~プロローグ~
遥か昔、この世界には呪術師と呼ばれる者たちがいた。
彼らの力は強大で様々な呪の術を以て大勢の罪なきAAを殺した・・・・・
彼らの呪術の中で特に強力な呪術は、相手に呪の刺青を彫るという呪術だった。この刺青を付けられた者は強大な『力』を得ることができた。
しかしその代償に体は徐々に呪に蝕まれていき、いつ死ぬかもしれないという恐怖に怯えながら生きなければいけなかった。
彼らを呪から解放できるのは呪術師たちだけ・・・・
呪術師たちはこの呪を数多のAAたちにかけた。
「死にたくなければ従え・・・」
呪術師たちはそう言い、刺青を付けた大勢のAAたちを操り世界を滅ぼそうとしていた。
刺青を付けられたAAたちの中には刺青の『力』が暴走し身体を完全に浸食され、正気を失った化け物へと成り果てる者もいた。
刺青を付けられたAAたちは最早、普通に生きることは適わなかった。
そんな折、各地で呪術師たちに抵抗を続けていた人たちがついに一丸となった。
その集団は《Soldiers of hope》(希望の戦士たち)と呼ばれ、生き残ってる人たちの希望となった。
呪術師たちと幾多もの戦いを繰り広げて、ついに《S O H》 は呪術師たちに勝利した。
呪術師たちは確かに滅びた、そして、刺青を付けられた何の罪も無い人たちも・・・・
やがてこの戦いは《呪術戦争》と名付けられ、後の世に伝説として語り継がれていった。
そう・・・ただの「伝説」として・・・
第一話 ~残酷な運命の始動~
朝、ギコはいつも通りに起床した。起こしてくれる人は当然いない。両親すらいない。
ちょうど一年半ほど前に他界していた。
両親がいなくなってギコは生きるために働かなけばならなかった。まだ十五歳。中学生だ。学校は一応行っている。
働きに出るのは夜だ。学校へ行く時間。だが明らかに、もう遅刻だ。鞄を自転車にのせて走り出す。
これが今のギコの日課。
__________________________
学校ではギコも至って普通の中学生に見える。
でも実際はただの中学生ではない。中学生で働ける所なんて滅多にない。
ギコは『無法地域』と呼ばれる場所で働いていた。
ここはほぼ法律の無い地域だった。地域といってもけっこう広い地帯だ。
いくつもの廃墟となったビルや空き家など様々な建物が立ち並んでいる。そういう建物には勝手に人が住み着いていたり、非合法品などの取引などに使われている。犯罪者も立場が危うくなると、この地域に逃げ込む者も少なくない。
この地域では人が死ぬなんて日常茶飯事だ。
この一角でギコは働いていた。無法なだけに中学生でも普通に働けた。
(はぁ・・・・・暇だ・・・・・・・・・)
授業を受けながらギコは思っていた。
(どうせ俺には受験の心配だって無いんだ。高校も行かないし。学校やめてぇなぁ)
そんなことを考えていた刹那だった。
ーーーーーーードクンーーーーーーーーーー
「・・・・・・・え?・・・・・」
思わず声に出た。
(何だ今の・・・気のせいか?)
