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しぃの風 (サクラ)

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匿名ユーザー

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広い草原の真ん中に、1人のAAが立っていました。体は青空のように綺麗な
水色で、白く澄んだ瞳には1粒の涙が浮かんでいました・・・
水色のAAはその瞳で青空をじっと見つめているのです。
青空を見る水色のAAの瞳は悲しそうで、でもどこか希望に満ちた瞳でした。
「どしたの? ギコじぃ」
いつのまにか水色のAAの横には、8歳ぐらいの子供のAAが、水色のAAを
見上げていました。どうやら水色のAAはギコという名前らしく、8歳の孫が
いるおじいさんでした・・・
ギコは孫に微笑んで、いいました。
「何でもないよ、心配しないで・・・」
そういって、また青空を見上げ、独り言のようにいいました。
「ちょっと・・昔の事を思い出してね・・・」
孫は声を弾ませて言いました。
「え? なになに!? ギコじぃの昔話、聞きたいな!!」
ギコはしばらく孫を見つめて、また微笑んで言いました・・・
「よし分かった、聞かせてあげよう・・じぃの昔話・・・」

じぃがお前のおばあちゃんと結婚する前、じぃには他に好きなAAがいたんだ。
名前はしぃ、桃色の体で頬には花のような模様がついていた・・・
彼女を見ているだけで、心があったまるような不思議な魅力があった。
ある春の事、じぃは思い切ってしぃに話しかけた。
「惚れちゃったんだ! ギコじぃ!」
孫がギコの話に入ってきました。
するとじぃは少し脹れずらになって孫にいいました。
「じぃが話してるのにな」
孫の表情が泣きそうな顔になり、小さな声でギコにいいました。
「ご・・ごめんなさい・・・」
「アハハ! 冗談冗談! ごめんな」
ギコの言葉を聞いて、今度は孫が脹れずらになりました。
「じゃあ続き話すよ、ちゃんと聞いていてね」
しぃはしばらくじぃの事を黙って見ていたが、小さく息を吐くとじぃに向かって微笑み、そして言った。
「こんにちは、あなたは誰?」
透き通った綺麗な声・・じぃはその一瞬で彼女のとりこになってしまった。
「お・・俺はギコだゴルァ!」
じぃの顔は真っ赤になって照れたように頭をかいた。
「ギコ君・・素敵な名前ね、私はしぃ」
しぃ・・彼女との出会いがじぃの初恋だった・・・
「・・ふう・・・」
じぃはため息をついて、孫の頭をなでながらいいました。
「疲れちゃったかな? 少し休憩しようk」
じぃの言葉をさえぎるように孫が叫びました。
「全然疲れてないよ! 早く続きを聞かせて!!」
「う~ん・・でも今日はせっかく家族みんなでピクニックに来ているんだから
もっといろいろな事をして遊んだらどうだい? それにほら、もうすぐお昼
ご飯だよ? 食べてから続きを聞かせてあげよう」
孫はじぃの言葉を聞きにっこり笑って返事をしました。
「うん! 絶対に続き聞かせてね!」
そういうと、孫はじぃに背を向けて、ご飯が並べられているテーブルに向かって走っていきました。
「・・さて・・・」
じぃが持っていた杖をコツコツとつきました。
「孫には悪いけど、あなたに続きをお聞かせしましょうかね・・え・・?
あなたって誰の事かって? あなたですよ、あなた! PCの画面の前のあなたの事ですよ!」
「ギコじぃ~? 何1人でしゃべってるの~?」
孫はテーブルの横のイスにすわって不思議そうにじぃを見ました。
「ははは・・」
じぃは自分のくちを人差し指でおさえていいました。
「孫には秘密ですよ?」
それから、じぃはしぃと話した。
最初はなかなか言葉が見つからなくてお互い黙ったままだったのだが、しばらくしてしぃがくちを開いた。
「あ・・あのね、私気に入ってる場所があるんだけど、ギコ君にも教えてあげたいなぁと思って・・・いっしょに来てくれる・・かな・・?」
しぃが恥ずかしそうにじぃにいった。
しぃの方から誘ってくれるなんて、こんなチャンスはめったにない。
「お・・おう! いってやろうじゃねえか! ゴ・・ゴルァ!!」
しぃといっしょにしばらく歩いていると、1つの草原が見えてきた。
「ついた、ここだよ! ギコ君!」
草原につくとしぃは飛び跳ねて喜んで、草原に寝転んだ。
「? ただの草原のようだけど・・そんなに好きなのか?」
じぃが聞くと、しぃは空にうかぶ雲を見つめながらいった。
「ほら、よく耳をすましてみて・・風の声が聞こえるから・・・」
「風の声?」
じぃは最初よく意味が分からなかったが、とりあえずしぃのいうように耳を
すましてみた。
ざぁ・・・
「?? ざぁっていってるぞ? ゴルァ」
「そう、それが風の声・・・素敵でしょ?」
しぃのいってる事がじぃにはさっぱり分からなかった。
「いってる意味が分からねぇぞ・・ゴルァ・・」
「・・ギコ君、私達がいつもいるところってすごくにぎやかでしょ?」
「あ・・あぁ・・そりゃ都会だしな」
「風は私達のすぐそばで叫び声をあげているのに、車の音や私達の声で聞こえないだけなの、でもここなら・・・」
しぃがじぃの方を向いてニコッと笑った。
「風さん達の声も聞いてあげれるでしょう?」
・・不思議なAAだった・・・風の声なんて考えたこともなかった・・・
「ギコも寝ころんで空を見てみたら? とっても綺麗よ」
「空なんて何回でも見たことあるぞ? ゴルァ」
じぃはブツブツいいながらしぃの横に寝転んだ・・・
「・・・」
・・何だ・・・よく見たら空もなかなかいいじゃねえか・・・
空にうかぶ雲をじっと見つめていると、頭がぼ~っとしてきて、いつのまにか
寝てしまった・・・
・・・・ん・・
(ん・・? 誰だ・・?)
・・ギコ・・く・・・
(この声どこかで・・・)
「ギコ君!!」
「わああぁ!?」
じぃが飛び起きると横でクスクス笑う一人のAA・・・
「・・え・・ええと・・・お前は・・」
「フフ、しぃよ!」
あ・・そうか、俺は確かこいつに惚れちまったんだっけ・・・
「気がついたらギコ君寝ちゃってるんだもの、ビックリしちゃった」
「わ・・悪い・・・」
あやまりながらもう一度目線を空にもどすと、いつのまにか青かった空は
赤くそまった夕焼け、すっかり夕方だった。
「今日はもう遅いね・・・」
しぃが悲しそうな目でじぃにいった。
じぃはそんなしぃの目をさけるように目を泳がせた。
そんなじぃを見て、しぃがいった。
「・・あの・・明日も会えないかな?」
じぃの顔が真っ赤になった。
こんなラッキーな事ってある? 好きな人と明日も会えるなんて。
「も・・もちろんだゴルァ!!」
途端にしぃの顔がパッと明るくなって、声を弾ませながらじぃにいった。
「ありがとう! じゃあ明日はここで待ち合わせ 私お弁当作ってくるね!」
そういうとしぃは鼻歌を歌いながら帰っていった。









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