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ジャスティス―正義―  (ノール)

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   Justice ―ジャスティス―




何の変哲もないただのマンション、その3階の304号室に男はいた。その男はソファーに腰掛け新聞を読んでいた。一見普通のサラリーマンだがこの男にはある秘密があった・・・

―――――ガチャン

男の部屋に鉄製の扉が開く音が響く、開けたのは20歳ぐらいの青年だった。
(暗い部屋で新聞読むと大切な目が悪くなりますよ。)
そういって朝なのに部屋の電気を青年はつけた。
「どこいってたの?あとシーン君、飯は?」
男は新聞を読みながらだるそうに聞いた。
(買い物です、ギコさん、今日の朝食はカップ麺でいいですか?)
ギコは新聞を机の上に広げた。
「だから昨日のうちに買っとけといったのに、まあいいけどこれを見ろよ」
ギコは新聞の1面を指さした、
(こいつは・・・また通り魔ですか。)
「そろそろあいつから依頼がくるぜ、なんたってこの通り魔事件、能力者が係わっているらしい。つーことで今日休むから会社。」
そういうとギコは背広を脱ぎだした。
(いつも思うのですが、何故あなたはこのような生活を?あなたの実力なら生活には困りませんし)
シーンは聞いた、ギコは棚を漁っている。
「俺はな、表の仕事も、裏の仕事も経験したい。人生は一回だけだぜ?」
ギコは服を着替えてまたソファーに戻った。
(半端者は最後には両方にも属せなくなりますよ?)
「半端者?結構さ、俺は誰にも属さない、自由でいるのが気に入っている。」
ギコはシーンが買ってきた物を漁り、コーヒーを開けた。

