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流石な一年間 (三式)

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匿名ユーザー

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                    地獄の期末
                    万点テスト






 万点テスト…漢字間違いではない。この小さな街の学校は、一万点満点なのだ。

当然普通のテストの100倍難しい。この街の子供たちは他の街の子供に言わせ

ればかなりカワイソウである。だが、この街の子供たちは、なぜか外の街に興味を

持たない。当然外の街に行ったこともない。これは、その街に他の街からやって

きた流石な一家の物語である。


 一日目 一家到着

「なあ父者よ、まだつかぬのか」

「まだだな。せいぜいあと二~三時間ぐらいかな」

「おい、弟者よ、次こそ本物の…」

(どうせブラクラだ…懲りないな)

「ガガガガガガガ…」

「OK、ブラクラゲット」

「兄者は馬鹿なのじゃー」

「いつウイルスに引っかかるか…」

「貴様らうるさいっ!運転に集中できん」

「……」

(集中というか…クラクション鳴らしっぱなしで集中ねぇ)

(他の車みんな逃げていくんだから問題はそっちの方かと

「なんかいったかい#」

「いえいえ何にも、なーんにもいってませんっ」

 この一家はなんというつまらない会話をしているのだろう。高速を黒のワゴンで

軽くスピード違反してもなお警察がこないのは母者独特のオーラのせいか。ある意

味危険な一家は、引越しの最中である。これから始まる新たな生活を前に一同(母者

を除く)


は少し緊張気味だ。よくある引越しの風景だが、これから始まる地獄の生活を彼らは

予測もしていなかった。

「父者よ、まだか」

弟者がいかにも不満そうに言う。

「そろそろのはずだ…おっあの丘の上の街だな。ほー、けっこういいところじゃない

か」

「だが何かおかしい気がするが」

「同感」

「確かになんか変なのじゃー」

 日当たりもよさそうであり、見晴らしも最高であるあの丘がなぜ不思議な気分にさ

せるのだろうか。その答えはすぐには解らなかったもののよく見ると明らかにおか

しかった。

「他の街から孤立してないか?」

「確かに回りは全てかなり深そうな樹海だな。他の街と一切の関係を絶ったよう

な…」

「ま、いいんじゃないか」

「なぜあんな風になっているんだ」

 多少の疑問を残しながら、車は細く舗装もされていない道を登っていくのであっ

た。当然周りの樹の根や石ころだらけで、車はかなりゆれる。

「は、はは、母者、も、もっと、ゆっくりいいいいってくれなあああいか」

「あたしを誰だと思ってるんだい。心配しなくてもいいんだよ」

 母者は、平気でしゃべる。

「黙ってないと舌噛むからね」

(車の方を心配してるんだよ)

 少し進むと樹で覆われた視界が少し開けてきた。もうすぐ街に到着するだろう。

木々がまばらになり、アスファルトの道路についたときこの一家は、やっと地獄から

抜け出した。

「ほほう、結構広い街じゃないか」

「悪くはないな」

「家は何処なのじゃー?」

「ん、あああそこだよ。あの青い色の…」

「狭いだろあそこは」

「アパートと大して変わらないじゃんか」

「いや、あれは確実に一人用だ」

 かなり敷地は広いのに小ぢんまりした家が建っていただけだった。六人にとって

は狭すぎる。

「つべこべ言うんじゃないよ。家は金がないんだから我慢しなさい」

「はぁーい」

(絶対ヤダ)

