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Your story ~60億冊の物語~ (ダメ筆者)

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
通りすぎる人を見ると、悲しくなる。
数十万人が住むこの街で、名前さえ知らなくても、俺は悲しくなる。
その人と一生会えなくなる。たった数cm先をすれ違う人なのに・・・
俺はおかしいのだろうか、他の人はこうは考えないのだろうか、これは好奇心?
知欲?俺は、他人ではないのか?他人から見たら浮いているのか?
あらゆる疑問を持つ。
俺は他人だ。
自分と出会える人は、家族、学校の人、仕事での人、その他数人だけだ。
70年もある人生で、たったこれっぽっちしか出会えない。
やっぱり俺はおかしいのか・・・
それぞれの人生、物語を、俺は全て読みたい。一生を奉げてもいい。
一生をかけて、俺は他の人の人生を知りたい。
家は貧相だが、親想いで優しい人の物語。
あるいは、豪家に生まれ、欲しい物を欲しいままにできる人の物語。
普通過ぎる生活でも、全く同じではないのだ。
60億ある物語は、全て違う。


そして俺は、今1つの物語の他人の物語を終わらせた。
その物語の終わり方は、

「そして、俺は寝こんでる間に部屋に忍び入ってきた人物に、銃で撃たれたのだった。しかし、後悔はしていない。俺は殺させて当然の人物だったのだ」
という終わりである。
そして俺は彼の物語の最後の部分の筆者なのだ。

清潔な部屋に紅い血痕が残る。
見事に心臓を打ちぬいた銃弾はそのまま体を貫通し、そのままベッドに刺さっていた。
闇の中に、サプレッサーを付けたハンドガンが奴に向いてる。
それを腰に隠すと、俺はすばやく部屋を後にした。
黒いスーツ、黒いズボン、黒いネクタイ、黒い帽子。目撃者を作らないように、夜の闇に溶ける格好だ。
警察が頼りにする情報の上位に来るのが目撃証言だ。
俺は奴のことを目の仇にもしていないし、奴との接触経験もない。
しかし、銃で殺すのは理論的に矛盾している。
奴を恨む人物が殺すのならば、包丁、バットなどの、殺し実感できる道具を使うし、一般市民が銃を手に入れる事はできない。
事件が殺しだ。警察も何をしてでもこの事件を解くだろう。
引ったくり氾を捕らえるのと、殺人者を捕らえるのでは、警察の顔が立つ大きさが全く違う。
警察を侮ってはいけない。証拠を探すために血眼になる。
科学捜査なんかは靴下の毛一本も見残さない。
そのために俺は家に上がる時は、標的の家の玄関においてある履物を履いて目標に向かう。帰りはそれを履いたまま帰るのだ。自分の靴は普通に手に持って出ればいい。
時計を見ると、前2時。
犯行時間は適切だ。
数百メートル先の駐車場に止めておいた車に乗ると、ゆっくりと発進させる。

証拠を残さない。これが一番重要なのだ。
俺は犯罪者であり、完全犯罪を遂げなければいけない。
漆黒の空間を、漆黒の車が走る。
エンジン音は極めて小さい。

昼はひっきりなしに車を走らせている道路も、この時間はほとんど車は通らない。
しかし、そんな数少ない車を止めさせようと、数多くの蛍光電灯が付いている。
そんな明るい街には目もくれず。俺はひたすらに車を安全に走らせる。
数十分、その車は走った。
今まで車の中で見てきたようなビルに、彼は車を止める。
ビルの前には、NEXT WORK と書かれている。
「ふぅ・・・」彼は一つ、ため息を付くと、そのビルの中に入っていった。

ここは俺を雇っている会社であり、俺はここの社員だ。
しかし、ここの会社は「普通の会社」とは違う。
「殺し」を糧に運営している会社だ。
表向きは何でも屋、と称されているが、現実に何でも屋で運営できる会社はまずないであろう。
人が最も恐れる事。犯罪。その最上級に値するのが殺しだ。
生理的嫌悪、社会的道徳、法律、罪、罰。全てがこれを重い枷で縛り付けている。
やりたくてもできない。そんな人の欲望を食っている会社。
それが、NEXT WORK。
俺は「普通」であることが兎に角嫌いであった。
自分では全て違う物語と言っているが、ヒットするような物語にしたいのは誰でもそうだ。
普通の人の生活を書き綴って、読んでくれる人はいない。
俺は最小限の光で賄われている社内を進む。

「さっき人を殺しました」

そんな自分だが、全く心身に問題はない。
普通の人なら、この寒い季節の中、冷や汗を垂らしながら逃げるであろう。
そう考えると、俺はやっぱり普通ではない・・・
普通を嫌ってこの会社に入ったのに、心の隅では普通に憧れている。

