞り出したように言った。

 つーが首をかしげる。

「モナは……モナは友達じゃなかったモナか!?」

 今にも泣きつかんばかりにモナーは叫んだ。

「うん」

 そんな様子を心配するそぶりを毛ほども感じさせず、つーは即答した。

 モナーがゆっくりと床に崩れ落ちた。

「ひどいモナ~……つーちゃんひどいモナ……モナは……モナは……」

 モナーは鼻をすすりだし、挙句の果てに号泣し始めてしまう。

 ギコは苦笑いしながらも、恩人に助け舟を出した。

「つー、どうして? モナーとつー、とっても仲よさそうだけど」

 つーは少し考え込み、早くも涙の水溜りに顔が水没し始めているモナーに声をかけた。

「なぁ、モナーはモナーだよな?」

 モナーは質問の意図が分からず、ただきょとんとするばかり。

「そう……モナけど……」

「だから、友達じゃない」

 つーの言葉に、ますますモナーは泣き始めてしまった。

 つーはますます訳が分からない、といった感じで、困ったように頭を掻いた。

 つーは『友達』という言葉は知っていても、『友達』がどういうものなのかは知らないのだった。

 そんなふたりのやり取りを見て、ギコは吹き出しそうになるのを必死でこらえていた。

「なぁ、ギコ」

 ふと見ると、つーが隣に腰掛けていた。

「なに、つー」

 つーは自分の名前が呼ばれると、嬉しそうに顔をほころばせ、それから体をよじるようにもじもじさせ、

 ギコのほうに体を向き直らせた。

 つーの細い指が、ギコの手に絡められた。

「な……なに?」

「これからよろしくな!」

 つーはこぼれそうな笑みをこちらに向けて言った。

 ギコはどきっとした。

 さっきまで口裂け女みたいに開かれていた口は、なんだか元気よく開かれた愛嬌のある口に、

 猫に生えていた指みたいな奇妙なものは、まるで女の子のように細く長く美しい指に、

 猫に似た顔つきは、無邪気な元気を満面に強調する、かわいらしい顔のように、見えてきたのだ。

 慣れたのだろうか、それとも、ただ気づかなかっただけなのだろうか。

 もといた世界で異性と付き合ったことがないギコは、心に芽生えた奇妙な高揚感に戸惑い、視線を床に落とした。

 つーが不思議そうに首をかしげ、ギコの顔を追おうとして――

 白いものに視線をふさがれた。

 モナーがつーとギコの手を硬く握り締めていた。

 モナーは震えていた。

「モナは……」

「おいモナー、大丈夫か?」

 つーがモナーの態度の異変に気づき、心配そうに声をかける。

 ギコも驚いたようにモナーを見つめていた。

「モナは絶対に認めないモナぁ!」

「おい、モナー大丈夫か?」

 静止するつーの声も耳に届かぬ様子で、二人の握っていた手を振りほどくと、
 
 モナーはさきほどつーが握っていたように、ギコの手をかなり硬く握った。

 驚き戸惑うギコの前で、モナーは声を張り上げて宣言した。

「モナとギコは今日からライバルモナ!」

「ええぇっ!? だって、ちょっと前に味方って……」

「うるさいモナ! ライバルって言ったらライバルなんだモナ!

 じゃあ出てくモナ! モナの目の前でいちゃいちゃするなモナ~!」

 モナーは泣きながら枕を振り回して暴れ始めた。

 自衛隊でも来ないと、とてもとまりそうにないようだ。

 ギコはベッドから飛び降り、モナーの豹変振りに戸惑っているつーの手を引いた。

「行こう」

「でも、モナーが……」

「モナーなら大丈夫モナ! エブリシングオーケーモナ!

 だからモナの前で、仲よさそうに手をつなぐなモナぁぁぁぁぁぁぁあっ!」

 ますますモナーの暴れぶりに、拍車がかかった。

 ギコとつーは、足早にモナーの家から退散した。


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