第1話「平凡」
いつもと変らない1日だと思ってた。
同じ事の繰り返し。学校へ行き、勉強し。
家へ帰って塾へ行き。
毎日全てが同じだと思ってた。
つまらなかった。退屈で退屈でしょうがなかった。
だけど、今日は違った。
今思えば、あの時から僕は…。
僕の名前はモララー。今年で15歳になるAAだ。
普通の人と変らない、全く平凡な人生を送ってきた中学3年生だ。
僕は朝早くに目が覚め、朝ご飯を食べてからいつもの通学路を通り学校へ向かっていた。
家を出て坂を降り、平坦な道を真直ぐ歩いていると、
此処に住み始めて8年になるが、初めて見る顔のAAと擦違った。
真っ黒で、尖った耳が特徴的な鋭い眼光のAAだ。
(なんて顔だ…。)あまりジロジロ見てると危ないと思い、
何となしにやり過したが、後にその人物に大変お世話になるとはこの時未だモララーは知らない。
しばらく歩き、学校に到着したモララーは毎日日記を班長に提出し、
HRの準備をし始めた。
「やぁ、モララー。おはようだモナ。」
「おはよう、モナー。」
このAAはモナーと言う名だ。白い身体に穏やかなタレ目の顔つきが特徴的なAAだ。
「…宿題、やってきたモナか?」
「勿論。当り前だろ?」
「……。」 「…どうした?モナー?」
「…そのー、宿題見せてくれないモナ? 忘れたんだモナ…。」
「仕方ないな、今回だけだぞ。はい、コレ。」
「ありがとだモナ!やっぱモララーは頼りになるモナね~♪」
「次からは頼りにするなよ。」
「ゴ、ゴメンモナ…。」
こんなやり取りが毎日。結局モナーに宿題を見せてやるのはコレが何度目になるか。
そうこうしている間に先生が教室にやって来てHRが始まった。
班長が欠席者の確認をし、先生に報告する。
(おや…?)
ふと向かいの席を見ると、いつもは元気良く喋っているギコの姿が無かった。
ギコの班の班長、しぃが心配そうな顔で先生にそう告げた。
桃色の可愛い顔をしたAAだ。淡く輝く瞳が綺麗だ。
「先生、ギコ君が来てないんですけど…、何かあったんでしょうか?」
「いや、ギコの家からは何の連絡も来てないんだがね…。」
(って言うか、ギコが休む事自体在り得ないだろ…。)
(今日は…いつもと違うな…。)
何となくそんな事を考えている自分に、何故かモララーは喜びを覚えた。
(いつもと…違う?)
勿論ギコが休んだのは心配だ。
だがモララーはいつもと違う何かを感じられるのが嬉しかった。
いつもより静かな教室で時間は過ぎて行き、あっという間に放課後になった。
「ねぇ、モララー君。ギコの家に連絡帳届けに行くんだよね?」
「Σ、何だ、しぃか…。うん、行くよ。心配だしね。」
「はい、じゃあコレ御願いね…私は用事があって行けないの。ギコ君にゴメンね、
って伝えて置いてね…。」
「わかった、じゃあそろそろ行くよ。」
「うん、ありがとう、モララー君。」
「どういたしまして。じゃ。」
そう言ってモララーは教室を出た。
ギコの家はモララーの帰り道の途中にあった。
「モララ~、待ってモナァ!」
「モナー?」
校庭の方からモララーが走ってくる。
(相変らず、足が短いな…。)
「ハァ、ハァ…モララー、モナも行くモナ。」
「うん、じゃあ行こうか。ギコが心配だ。」
二人はギコの家へ向かって歩き始めた…。
第2話「変化」
モナーと一緒にギコの家へ向かう途中、向こうからやって来る人影が見えた。
(アレは…?)