―――――ピンポ――ン

(・・・早かったですね。)
「そうだな。」
ギコはコーヒーを飲みながら扉を見つめた。
「開いてるから入ってこいよ。」
(すいません、さっき閉めちゃいました。)
シーンは扉に向かって走り、鍵を開けた。
(すいませんマルミミさん。)
マルミミと呼ばれる男は中に入ってきた。男はソファーに腰掛けた
「久しぶりだなおっさん、老けたか?」
ギコは空き缶をゴミ箱に投げた。
「おっさんはやめろギコール・フリード、依頼だ。」
マルミミは1枚の紙を差し出した。
「かたくるしーこと抜きにして、本件を言えよ。」
ギコは台所に立ち湯を沸かしはじめた。
「すまんな、依頼は・・・」
「このごろ出る『通り魔』についてだろ、で、どうすればいいんだ?」
ギコはカップ麺の封を開けながら聞いた。
「その通りだギコール、署長の命令は捕獲、必要ならば殺してもかまわないと。」
カップ麺にお湯を注ぎ、ギコは戻ってきた。
「能力は?」
ギコは聞いた。
「目撃者の話によると男が建物の影から出てきて手を前に出したと思ったら体が火だるまになったらしい、犠牲者6人のうち生き残った奴の証言だ。」
ギコはいつの間にかカップ麺を食べていた。
「アチッ!俺は猫舌なんだよシーン君、冷蔵庫で冷やしてきて。」
(待っていればいいじゃないですか。冷蔵庫に入れたら冷えてまずくなりますよ。)
「・・・話聞いてた?」
マルミミはあきれたように言った。この男、やる気があるのだろうか。
「ああ、きっとそいつの能力は火炎放射か、発火能力だろう。」
ギコは再度カップ麺に箸をつけた。
「そうか、できれば今すぐ調べてきてほしい。これ許可証。」
マルミミはギコにもう1枚紙を差し出した。
「別にいいけど、このごろ俺にくる依頼ってこういうのばかりだよね。一応俺は万事屋、なんでも屋なんだけど。」
マルミミはため息をついて言った、
「残念ながら君があの事件を受けてから君はなんでも屋ではなく殺し屋になっているよ。」
ギコはマルミミを見つめた。
「一応依頼はうける、だが俺はなんでも屋、殺し屋なら今度からほかで雇ってくれ。貧民街にいけばいるだろうよ。」
ギコは鋭く言った。
「俺は自分の正しいと思ったことしかしない、これだけは覚えといてくれ。」
ギコは立ち上がり黒いコートを纏った。
「あの馬鹿に言っとけ、勘違いするなってな。」
マルミミは言った。
「署長はきっとわかってると思うがな、ただこのごろ能力者の事件が多いから仕方ないと思うが。」
「どうだか。」
革の手袋をつけながらギコは言った。
(俺も行きましょうか?)
「お前は部屋の掃除でもしててくれ、この件は俺がなんとかする。」
こう言ってギコは出て行った。
「では私も仕事がありますのでこれで失礼させてもらいます。」
そう言ってマルミミも出て行った。
(・・・・・・殺し屋か。)
シーンは机の上のカップ麺の空ををゴミ箱に捨てた。
       ・
       ・
       ・
ギコは事故現場の前に着いた。場所は商店街の裏路地、栄えてるのは表面だけ、裏通りでは浪人が溢れている。
「ここみたいだな・・・。」
通り魔被害はなぜかこの辺りに集中している。つまりこの近くに容疑者が潜伏している可能性がある。
「ミイラ取りがミイラにならないといいがな。」
ギコが裏通りに入るとそこは貧民街のようだった。
「おじちゃん!」
不意に後ろから声をかけられた。みてみると小さな少女が両手を広げてこっちをみていた。
「ちょーだい!」
ギコはこの子供を見ていて不憫に思った。
「かわいそうに・・・まだこんな子供じゃないか、お前親は?」
「?」
少女は首をかしげた。どうやら通じてないらしい。
「ごめん、おかあさんとおとうさんは?」
簡単な言葉に言い換えると理解したのか、少女は悲しい顔をしながらこう言った、
「どこかに行っちゃった・・・」
ギコは悟った、捨て子だと、表の商店街の歓喜は最早偽りにしか聞こえない。
「かわいそうに・・・」
ギコは懐を探った。
「ほら、これやるよ。」
ギコは少女に金貨を渡した、
「仕事上、金がついてまわってくるんでな、こいつで旨い物食え。」
金とはこういう奴に与えるべきだと思った。少女は金貨をみて言った、
「このきれいなコイン・・・あのにいちゃんもくれた。」
「にいちゃん?」
ギコは聞き返した、貧民街の捨て子に金貨を上げる奴なんて滅多にいない。
「そう、なにか言ってた、『オレノ妹トソックリダ、コレデフクデモカエ。』って。」
「半角口調・・・アヒャ族かつー族だな。おかしいなこの街にそんな奴はいないはずだが・・・」
アヒャ族とつー族は西の果ての地域にしか住んでいないはずだ、それにあの地域は出国が厳しく制限されているはず、出れるのは一部のVIPと国に莫大な献金をした者に限られるが貧民街にいることからその可能性は低い。
「お前、その『にいちゃん』どこに行ったかわかるか?」
ギコは少女に聞いた、恐らくではあるが今回の事件にそいつが係わっている。
「知ってるよ、ほらそこの家に入っていったよ!」
ギコは少女の指さす方向を見た。
「ここか?」
「そうだよ。」
貧民街にひっそりと建つこのボロい家、どうみても金持ちには見えない、こいつは『脱国者』、そしてこいつが連続通り魔の犯人の可能性も高い。
「ありがとな、お前はここから離れ・・・」

  ドカーーーーーーン  

「何だッ!?」
いきなり横の壁が粉々に吹っ飛んだ。
「・・・アヒャヒャヒャヒャ、ナンダテメェ人ノ家ノ前デ騒ギヤガッテ」
男はやはりアヒャ族、そして能力者だろう。十中八九、こいつが連続通り魔の犯人だ。
「お前は下がってろ。」
ギコは少女に言った。少女は後ろに下がった。
「万事屋のギコール・フリードだ。お前を捕まえに来た。」
ギコの目の色が変わった、普段のだるさが完全に吹き飛んでいる。完全に裏の顔だ。
「アヒャヒャ、マダ捕マルワケニハイカネェナ、ヤラナケリャイケナイ事ガアルンデナァ!!」
ここからが仕事の始まりだ、さてこいつの能力はなにか・・・ 

バスッ

ナイフがギコの頬をかすり、木の壁に刺さった、形状からしてダガーナイフだろう。ギコは身動き一つとらない、
「今ノハチョットシタ挨拶ダ、サァテメェノ能力ヲ見セテミロヨ!」
そういうとまた懐からナイフを取り出した、今度は両手に一本ずつ持ち突っ込んだ。
「・・・四次元門(フォースゲート)青の門!!」
ギコがこう叫ぶとギコの隣の空間が歪んだ、そしてギコは歪んだ空間に手を入れ洋刀を引きずりだした。

ガキィィイイン!!