 ここにいてもどうしようもないのでとりあえず家に向かった。家に着いたが、

やっぱり狭い。畑が作れるほど広い敷地に二階建ての小さな家があるだけだ。

もちろん庭は荒れ放題だ。

「さ、ここが新しい我が家だよ。早く荷物はこぶのの手伝いなさい」

 その後一同は、母者にこき使われ働く羽目になる。

                一時間後

「あとは私がやっとくから、あんたたちは、街を見てきなさい」

「いつにもない優しい態度。絶対に裏がある」

「そうだろうな」

「その代わり、スーパーとか、生活するのに必要なところをしっかり探してきなさい。

遅くならないように」

「やっぱりな、しょせん母者が俺らを開放してくれるわけがないんだ…」

 だが、町の散策はやはり楽しかった。新しいところにくると、しぜんにワクワクし

てくる。気がつくと、もう五時半だった。そろそろ帰らないと母者にしかられるだろ

う。

「そろそろ帰るか」

「ああ、だが急いだ方がいいと思うぞ」

 二人はダッシュで帰ることにした。途中角を曲がる時に、急に出てきた、兄者たち

と同じくらいの住民にぶつかってしまった。

「いってぇー、ん、誰だおまえら」

「今日ここに引越して来た弟者です。よろしく」

「俺は兄者、好きな事はネットで…」

「俺はギコ、この街の中一だ。よろしく。悪いが今急いでるんだ。また今度な」

 そう言って、ギコと名乗る街で出来た初の友達(?)は去っていった。

 家に帰ると、だいたい家具はそれらしい場所においてあった。

「おお、それらしくなってるじゃないか」

「で、どうだったんだい、スーパーの場所は」

「えーと、突きあたりを右に曲がって、…」

「あんまり遠くなくてよかったけど、あんたたちいつまで遊んでるの#」

 こうなったらもう仕方がない。二人ともなるようになれと、歯を食いしばった。

 夕食を終えて、そろそろ寝る時間になり、二人のベッドと、机でいっぱいの広さしか

ない部屋に行く頃には、二人はボロボロになっていた。

 二日目 学校の新ヒーロー

「とっととおきるんだよ、このどあほうが」

ガコーン ガコーン

朝からいきなりバットで殴られた二人は、当然目はすっきりしているものの、頭に大きなタンコブを作り、倒れていた。

(気絶中)

(気絶中)

「起きんかいっ」

「はいはい、起きますよ」

「遅れてるんだからはよしなさい」

「学校何時から?」

「八時二十分」

「あと三十分か…絶望的だな」

「俺ヒッキーしよ」

 確かに時計は七時五十分を指している。食事に十分、着替えに五分、登校急いで二十五分、まず間に合わないだろう。

初日から遅刻とは実に情けない。

「飯食わずに走っていったら間に合うんだから急ぎなさい#」

「えー飯抜きぃ?」

「起きるのが遅いお前らが悪い」

「マジかよ・・・」

「最悪だ・・・」

 結局食事抜きで家を出た二人だが、新しい町で学校を調べてなかったので道に迷い、結局チャイムに間に合わなかった。

 一方学校内では…

「よしみんないるな、今日はこの学校に転校してきた友達がいる。えーっと、流石兄者君、流石弟者君だ。兄者君、弟者君、どうぞ」

「兄者に弟者…ああ、昨日会ったやつか」

「あれ、兄者君、弟者君、どうぞー」
 
 先生が教室のドアを開けて廊下のほうを見る。

 廊下を走ってくる音、まだどこの教室かもわかっていない流石兄弟であった。

「兄者、急げ」

「運動不足なんだよ」

 呆気にとられた先生の前を通り過ぎ、なおも走る続ける二人に先生は叫んだ。

「おーい、ここだぞ二人とも」

「お、あそこだぞ兄者」

「ああ、あそこか」

 肩で息をしている二人が教室に入ると、後ろから先生が入ってきた。

「今日からうちのクラスやってきた、兄者君と弟者だ。ところで二人とも、どうしたんだ」

「どう考えても遅刻だろ」

 ギコがつぶやく。たまたまギコも同じクラスだ。

「すんません、遅刻しました」

 教室中に爆笑の嵐が広がった。とりあえず席に着いた二人だが、教科書がないのにやっと気付いた。

「先生、教科書ありません」

「じゃあ隣の子に見せてもらい」

 …五十分の授業を終えて、ようやく休み時間になった。

二人は昨日会ったギコという少年に話しかけてみた。

「よっ」

「おう、お前らか。お前らナイスだったぜ。おかげで授業十五分短くなったからな」

 転校生の二人は、クラスにとって珍しい存在であり、自然に人が集まってくる。

「改めて言うけど、俺はギコ、こっちがフサ…で、あっちがドクオ」

「うわっ暗っ」

 教室の端っこで、今にも逝ってしまいそうな顔をしたドクオがいた。

「ああ、あいついつもウツダシノウなんていってるからな、ちょっと危ないな」

「よっ、転校生、よろしくな。…ところでギコ、愛しの彼女は紹介しないのか」

 ギコの顔がみるみる赤くなる。

「うるせいわいっ」

「なーなー、彼女って誰だ」

「あのなあ、あそこにいる子だ」

「こらっフサッ、いらん事言うな悔しいくせに。あいつはしぃって言うんだ」

「彼女にあいつはないんじゃないか」

 丁度チャイムが鳴ってしまったので、ギコは言い返すことができなかった。

「覚えてろっ」

 だが、ギコの席はフサの席のすぐ前なので、授業中でも言い争っている。

(フサには誰も寄ってこないもんなあ)

(黙ってろ、こんなつまらなくても一応授業だからな)

(へっ、いい子ぶってるんじゃねえよ)