朝、擦違ったあの黒いAAだった。こちらへ向かって歩いてくる。
(誰なんだ…。)
どうやら、曲がるつもりは無いようだ。そのままモララー達と歩いて擦違った。その時だった。
『-コノ退屈ナ世界カラ連レ出シテヤルヨ-』
声が聴こえた。はっきりと、この耳に…。
(何だ、今のは!? あの黒いAAが言ったのか…?)
恐る恐る振り返るとそこにはもうあの黒いAAの姿は無かった…。
(な、この道に曲がれるような所なんてあったか?隠れる所すらない…。)
(なんなんだ…? アイツは…。)
「モララー、さっきの人…誰だモナ? 何だか、凄く怖かったモナよ…。」
「…知らないよ。今日の朝も会ったんだけどね。此処に住み始めて8年になるけど、初めて見る顔だよ。」
「そ、そうモナか…あ、ギコの家が見えてきたモナよ。」
黒い壁に赤い屋根の、なんとも不細工な二階建ての家が目に入ってきた。そこに、ギコは住んでいる。ギコの部屋は……ギコの部屋を見ると、明かりが点いていない。しかも、良く見るとギコの家全体の明かりが一つも点いていなかった。
「モララー、ギコ、居るのかな?明かりが全然点いてないモナ。」
「判らない、取敢えず訊ねてみよう。」
モララーがギコの家のインターホンを押す。ピンポーン♪何処にでもありそうな響きの良い音が家の中から聴こえて来た。しかし、反応は全く無い。
「ギコォォ~!!!居るモナかぁ~!!?」モナーが突然叫びだした。
「おい、モナー!近所迷惑だから止めるんだ!」
「ゴ、ゴメンモナ…、でも心配だし…。」
心配なのはモララーも一緒だった。旅行とかなら学校に伝えるだろうし、僕達にも伝えてくる筈だ。旅行じゃなくても、休むのなら学校へ連絡してくるだろう…。連絡が無かった、と言う事は…?嫌な予感が頭を過ぎった。モララーは玄関のドアへ手をかけた。そして思い切りノブを回す。ガチャッ──────開いてる!すぐさまモララーはドアをはね開け家の中へ入った。
「ギコッ!居るのか!?」
「モララー、勝手に入っていいモナ?」
「何かが変だ! 何かが…。」
「何か? 何かって、何モナ?」
「判らない、でも何かが変なんだよ…。」
そう言って、モララーは家の中へ上がりこんだ。真直ぐ歩いて、階段を上る。その上に、ギコの部屋はあった。
「モララー、ヤバいんじゃ…」
「シッ、静かに…。」
全く人気が無かった。しんと静まり返った部屋は、とても不気味だった。そして、モララーはギコの部屋のドアをゆっくりを開けた…。
第3話「黒きAA」
キッ─────蝶番が喨々とした音を立て、ドアがゆっくりを開いた。
「……。」
そこは、いつも遊びに来た時に見るギコの部屋の光景と何も変わりは無かった。暗闇を、窓から差し込む月の微光が僅かに室内を見渡せる程度明るくしていた。その時だ、月の光を遮る何かが窓の外に現れた。
「おいっ、ギコ? ギコなのか?」
モララーが問い掛ける。
『…違う、俺はギコじゃぁ無い。…御前等、さっき擦違っただろ?』
「す、擦違ったモナ…?あ、さっきの!」
ゆっくりを顔を上げたそのAAは紛れも無い、モララーが朝見掛け、先程ここに向かう途中にも擦違ったあの黒色の肌をした鋭い眼光のAAだった。
月の光をバックにその眼は更に鋭さを増して見えた。
「アンタ、なんなんだよ…? ギコが居ないのと何か関係してるのか?」
『…今こうしている間にも、御前等の友達のギコは戦ってくれている…。』
「…はぁ?」
「戦ってるって…どういう事モナ? 戦争にでも連れてかれたモナか?」
『…一概に間違いとは言えな…』
「おい! どこに居るんだよ、ギコは! 御前が連れてったんだろ!?」
「急に現れて、何を言い出すんだ!」
「も、モララー…。」
『…まぁ落ち着け。今から全てを話すから…。』
「!!」
モララーは今その黒いAAの顔に言葉じゃ表す事の出来ない深い悲しみが刻まれている事に気付いた。その顔は、モララーの慈悲を促して来た。
「……すまない。話してくれないか?」
『嗚呼。…確かに、御前等が混乱する気持ちは判る。でも、事は今も起こっているんだ。』
「その事、ってのは何モナ?」
『今から話す事は全て虚妄ではない。ゆっくりで良いから聞いてくれ…。』
第4話「エリア51」
『そう言えば自己紹介が未だだったな。俺の名前はウララー。』
「俺はm…」
『モララーだろ?そっちはモナー。』
「「な、何で俺達の(モナ達の)名前を知ってるんだ(知ってるモナ)!?」」
『今から話すから、落ち着け。先ず、何故ギコが居なくなったのかを話そう。ギコは、今この世界には居ないんだ。…っと、大丈夫、ちゃんと生きてるよ。』
「判った!宇宙に行ったモナね?」
「いや、宇宙もこの世界の一環だろ…?」
「ハ、ハズレモナか…。」
『嗚呼、ハズレだな。単刀直入に言うと、この世界とは別の、「もう一つの世界」に居るんだ。』
「もう一つの世界?」
『その通り。今俺達が存在するこの世界をAだとすると、ギコが居る世界はB、と言う訳だ。』
「おいおい、一体全体何でそんな所に?と言うか、そんな物が実在するのかどうかも判らないのに・・・。」
『今から一緒に来て貰う。』
「・・・何だって?聴こえなかった。」
『今から、一緒に、ギコの居る世界へ行く、と言ったんだ。』
「…新手の誘拐犯?」
「怪しいモナ…。」
『なっ、何故来て欲しいかも今から話すから。聞いてくれ。』
「…判った、聞こう。」
『…そもそも俺は、Bの世界の住人なんだ。そして今、Bの世界は大変な目に遭っている。』
「その大変な目ってのは何だ?」
「地震モナか?洪水モナか?」
『いや、地震や洪水よりももっと大変なんだ。…よく聞いてくれ。今、Bの世界は「迫害者」と言う奴等に支配されつつある…。』
「はくがいしゃ? 何だソレ…。」「白会社モナ?」
相変らずモナーは天然だ。
『…奴等は、俺達から平穏を奪った。友を、家族を、住処を…。赦せない…!』
「お、御前も落ち着けよ…。」
『す、すまない…。』
「御前等が大変な目に遭ってるってのはよーく判った。じゃあ、本題に入ろう。…何故、ギコはそんな状況の世界へ?」
「そうモナ、危険モナよね?何でそんな危ない所へ行ったモナ?」
『…ギコは、俺達の世界を救ってくれると言った。当ても無くこの世界へ助けを求めて行き着き、誰一人信用してくれる者の居ない状況でギコは、俺を信用してくれた。助けてくれたんだ。』
「…ギコらしいな。と言う事は、話をまとめると今ウララー達の世界は大変、救いを求めて俺達の世界へやって来たウララーはギコと出会い、ギコは助けてやると今Bの世界へ居ると。そこまでは判る。問題なのは、何故ウララー、御前が今俺達の前に居るんだ?ギコが消えた理由も判ったが、そこで新たな疑問が生まれたわけだ。何故なんだ?ウララー。」
何故なのかは大体把握出来ていたにも関らずモララーはウララーに問う。
ウララー自身の口から聞きたかったのだろう。モララーはこの時既にある決心を固めていた。
『それは…モララー、モナー、君達にも手を貸して欲しい。だから今ここに居る。』「ギコが話したんだろ?俺達の事を。大凡そんな所だろうと思ってたよ。」
「……。」
しばしの沈黙の後、モララーとモナーは同時に口を開いた。
「「判った、俺達も(モナ達も)手助けしてやるぜ!(してあげるモナァ!)」」
『本当か!?…有難う、モララー、モナー…。』
そして、モララーとモナーは、新たな世界へと旅立つのだった。
いつもと変らない1日だと思ってた。
同じ事の繰り返し。学校へ行き、勉強し。
家へ帰って塾へ行き。
毎日全てが同じだと思ってた。
つまらなかった。退屈で退屈でしょうがなかった。
だけど、今日は違った。
今思えば、あの時から僕は…。
僕の名前はモララー。今年で15歳になるAAだ。
普通の人と変らない、全く平凡な人生を送ってきた中学3年生だ。
僕は朝早くに目が覚め、朝ご飯を食べてからいつもの通学路を通り学校へ向かっていた。
家を出て坂を降り、平坦な道を真直ぐ歩いていると、
此処に住み始めて8年になるが、初めて見る顔のAAと擦違った。
真っ黒で、尖った耳が特徴的な鋭い眼光のAAだ。
(なんて顔だ…。)あまりジロジロ見てると危ないと思い、
何となしにやり過したが、後にその人物に大変お世話になるとはこの時未だモララーは知らない。
しばらく歩き、学校に到着したモララーは毎日日記を班長に提出し、
HRの準備をし始めた。
「やぁ、モララー。おはようだモナ。」
「おはよう、モナー。」
このAAはモナーと言う名だ。白い身体に穏やかなタレ目の顔つきが特徴的なAAだ。
「…宿題、やってきたモナか?」
「勿論。当り前だろ?」
「……。」 「…どうした?モナー?」
「…そのー、宿題見せてくれないモナ? 忘れたんだモナ…。」
「仕方ないな、今回だけだぞ。はい、コレ。」
「ありがとだモナ!やっぱモララーは頼りになるモナね~♪」
「次からは頼りにするなよ。」
「ゴ、ゴメンモナ…。」
こんなやり取りが毎日。結局モナーに宿題を見せてやるのはコレが何度目になるか。
そうこうしている間に先生が教室にやって来てHRが始まった。
班長が欠席者の確認をし、先生に報告する。
(おや…?)
ふと向かいの席を見ると、いつもは元気良く喋っているギコの姿が無かった。
ギコの班の班長、しぃが心配そうな顔で先生にそう告げた。
桃色の可愛い顔をしたAAだ。淡く輝く瞳が綺麗だ。
「先生、ギコ君が来てないんですけど…、何かあったんでしょうか?」
「いや、ギコの家からは何の連絡も来てないんだがね…。」
(って言うか、ギコが休む事自体在り得ないだろ…。)
(今日は…いつもと違うな…。)
何となくそんな事を考えている自分に、何故かモララーは喜びを覚えた。
(いつもと…違う?)
勿論ギコが休んだのは心配だ。
だがモララーはいつもと違う何かを感じられるのが嬉しかった。
いつもより静かな教室で時間は過ぎて行き、あっという間に放課後になった。
「ねぇ、モララー君。ギコの家に連絡帳届けに行くんだよね?」
「Σ、何だ、しぃか…。うん、行くよ。心配だしね。」
「はい、じゃあコレ御願いね…私は用事があって行けないの。ギコ君にゴメンね、
って伝えて置いてね…。」
「わかった、じゃあそろそろ行くよ。」
「うん、ありがとう、モララー君。」
「どういたしまして。じゃ。」
そう言ってモララーは教室を出た。
ギコの家はモララーの帰り道の途中にあった。
「モララ~、待ってモナァ!」
「モナー?」
校庭の方からモララーが走ってくる。
(相変らず、足が短いな…。)
「ハァ、ハァ…モララー、モナも行くモナ。」
「うん、じゃあ行こうか。ギコが心配だ。」
二人はギコの家へ向かって歩き始めた…。
第2話「変化」
モナーと一緒にギコの家へ向かう途中、向こうからやって来る人影が見えた。
(アレは…?)
朝、擦違ったあの黒いAAだった。こちらへ向かって歩いてくる。
(誰なんだ…。)
どうやら、曲がるつもりは無いようだ。そのままモララー達と歩いて擦違った。その時だった。
『-コノ退屈ナ世界カラ連レ出シテヤルヨ-』
声が聴こえた。はっきりと、この耳に…。
(何だ、今のは!? あの黒いAAが言ったのか…?)
恐る恐る振り返るとそこにはもうあの黒いAAの姿は無かった…。
(な、この道に曲がれるような所なんてあったか?隠れる所すらない…。)
(なんなんだ…? アイツは…。)
「モララー、さっきの人…誰だモナ? 何だか、凄く怖かったモナよ…。」
「…知らないよ。今日の朝も会ったんだけどね。此処に住み始めて8年になるけど、初めて見る顔だよ。」
「そ、そうモナか…あ、ギコの家が見えてきたモナよ。」
黒い壁に赤い屋根の、なんとも不細工な二階建ての家が目に入ってきた。そこに、ギコは住んでいる。ギコの部屋は……ギコの部屋を見ると、明かりが点いていない。しかも、良く見るとギコの家全体の明かりが一つも点いていなかった。
「モララー、ギコ、居るのかな?明かりが全然点いてないモナ。」
「判らない、取敢えず訊ねてみよう。」
モララーがギコの家のインターホンを押す。ピンポーン♪何処にでもありそうな響きの良い音が家の中から聴こえて来た。しかし、反応は全く無い。
「ギコォォ~!!!居るモナかぁ~!!?」モナーが突然叫びだした。
「おい、モナー!近所迷惑だから止めるんだ!」
「ゴ、ゴメンモナ…、でも心配だし…。」
心配なのはモララーも一緒だった。旅行とかなら学校に伝えるだろうし、僕達にも伝えてくる筈だ。旅行じゃなくても、休むのなら学校へ連絡してくるだろう…。連絡が無かった、と言う事は…?嫌な予感が頭を過ぎった。モララーは玄関のドアへ手をかけた。そして思い切りノブを回す。ガチャッ──────開いてる!すぐさまモララーはドアをはね開け家の中へ入った。
「ギコッ!居るのか!?」
「モララー、勝手に入っていいモナ?」
「何かが変だ! 何かが…。」
「何か? 何かって、何モナ?」
「判らない、でも何かが変なんだよ…。」
そう言って、モララーは家の中へ上がりこんだ。真直ぐ歩いて、階段を上る。その上に、ギコの部屋はあった。
「モララー、ヤバいんじゃ…」
「シッ、静かに…。」
全く人気が無かった。しんと静まり返った部屋は、とても不気味だった。そして、モララーはギコの部屋のドアをゆっくりを開けた…。
第3話「黒きAA」
キッ─────蝶番が喨々とした音を立て、ドアがゆっくりを開いた。
「……。」
そこは、いつも遊びに来た時に見るギコの部屋の光景と何も変わりは無かった。暗闇を、窓から差し込む月の微光が僅かに室内を見渡せる程度明るくしていた。その時だ、月の光を遮る何かが窓の外に現れた。
「おいっ、ギコ? ギコなのか?」
モララーが問い掛ける。
『…違う、俺はギコじゃぁ無い。…御前等、さっき擦違っただろ?』
「す、擦違ったモナ…?あ、さっきの!」
ゆっくりを顔を上げたそのAAは紛れも無い、モララーが朝見掛け、先程ここに向かう途中にも擦違ったあの黒色の肌をした鋭い眼光のAAだった。
月の光をバックにその眼は更に鋭さを増して見えた。
「アンタ、なんなんだよ…? ギコが居ないのと何か関係してるのか?」
『…今こうしている間にも、御前等の友達のギコは戦ってくれている…。』
「…はぁ?」
「戦ってるって…どういう事モナ? 戦争にでも連れてかれたモナか?」
『…一概に間違いとは言えな…』
「おい! どこに居るんだよ、ギコは! 御前が連れてったんだろ!?」
「急に現れて、何を言い出すんだ!」
「も、モララー…。」
『…まぁ落ち着け。今から全てを話すから…。』
「!!」
モララーは今その黒いAAの顔に言葉じゃ表す事の出来ない深い悲しみが刻まれている事に気付いた。その顔は、モララーの慈悲を促して来た。
「……すまない。話してくれないか?」
『嗚呼。…確かに、御前等が混乱する気持ちは判る。でも、事は今も起こっているんだ。』
「その事、ってのは何モナ?」
『今から話す事は全て虚妄ではない。ゆっくりで良いから聞いてくれ…。』
第4話「エリア51」
『そう言えば自己紹介が未だだったな。俺の名前はウララー。』
「俺はm…」
『モララーだろ?そっちはモナー。』
「「な、何で俺達の(モナ達の)名前を知ってるんだ(知ってるモナ)!?」」
『今から話すから、落ち着け。先ず、何故ギコが居なくなったのかを話そう。ギコは、今この世界には居ないんだ。…っと、大丈夫、ちゃんと生きてるよ。』
「判った!宇宙に行ったモナね?」
「いや、宇宙もこの世界の一環だろ…?」
「ハ、ハズレモナか…。」
『嗚呼、ハズレだな。単刀直入に言うと、この世界とは別の、「もう一つの世界」に居るんだ。』
「もう一つの世界?」
『その通り。今俺達が存在するこの世界をAだとすると、ギコが居る世界はB、と言う訳だ。』
「おいおい、一体全体何でそんな所に?と言うか、そんな物が実在するのかどうかも判らないのに・・・。」
『今から一緒に来て貰う。』
「・・・何だって?聴こえなかった。」
『今から、一緒に、ギコの居る世界へ行く、と言ったんだ。』
「…新手の誘拐犯?」
「怪しいモナ…。」
『なっ、何故来て欲しいかも今から話すから。聞いてくれ。』
「…判った、聞こう。」
『…そもそも俺は、Bの世界の住人なんだ。そして今、Bの世界は大変な目に遭っている。』
「その大変な目ってのは何だ?」
「地震モナか?洪水モナか?」
『いや、地震や洪水よりももっと大変なんだ。…よく聞いてくれ。今、Bの世界は「迫害者」と言う奴等に支配されつつある…。』
「はくがいしゃ? 何だソレ…。」「白会社モナ?」
相変らずモナーは天然だ。
『…奴等は、俺達から平穏を奪った。友を、家族を、住処を…。赦せない…!』
「お、御前も落ち着けよ…。」
『す、すまない…。』
「御前等が大変な目に遭ってるってのはよーく判った。じゃあ、本題に入ろう。…何故、ギコはそんな状況の世界へ?」
「そうモナ、危険モナよね?何でそんな危ない所へ行ったモナ?」
『…ギコは、俺達の世界を救ってくれると言った。当ても無くこの世界へ助けを求めて行き着き、誰一人信用してくれる者の居ない状況でギコは、俺を信用してくれた。助けてくれたんだ。』
「…ギコらしいな。と言う事は、話をまとめると今ウララー達の世界は大変、救いを求めて俺達の世界へやって来たウララーはギコと出会い、ギコは助けてやると今Bの世界へ居ると。そこまでは判る。問題なのは、何故ウララー、御前が今俺達の前に居るんだ?ギコが消えた理由も判ったが、そこで新たな疑問が生まれたわけだ。何故なんだ?ウララー。」
何故なのかは大体把握出来ていたにも関らずモララーはウララーに問う。
ウララー自身の口から聞きたかったのだろう。モララーはこの時既にある決心を固めていた。
『それは…モララー、モナー、君達にも手を貸して欲しい。だから今ここに居る。』「ギコが話したんだろ?俺達の事を。大凡そんな所だろうと思ってたよ。」
「……。」
しばしの沈黙の後、モララーとモナーは同時に口を開いた。
「「判った、俺達も(モナ達も)手助けしてやるぜ!(してあげるモナァ!)」」
『本当か!?…有難う、モララー、モナー…。』
そして、モララーとモナーは、新たな世界へと旅立つのだった。