ーーーードクンーーーードクンーーーー
(・・・!?まただ・・・・)
ーーードクンーーードクンーーードクンーーー
(何なんだ?この耳鳴りみたいの。いや・・・耳鳴りとは少し違う気が・・・・・)
ーーードクンーーードクンーーードクンーーードクンーーー
ギコはこの時、自分に課せられた残酷な
運命をまだ知る由もなかった・・・・・・
__________________________
ここはある山岳地帯。その中に岩石だらけの場所があった。その場所にある男のAAやってきた。
名前はフサ。ギコの親友だった。フサは岩石がそこら中にころがっているなか一際大きな岩を見つめた。
その岩には大きな、頑丈そうな扉があった。フサが右手をかざして近づくつと
扉はひとりでに開いていった。中はとても広い空洞になっていた。まるで洞窟のようだ。
中には一人の男が座っていた。
「久しぶりだなぁ・・・モララー」
「・・・フサか・・・・・」
モララーと呼ばれた男も口を開いた。
「はるばるよく来たな。今日はどうした?何かあったように見えるが?」
「・・・俺の友達のギコ・・・知ってるよな・・・?」
「あぁ・・・・知ってる・・・」
「ギコにも・・・呪の刺青が彫られてるんだ・・・・」
「・・・何故分かる・・・?」
「近くにいると感じるんだ・・・・何かうまく言えねぇけど・・・・
それに・・・ギコにも呪術者の手が迫ってる。
このままでは捕らえられるか、もしくは『力』が暴走を始める。
そうなったら取り返しのつかないことに・・・」
フサは焦っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
モララーは何か考え込んでいたがやがて、口を開いた。
「・・・あいつを・・・・信じてみよう・・・・・・・」
「信じる・・・だって・・・?」
フサは問い返した。
「あいつには残酷な運命が待っている。だからこのくらいは大丈夫だ。きっと乗り切る」
モララーは確信があるかのように言った。
__________________________
学校が終わりギコは家に帰ろうとしていた。
(ふぅ・・・・何とか治まったな・・・・)
あの耳鳴り(?)は、今は治まっていた。
(しかし・・・なんだったんだ・・・?あれは耳鳴りというより心臓の音が耳の中で聞こえたみたいだった・・・)
帰り道を歩きながらそんなことを考えていたギコは、前に怪しい人物がいるのに少しも気がついてなかった。そのAAは黒いマントのような服を着ていた。
少し不思議な格好である。
顔はマントでよく見えなかった。
ギコが気づかずに通り過ぎようとした。すると、そのAAは話しかけてきた。
「やっと見つけたよ・・・呪の戦士・・・・・」
「え・・・?」
明らかに自分にかけられた言葉だとは分かった。しかし、意味がまったく不明だった。相手のAAは声的に男のAAだった。
(何だ?こいつ・・・何かの宗教か?それとも『無法地域』から出てきたイカレ奴か?)
そんなことを考えているとその男のAAはまた口を開いた。
「遂に見つけたよ・・・呪われし戦士。さぁ今こそ愚かなこの世界に復讐する時・・・我らに従い、戦え・・・・」
「はぁ!?」
思わず声がでた。
「え~と、どういう意味ですかね?それは・・・そのえ~と」
ぎこちなく丁寧語で話そうとするが、相手はギコの言葉を無視して話を続けた。
「お前には呪の刺青が彫られている。その刺青は強大な『力』を
与えてくれる。我らに従えばね・・・さぁ、供に来い・・・」
「あのさぁ・・・その話だったら俺も知ってるよ。誰もが知ってる『伝説』の話だろ?その刺青が俺に彫られてるだって?それならあんたは
さしずめ呪術師ってとこかな?」
相手が完全にイカレてると思ったギコはいつもの口調に戻って喋った。
「そうだよ・・・察しがいいね。呪の戦士・・・」
やたらとまじめな答えが返ってきた。
(これ以上こんなイカレタ奴と遊んでられるかよ・・・・)
「あのさ・・・俺もう行かなきゃ・・・」
無視して行こうとした。だが、体が動かなかった。
(あれ・・・?動かねぇ・・・?)
さっきの男のAAが何やらギコに向かって手をかざしている。
ギコに向けられた手のひらは淡い紫色に光っていた。
「くくく・・・せっかく見つけた呪の戦士・・・逃がすない・・・・・・」
ぞっとするような悪寒が襲ってきた。
ここに来てようやくギコは悟った。この男が本物の呪術師だという事を・・・・・
第ニ話 ~『力』の覚醒~
路上で奇妙な男と出会ったギコは相変わらず動けなかった。瞬きすらできない。
(これがほんとに呪の『力』ってやつか!?冗談じゃねぇよ・・・・)
恐怖に駆られているギコに男は言葉を掛ける。
「安心しろ。命はとらない・・・むしろ死んでもらってはこちらがこまる」
「・・・どういう意味だよ・・・?」
恐怖に駆られながらも何とか口からやっと出た言葉だった。
「先ほども言っただろ・・・?お前の『力』を使い我々と供に戦ってほしいのだよ。ささやかな願望なのだよ・・・・どうかな・・・・?」
(俺が・・・こいつらと供に戦う・・・?でもいきなり『力』使えとか言われても・・・・・・・)
ーーーーーーードクンーーーーーーーーーー
「・・・あ・・・?・・・」
(まただ・・・昼間の耳鳴り(?)だ・・・・・)
ーードクンーードクンーードクンーードクンーードクンーード
(ず・・ずいぶん・・早いな・・・こんな時に・・んぁ?くぅ・・・あ・・ぁあぁぁ・・ぐあぁあ!)