鉄と鉄がぶつかり合う音が響き渡る、
「ナンダソレハ?ドコニ剣ヲ隠シテイヤガッタ?」
ギコは動じない、そのまま剣を一振り、男は器用に後ろに跳んだ。
男は体勢を立て直し再びナイフを構えた。
「アヒャヒャ、ダンマリカ。ナラバ俺ノ能力ヲ見セテヤル!!」
そういうと男の周りに火の玉が無数に現れた。
「覚エトケ!ヨロズヤダッタカ、俺ノ名前ハ『ファンブル・アヒャ』テメェヲ殺ス男サ!!」
そう言うとギコに向かって無数の火の玉が降り注いだ。その光景はまるで隕石が降り注いでいるようだ。
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!口ホドニモ・・・!?」
アヒャは驚いた、確かにギコに火の玉が直撃したはずだ、しかしギコは不敵に立っていた。それも無傷で。
「なるほど、これが人体発火の種ってわけか・・・。」
ギコは体のゴミをはらうように肩を叩いた。
「テメェ・・・ナゼ無傷ナンダ?俺ノ『メテオフレイム』ハ直撃ダッタハズダ!」
ギコは鼻で笑った、
「俺の能力はどこにでも別の空間の入り口を作れるっていう能力だ。俺が開けることができる空間は四つ、
『四次元門 青の門』は武器専用の空間、いつも様々な武器をしまって置いている。
そして『四次元門 赤の門』は防御専用の空間だ、お前の攻撃は全て別の空間に流された・・・これが俺の『完全防御』、俺に間接攻撃は効かないぜ。」
(ソンナ卑怯ナ能力アリカヨ・・・)
アヒャは思った、恐らくアヒャの能力が効かない時点でギコの方が圧倒的に有利だろう。
「さぁ、これで諦めただろ、降参したらどうだ?今の状況が分からないほど馬鹿じゃあるまい。」
「アヒャヒャ!ナニ言ッテヤガル!テメェニ直接ナイフヲブチコンデヤルヨ!!!」
ギコは呆れ顔でため息をついた。
「馬鹿野郎が・・・」
アヒャはさっきと同様、突っ込んできた。
「ワンパターン野郎が、返り討ちにしてやる。」
ギコは剣を構えた。その姿はまさに殺し屋そのものだ。
「アヒャヒャ、コイツナラドウダ!!」
アヒャはナイフを投げた、
「くどい!!」
ギコはなんなく弾き落とした。だが弾いた後にはアヒャがギコの視界から消えていた。
「アヒャヒャ、死ネ!!」
アヒャはギコの上に跳んでいた。最早その距離は1mもない。
(殺ッタ!!)
アヒャは確信した。

ヒュン!!

ナイフが空を斬る音。そこにはギコはいない。
「エッ!?」
「パワー、テクニック、スピード、全てにおいて俺が上回る・・・」
ギコは背後で剣をアヒャの首元に突きつけた。
「チェックメイトだ。」
勝負あった、ギコは完全にアヒャの急所を捉え、アヒャは後ろを向いている。リーチ上、振り向きざまに切り裂くという手段にアヒャはでれない。
「アヒャヒャ、ドウヤラ年貢ノ納メ時ミテェダナ・・・」
アヒャはその場に座り込んだ。
「殺す前に一つ聞いておきたいことがある、なぜ通り魔を?」
ギコにはこれが一番の疑問だった。乞食の少女に金貨をあげるほどの偽善者がなぜ通り魔なんかをしたのか、
「『敵討ち』サ・・・」
「敵討ち?」
アヒャは語った。