「倉庫」。そう書かれた小部屋に入ると、そこには靴を入れるようなダンボールが数十個積み上げられている。
彼はS-09と書かれた箱を見つけだし、それを引きぬいた。
数十分前、人を殺めた銃を腰から取り出すと、彼は其れを箱の中に丁寧に収める。
薄暗い中、それは静かに行なわれた。
それが終わると、彼はまた、薄暗い廊下を一人歩く。
彼の鼻には硝煙の香りが漂っている。
彼はそのまま仮眠室へと入っていった。
そして暖房をつけると、ソファに横になる。
暗いビル内だが、もう歩きなれている彼には目をつむってもなにがあるのかわかるのだ。

彼はソファに横になりながら、今日の反省をした。
目標は暴力団の幹部。名前はオサラー
間違ってはいない。
場所は2ch荘だ。
依頼人は、目標に夫を殺された妻。
報酬金額は1500万。
月150万を現金で10回。保険金で出すそうだ。
ここまで出しても、殺したかったのだろう。
それほどまでに夫を愛していた・・・か。
目標が暴力団幹部だ。
銃を使っても、あまり不信感はないだろう。
目標が目標でよかった。
目標は本部会議のためにはるか遠くから来て、2ch荘に居る。
これもいいな。
銃での殺人、それに遠征のために来た場所。
計画的だ。
間違いなくサツは関係者、または目標の移動をよく知っている人物として捜査するだろう。
そこらへんは俺や依頼人に疑いがかかる事はない。

そう考えていると、ぱっと、部屋が明るくなった。

始めて、俺を明かりと呼べる明かりがつつんだ。
ドア付近を見ると、そこにはにやにやとした人物が立っている。
「社長・・・」
そう俺は言うと、社長は彼に近づいていった。
「どうやら、今回も完全成功のようですね。モララーさん、いやぁ、私ももうすぐ彼方に技術面で抜かされそうですよ、ははは」
社長の名前はタカラ、俺を雇ってくれた人物だ。
「なに言うんですか、私なんてまだまだひよっこのプーですよ・・・彼方には敵いません・・・」
「っよ」っと言いながらソファから立ちあがる。
社長と向き合い、
「何故、こんな時間に?」
と問う。
スーツを着こなした社長は笑みを浮かべながら
「ちょっと大切な書類を忘れましてね、ははは、それで彼方がここに入っていくのを見たものですから、寄っただけですよ、それじゃぁ、私はこれで、」
そう言うと、社長は部屋を出ていった。
「・・・」
モララーは顔に汗を垂らした。
(俺がここに入っていくのを見ていただって?全然足音も聞こえなかったし・・・気配すら感じなかった・・・)
数十秒彼は立ちっぱなしで放心状態であった。
しかし、はっとすると、彼は電気を消し、睡眠を取った。
(やっぱり、社長は凄いな・・・)
この会社に入ってから2年。ずっと社長は目の届かない先を歩いていた。
いや、俺の歩くのが遅いだけか?
いまだに社長の背中を見ることができない・・・
あの人は強い。まったく、非がないんだ・・・
完璧な人間、そう言った方がいいかもしれない。
完璧な人間・・・か、完璧なんて、誰が制定したんだろうか。
他に完璧な人間がいれば違う事だ・・・
俺の想い違いだな・・・



ぱっと目が覚めた。
そうは眠ってなかった感じだが、携帯を見ると6時35分。
こんな寒い季節だが、爽快な気分でソファを降りられた。
頭がはきはきとし、彼は着替えを集める。
彼は其れをバッグへと詰めると、部屋を後にした。
空はもう晴れている。
外へ出ると、冷たい風が自分を包んだ。
「マフラーしてこりゃ良かったかな・・・」
そう思いながら視線を向こう側の歩道へとやると、そこにはマララー種が凍えながら歩いていた。マフラーを頭の先に巻いている。
「マララーがマフラー・・・」
プッっと鼻で笑った彼は足を運ばせた。
まだ車通りが少ない街を、彼はポケットに手を入れながら歩く。
吐く息が真っ白だ。
体をブルブルと振るわせながら、彼は滑りそうな道を歩く。
数分、街の中を歩くと、彼は「銭湯」の前に止まり、中へと入っていった。
ガラララ、こんな最先端の街に、がらがら言うドアはかなり合わない。

「あ、おはようございますモララーさん」
社長とは違うにこにこした顔が高い場所から俺を迎える。
「ぁぁおはよう、ヤマザキさん、今日も使わせて貰うよ」
「彼方がたのおかげでこの銭湯もなりたってるんで、1日6回くらい使っちゃってくださいよ」
カウンターに腕をかけて彼は笑った。
「それは、ちょっと勘弁・・・」
笑いながら、モララーは小銭を払い、着替え場に足を運ばせる、他に誰も客はいない。こんな朝早くからくる客はいないだろう。

この銭湯は朝5時から夜の11時までやっている。
従業員はヤマザキさん一人。風呂掃除から整備やらなんやらで時間がかかるのに、寝る時間はどうするのだろうか・・・
そう、いつもの考えを胸に、彼は湯煙の中へと入っていった。
寒い冬に暖かい湯、このために辺りは煙で真っ白だ。
彼はシャワーへと向かい、体を流す。
疲れと、わずかに残っている硝煙と血の匂いを洗い流す。
(本当、近場に銭湯があってよかったよ)
心の中でそう思いながら彼は体を洗う。
洗い終えると、彼は電気風呂につかった。
ビリビリビリビリ~と、軽い電気が彼を刺激し、彼は満足な顔をする。
20分もすると、彼はドアを開けて出てきた。
着替え場に出ると、テレビがついている。
朝のニュースだ。
首相がどうとか、イラプがどうとか言っている。
俺が昨日した犯行のことはまだ知られていない。
当たり前か、あんなの知られたら族での戦争が起きる・・・

彼はカバンから、昨日から違うスーツを取り出すと、其れを着た。
「いい風呂浴びせてもらったよ、ヤマザキさん」
湯気を出しながらヤマザキの前に出た。
「いつもの一本頂戴」そうヤマザキに向かい言った。
「もうテーブルに出てますよ」
モララーが小さなテーブルを見ると、ブラックコーヒーとトーストに目玉焼きが乗った物、それにサラダがあった。
この銭湯には7時までに来る人に朝食を安く出している。
コーヒーお代わり自由で新聞もある。
それで250円だ。
新聞を取り、彼は朝食を取った。
いつもの朝食だが、これで力がつく。まったく、俺はまだ育ち盛りかよ・・・
朝食を取り終わり、彼は皿をヤマザキへと持っていき、
「ごちそうさん。今日も美味しかったよ」
「あ、どうもです。また来てくださいね。お仕事、がんばってください」
「ぁあ、また出来たら夜来るよ」

そう言い残し、彼は玄関を出た。

綺麗な朝日がもう少し上に出ている。
街は早出社の人間が歩いていた。
彼はブルブル!っと震え、会社へと戻った。
昨日の報告書を書かなければいけない・・・
嫌だなぁ・・・俺にはデスクワークなんて向いてないよ・・・
そう思いながら、彼は歩く。
寒い!それしか出てこない。
風が強い!
道路の電工表示を見ると、-1度と表示されている。
くそ!鼻水も凍るぞ!
銭湯でホッカイロ買っておけばよかった・・・
あの銭湯には生活用品が少しだけ売っている。
夏にはハンカチ、冬にはホッカイロといった具合だ。
常時準備しているのは筆記用具などだ。

少し経つと、彼は会社に入っていった。
この会社は4階建ての地下一階、隣には大きなビルが建っている。
一階は受付窓口と仮眠室、2階には第一業務部、第二業務部。ここで資料を書いたり、報告書を書く。コピー機などがごったがえる部屋だ。
第一事業部部長はモナー部長、優しくて頼れる部長だ。皆の信頼もある。第二事業部部長はギコ部長。切れやすく、ちょっとの事で叱られる。彼は聞いた話では銃、剣、殴、どれも優れているとか・・・見たことないけど。
3階には会議室、第3事業部。ここは「普通の依頼」をこなす場所。一番出入りが多い。部長はジサクジエン。4回には社長室と応接間がある。
地下には資料庫と、倉庫がある。
倉庫に例の武器があるのだ。

この会社の社員は受付にしぃさん、それに3人の部長。社長、アシスタントの僕とフーン、それにこの前入ったイマノウチの8人だ。

彼は資料庫に向かうために、地下への階段を降りた。
重い鉄の扉を彼は空ける。もう日は十分昇っているが、地下なので光は電気しかない。
彼は明かりをつけると、迷わず奥へと進んだ。そして一つのファイルを取り出すと、彼はそれを持ったまま部屋を後にした。
ドアを出たところで、

「お、早いな、どうだ、昨日の仕事、うまくいったか?」
そう、声がした。
声はジサク部長のものだった。
「あ、おはようございます。部長、いやぁ、始めて一人でこなしましたよ。うまくいってくれていればいいのですが・・・」
部長に挨拶をし、かれは返す。
「すまんな。私の仕事が早く終わってくれれ手伝ってやれたものを・・・」
「いえいえ、お陰でいい経験ができましたよ、ぎこ部長の前では出切るものも出来なくなってしまいます」
くすっと笑いながらモララーは返した。
「始めての一人での仕事だったからな。これがうまくいっていたらまた仕事が増えるぞ」
ジエンも笑いながら返した。

モララーにとって、昨日の仕事は始めて一人でやったことなのだ。
今まではアシスタントとして、モナーやぎこと一緒にやってきたのだ。
「わかった、しかし、私もそのうち君に抜かされてしまうよ」
「いえいえ、そんなことないですよ」
そう言い残し、モララーは階段を上った
階段を上がりきると、そこには受付嬢のしぃがいた。
笑顔が眩しい。
「あら、早いのね、モララー君」
「おはようございます。昨日はここで仮眠をとって、それで今ですから、これから報告書です。いやぁ、もうくたくたですよ」
しぃはフフっと笑った。この会社には笑顔が絶えない。それは彼女の力もあるだろう。

軽く挨拶をすますと彼は第2事業部へと向かった。
この第二事業部は、仕事の後処理を基本とする部だ。
アクマで基本だ。大きな仕事が入ったときには、3つの事業部全てで仕事をするのだが、そんな大仕事はめったにない。
2階に上がる時、彼はため息をついた。
(もうギコ部長来てかな・・・挨拶代わりの怒声は厳しいよ・・・)
そう思いつつ、彼は第二事業部のドアを開けた。
案の定、そこには誰もいなく、資料が積み上げられていた。
「よかったぁ・・・部長いないやぁ」
そう一言呟いた。

そしたら後ろで殺気がした。

「部長がいなくてよかっただぁ?どの部長だよ?ぁあ?てめぇそんな事言ってる暇あったら早く報告書書けやこのやろぉ」

前を見たままクソ寒いのに汗が出る。後ろから凄いオーラだ。
「お・・・おはようございます部長・・・」
そう言うだけであった。
後ろを振り向くと、そこには四角いサングラスをかけた部長が眉間にシワをよせていた。
「一言で言うと、ヤクザ」
フーンの言葉を思い出す。
確かにギコ部長には小指がなかったし、腰には光るものが常時あった。
「おう、おはようさん、てめぇ昨日どうだったよ、しょんべんちびらなかったか?お?その報告書終わったら、俺のも手伝えや」
「え・・・僕はこれ終わっても・・・他に・・・」
「んだとてめぇ?俺の仕事が手伝えないだぁ?いったいどんな緊急な仕事だよ?ぉお?」

ダンボールにつめてもらって、海外に送って欲しい。
モララーの頭には妄想が浮かぶ。今すぐこの場から逃げ出したい。
いまなら100メートル8秒で走れる。

「はは、冗談だよ、冗談、まったく、冗談の通じない奴だなぁ」
いきなり笑みが出た。
ここで自分も笑うべきなのか、しかし、笑ったらまた後がどうなるかわからない。
そうんな心の綱引きをしているモララー。

「んじゃ、今日も元気に頑張れよ」
そう言うと、ギコは机にむかった。
少ししたが、突っ立ったままだとまた部長になにを言われるかわからない。
そう重い、モララーは急いでデスクへと着席し、報告書を製作した。

依頼人、目標、使用した武器、発砲回数、死因判定、後始末、目撃者、時間、報酬、報酬譲渡方法、
あれこれと製作している。これが毎日の日課だ。
仕事をこなし、其の報告をする。

ほとんどは「普通の依頼」のため、文章を間違えることもあったが、モララーはもう慣れていた。

これが終われば、次は普通の依頼だ。
例年ならこの時期は仕事が少ないのだが、今年は結構多い。
しかし、もうすぐ依頼されたほとんどが終わる。
モララーはそう思うと、なおさら努力した。

もうすぐ昼になるという時間、ドアが開くと同時に
「お・・・オハヨウ茣蓙・・・」
そう呟く声がした。
ドアを見ると、いかにも体調が悪そうな表情をしたイマノウチがドアノブに持たれかかっている。
「てめぇそんなに疲れてなにしてんだよ。若いくせにショッベェなぁ」
ギコ部長の声が響いた。
「だ、だって、夕方の6時から朝の6時までずっと団地の見回りだったんですよ」
それは辛い。モララーは入社したての頃を思い出した。
普通ではない大きな仕事が入った時は、部長のほとんどが狩り出されるので、雑用のような仕事は一人でやらなければならないのだ。
それがアシスタント。

「いい訳はいい、そんな泣き言言ってる暇あったらイマノウチ、今の内にさっさと報告書書け」
「ひぇぇ~~、わかりました・・・」



(え?今のダジャレ?)


久々にこの部署に人が多く集まった。
いつもなら多くても二人、ほとんどは一人で報告書を製作しているのだ。
仕事がサービス業だ。ほとんど外業務なのもあるだろう。






























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