「うるさいっいい加減にしろ」

「フサ、貴様何を言ってる授業中だぞ、廊下に立っとれ」

「やーいやーい立たされてやんの」

「ギコ、貴様も立っとれ」

 なんというクラスだろうか、授業開始後一分もしないうちに二人も立たされ

るとは、と弟者は思った。

 とにかくこんなありきたりな感じで学校は終わった。

「くそ、先公め、俺まで立たすことないじゃないか」

「お前がいらん事言ってるからだよ」

「二人とも何言ってるのよ、全然反省してないわね」

「反省なんかしてれっかよ」

 今日は転校生二人がいるからこれでも少し控えめだ。兄者はひそかにしぃに聞いてみた。

「いつもこんなんなのか」

「こんなんどころじゃないわよ、いっつも授業中に立たされてるんだから」

 そうしているうちに家についてしまった。

「おい、いつまでついてくるんだ」

「いや、俺らの家はここだが」

「お前ら二人暮らしか?こんなとこに住んで」

「いや、六人家族だ」

「ここに六人か」

「ちょっと辛いんじゃねえか」

「辛いなんてもんじゃねえよ」

「んじゃ俺はお前んちの隣だな」

「隣か、ならこれから世話になるな」

「おいおい、世話なんて俺はできないぜ。世話ならしぃに頼めよ。俺んちの隣だから」

「ほう、それは偶然だな、ならこれからよろしく」

「うん」

「それじゃあな」

「おう」

「バイバイ」

「んじゃ」

 みんなそれぞれの家に入っていった。

「ただいま」

「ああ、あんたたちかい。これから庭の草むしりしときなさい。買い物に言ってくるから」

「えーやだよ」

 母者に対してそんな口を聞いたことを兄者が後悔した時にはもう遅かった。

「とっととやるんだよ」

 超大音量で怒鳴られ、速攻で逃げ出した二人はともかく、付近住民に大迷惑をかけたことは間違いないだろう。二人はギコ達はどう思う

だろうかと思いながら、荒れ放題の庭の草むしりに取り掛かった。

「何でこんなに荒れてるんだよ」

「片付けるのにどれだけかかるか」

 草で足を切りながら、必死で草刈してるのを、隣の家の窓からギコは覗いていた。

「うわ、あんだけの草刈りさせるなんて厳しいなあ、あの家」

 結局六時半までかかった草刈が終わったからといって、母者は褒めてくれることもありがたいと思うこともなく、むしろ当然であるかのよう

に、スーパーから帰ってきた。

 …というわけで、学校では人気者だった転校生兄弟は、家ではひどいことになってる事を知っているのは、草刈を見ていたギコだけという

とてもかわいそうな二人の一日がまたひとつ過ぎていった。

 三日目 緊急事態発覚

 今日は珍しく、弟者は目覚ましがなる前におきていた。兄者は言うまでもなく…なのだが。

「今日で引越し三日目か、そろそろこの街になれてきたな」

 だが、慣れてくるとそれはそれで登校拒否になるはずだったが、今回だけは、そんな気がしない。

そういう気持ちは気まぐれなものだ。今日は雨だった。

雨で少し冷えた部屋にいた弟者は弟者にしては珍しく宿題に取り掛かっていた。まあ、こんな時間に、とも思うのだが。

「っしゃあ宿題終わったー。そろそろ下に下りて朝飯待つか」

 だが母者は七時半になっても降りてこなかった。それもそのはず、今日は土曜日だったのだ。

そうとも知らずに弟者は冷えたテーブルに座って、朝飯を待っていた。

 一方その隣、ギコの家では…

「ギコ、じゃあ行って来るから、なんか切れてるもん無かったか。帰りに買ってくるから」

「ゲーム」

「おいおい、ゲームやってると眼悪くなるって聞いたぞ」

「まあまあそういわずに、例のテスト頑張るからさ、な、頼む」

 ギコの家は、今のところ父親だけしかいない。今は別居している。

生活を保つため、土曜でも出勤する父親は少し甘い方だ。

何も言わずに出て行った父を見送り、もうちょっと寝ようと二階に上がっていった。

その結果、そのまま夕方五時くらいまで眼を覚まさずに一日を無駄にしてしまったのだった。

弟者もやっと今日が土曜だという事に気がつき、兄者を起こしてネットをする事で、一日を過ごした。

晩の七時くらいには、なぜかメールが一通届いていた。

二人はそれがワンクリック詐欺かなどは全く確認せずメールを開いた。幸い詐欺ではなく、ギコからだった。

 
 よう、元気にしているか。早速だが明日一緒に遊ばないか。もしよかったら明日の

九時に俺んち集合な。まあ、テスト前に遊ぶのもどうかとは思うがな。じゃ。


 弟者は、遊びに行くのは大賛成だったが、テスト前という言葉が少し気になった。

(テスト?なんか小テストでもあったか。まっいいか)

 よくわからなかったが、今日は少し早いがもう寝る事にした。場所は変わるが、ギコもそろそろ寝床に着いていた。

そして夜中には、ギコの枕もとには、新作のゲームがおいてあった。

 ~テスト前に遊ぶのもどうかとは思うがな~

 その言葉がどれほど危険な言葉なのか、それを知ったとき、二人は地獄に落ちるであろう。


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