モナー小説掲示板ログ保管庫@wiki(´∀`*)

+ 激 し く 心 の 内 + (青桜 )

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
※登場人物は背景で判断してくださいね(゚∀゚)ノシ
喋らないキャラが喋るのは嫌だ!って人はブラウザの『戻る』ボタンで+激しく後退+してください。

――――――――――――――――――――――――・




風が吹く。

風に乗ってさわさわと響く木葉や草花の優しい調べを聴きながら、彼は赤いスカーフをなびかせた。
何をするわけでもなくただその小さな花々が咲く草原に立ち、風の調べを心地よさそうに聴くだけ。
自分のすぐ後ろを急いで走り去っていく金髪の少年とオニギリ頭の少年にさえ気付くことなく、彼は自然が奏でる音楽にじっと耳を澄ましていた。


―ずっと、この美しい調べを聴いていたい。





だが、そんな彼の希望を含んだ思いは瞬時にうち消される事になる。


遠くから聞こえた、誰かの名を呼ぶ声。自分ではないことは確かだろうが、よく聞こえない。野に咲くこの小さくも可愛らしい花が見えていないのか、その大声の主はドカドカと花々を蹴散らし踏み潰しながら、丘の上に立つ彼の元へと突進してきた。

「おぉ!君は確か+激しく忍者+君だったよね!?今1さん達ここ通っただろ?どこに行った?」

彼の足下に横たわる白く小さな花を一瞬瞳に映し、『忍者』は再び彼を見上げた。
自分より背が高いのは、モナー族の八頭身だからだろう。結構体つきがよく筋肉も割とある。ごつい体つきとまではいかないが、格闘家だと説明されても十分通る程だ。
『何処へ行こうが激しくその者の自由でござろう…』
「追いかけてるんだよ!早く教えろYO!!」
ドタドタと意味もなく地面を踏み付ける『8モナ』は、足下に咲いている花々を次々と踏み付けている。
その行為に多少苛つきを覚えた忍者だが、気付いていないのだろうから…と我慢し首を横に振った。

『申し訳ござらぬが、拙者そのような者は激しく一切見ておらぬ。他の者に聞いてくれ……』
「あ!何だよぉ誤魔化しなんか聞かないんだからな!絶対こっちに来たの!教えろって!」



少し離れた木の陰から、はらはらしながらも自分達の様子を見つめている>>1とオニギリには気付いていないのか。その気配を感じながらも三人の関係は充分分かっていた忍者は、今見つかればまたも追われる羽目になるだろう…と>>1を守る事を優先した。

『…見ておらぬ、と言っておろうが。……すまぬが激しく早く立ち去ってはもらえぬか?』
つい苛ついた口調でそう呟くように言ってしまい、直後忍者は『しまった』と後悔した。苛立ちを隠せずつい口をついて出た遠回しなその嫌味は、例えどんなに小さかろうが8モナをキレさせるには充分だった。

「……ンだとぉ~…?なめんなYO!俺だってねぇ『力』は誰にも負けた事ないんだぞ!……どうしても教えてくれない、っていうんなら………力ずくでも教えてもらおうかァ!!」


8モナは忍者に向かって突進し、拳を振り上げる。
軽く跳躍して後方へ移動した刹那、8モナの拳が忍者の立っていた空と地面を叩き潰した。
花が、潰れる。
『……拙者無駄な闘いは激しく好まぬ。…場を退き申せ。』
「い・や・だ!教えてもらうまで諦めないからね~!」
余裕綽々といった表情で二発目を振り下ろすが、一発目と同じく8モナの拳は虚しく空を切り裂いただけだった。空中で一回転し、忍者は再び地に足をつかせる。

背中に提げた刀の柄に手を掛け、再び前を向くと同時に白い物体が視界を覆った。
反応が一瞬遅れたもののギリギリで8モナの蹴りをガードすると、忍者は足下に注意を払いながら強く地を蹴った。その小さな花を、潰してしまわないようにと。

とりあえず、>>1達が隠れる木の枝にストッと着地する。

「あ、あの…」
『安心なされい。拙者はお主らを激しくどうこうしようとは思っておらぬ故』
遠くでキョロキョロと自分を捜している8モナに悟られぬよう、忍者は小声で>>1にそう告げた。



足にまとわりついてくる草花を蹴散らしむしり取りながら、8モナは苛ついた声を出した。
「あぁもう、邪魔だッ!」
固いコンクリートなどの地面ならば動きやすいのだろうが、草花が咲く平原では草や花が足に絡みついて動きづらいのだろう。可愛らしい花も頭身の高い彼にとっては小さく容易いものだ。
足下に咲く草花というものは全てむしり取り、忍者の姿を探す。




そんな8モナの様子を暫しの間見つめていた忍者だが、ついに我慢できなくなったように跳躍した。

びゅうびゅうと頬に吹き付ける風を感じながら、忍者は懐から短刀を取り出し鞘を抜く。
背後から日の光が彼を包み込み、8モナからは逆光で黒く見えるであろう自分の姿を風に舞わせる。


「…ぅわッ!?」

いきなり目の前に突きつけられた、鋭く輝く銀色の刃先。
喉元に触れる冷淡で冷たいその刃先にゴクリと唾を飲み、8モナはその気迫と殺気に押されて一歩後退ろうとするが、目前で刀を突きつける忍者に腕を掴まれその場に片足立ちになった。
「うわうわうわぁーッ!ごめんなさいスミマセンすみませぇんッ!」
片手をばたつかせて許しを請う8モナをただ瞳に映し、忍者は彼をその場に立たせるとゆっくり刃先を8モナの喉から刀の切っ先を退けた。