突然、ギコを激しい頭痛が襲う。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
ギコは頭を抱えこんだ。
「始まったね・・・・ククク・・・いいよ・・・さぁ・・・目覚めよ・・・呪の戦士よ・・・・そして我らのために『力』を奮え・・・・クハハハハ!!・・」
(ぐぅ・・・痛ぇよ・・・今度は何なんだよ・・・ついてねぇな、俺って・・・親が死んだのから始まって・・・あの『無法地域』で働かにゃならなくなるし、挙句今度は本物の呪術師に出会って訳分かんないこと言われるし・・・俺が一体・・・・・・何したって言うんだよ!)
ギコがそんなことを考えている間、呪術師の男は額に汗を浮かべていた。
「くぅ・・・まさか『力』がこれほどまでとは・・・うぅ・・・・うぉ・・・!!」
ーーバシュゥ!-----
激しい音とともに呪術師のかざしていた手に光が走った。
光が走った部分は火傷を負ったかのように皮膚がただれていた。
「馬鹿・・な・・・の・・・呪がはじき返されただと・・・・」
呪術師は手の痛みよりも、呪が弾かれたことに衝撃を受けている様子だった。
ギコは頭を抱え込んだ姿勢のまま体が発光し始めた。
徐々に光が治まっていき、その光はギコの左手に集中し始めた。
ギコの体の発光が治まり、ギコは地面に突っ伏した。
__________________________
「どうやら・・・こえたようだな・・・・」
「そのようだな、モララー・・・これからどうする?」
「そうだな・・・俺たちの仲間にでもなってもらうか」
「でも戦力になるか?」
「あぁ・・・戦い方は経験していけば学ぶだろう。それに・・・あいつは自分に課せられた残酷な運命に立ち向かえる力をつけなければならない・・・」
「分かった・・・そういう事なら・・・俺が連れてこよう」
そう言うとフサは岩の洞窟から出て行った。
遥か昔、この世界には呪術師と呼ばれる者たちがいた。
彼らの力は強大で様々な呪の術を以て大勢の罪なきAAを殺した・・・・・
彼らの呪術の中で特に強力な呪術は、相手に呪の刺青を彫るという呪術だった。この刺青を付けられた者は強大な『力』を得ることができた。
しかしその代償に体は徐々に呪に蝕まれていき、いつ死ぬかもしれないという恐怖に怯えながら生きなければいけなかった。
彼らを呪から解放できるのは呪術師たちだけ・・・・
呪術師たちはこの呪を数多のAAたちにかけた。
「死にたくなければ従え・・・」
呪術師たちはそう言い、刺青を付けた大勢のAAたちを操り世界を滅ぼそうとしていた。
刺青を付けられたAAたちの中には刺青の『力』が暴走し身体を完全に浸食され、正気を失った化け物へと成り果てる者もいた。
刺青を付けられたAAたちは最早、普通に生きることは適わなかった。
そんな折、各地で呪術師たちに抵抗を続けていた人たちがついに一丸となった。
その集団は《Soldiers of hope》(希望の戦士たち)と呼ばれ、生き残ってる人たちの希望となった。
呪術師たちと幾多もの戦いを繰り広げて、ついに《S O H》 は呪術師たちに勝利した。
呪術師たちは確かに滅びた、そして、刺青を付けられた何の罪も無い人たちも・・・・
やがてこの戦いは《呪術戦争》と名付けられ、後の世に伝説として語り継がれていった。
そう・・・ただの「伝説」として・・・
第一話 ~残酷な運命の始動~
朝、ギコはいつも通りに起床した。起こしてくれる人は当然いない。両親すらいない。
ちょうど一年半ほど前に他界していた。
両親がいなくなってギコは生きるために働かなけばならなかった。まだ十五歳。中学生だ。学校は一応行っている。
働きに出るのは夜だ。学校へ行く時間。だが明らかに、もう遅刻だ。鞄を自転車にのせて走り出す。
これが今のギコの日課。
__________________________
学校ではギコも至って普通の中学生に見える。
でも実際はただの中学生ではない。中学生で働ける所なんて滅多にない。
ギコは『無法地域』と呼ばれる場所で働いていた。
ここはほぼ法律の無い地域だった。地域といってもけっこう広い地帯だ。
いくつもの廃墟となったビルや空き家など様々な建物が立ち並んでいる。そういう建物には勝手に人が住み着いていたり、非合法品などの取引などに使われている。犯罪者も立場が危うくなると、この地域に逃げ込む者も少なくない。
この地域では人が死ぬなんて日常茶飯事だ。
この一角でギコは働いていた。無法なだけに中学生でも普通に働けた。
(はぁ・・・・・暇だ・・・・・・・・・)
授業を受けながらギコは思っていた。
(どうせ俺には受験の心配だって無いんだ。高校も行かないし。学校やめてぇなぁ)
そんなことを考えていた刹那だった。
ーーーーーーードクンーーーーーーーーーー
「・・・・・・・え?・・・・・」
思わず声に出た。
(何だ今の・・・気のせいか?)
ーーーードクンーーーードクンーーーー
(・・・!?まただ・・・・)
ーーードクンーーードクンーーードクンーーー
(何なんだ?この耳鳴りみたいの。いや・・・耳鳴りとは少し違う気が・・・・・)
ーーードクンーーードクンーーードクンーーードクンーーー
ギコはこの時、自分に課せられた残酷な
運命をまだ知る由もなかった・・・・・・
__________________________
ここはある山岳地帯。その中に岩石だらけの場所があった。その場所にある男のAAやってきた。
名前はフサ。ギコの親友だった。フサは岩石がそこら中にころがっているなか一際大きな岩を見つめた。
その岩には大きな、頑丈そうな扉があった。フサが右手をかざして近づくつと
扉はひとりでに開いていった。中はとても広い空洞になっていた。まるで洞窟のようだ。
中には一人の男が座っていた。
「久しぶりだなぁ・・・モララー」
「・・・フサか・・・・・」
モララーと呼ばれた男も口を開いた。
「はるばるよく来たな。今日はどうした?何かあったように見えるが?」
「・・・俺の友達のギコ・・・知ってるよな・・・?」
「あぁ・・・・知ってる・・・」
「ギコにも・・・呪の刺青が彫られてるんだ・・・・」
「・・・何故分かる・・・?」
「近くにいると感じるんだ・・・・何かうまく言えねぇけど・・・・
それに・・・ギコにも呪術者の手が迫ってる。
このままでは捕らえられるか、もしくは『力』が暴走を始める。
そうなったら取り返しのつかないことに・・・」
フサは焦っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
モララーは何か考え込んでいたがやがて、口を開いた。
「・・・あいつを・・・・信じてみよう・・・・・・・」
「信じる・・・だって・・・?」
フサは問い返した。
「あいつには残酷な運命が待っている。だからこのくらいは大丈夫だ。きっと乗り切る」
モララーは確信があるかのように言った。
__________________________
学校が終わりギコは家に帰ろうとしていた。
(ふぅ・・・・何とか治まったな・・・・)
あの耳鳴り(?)は、今は治まっていた。
(しかし・・・なんだったんだ・・・?あれは耳鳴りというより心臓の音が耳の中で聞こえたみたいだった・・・)
帰り道を歩きながらそんなことを考えていたギコは、前に怪しい人物がいるのに少しも気がついてなかった。そのAAは黒いマントのような服を着ていた。
少し不思議な格好である。
顔はマントでよく見えなかった。
ギコが気づかずに通り過ぎようとした。すると、そのAAは話しかけてきた。
「やっと見つけたよ・・・呪の戦士・・・・・」
「え・・・?」
明らかに自分にかけられた言葉だとは分かった。しかし、意味がまったく不明だった。相手のAAは声的に男のAAだった。
(何だ?こいつ・・・何かの宗教か?それとも『無法地域』から出てきたイカレ奴か?)
そんなことを考えているとその男のAAはまた口を開いた。
「遂に見つけたよ・・・呪われし戦士。さぁ今こそ愚かなこの世界に復讐する時・・・我らに従い、戦え・・・・」
「はぁ!?」
思わず声がでた。
「え~と、どういう意味ですかね?それは・・・そのえ~と」
ぎこちなく丁寧語で話そうとするが、相手はギコの言葉を無視して話を続けた。
「お前には呪の刺青が彫られている。その刺青は強大な『力』を
与えてくれる。我らに従えばね・・・さぁ、供に来い・・・」
「あのさぁ・・・その話だったら俺も知ってるよ。誰もが知ってる『伝説』の話だろ?その刺青が俺に彫られてるだって?それならあんたは
さしずめ呪術師ってとこかな?」
相手が完全にイカレてると思ったギコはいつもの口調に戻って喋った。
「そうだよ・・・察しがいいね。呪の戦士・・・」
やたらとまじめな答えが返ってきた。
(これ以上こんなイカレタ奴と遊んでられるかよ・・・・)
「あのさ・・・俺もう行かなきゃ・・・」
無視して行こうとした。だが、体が動かなかった。
(あれ・・・?動かねぇ・・・?)
さっきの男のAAが何やらギコに向かって手をかざしている。
ギコに向けられた手のひらは淡い紫色に光っていた。
「くくく・・・せっかく見つけた呪の戦士・・・逃がすない・・・・・・」
ぞっとするような悪寒が襲ってきた。
ここに来てようやくギコは悟った。この男が本物の呪術師だという事を・・・・・
第ニ話 ~『力』の覚醒~
路上で奇妙な男と出会ったギコは相変わらず動けなかった。瞬きすらできない。
(これがほんとに呪の『力』ってやつか!?冗談じゃねぇよ・・・・)
恐怖に駆られているギコに男は言葉を掛ける。
「安心しろ。命はとらない・・・むしろ死んでもらってはこちらがこまる」
「・・・どういう意味だよ・・・?」
恐怖に駆られながらも何とか口からやっと出た言葉だった。
「先ほども言っただろ・・・?お前の『力』を使い我々と供に戦ってほしいのだよ。ささやかな願望なのだよ・・・・どうかな・・・・?」
(俺が・・・こいつらと供に戦う・・・?でもいきなり『力』使えとか言われても・・・・・・・)
ーーーーーーードクンーーーーーーーーーー
「・・・あ・・・?・・・」
(まただ・・・昼間の耳鳴り(?)だ・・・・・)
ーードクンーードクンーードクンーードクンーードクンーード
(ず・・ずいぶん・・早いな・・・こんな時に・・んぁ?くぅ・・・あ・・ぁあぁぁ・・ぐあぁあ!)
突然、ギコを激しい頭痛が襲う。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
ギコは頭を抱えこんだ。
「始まったね・・・・ククク・・・いいよ・・・さぁ・・・目覚めよ・・・呪の戦士よ・・・・そして我らのために『力』を奮え・・・・クハハハハ!!・・」
(ぐぅ・・・痛ぇよ・・・今度は何なんだよ・・・ついてねぇな、俺って・・・親が死んだのから始まって・・・あの『無法地域』で働かにゃならなくなるし、挙句今度は本物の呪術師に出会って訳分かんないこと言われるし・・・俺が一体・・・・・・何したって言うんだよ!)
ギコがそんなことを考えている間、呪術師の男は額に汗を浮かべていた。
「くぅ・・・まさか『力』がこれほどまでとは・・・うぅ・・・・うぉ・・・!!」
ーーバシュゥ!-----
激しい音とともに呪術師のかざしていた手に光が走った。
光が走った部分は火傷を負ったかのように皮膚がただれていた。
「馬鹿・・な・・・の・・・呪がはじき返されただと・・・・」
呪術師は手の痛みよりも、呪が弾かれたことに衝撃を受けている様子だった。
ギコは頭を抱え込んだ姿勢のまま体が発光し始めた。
徐々に光が治まっていき、その光はギコの左手に集中し始めた。
ギコの体の発光が治まり、ギコは地面に突っ伏した。
__________________________
「どうやら・・・こえたようだな・・・・」
「そのようだな、モララー・・・これからどうする?」
「そうだな・・・俺たちの仲間にでもなってもらうか」
「でも戦力になるか?」
「あぁ・・・戦い方は経験していけば学ぶだろう。それに・・・あいつは自分に課せられた残酷な運命に立ち向かえる力をつけなければならない・・・」
「分かった・・・そういう事なら・・・俺が連れてこよう」
そう言うとフサは岩の洞窟から出て行った。