アヒャが生まれた国は一部の特権階級だけが裕福な暮らしをして、他の平民は貧困に苦しんでいた。
アヒャの家は特に貧困が酷く、飯が食べれない日もあった。一番酷かったのは父親が働きもせず毎日ギャンブルに興じて、家庭内暴力を振るっていたことだった。
アヒャの家庭はどんどん貧乏になっていき、アヒャの兄弟は2人、妹と弟、そしてついに一番下の弟が栄養失調で死んだ。そのころになると父親は莫大な借金を残して蒸発した
毎日借金取りが押しかけ、ついには飯すら食べられなくなり、家族は皆死んでしまった。体が一番丈夫なアヒャは借金の形として借金取りにタダ働きさせられていた。
(イツカ・・・イツカコイツラニ復讐シテヤル・・・)
こう願い続けて三年、ついに国から脱走した。借金取りは債務者がいない借金を請求するために親父を探している事を風の噂で聞いた。
1年後、この国で親父を見つけたと借金取りの部下を締め上げて聞き出した。アヒャにチャンスが巡って来た。
親父の所在はフェンリンの貧民街、アヒャはそこで親父を探した。案外簡単に見つかった。

「オレハソコデ親父ヲ焼殺、ソシテホカ借金取リノ奴等ヲ同ジク焼殺、アト一人、今日ノ『ターゲット』ダ。」
ギコは口を開いた。
「一見、無差別殺人に見せて本当は関連性があったとはね。サツもほんと使えねーな。それで、お前はそれで満足か?」
「ソンナワケネーダロ、ダケドナ、俺達アヒャ族ハコレクライシカ復讐スル『術(スベ)』ガナインダ・・・」
ギコは剣を引き異空間を開き、そこに剣を放り投げた。
「萎えた、今回は見逃してやるよ。」
ギコは頭の後ろで腕組みをし、去ろうとした。
「テメェ、ナンノツモリダ!同情シタノカ今ノ話ニ、ナラ殺セ!!同情サレルクライナラ死ヲ・・・」
「馬鹿野郎!!」
ギコは振り向きもせず叫んだ。
「テメェにはまだ守らなければいけない奴が居るだろう。」
後ろにはさっきの少女がこちらを見ていた。
「オメェ・・・ソレデモ政府ノ人間カ?」
「政府?ハァ?俺はその逆の組織に組してる者だ。」
ギコはずっと振り向かずに喋っている。
「俺は万事屋、裏では世間に混ざることのできない変わり者『能力者』が集まる組織にも属し、表では小さな会社の部長を勤めている。俺は政府の犬どころか、どちらかといえばそれに仇名すものだ」
「ジャアナゼ・・・俺ヲ止メニキタンダ?テメェニハ関係ナイコトダ。」
ギコは振り返ってこう言った。
「俺は半端者、裏でも表でもない中立の存在、今回は表の親友からの依頼だ。俺はねぇ、自分のいやなことは絶対しない。裏でも表でもだ。俺は・・・俺の信じる道を選ぶ、誰かににあわせる筋合いはない!」
ギコはまた後ろを向きこう言った。
「くさい台詞だが、復讐は復讐しか生まないぜ、それに次、問題起こしたらお前を今度こそ殺しにくるから。」
こう言ってギコは立ち去った。偽りの歓喜が『表』から聞こえた・・・


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登場人物紹介

( ゜Д゜) 

名前 ギコール・フリード
年齢 28歳
武器 武器全般、特に剣
能力 四次元門 赤の門
           青の門
           ?の門
           ?の門
説明 どの空間も基本的には同じ、ギコが勝手に区別しているだけ。
    赤の門は相手の間接攻撃(炎、ナイフ、銃弾など)を防ぐ、
    青の門にはギコが使える武器が多数しまってある。
   
特徴 万事屋
   会社員 部長
   ギコ族なのに常にだるそう、だが冷静沈着で曲がったことが許せない
愛称 ギコ
   

( ・-・)

名前 シーン・ビリジアン
年齢 20歳
武器 ???
能力 テレパシー
    ???
特徴 あることが原因で声が出せなくなった
    ギコールの補佐
    少し感情的になることがある
愛称 シーン


( ´ー`)

名前 ジスト・サークシュ
武器 拳銃
年齢 39歳
能力 なし
特徴 警察署 副署長
    行動力がある
    モナー族だが耳が丸い
    人望が厚い
愛称 マルミミ


( ゜∀-)

名前 ファンブル・アヒャ
武器 ダガーナイフ
年齢 22才
能力 火球使い(フレイムクレイマー)
特徴 アヒャ族
    通り魔
愛称 アヒャ



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