『…足』
「………はっ…はい…?」
ぽつりと呟くように放たれた忍者の言葉に、8モナは素っ頓狂な声を上げた。
『激しくお主の足下に鈴蘭が咲いておるのだ。其処を退き申せ』
何を言い出すのかと思い、8モナはふと足元を見た。


―丁度すぐ踵の横に咲いている、白く小さな鈴蘭。

後少し足をずらしていれば、踏み潰してしまったかもしれないギリギリの位置に咲いているその花を見、8モナは再度忍者に視線を戻した。
「え、あのさ……もしかして、…途中であんなに怖い程の殺気を放っていたのは、…それだけ?」
『他に何の理由がござろうか?……戦闘の最中にお主が花を踏み潰してしまった故、我慢できんでな…』

妙にカリカリとした口調で話す忍者を、8モナは呆気にとられて見つめていた。
まさか、それだけの事であんな殺気を放っていたわけではあるまい。恐る恐るそう聞こうと口を開くが、8モナが言葉を発する前に忍者が先に言葉にした。

『…どんなに小さな花でも、『生きている』事に変わりはない。どれだけ醜かろうと己の存在を認めてもらう為激しく必死に生きているのでござる。…それを踏み潰すとは何たるk』
「………………えぇ何それッ?花踏み潰しただけでそこまで怒る~!?」
腹を抱えて爆笑している8モナを大声で怒鳴る事はせず、忍者は彼を瞳に映したまま無言で柄に手を掛けわざとらしく『チキッ…』という音を静かにその場に響かせる。途端、8モナは真っ青な顔をして両手を上げた。
「…ごめんなさい………」

震える声で謝る8モナに、忍者は小さく溜息をついた。



『……花というのは、拙者等生き物と似ておるでござろう?初めは小さく葉を伸ばすのみで誰からも認められる事はないが、雨や風にも負ける事なく己をただ魅せようと努力し、そして何時かは、…誰が見ようと立派な花弁を咲かせる…。……短所を認め批判を生かし、悪いものさえ全てを力にして、どんなに美しい宝石にも負けない可憐な花を咲かせる特技を、拙者等生き物も激しく持っているのでござるよ。』

忍者の言葉に応えるように、>>1達が隠れている木の葉や8モナの足下の草花がサワサワと声を出した。
先程奏でていたあの優しい調べの続きを、今再び奏でているようにも聞こえる。



8モナは先程自分が踏み付けてしまった花を器用に指で立たせ、また踏まないように地面に注意を払った。
「……花オタクなんだねぇ。知らなかったなぁe」
『なッ…何を申すか…激しく拙者は―』 「でも――」
空を仰ぐ8モナの耳は、風を浴びて心地よさそうになびいていた。


「…なんか……ちょっぴり、じ~んときた感じ。」
少し驚いたように目を向けてくる忍者に『へへっ』と照れ笑いを見せると、8モナはう~んと伸びをした。

「―>>1さんには嫌われてばかりだけど、…俺は俺なりに頑張れって事だよね!」
『…………っえ、いや…、拙者激しくそういう意味で言ったわけではござらn』
「おぉ~ッし!頑張るかな♪あ、ありがとな忍者。漏れ、目が覚めた!」


少し…否、『完璧』間違った理解をしているとは気付かず、8モナはフンッと荒い鼻息で足下の草を揺らした。
忍者が迷惑そうに左右に揺れる小さな草花をチラと見やり、そして再び8モナへ視線を戻そうと顔を上げた時には、既に彼が猛ダッシュした後の残像のみしか目に映らなかった。





>>1達が隠れている方向とは全く違う方向へと走り去っていったらしい8モナの残像を暫し見、忍者はちょこちょこと歩み寄ってきた>>1とオニギリを代わりに瞳に映した。
「…早っ…。オリンピック級だワショーイ…」
「…全くもう、相変わらずのキモさだよねぇ。いなくなっちゃえば楽なんだけどなァ」
呆れ顔でふぅと溜息をつく>>1を軽く睨み、忍者は強めの口調で一言言い放った。

『…お主は8モナの気持ちを知ろうとせぬから、そのように無礼な言葉を吐けるのでござろうな。』

遠回しな嫌味。
だが>>1は忍者の鋭い目つきにビビっただけで言い返してこようとはしなかった。
オニギリの後ろに隠れ、ぶるぶると震えながら忍者を見つめて小声でそれに対して答える。
「だ・だって…キモいじゃんか。『いっちさぁーん!』なんて追いかけてきt」 『それ程―』
少し間をおき、忍者は目を細めた。


『彼の者はお主を好いておるということでござろうが。…お主がどれだけ暴言を吐こうが批評されようが、8モナは一度たりともお主を嫌う素振りを見せた事はなかろう。……人に心から愛されるというものは、何よりも喜ばしい事なのでござる。』


ザァ、と風が舞う音が三人の耳に木霊する。
どこからか飛んできたらしい桜の花弁に包まれ、>>1は先程8モナが踏みそうになっていた鈴蘭を見据えた。
可愛らしく綺麗な風の音色を受けて、尚もその花弁を静かに揺らして風の調べに応えようとしている鈴蘭は、>>1を見上げるようにして咲いていた。


「…愛する事も、素晴らしい事だと思うよ。>>1さん」
忍者の言葉に付け足すようにそう呟くオニギリを見つめ、>>1は金髪を風になびかせた。

「……そう……だよね…。…アイツだって、やり方はあんなのだけど……それだけ僕の事信頼してくれてるって事だもんね…。」

掌を見つめて頬を赤らめると、>>1はふっと空を仰いだ。
先程、珍しく見せた8モナの笑顔が頭に浮かぶ。

「……いこっか。>>1さん。」
「…うん。ありがと、…忍者」


頭を下げる>>1を、忍者はただ微笑しながら見据えていた。




 ―End・・・―

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー